殻被りの君。

遊虎りん

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第4話 涼真視点

☆4

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「この間の日曜日に変わるって決めたばかりで、……涼真君に出会えて、外から私の殻をつっついてくれるひとが二人になった……嬉しい」

状況が上手く理解出来ないが、瑠美が嬉しそうだからいいか。
ん、待てよ。2人?いいかじゃねえ。

「瑠美の殻?をつっついてくれる奴のもう一人って誰なんだよ?」

まさか、瑠美の男なんじゃねえか。

「那智君!」

ドンピシャで男の名前が瑠美の口から出る。瑠美はほっておけねえ可愛い女だし、……と色々言葉が浮かぶがやはり面白くない。

「瑠美、どーしたの?こんなところで小学生とブレイクタイム?」

瑠美を知る突然の男の声が聞こえた。
見るとブレザーの制服を着た高校生男子が、肉眼で確認できる距離にある図書館から借りてきたばかりだと思われる片手に持つ本をふりふり、と振っている。

「うん、ちょっと休んでいたの。この小学生君は涼真君と申しまして、私の恩人です」

「え、瑠美の恩人ですか。それはなら俺の恩人でもありますな。この度は瑠美を助けていただきありがとうございます。涼真さん」

背が高く優しい感じのいい高校生の男。那智とやらが頭を深々と頭を下げる。

「俺は瑠美の双子の片割れの那智と申します。以後お見知りおきを」

双子の片割れ、という言葉に俺はほっとした。
血の繋がっているきょうだい、ってやつか。
自分がほっとしていることに俺は自覚する。

やっぱり俺は瑠美が好きなんだ。
初恋、ってやつをしてしまったんだな。

すごくドキドキするし、道端に咲く花の匂いに敏感になった気がする。

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