殻被りの君。

第５話 那智視点②

☆５

「涼真君はキラキラしているから、テレビの中でも生きていられるんですね！」

「……いや、テレビの中に入るわけじゃねから」

のんびりまったりと下らない脳が死んでいる会話を続ける高校生３人と小学生１人。
片手ハンバーガーでポテトをたまに摘まむ。
何処にでもある光景だ。違和感なく日常にとけ込んでいる。
時計の針が６時をしめす。辺りも暗くなってきた頃だろう。
電車を使うのはためらわれ、一駅だからと４人で歩いてかえることにした。

「あ、親父」

ふと見慣れた白い車がププッ！と小さく音を鳴らして横に止まった。

「よう、彼女達、おいちゃんの車にのらない？」

チャラい感じで瑠美と美奈に声を掛ける。辺りは薄暗くて顔が見れていない。実の娘をナンパしているとは親父は気づいていないだろう。

「……おとうさん？」

「え、……もしかして、瑠美か？」

息子に気がついてからかうために声をかけてきた親父は瑠美に気づいて驚いた。まさか、こんな形で再開するのは思わなかっただろうな。
機会を作って感動の再会をさせてやろう、と親孝行の息子である俺は上から目線で考えていたけどまあ、人生ってやつはこんなもんだろう。

瑠美を助手席に座らせ、俺と美奈と涼真は後ろの座席に座った。

「……あ、……大きくなったな。美人さんになってびっくりしたよ」

お見合いよりも緊張した空気が車の中に漂っている。