殻被りの君。

遊虎りん

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第5話 那智視点②

☆3

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「初めまして。那智君の双子姉の妹の瑠美です」

「鈴木美奈よ。宜しくね、瑠美ちゃん」

駅の改札口付近のコンビニで待ち合わせて無事に合流した。
二人が初めましての挨拶をしているのを微笑ましく俺は眺めた。

「あれ?涼真は来ないの?」

「……来るけど、少し遅くなるって」

瑠美は少し寂しそうに答える。

「涼真って、誰?」

「瑠美のヒーロー君」

「痴漢から助けてくれたの」

学校の帰りにマクドナルドへと向かう。それは、俺や美奈とっては特別な事ではないけど、学校帰りに寄り道をしないで真っ直ぐ家に帰っていた瑠美にとっては新鮮な気持ちになることである。

「あ、あの。テリヤキバーガーセットのポテト、コーラでお願いします!!」

顔を真っ赤にして瑠美は注文した。

「緊張した。食べたいものを注文するの、初めて……ドキドキした」

スーパーで買い物するだけなら店員と会話を特別する必要はない。
子供である時、親になんでもやってもらっていると一人になったとき戸惑うものだ。
どうしたらいいか、知らないというのが恥ずかしくなる。

「瑠美ちゃんは箱入り娘なの?」

「……そうじゃないけど、親がとても苦手なの。だからずっと学校は行ってたけどそれ以外は引きこもっていたんです」

瑠美は少し首を傾げて考えながらぽつり、ぽつりと話し始めた。
幼い頃、瑠美が離婚した母親がつれてきた男に暴力をふるわれている夢をみた。あれは現実か単なる夢か、分からないけど。
今の瑠美を見たら現実だったんじゃないか、と思う。
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