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第3話 瑠美視点②
☆1
しおりを挟むお喋りが途切れた今も気にしてくれていた事が嬉しくて、呼吸が楽になる。
いつも胸が苦しい、気がする。私の周りだけ酸素が足りない。口をぱくぱくしている金魚のようにみっともなく息をしている。
でも、本当に那智君といる時は自然と当たり前の事が苦痛に感じずにできた。
「声がぴったり重なった時、すごく驚いた。テレビで見た双子みたいで」
初めて那智君が話しかけてくれた時の事を思い出して懐かしく私は口元に笑みを浮かべた。
「……双子みたい、じゃなくてね。俺と瑠美は双子なんだよ」
真剣な眼差し。その那智君の声と言葉は迷って考えて苦しんだ想いが込められた愛しい声だった。
すとん、と納得して私は頷いた。
「うん、私と那智君は双子……だね」
驚きも拒絶の感情は一瞬も起こらなかった。
嬉しいというより「双子」であることは当たり前、だという思いが強い。
「あー、……爆弾発言緊張した。俺って妄想男子だからさ。自分の都合がいいように相手の反応考えちゃうんだよね」
那智君はゆっくりと安堵の息を洩らした。
「私も妄想女子だよ。那智君以外と話すのがとても苦しい……苦手なことや考えが多くて、勝手に傷ついちゃうの。だから、殻を作ってとじこもっちゃう」
出来るなら会話に加わらず本を読んでいたい。
クラスメートの気が利かなかった行動に対する非難とか、癖のある先生を笑うとか、したくない。
好きな色や食べ物を話して、私それきらーい!と否定されたら気持ちが沈む。
卵の殻のようなハートだ、と自分でもうんざりする。
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