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◆誰も知りませんでした
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「お! ケインじゃないか。久しぶりだな。ん?」
「お久しぶりです」
転移ゲートを潜った先に里長がいたので、とりあえず挨拶を交わすが俺の後ろにいる龍のお姉さんが気になったのか俺、お姉さんと順に見ていた里長が訝しむ。
「ケインよ、ちと聞くが、そこの御仁はもしや……」
「あ~分かる?」
「分かるわ!」
「お~じゃ話が早いや。そういう訳で後はお願いね。マサオ、行こう」
『おう』
「「待て!」」
「え?」
お姉さんの正体をなんとなく感じた里長に後のことはお任せして帰ろうとしたところで、里長とお姉さんの二人から「待て」と声を掛けられる。
「え~何?」
「何じゃないだろ!」
「ちょっと無責任が過ぎないか?」
里長、お姉さんにそう言われるが龍のことはその子孫でもある竜人にお任せするのが一番だと思ったから連れてきたのだから、無責任と言われるのはちょっと違うと思うのだけどね。
それにここにはナーガさんもいるのだから、あと一人龍が増えても問題ないと思ったんだけどね。
「ケインよ。お前はこの方の正体を知った上で、この里に置いて行くのか」
「そうだぞ。私は何も覚えていないと言ったのに。何故、置いてけぼりにするのだ!」
「もう、面倒臭いな」
『ケインよ、諦めた方がいいと思うぞ』
「でもさ……」
『さっきも言ったが、下手すると家まで着いてくるぞ』
「え~それは勘弁して欲しいな」
「「何をゴチャゴチャ言っている!」」
「もう……」
このまま竜人の里に置いて行けば、面倒なことにならないと思ったのに余計面倒になった気がする。俺は「ハァ~」と短く嘆息すると、里長に対し「ナーガさんを呼んでください」とお願いする。
「ナーガか……そうだな。確かに彼女なら……おい、ナーガを呼んで来て貰えるか」
「あ、はい。いいですよ」
「すまんな」
里長は少しだけ逡巡すると近くにいた里の人にナーガさんを呼んで来て欲しいと頼む。
「それで、この方の名は?」
「ない」
「え?」
里長が俺にお姉さんの名前を聞いてくるが、俺を遮ってお姉さんが「ない」と答えると里長はどういうことだと俺の方を見る。
「いや、俺に聞かれても困るんだけどね、実は……」
「ふむ。だから、ナーガがいるこの里に来たと」
「そう。だから、後は当人同士で「だから、待てと言っている」え~」
里長にこれまでの経緯を話し納得して貰えたことで俺の役目は終わりとばかりに帰ろうとすると、また引き留められる。
「せめて、ナーガが来るまで待たんか」
「分かったよ」
里長に引き留められ、不承不承で暫く待っているとナーガさんがゆっくりと歩いてくるのが分かった。
ナーガさんも俺に気付いたのか、少しだけ歩が早くなった様な気がするが、俺の隣にいるお姉さんを見ると、ナーガさんはダッシュで駆け寄ってくると「お久しぶりです!」とお姉さんに声を掛ける。
「え? 誰?」
「誰って私ですよ。ナーガです。あなたの妹の!」
「え? 妹? 私の? え、どういうこと?」
「「「え?」」」
お姉さんの言葉にナーガさんだけでなく里長まで俺に説明しろという風に目で訴えてくるので、俺はナーガさんに里長に話した内容と同じことをまたイチから話すと「そういうことですか」とナーガさんは納得してくれたようだ。
「じゃ、ナーガさん。このお姉さんの名前を教えて」
「え? 名前ですか」
「うん。だってお姉さんなんでしょ?」
「ええ、その女性は確かに私の姉であると確信は出来るのですが……」
「「「が?」」」
「名前まではちょっと……」
「「「え~」」」
「すみません」
ナーガさんはお姉さんが自分の姉であることは間違いないと言い切るので、ならばと名前を尋ねれば知らないと言われてしまう。姉に違いないというのに何故名前を失念したのかとナーガさんに聞いてみる。
「何故と言われましても……幼い頃から『お姉ちゃん』としか読んでいなかったので。それに親と呼ばれるものも、その時にはいなかったのもあり姉とは二人っきりだったので姉を名前で呼ぶ者もいなかったので……はい」
「ハァ~そういうことなら仕方ないとしか言えないけど、自分の名前を忘れるなんてあるのかな」
「むぅ~そうは言うがな、私の名を呼ぶ者もおらず、自分から名を告げる相手もいない状態で何百年も過ごせばそうなるものだ。お前も私と同じ様に過ごせば分かるだろう」
「え~イヤだよ。そんな永い間オヒトリサマなのは」
「だろ? 私ももう一人でいるのは飽きた」
「じゃあ、これからは姉妹で仲良く暮らせるね。じゃ、そゆことで」
「「待て!」」
「待って!」
「え?」
姉妹だと分かったんだから、後のことは妹であるナーガさんに任せて帰ろうとしたら、またまた引き留められた。
「もう、何?」
「まだ私の用が済んでいない」
「ケインよ。そう慌てるな。何をそんなに急ぐことがある」
「ケイン君、私からもお願い」
「え~」
お姉さんが言う用は多分、名前のことだよな。でも、下手に名前を付けたら多分、俺が従属することになりそうで気が進まない。
なんとか思い出してくれないかなと淡い期待をしてしまう。
「お久しぶりです」
転移ゲートを潜った先に里長がいたので、とりあえず挨拶を交わすが俺の後ろにいる龍のお姉さんが気になったのか俺、お姉さんと順に見ていた里長が訝しむ。
「ケインよ、ちと聞くが、そこの御仁はもしや……」
「あ~分かる?」
「分かるわ!」
「お~じゃ話が早いや。そういう訳で後はお願いね。マサオ、行こう」
『おう』
「「待て!」」
「え?」
お姉さんの正体をなんとなく感じた里長に後のことはお任せして帰ろうとしたところで、里長とお姉さんの二人から「待て」と声を掛けられる。
「え~何?」
「何じゃないだろ!」
「ちょっと無責任が過ぎないか?」
里長、お姉さんにそう言われるが龍のことはその子孫でもある竜人にお任せするのが一番だと思ったから連れてきたのだから、無責任と言われるのはちょっと違うと思うのだけどね。
それにここにはナーガさんもいるのだから、あと一人龍が増えても問題ないと思ったんだけどね。
「ケインよ。お前はこの方の正体を知った上で、この里に置いて行くのか」
「そうだぞ。私は何も覚えていないと言ったのに。何故、置いてけぼりにするのだ!」
「もう、面倒臭いな」
『ケインよ、諦めた方がいいと思うぞ』
「でもさ……」
『さっきも言ったが、下手すると家まで着いてくるぞ』
「え~それは勘弁して欲しいな」
「「何をゴチャゴチャ言っている!」」
「もう……」
このまま竜人の里に置いて行けば、面倒なことにならないと思ったのに余計面倒になった気がする。俺は「ハァ~」と短く嘆息すると、里長に対し「ナーガさんを呼んでください」とお願いする。
「ナーガか……そうだな。確かに彼女なら……おい、ナーガを呼んで来て貰えるか」
「あ、はい。いいですよ」
「すまんな」
里長は少しだけ逡巡すると近くにいた里の人にナーガさんを呼んで来て欲しいと頼む。
「それで、この方の名は?」
「ない」
「え?」
里長が俺にお姉さんの名前を聞いてくるが、俺を遮ってお姉さんが「ない」と答えると里長はどういうことだと俺の方を見る。
「いや、俺に聞かれても困るんだけどね、実は……」
「ふむ。だから、ナーガがいるこの里に来たと」
「そう。だから、後は当人同士で「だから、待てと言っている」え~」
里長にこれまでの経緯を話し納得して貰えたことで俺の役目は終わりとばかりに帰ろうとすると、また引き留められる。
「せめて、ナーガが来るまで待たんか」
「分かったよ」
里長に引き留められ、不承不承で暫く待っているとナーガさんがゆっくりと歩いてくるのが分かった。
ナーガさんも俺に気付いたのか、少しだけ歩が早くなった様な気がするが、俺の隣にいるお姉さんを見ると、ナーガさんはダッシュで駆け寄ってくると「お久しぶりです!」とお姉さんに声を掛ける。
「え? 誰?」
「誰って私ですよ。ナーガです。あなたの妹の!」
「え? 妹? 私の? え、どういうこと?」
「「「え?」」」
お姉さんの言葉にナーガさんだけでなく里長まで俺に説明しろという風に目で訴えてくるので、俺はナーガさんに里長に話した内容と同じことをまたイチから話すと「そういうことですか」とナーガさんは納得してくれたようだ。
「じゃ、ナーガさん。このお姉さんの名前を教えて」
「え? 名前ですか」
「うん。だってお姉さんなんでしょ?」
「ええ、その女性は確かに私の姉であると確信は出来るのですが……」
「「「が?」」」
「名前まではちょっと……」
「「「え~」」」
「すみません」
ナーガさんはお姉さんが自分の姉であることは間違いないと言い切るので、ならばと名前を尋ねれば知らないと言われてしまう。姉に違いないというのに何故名前を失念したのかとナーガさんに聞いてみる。
「何故と言われましても……幼い頃から『お姉ちゃん』としか読んでいなかったので。それに親と呼ばれるものも、その時にはいなかったのもあり姉とは二人っきりだったので姉を名前で呼ぶ者もいなかったので……はい」
「ハァ~そういうことなら仕方ないとしか言えないけど、自分の名前を忘れるなんてあるのかな」
「むぅ~そうは言うがな、私の名を呼ぶ者もおらず、自分から名を告げる相手もいない状態で何百年も過ごせばそうなるものだ。お前も私と同じ様に過ごせば分かるだろう」
「え~イヤだよ。そんな永い間オヒトリサマなのは」
「だろ? 私ももう一人でいるのは飽きた」
「じゃあ、これからは姉妹で仲良く暮らせるね。じゃ、そゆことで」
「「待て!」」
「待って!」
「え?」
姉妹だと分かったんだから、後のことは妹であるナーガさんに任せて帰ろうとしたら、またまた引き留められた。
「もう、何?」
「まだ私の用が済んでいない」
「ケインよ。そう慌てるな。何をそんなに急ぐことがある」
「ケイン君、私からもお願い」
「え~」
お姉さんが言う用は多分、名前のことだよな。でも、下手に名前を付けたら多分、俺が従属することになりそうで気が進まない。
なんとか思い出してくれないかなと淡い期待をしてしまう。
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