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第2話
☆4
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「……っ、仲間と会えなくて…さみ、しい。かなしい…ぼ、くは主人を死なせてしまった。処分させるべき、道具、でき損ない…生きている資格はない」
頭と身体が熱くて涙が大きく膨れて破裂しそうでサリスは喘いだ。
同胞と雑魚寝して、餌を同じ皿で食べて、毛繕いをすると安心した。お互いをNo.で呼びあっていた。だが、一番小さいサリスは『おちび』と呼ばれ可愛がられていた。
任務が終わると主従関係は解消される。人間は任務によって、キメラを変える。任務は短くて1週間、長くて3年。必要がなくなるとキメラが集められた『街』へと戻る。
今までは、人間の『道具』であることに納得して生きていけた。だが、一度温もりを知ったら自分の肌の冷たさを思い知った。同胞と離され、血の通わない冷たい『道具』であることを求められると寂しくて悲しい。
寂しくて悲しい。2つの感情が混ざりあって、苦しくて呼吸もまともに出来ない。
「…同じ仲間と離れて寂しいですね。主人を守れなかったのは辛いですね。悲しいですね…だけど、貴方は道具ではない。楽しいこと笑うこと、気持ちいいことも自由に楽しむことが許された、この星の命の一つです」
ロイは泣いている幼児を慰めるようにベットに腰掛けてサリスを膝に乗せて何度も優しくシャンプーをしたばかりの漆黒の髪を優しく撫でていた。
ほんのりとピンク色に染まった真っ白な肌。少年特有の独特な色香を感じさせる。長い睫毛には涙のしずくがたまり、嗚咽を洩らして泣いている。細い肩は小刻みに震えていた。そのサリスの様は儚く愛おしい気持ちをロイの中で急成長させる。
カチリ、と止まっていた時の秒針が動き出す。
皿の破片を握っている手を何とかしたい。力任せに手を開くのは簡単だが、自分から手を開いて欲しい。
緊張感で張り詰めているサリスを蓄積された身心のストレスから解放してやりたい。
「…サリス君、目を瞑って楽にしていてください。眠ってしまっても構いません」
サリスをベットに仰向けに寝かせる。
涙は未だに止まらない。目を閉ざしていても新しい滴が溢れて頬を濡らしている。
ロイは眼鏡を外して前髪を掻きあげた。サリスの濡れた頬を指で拭うとちゅ、と唇を優しく啄む。ちゅ、ちゅ、と頬や鼻先にキスをする。
「んっ、……っはぁ、…くすぐったい」
柔らかく温かな唇の感触を擽ったく感じて、サリスはくすくすと笑う。一気に花が開いたかのような可憐な華やかな空気になる。
頭と身体が熱くて涙が大きく膨れて破裂しそうでサリスは喘いだ。
同胞と雑魚寝して、餌を同じ皿で食べて、毛繕いをすると安心した。お互いをNo.で呼びあっていた。だが、一番小さいサリスは『おちび』と呼ばれ可愛がられていた。
任務が終わると主従関係は解消される。人間は任務によって、キメラを変える。任務は短くて1週間、長くて3年。必要がなくなるとキメラが集められた『街』へと戻る。
今までは、人間の『道具』であることに納得して生きていけた。だが、一度温もりを知ったら自分の肌の冷たさを思い知った。同胞と離され、血の通わない冷たい『道具』であることを求められると寂しくて悲しい。
寂しくて悲しい。2つの感情が混ざりあって、苦しくて呼吸もまともに出来ない。
「…同じ仲間と離れて寂しいですね。主人を守れなかったのは辛いですね。悲しいですね…だけど、貴方は道具ではない。楽しいこと笑うこと、気持ちいいことも自由に楽しむことが許された、この星の命の一つです」
ロイは泣いている幼児を慰めるようにベットに腰掛けてサリスを膝に乗せて何度も優しくシャンプーをしたばかりの漆黒の髪を優しく撫でていた。
ほんのりとピンク色に染まった真っ白な肌。少年特有の独特な色香を感じさせる。長い睫毛には涙のしずくがたまり、嗚咽を洩らして泣いている。細い肩は小刻みに震えていた。そのサリスの様は儚く愛おしい気持ちをロイの中で急成長させる。
カチリ、と止まっていた時の秒針が動き出す。
皿の破片を握っている手を何とかしたい。力任せに手を開くのは簡単だが、自分から手を開いて欲しい。
緊張感で張り詰めているサリスを蓄積された身心のストレスから解放してやりたい。
「…サリス君、目を瞑って楽にしていてください。眠ってしまっても構いません」
サリスをベットに仰向けに寝かせる。
涙は未だに止まらない。目を閉ざしていても新しい滴が溢れて頬を濡らしている。
ロイは眼鏡を外して前髪を掻きあげた。サリスの濡れた頬を指で拭うとちゅ、と唇を優しく啄む。ちゅ、ちゅ、と頬や鼻先にキスをする。
「んっ、……っはぁ、…くすぐったい」
柔らかく温かな唇の感触を擽ったく感じて、サリスはくすくすと笑う。一気に花が開いたかのような可憐な華やかな空気になる。
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