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◆世界の果てはありませんでした
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「……と、いう次第で旦那様には誓約書にサインを頂き、ケイン様の飛行機については決して他に口外しないことを制限させて頂きました。そしてその効果か否かは不明ですが、旦那様の記憶から飛行機の件が抜け落ちてしまったのではないかと」
「……」
「旦那様?」
「デューク様、もしかして怒ってます?」
「ふぅ~いや、怒ってはいない」
「「ほっ……」」
「だがな」
「「あ!」」
セバス様の説明が終わり、それを黙って聞いていたデューク様の顔が険しくなったので、セバス様が様子を窺い、俺もどうなのか聞いてみたが、デューク様自体は怒りはないと言うが、何か言いたいことがあるようで言葉を続ける。
「セバス、悪かったな」
「旦那様?」
「いや、お前がそういう風に気を回すのも分かる。確かに空を飛べると知ったら、止まらないだろうし誰彼構わず自慢していただろう。ありがとうな」
「旦那様!」
「だが、さすがに誓約書まで書かされていたとはな」
「ですが、旦那様。もしケイン様の飛行機があるとなれば、どうされていました?」
「そりゃ……もういい。だが、ケインよ。お前の先程の話の中で不明な点がいくつかある」
「な、なんでしょう?」
デューク様は飛行機の件はなかったことにしてくれたらしいが、まだ不明点があるらしく俺に質問してくる。
「まず、飛行機を操縦していたことだが、以前に許可制にしたよな?」
「え、でも……あれは……」
「したよな?」
「……はい」
「旦那様、あの時には飛行機までを含めずに車や船に留めたことをケイン様は言いたいのでしょう」
「そ、そうです! だから、無許可にはならないでしょ!」
「くっ……此奴は」
デューク様はまだ、何か言いたそうだったが、飛行機については公にしていないことだからとライセンスのことについては有耶無耶になった。
「それはまあ、今は置いておくことにしてだ。世界地図とはどういうことだ?」
「あ、それは私も気になったぞ、ケイン」
「えっとですね……」
地図を作成するためのドローンが行方不明になった場所まで探しに行ったことがユリシアさんと会ってしまった原因だったのだが、デューク様と王太子が『世界地図』に対し興味を持ってしまったようで、二人が俺に迫ってくる。
「ちょ、ちょっと近すぎだから!」
「「すまない」」
「もう……いい歳こいたオジサンが……」
「ん? 何か言ったか?」
「ケイン、不敬罪で罰することも出来るんだよ?」
「すみません!」
『世界地図』という見たことも無い物に対し興奮したオジサン二人をなんとか引き離すとインベントリからタブレットを取り出し作成途中の世界地図を表示してから、オジサン二人の間に置く。
「ケイン、これは!」
「やはり、世界を手中に収めるつもりだったんだね」
「ち、違うから! 絶対に世界征服とかないですから!」
「でも、出来るんだろ?」
「はい、そりゃもう簡単に……って違いますよ!」
「ふふふ、分かっているよ」
「王太子様、心臓に悪いですから」
「すまん、すまん」
デューク様はその航空写真の継ぎ接ぎで出来た地図に驚き、王太子はその精度に俺が世界征服を企んでいるのではからかってくる。
「だが、これで途中なのだな。その為の魔道具が龍に破壊されていたと」
「はい、その通りです」
「ふむ、ケインよ。これを続けるつもりはあるかい?」
「え? いいんですか?」
「ああ、もしやる気があるのなら、頼む」
「はい、分かりました!」
「それで、この世界の果てはどうなっているんだ?」
「俺も気になってた! ケイン、どうなんだ? この世界の果ては断崖絶壁だと言われているが、やはりそうなのか? なあ、ケインどうなんだ!」
「え?」
王太子は俺の地図作りを認めてくれたようだが、妙なことを言い出した。それに追随するようにデューク様も世界の果てに対し興味を持つ。
「「で、どうなんだ!」」
「あの……非常に言い難いことなんですけど……」
「なんだ。もしかして見せられないとか言わないよな」
「ケイン、ここまで来てそれはないぞ」
「ハァ~いいですか。この世の果ては存在しません」
「「へ?」」
俺は土魔法で直径三〇センチメートル程の球体を作り浮かせると二人に対し「いいですか」と前置きしてから、その球体に世界地図を手本に大陸や島を追加する。
「ここがドワーフタウンで、ここがシャルディーア領で……ここが王都です。そして、竜人の里がここ。で、ぐるっと回れば、はい、この通り!」
「「え?」」
「ちょ、ちょっと待て!」
「ケイン、世界の果てはともかく。私達はこの球体の上に立っていると言うのか!」
「ええ、そうです。ただ、宗教とかよく分かりませんが、余り大きな声で言うことは出来ないんですよね?」
「「……」」
「あの?」
球体に大陸や山に島を追加して立体的に仕上げた後で、ドワーフタウンや王都の場所に旗を立て分かり易くしたつもりだが、王太子達はまだこの惑星が丸い球形だということまでは理解してもらえなかったみたいだ。なので、もしかしてと思い宗教的なことでダメなのかなと聞けば、二人が口籠もる。
「確かに宗教の教典にはこの地は『平らな盆の上』にあり、その下は巨大な神獣が支えているとされている」
「あぁやっぱり」
「だから、ケインが嘘を付くとは思えないが、俄には信じることが出来ない。それにこの球の上にいるのなら、この地面が平らなのが説明が付かない。それにこの反対側にいる人はどうなるんだ? 下に落ちるのではないのか?」
「ケイン、俺も王太子様と同じ意見だ」
「だよねぇ~」
「ケイン様、私も同じです」
「セバス様もかぁ~」
「……」
「旦那様?」
「デューク様、もしかして怒ってます?」
「ふぅ~いや、怒ってはいない」
「「ほっ……」」
「だがな」
「「あ!」」
セバス様の説明が終わり、それを黙って聞いていたデューク様の顔が険しくなったので、セバス様が様子を窺い、俺もどうなのか聞いてみたが、デューク様自体は怒りはないと言うが、何か言いたいことがあるようで言葉を続ける。
「セバス、悪かったな」
「旦那様?」
「いや、お前がそういう風に気を回すのも分かる。確かに空を飛べると知ったら、止まらないだろうし誰彼構わず自慢していただろう。ありがとうな」
「旦那様!」
「だが、さすがに誓約書まで書かされていたとはな」
「ですが、旦那様。もしケイン様の飛行機があるとなれば、どうされていました?」
「そりゃ……もういい。だが、ケインよ。お前の先程の話の中で不明な点がいくつかある」
「な、なんでしょう?」
デューク様は飛行機の件はなかったことにしてくれたらしいが、まだ不明点があるらしく俺に質問してくる。
「まず、飛行機を操縦していたことだが、以前に許可制にしたよな?」
「え、でも……あれは……」
「したよな?」
「……はい」
「旦那様、あの時には飛行機までを含めずに車や船に留めたことをケイン様は言いたいのでしょう」
「そ、そうです! だから、無許可にはならないでしょ!」
「くっ……此奴は」
デューク様はまだ、何か言いたそうだったが、飛行機については公にしていないことだからとライセンスのことについては有耶無耶になった。
「それはまあ、今は置いておくことにしてだ。世界地図とはどういうことだ?」
「あ、それは私も気になったぞ、ケイン」
「えっとですね……」
地図を作成するためのドローンが行方不明になった場所まで探しに行ったことがユリシアさんと会ってしまった原因だったのだが、デューク様と王太子が『世界地図』に対し興味を持ってしまったようで、二人が俺に迫ってくる。
「ちょ、ちょっと近すぎだから!」
「「すまない」」
「もう……いい歳こいたオジサンが……」
「ん? 何か言ったか?」
「ケイン、不敬罪で罰することも出来るんだよ?」
「すみません!」
『世界地図』という見たことも無い物に対し興奮したオジサン二人をなんとか引き離すとインベントリからタブレットを取り出し作成途中の世界地図を表示してから、オジサン二人の間に置く。
「ケイン、これは!」
「やはり、世界を手中に収めるつもりだったんだね」
「ち、違うから! 絶対に世界征服とかないですから!」
「でも、出来るんだろ?」
「はい、そりゃもう簡単に……って違いますよ!」
「ふふふ、分かっているよ」
「王太子様、心臓に悪いですから」
「すまん、すまん」
デューク様はその航空写真の継ぎ接ぎで出来た地図に驚き、王太子はその精度に俺が世界征服を企んでいるのではからかってくる。
「だが、これで途中なのだな。その為の魔道具が龍に破壊されていたと」
「はい、その通りです」
「ふむ、ケインよ。これを続けるつもりはあるかい?」
「え? いいんですか?」
「ああ、もしやる気があるのなら、頼む」
「はい、分かりました!」
「それで、この世界の果てはどうなっているんだ?」
「俺も気になってた! ケイン、どうなんだ? この世界の果ては断崖絶壁だと言われているが、やはりそうなのか? なあ、ケインどうなんだ!」
「え?」
王太子は俺の地図作りを認めてくれたようだが、妙なことを言い出した。それに追随するようにデューク様も世界の果てに対し興味を持つ。
「「で、どうなんだ!」」
「あの……非常に言い難いことなんですけど……」
「なんだ。もしかして見せられないとか言わないよな」
「ケイン、ここまで来てそれはないぞ」
「ハァ~いいですか。この世の果ては存在しません」
「「へ?」」
俺は土魔法で直径三〇センチメートル程の球体を作り浮かせると二人に対し「いいですか」と前置きしてから、その球体に世界地図を手本に大陸や島を追加する。
「ここがドワーフタウンで、ここがシャルディーア領で……ここが王都です。そして、竜人の里がここ。で、ぐるっと回れば、はい、この通り!」
「「え?」」
「ちょ、ちょっと待て!」
「ケイン、世界の果てはともかく。私達はこの球体の上に立っていると言うのか!」
「ええ、そうです。ただ、宗教とかよく分かりませんが、余り大きな声で言うことは出来ないんですよね?」
「「……」」
「あの?」
球体に大陸や山に島を追加して立体的に仕上げた後で、ドワーフタウンや王都の場所に旗を立て分かり易くしたつもりだが、王太子達はまだこの惑星が丸い球形だということまでは理解してもらえなかったみたいだ。なので、もしかしてと思い宗教的なことでダメなのかなと聞けば、二人が口籠もる。
「確かに宗教の教典にはこの地は『平らな盆の上』にあり、その下は巨大な神獣が支えているとされている」
「あぁやっぱり」
「だから、ケインが嘘を付くとは思えないが、俄には信じることが出来ない。それにこの球の上にいるのなら、この地面が平らなのが説明が付かない。それにこの反対側にいる人はどうなるんだ? 下に落ちるのではないのか?」
「ケイン、俺も王太子様と同じ意見だ」
「だよねぇ~」
「ケイン様、私も同じです」
「セバス様もかぁ~」
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