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ガンツさんの慌て振りになんだかイヤな予感がするが、今はそんなことよりもまずはガンツさんの元へと急ぐことにする。
「じゃあ、俺は先に行きますけど、すぐに迎えに来るのでここから動かないで下さいね。いいですか、絶対ですよ!」
「な、なんだよ。随分と信用がないんだな」
「そうだぞ。いくらなんでもそんな疑われるようなことをしたか?」
「『したか?』って……ハァ~まあいいや。マサオ、この人達が悪さしたりどっか行ったりしないようにちょっとの間、見張っていてね」
『ああ、いいぞ』
「待て! なんで俺達がこんな犬の言うことを聞かなきゃいけないんだ!」
「そうだ! いくらなんでも非道すぎる!」
「マサオ、遠慮はいらないからね。血が出なけりゃどうとでもなるから、お願いね」
『おう、任された!』
「「ま、待て!」」
俺はギーツさん達の言葉を無視してマサオに再度、充分にお願いすると転移ゲートの魔道具を取り出し、ガンツさんの元へと急ぐ。
「お、やっと来たな」
「来たけどさ。一体、どうしたのさ?」
「どうもこうもな「お前、アーロンをどうした!」い……ずっと、こんな調子なんだよ」
「え?」
「いやな……」
ガンツさんの後ろから俺に飛び掛かろうとしていた熊の獣人を躱すとガンツさんがその様子に呆れながらもゆっくりと話し出す。
~ガンツ目線で~
「ここがそうなのか?」
「ああ、この里で間違いない」
「じゃあ、降りるな。イーガン、着陸準備」
「着陸準備」
「目標は下に見える開けた場所だ」
「了解。降下します」
イーガンの操縦で機体はゆっくりと地面に降りていく。やがて、ランディングギアのきしむ音で地面に降り立ったことが分かる。
「じゃあ、降りるか。バーツ兄さん、案内を頼む」
「ああ、分かった」
ホーク号のドアを開け、ステップを展開しバーツ兄さんを先頭にホーク号から降りると、そこにはこの里の住人と思われるドワーフの面々と少しくたびれた様子の獣人達も見られた。
「ん? ここはドワーフの里なんじゃないのか?」
「ああ、そうだぞ。獣人が珍しい訳ではないが、これはちょっと多いどころじゃないな。まあ、中に入れば分かるだろうさ」
「そりゃそうだろうが、こっちを見る目が少しばかりキツイような気がするんだがな」
「……お前な。あんなんでいきなり降りてきたら誰だって怪しむだろうが! いいから、さっさと仕舞え」
「分かったよ。『収納』」
「「「お~!」」」
ワシがホーク号を収納するとそれを見ていた野次馬から感嘆の声が漏れる。
「『召喚!』」
「「「お~!」」」
「『収納』」
「「「お~!」」」
「『召「親父、しつこい!」』……あ~スマン。こいつらの反応が面白くてな。つい……」
野次馬の反応が面白くてついついサービスで意味なくホーク号の出し入れをして見せていたらイーガンに注意されてしまった。確かに調子に乗りすぎだな。
「親父いいから、早く中に入ろう」
「ああ。しかし、この獣人達はどうしたんだろうな。ワシが知っている獣人はアーロンくらいだが、ここには多種多様な獣人がそろっているな」
「アーロン? おい爺さん! 今、アーロンと言ったか?」
ワシが不意に口にしたアーロンという名前に一人の熊の獣人が反応して近付いて来た。
「おい、爺さん。今、アーロンって言ったか?」
「……」
「おい! 爺さん。耳が聞こえないのか!」
「やかましい! しっかり聞こえとる! 大体、いきなり爺と呼ぶ不躾な奴と会話する気にはなれん!」
「……」
久々の爺さん呼びに少しカチンと来たが、面倒な予感がするのでこのまま押し切ることにして、熊の獣人を無視して通り過ぎようとするが、熊の獣人が前に回り込み頭を下げる。
「なんだ? なんのつもりだ?」
「すまなかった。この通りだ。詫びるから、少しだけ話を聞かせてくれ」
「最初っからそうすればいいものを。ふぅ~分かったから、頭を上げてくれ」
ワシが熊の獣人にそう声を掛けると、熊の獣人はその大きな体をブワッと跳ね上げるように体を起こす。
「それで何を聞きたい?」
「さっき、アーロンと言ったか?」
「ああ、言ったな」
「そいつは獣人なのか?」
「ああ、確か狼系の獣人だったな」
「家族も一緒か?」
「ああ、カミさんと三人の子供がいたな」
「……そうか。無事だったんだな」
熊の獣人はそれだけ確認すると、その場に膝を着く。その様子からアーロンの知り合いであることは間違いないと思うが、単なる知り合いとも思えない。なので、もう少しだけこの熊の獣人から話を聞いてみることにした。
「今度はワシから質問してもいいか?」
「ああ、なんでも聞いてくれ」
「あんたはアーロンの知り合いだと思うが、何故そこまで気にしている?」
「ああ、実はな……」
熊の獣人が言うにはアーロンも一緒に新天地を目指して旅をしていたが、これ以上の行程を子供連れで行くには周りに迷惑を掛けるからと途中で別れたということだった。
「なるほどな。それで、あんたらはまだ新天地を探している最中ということなのか?」
「まあ、そうだな。だが、俺も含め他の連中も少しばかり疲れてしまったようで意気が上がらなくてな。このまま、ここに落ち着かせてもらえないかと交渉をしている途中だったんだ」
「そういうことか。なら、ちょっと待て。アーロンの雇い主に話を聞いてやろう」
「アーロンの雇い主? どういうことだ? まさか、奴隷にしたのか!」
「お、落ちつけ!」
変な方向に勘違いさせてしまったのか、熊の獣人がワシに飛び掛かろうしたのをなんとか躱すと携帯電話を取りだし、ケインに掛ける。
「じゃあ、俺は先に行きますけど、すぐに迎えに来るのでここから動かないで下さいね。いいですか、絶対ですよ!」
「な、なんだよ。随分と信用がないんだな」
「そうだぞ。いくらなんでもそんな疑われるようなことをしたか?」
「『したか?』って……ハァ~まあいいや。マサオ、この人達が悪さしたりどっか行ったりしないようにちょっとの間、見張っていてね」
『ああ、いいぞ』
「待て! なんで俺達がこんな犬の言うことを聞かなきゃいけないんだ!」
「そうだ! いくらなんでも非道すぎる!」
「マサオ、遠慮はいらないからね。血が出なけりゃどうとでもなるから、お願いね」
『おう、任された!』
「「ま、待て!」」
俺はギーツさん達の言葉を無視してマサオに再度、充分にお願いすると転移ゲートの魔道具を取り出し、ガンツさんの元へと急ぐ。
「お、やっと来たな」
「来たけどさ。一体、どうしたのさ?」
「どうもこうもな「お前、アーロンをどうした!」い……ずっと、こんな調子なんだよ」
「え?」
「いやな……」
ガンツさんの後ろから俺に飛び掛かろうとしていた熊の獣人を躱すとガンツさんがその様子に呆れながらもゆっくりと話し出す。
~ガンツ目線で~
「ここがそうなのか?」
「ああ、この里で間違いない」
「じゃあ、降りるな。イーガン、着陸準備」
「着陸準備」
「目標は下に見える開けた場所だ」
「了解。降下します」
イーガンの操縦で機体はゆっくりと地面に降りていく。やがて、ランディングギアのきしむ音で地面に降り立ったことが分かる。
「じゃあ、降りるか。バーツ兄さん、案内を頼む」
「ああ、分かった」
ホーク号のドアを開け、ステップを展開しバーツ兄さんを先頭にホーク号から降りると、そこにはこの里の住人と思われるドワーフの面々と少しくたびれた様子の獣人達も見られた。
「ん? ここはドワーフの里なんじゃないのか?」
「ああ、そうだぞ。獣人が珍しい訳ではないが、これはちょっと多いどころじゃないな。まあ、中に入れば分かるだろうさ」
「そりゃそうだろうが、こっちを見る目が少しばかりキツイような気がするんだがな」
「……お前な。あんなんでいきなり降りてきたら誰だって怪しむだろうが! いいから、さっさと仕舞え」
「分かったよ。『収納』」
「「「お~!」」」
ワシがホーク号を収納するとそれを見ていた野次馬から感嘆の声が漏れる。
「『召喚!』」
「「「お~!」」」
「『収納』」
「「「お~!」」」
「『召「親父、しつこい!」』……あ~スマン。こいつらの反応が面白くてな。つい……」
野次馬の反応が面白くてついついサービスで意味なくホーク号の出し入れをして見せていたらイーガンに注意されてしまった。確かに調子に乗りすぎだな。
「親父いいから、早く中に入ろう」
「ああ。しかし、この獣人達はどうしたんだろうな。ワシが知っている獣人はアーロンくらいだが、ここには多種多様な獣人がそろっているな」
「アーロン? おい爺さん! 今、アーロンと言ったか?」
ワシが不意に口にしたアーロンという名前に一人の熊の獣人が反応して近付いて来た。
「おい、爺さん。今、アーロンって言ったか?」
「……」
「おい! 爺さん。耳が聞こえないのか!」
「やかましい! しっかり聞こえとる! 大体、いきなり爺と呼ぶ不躾な奴と会話する気にはなれん!」
「……」
久々の爺さん呼びに少しカチンと来たが、面倒な予感がするのでこのまま押し切ることにして、熊の獣人を無視して通り過ぎようとするが、熊の獣人が前に回り込み頭を下げる。
「なんだ? なんのつもりだ?」
「すまなかった。この通りだ。詫びるから、少しだけ話を聞かせてくれ」
「最初っからそうすればいいものを。ふぅ~分かったから、頭を上げてくれ」
ワシが熊の獣人にそう声を掛けると、熊の獣人はその大きな体をブワッと跳ね上げるように体を起こす。
「それで何を聞きたい?」
「さっき、アーロンと言ったか?」
「ああ、言ったな」
「そいつは獣人なのか?」
「ああ、確か狼系の獣人だったな」
「家族も一緒か?」
「ああ、カミさんと三人の子供がいたな」
「……そうか。無事だったんだな」
熊の獣人はそれだけ確認すると、その場に膝を着く。その様子からアーロンの知り合いであることは間違いないと思うが、単なる知り合いとも思えない。なので、もう少しだけこの熊の獣人から話を聞いてみることにした。
「今度はワシから質問してもいいか?」
「ああ、なんでも聞いてくれ」
「あんたはアーロンの知り合いだと思うが、何故そこまで気にしている?」
「ああ、実はな……」
熊の獣人が言うにはアーロンも一緒に新天地を目指して旅をしていたが、これ以上の行程を子供連れで行くには周りに迷惑を掛けるからと途中で別れたということだった。
「なるほどな。それで、あんたらはまだ新天地を探している最中ということなのか?」
「まあ、そうだな。だが、俺も含め他の連中も少しばかり疲れてしまったようで意気が上がらなくてな。このまま、ここに落ち着かせてもらえないかと交渉をしている途中だったんだ」
「そういうことか。なら、ちょっと待て。アーロンの雇い主に話を聞いてやろう」
「アーロンの雇い主? どういうことだ? まさか、奴隷にしたのか!」
「お、落ちつけ!」
変な方向に勘違いさせてしまったのか、熊の獣人がワシに飛び掛かろうしたのをなんとか躱すと携帯電話を取りだし、ケインに掛ける。
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