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◆押し潰されそうでした
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「出来た! よし、じゃあ早速行こうかマサオ……マサオ? あ、そうかまだ走っているのかな?」
『ぜぇぜぇ……はぁはぁ……死ぬ……かも』
換装も終わったので早速乗り込もうと思った所でマサオが出て行ってたことを思い出したところで、マサオが格納庫の中に戻ってくるなり横になる。
「マサオ、ちょうどよかった。今出来上がったんだ。ほら、行くよ」
『ちょ、ちょっと休ませろよ……ハァハァ……』
「だって、それ演技でしょ。ほら、立って」
『ちぇ。そこは俺を優しく気遣うところだろ』
「何言ってんの。大体本当に走って来たのなら、こんなにジャストなタイミングで帰ってくることは難しいよね。どうせ、格納庫の前で俺の作業が終わるのを待っていたんでしょ」
『な、なぜそれを……』
「だって、ほら」
『あ……』
俺はタブレットをマサオに見せる。そこにはこの格納庫を百メートル上空から映した映像が流れている。
「俺ってばさ、優しいじゃない? だからさ、マサオが途中で倒れたりしていないかと思ってさドローンを使って見ていたのよ。マサオが心配で心配で……」
『ぐぬぬ……』
「そしたらさ、走るどころか格納庫から出たところで寝そべっているじゃない。これはどういうことなんだろうね?」
『い、いや、そ、それは違うんだよ』
「違うって何が違うの? また、俺との約束を破るんだ。ふぅ~ん、まあ別に俺はいいんだけどね」
『だから、ちょっと待てよ! いいか、走るって言ってもそんなに急に走ったりするのは逆に体に悪いんだぞ。知らないのか?』
「それは分かるけどさ。なら、約束しなければいいんじゃないの」
『ぐっ……そ、それはそうだが……』
「ほら、それはそれとして行くよ」
『やっぱり、行くのかよ』
「そうだよ」
『それにしてはいやに嬉しそうだな』
「そりゃあね、だって久しぶりに操縦出来るんだし」
『ふ~ん、そういや大陸の端に近いんだよな。なら、竜人の里から出た方がいいんじゃないのか?』
「いいの! たまには俺だって発進シーケンスを楽しみたいの!」
『はいはい、分かりました』
マサオがようやく納得してくれたので俺も一緒に機体へと乗り込む。
「計器よし! 操作系よし! 装備類よし! 『なあ』……あとにして」
機体へ乗り込むと諸々の計器類や安全に関連する項目などを指差し確認を済ませているとマサオから声を掛けられるが、今は確認中なので後回しにしてもらう。
「で、マサオ何?」
『いや、そういうのって必要なのかなとか思ってな』
「そりゃ面倒だけど、しとかないとね」
『ふ~ん、そうか』
「それだけなら、出すよ」
『おう! やってくれ!』
俺は格納庫のハッチを開くと、機体をゆっくりと上昇させる。
『お~この感覚も久しぶりだな』
「そうだね。一度行った所なら転移ゲートの方が便利だもんね」
機体は上昇を続け、五千メートルまで上がった所で、ガンツさん達がいるであろう方向へ機首を向ける。
「じゃあ、行くよ」
『おう、いつでもいいぞ』
「了解。じゃあ、エンジンスタート! ポチッとな」
パネルの『START』ボタンを押すと、機体上部に取り付けたジェットエンジンがヒュイ~ンと唸りを上げる。
「動いたね。じゃあ、ゆっくりと『面倒くせえ。ほい!』……あ、バカ!」
俺はゆっくりとスロットルレバーを引いてゆっくりと加速させるつもりだったのにマサオが横から前足でグイッと引いてしまった。
スロットルを思いっ切り引いたもんだから、ゆっくりどころか最初っからフルスロットルだ。なので当然のようにシートに体が押し付けられる。
「マ、マサオ……」
『な、なんだよ……今、話しかけるなよ……』
「お前のせいだろ!」
『そう……とも……いうかな……』
肝心のマサオはと言えば、椅子にちゃんと座っていなかったこともありフルスロットルの加速と同時に操縦室の壁に貼り付いている。
俺はなんとか腕を伸ばしてスロットルを元の位置に戻すことが出来た。
『ハァ~死ぬかと思った……』
「お前なぁ~」
『いいじゃないか。済んだことをグチグチ言うのは男らしくないぞ』
「ぐっ……お前は」
『それよりもまだ遠いのかよ』
「あ! そうだった」
俺はタブレットを取り出し、自分達とガンツさん達がいるであろう場所を確認する。
「近付いてはいるけど、まだまだ遠いね」
『なら、もう一回「イヤだからね」……チェッ』
マサオにスロットルを触らないように触られないように注意しながら、改めてガンツさん達の場所を目指す。
「それにしても連絡が取れないってのが気になるよな」
『そうだな。ガンツ達に何かあったとは考えたくはないけどよ』
「うん、それも考えない訳じゃないけど……ちょっと考えづらいよね」
『だよな。あのガンツ達がそうそう簡単に捕まるとかは考えられないよな』
「でしょ。だから、あと考えられるのはさ……」
『酒盛りか』
「それしかないよね」
『だな。逆にそれ以外は考えられないよな』
「『ハァ~』」
ガンツさん達と連絡が取れない原因についてなんとなく分かった気がしてマサオと二人で溜め息を吐くしかなかった。
『ぜぇぜぇ……はぁはぁ……死ぬ……かも』
換装も終わったので早速乗り込もうと思った所でマサオが出て行ってたことを思い出したところで、マサオが格納庫の中に戻ってくるなり横になる。
「マサオ、ちょうどよかった。今出来上がったんだ。ほら、行くよ」
『ちょ、ちょっと休ませろよ……ハァハァ……』
「だって、それ演技でしょ。ほら、立って」
『ちぇ。そこは俺を優しく気遣うところだろ』
「何言ってんの。大体本当に走って来たのなら、こんなにジャストなタイミングで帰ってくることは難しいよね。どうせ、格納庫の前で俺の作業が終わるのを待っていたんでしょ」
『な、なぜそれを……』
「だって、ほら」
『あ……』
俺はタブレットをマサオに見せる。そこにはこの格納庫を百メートル上空から映した映像が流れている。
「俺ってばさ、優しいじゃない? だからさ、マサオが途中で倒れたりしていないかと思ってさドローンを使って見ていたのよ。マサオが心配で心配で……」
『ぐぬぬ……』
「そしたらさ、走るどころか格納庫から出たところで寝そべっているじゃない。これはどういうことなんだろうね?」
『い、いや、そ、それは違うんだよ』
「違うって何が違うの? また、俺との約束を破るんだ。ふぅ~ん、まあ別に俺はいいんだけどね」
『だから、ちょっと待てよ! いいか、走るって言ってもそんなに急に走ったりするのは逆に体に悪いんだぞ。知らないのか?』
「それは分かるけどさ。なら、約束しなければいいんじゃないの」
『ぐっ……そ、それはそうだが……』
「ほら、それはそれとして行くよ」
『やっぱり、行くのかよ』
「そうだよ」
『それにしてはいやに嬉しそうだな』
「そりゃあね、だって久しぶりに操縦出来るんだし」
『ふ~ん、そういや大陸の端に近いんだよな。なら、竜人の里から出た方がいいんじゃないのか?』
「いいの! たまには俺だって発進シーケンスを楽しみたいの!」
『はいはい、分かりました』
マサオがようやく納得してくれたので俺も一緒に機体へと乗り込む。
「計器よし! 操作系よし! 装備類よし! 『なあ』……あとにして」
機体へ乗り込むと諸々の計器類や安全に関連する項目などを指差し確認を済ませているとマサオから声を掛けられるが、今は確認中なので後回しにしてもらう。
「で、マサオ何?」
『いや、そういうのって必要なのかなとか思ってな』
「そりゃ面倒だけど、しとかないとね」
『ふ~ん、そうか』
「それだけなら、出すよ」
『おう! やってくれ!』
俺は格納庫のハッチを開くと、機体をゆっくりと上昇させる。
『お~この感覚も久しぶりだな』
「そうだね。一度行った所なら転移ゲートの方が便利だもんね」
機体は上昇を続け、五千メートルまで上がった所で、ガンツさん達がいるであろう方向へ機首を向ける。
「じゃあ、行くよ」
『おう、いつでもいいぞ』
「了解。じゃあ、エンジンスタート! ポチッとな」
パネルの『START』ボタンを押すと、機体上部に取り付けたジェットエンジンがヒュイ~ンと唸りを上げる。
「動いたね。じゃあ、ゆっくりと『面倒くせえ。ほい!』……あ、バカ!」
俺はゆっくりとスロットルレバーを引いてゆっくりと加速させるつもりだったのにマサオが横から前足でグイッと引いてしまった。
スロットルを思いっ切り引いたもんだから、ゆっくりどころか最初っからフルスロットルだ。なので当然のようにシートに体が押し付けられる。
「マ、マサオ……」
『な、なんだよ……今、話しかけるなよ……』
「お前のせいだろ!」
『そう……とも……いうかな……』
肝心のマサオはと言えば、椅子にちゃんと座っていなかったこともありフルスロットルの加速と同時に操縦室の壁に貼り付いている。
俺はなんとか腕を伸ばしてスロットルを元の位置に戻すことが出来た。
『ハァ~死ぬかと思った……』
「お前なぁ~」
『いいじゃないか。済んだことをグチグチ言うのは男らしくないぞ』
「ぐっ……お前は」
『それよりもまだ遠いのかよ』
「あ! そうだった」
俺はタブレットを取り出し、自分達とガンツさん達がいるであろう場所を確認する。
「近付いてはいるけど、まだまだ遠いね」
『なら、もう一回「イヤだからね」……チェッ』
マサオにスロットルを触らないように触られないように注意しながら、改めてガンツさん達の場所を目指す。
「それにしても連絡が取れないってのが気になるよな」
『そうだな。ガンツ達に何かあったとは考えたくはないけどよ』
「うん、それも考えない訳じゃないけど……ちょっと考えづらいよね」
『だよな。あのガンツ達がそうそう簡単に捕まるとかは考えられないよな』
「でしょ。だから、あと考えられるのはさ……」
『酒盛りか』
「それしかないよね」
『だな。逆にそれ以外は考えられないよな』
「『ハァ~』」
ガンツさん達と連絡が取れない原因についてなんとなく分かった気がしてマサオと二人で溜め息を吐くしかなかった。
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