395 / 468
連載
◆呼ばれました3
しおりを挟む
現時点に於いて、この国では車両を動かす場合にはライセンスを取得する必要があることをギーツさん達に説明する。ギーツさん達はそんな話は知らないとばかりに反論するが、掘削機を作る俺としてはライセンスがないのを知っている状態で掘削機を作成しても引き渡すことは出来ないということを説明して聞かせると、ギーツさんは憤慨する。
「ちょっと待て! すると何か。俺達はあんな山奥で人に迷惑を掛けることがないというのにライセンスなるものを取得しろ……と、そう言うのか?」
「ええ、そうです」
「なんでだよ! 俺達が使うのは誰もいない坑道の中だろ。それなのにライセンスを取れと言うのか?」
「はい」
「「え~」」
ライセンスの取得に対してギーツさんもウーガンさんも難色を示す。なので、ライセンスを取得するまでは魔道具を提供しないつもりでいることを話す。
「それは、ちょっと横暴じゃないのか?」
「そうだぞ。それに親父が作った物なら息子の俺には、そんなもの必要ないだろう!」
「え~そんなこと……言います?」
「「当たり前だ!」」
「じゃあ、この話は無かったこと「「待て!」」……にって、まだ何か?」
「そうじゃないだろ!」
「え?」
「そこは互いの妥協点を見付けてお互いに良い形で納得するべきところだろう」
「え?」
「「『え?』って言わない!」」
「でも、そもそもガンツさんは『うん』と言わないと思うよ」
「「なんでだ!」」
「なんでって、ライセンス取得の為の教習所の所長だから……とか?」
「「所長?」」
「兄さんが?」
「親父が?」
ガンツさんが教習所の所長だと伝えたところ、ギーツさんもウーガンさんも不思議そうにしている。
「それは本当なのか?」
「ええ、本当ですよ。なので諦めて教習を受けて下さい」
「教習さえ受ければ好き放題出来るのか?」
「そんな訳ないでしょ。ちゃんと規則に従ってもらいますよ」
「なら、やっぱりいらない」
「そんなこと言って、実は取得出来ないからなんでしょ?」
「「……」」
どうやら、図星だったようでギーツさん達が黙り込む。それに教わるのがガンツさんとなれば下手なことは出来ないと思っているようだ。
「別に全部が全部をガンツさんが教える訳じゃないんだから、その辺は心配しなくても大丈夫ですよ。それにそこまでガンツさんを敬遠しようとすると、逆に面白がってガンツさんが名乗りを上げるかも知れませんよ」
「……そうだな。兄さんなら有り得る」
「……親父ならそうするかもな」
「で、どうします? 今なら、俺から口添えしてガンツさんを遠ざけてもらうことも出来なくはないですけど?」
「「……」」
二人はしばらく考えた後に『お願いします』と俺に頭を下げた。まあ、頼むだけで後はどうなるかは分からないけど、これでなんとか教習所には行ってくれるだろう。
「後は、坑道に入る時に着ける防塵マスクが必要だよね」
「「防塵マスク?」」
「そう。鉱石を掘削する時に粉塵が出るでしょ。それが肺に入ると呼吸器官に支障を来すからね」
「どういうことだ?」
「俺にはサッパリ……ケイン君、もっと詳しく」
「分かりました。えっとですね……」
掘削時に発生する粉塵を吸い込むと呼吸器官である肺が冒され、咳が出やすくなったり呼吸困難になったりする場合があると説明すると、そう言えばとギーツさんが思い出した様に言うことには長年掘削している作業員には咳き込む人が多いと話す。そして、それをギーツさん達は単なる老化の影響だろうと思っていたと。
「なら、今まで単なる老化だと思っていたのは、その粉塵の影響があったと言うことか?」
「詳しい症状は分かりませんが、もし肺を患っているのなら掘削作業が原因なんでしょうね」
「なら、その『防塵マスク』があれば防げるのか?」
「全部とは言えませんが、ほぼ防げると思います」
「そうか……じゃあ、それが出来るまでは掘削作業を中断しておいた方がいいな」
「でも、それだと出荷が……」
「心配ないって。ケイン君が用意してくれる魔道具があればそんなの直ぐに取り返せるさ。なあ、ケイン君」
「そうか。なら、その間に何も気にすることなく教習所に通えるってことだ。そうなんだろケイン」
「……まあ、そうですね」
ギーツさんがこちらをニヤリと笑って見せたのに対し、なぜだか俺の方が乗せられた感が強い。なんでかな、ガンツさんと似ているからなのかな。そんなことを考えていると携帯電話が鳴り出す。見るとガンツさんからだったので、取り敢えず電話に出る。
「もしもし、ガン『遅い!』……ツさん、落ち着いて。で、何?」
『何じゃないだろ! とっととこっちに来い!』
「こっちって、どこ?」
『こっちはこっちだ! いいから、早く!』
「あ、ちょっ……ガンツさん……」
ガンツさんは自分が言いたいことだけ言うと、電話を切ってしまった。とりあえずはガンツさんの所に行かないとダメだなと携帯電話をインベントリに収納するとギーツさん達にガンツさんの所に行くと話す。
「は? 何を言ってるんだ?」
「親父のところって、親父は兄さん達と一緒にどこかに行っただろ。どこに行ったか分かるのか?」
「分かるって言うか……まあ、取り敢えず行ってみますか」
「「はぁ?」」
「ちょっと待て! すると何か。俺達はあんな山奥で人に迷惑を掛けることがないというのにライセンスなるものを取得しろ……と、そう言うのか?」
「ええ、そうです」
「なんでだよ! 俺達が使うのは誰もいない坑道の中だろ。それなのにライセンスを取れと言うのか?」
「はい」
「「え~」」
ライセンスの取得に対してギーツさんもウーガンさんも難色を示す。なので、ライセンスを取得するまでは魔道具を提供しないつもりでいることを話す。
「それは、ちょっと横暴じゃないのか?」
「そうだぞ。それに親父が作った物なら息子の俺には、そんなもの必要ないだろう!」
「え~そんなこと……言います?」
「「当たり前だ!」」
「じゃあ、この話は無かったこと「「待て!」」……にって、まだ何か?」
「そうじゃないだろ!」
「え?」
「そこは互いの妥協点を見付けてお互いに良い形で納得するべきところだろう」
「え?」
「「『え?』って言わない!」」
「でも、そもそもガンツさんは『うん』と言わないと思うよ」
「「なんでだ!」」
「なんでって、ライセンス取得の為の教習所の所長だから……とか?」
「「所長?」」
「兄さんが?」
「親父が?」
ガンツさんが教習所の所長だと伝えたところ、ギーツさんもウーガンさんも不思議そうにしている。
「それは本当なのか?」
「ええ、本当ですよ。なので諦めて教習を受けて下さい」
「教習さえ受ければ好き放題出来るのか?」
「そんな訳ないでしょ。ちゃんと規則に従ってもらいますよ」
「なら、やっぱりいらない」
「そんなこと言って、実は取得出来ないからなんでしょ?」
「「……」」
どうやら、図星だったようでギーツさん達が黙り込む。それに教わるのがガンツさんとなれば下手なことは出来ないと思っているようだ。
「別に全部が全部をガンツさんが教える訳じゃないんだから、その辺は心配しなくても大丈夫ですよ。それにそこまでガンツさんを敬遠しようとすると、逆に面白がってガンツさんが名乗りを上げるかも知れませんよ」
「……そうだな。兄さんなら有り得る」
「……親父ならそうするかもな」
「で、どうします? 今なら、俺から口添えしてガンツさんを遠ざけてもらうことも出来なくはないですけど?」
「「……」」
二人はしばらく考えた後に『お願いします』と俺に頭を下げた。まあ、頼むだけで後はどうなるかは分からないけど、これでなんとか教習所には行ってくれるだろう。
「後は、坑道に入る時に着ける防塵マスクが必要だよね」
「「防塵マスク?」」
「そう。鉱石を掘削する時に粉塵が出るでしょ。それが肺に入ると呼吸器官に支障を来すからね」
「どういうことだ?」
「俺にはサッパリ……ケイン君、もっと詳しく」
「分かりました。えっとですね……」
掘削時に発生する粉塵を吸い込むと呼吸器官である肺が冒され、咳が出やすくなったり呼吸困難になったりする場合があると説明すると、そう言えばとギーツさんが思い出した様に言うことには長年掘削している作業員には咳き込む人が多いと話す。そして、それをギーツさん達は単なる老化の影響だろうと思っていたと。
「なら、今まで単なる老化だと思っていたのは、その粉塵の影響があったと言うことか?」
「詳しい症状は分かりませんが、もし肺を患っているのなら掘削作業が原因なんでしょうね」
「なら、その『防塵マスク』があれば防げるのか?」
「全部とは言えませんが、ほぼ防げると思います」
「そうか……じゃあ、それが出来るまでは掘削作業を中断しておいた方がいいな」
「でも、それだと出荷が……」
「心配ないって。ケイン君が用意してくれる魔道具があればそんなの直ぐに取り返せるさ。なあ、ケイン君」
「そうか。なら、その間に何も気にすることなく教習所に通えるってことだ。そうなんだろケイン」
「……まあ、そうですね」
ギーツさんがこちらをニヤリと笑って見せたのに対し、なぜだか俺の方が乗せられた感が強い。なんでかな、ガンツさんと似ているからなのかな。そんなことを考えていると携帯電話が鳴り出す。見るとガンツさんからだったので、取り敢えず電話に出る。
「もしもし、ガン『遅い!』……ツさん、落ち着いて。で、何?」
『何じゃないだろ! とっととこっちに来い!』
「こっちって、どこ?」
『こっちはこっちだ! いいから、早く!』
「あ、ちょっ……ガンツさん……」
ガンツさんは自分が言いたいことだけ言うと、電話を切ってしまった。とりあえずはガンツさんの所に行かないとダメだなと携帯電話をインベントリに収納するとギーツさん達にガンツさんの所に行くと話す。
「は? 何を言ってるんだ?」
「親父のところって、親父は兄さん達と一緒にどこかに行っただろ。どこに行ったか分かるのか?」
「分かるって言うか……まあ、取り敢えず行ってみますか」
「「はぁ?」」
10
お気に入りに追加
4,902
あなたにおすすめの小説
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
最強超人は異世界にてスマホを使う
萩場ぬし
ファンタジー
主人公、柏木 和(かしわぎ かず)は「武人」と呼ばれる武術を極めんとする者であり、ある日祖父から自分が世界で最強であることを知らされたのだった。
そして次の瞬間、自宅のコタツにいたはずの和は見知らぬ土地で寝転がっていた――
「……いや草」
神々に天界に召喚され下界に追放された戦場カメラマンは神々に戦いを挑む。
黒ハット
ファンタジー
戦場カメラマンの北村大和は,異世界の神々の戦の戦力として神々の召喚魔法で特殊部隊の召喚に巻き込まれてしまい、天界に召喚されるが神力が弱い無能者の烙印を押され、役に立たないという理由で異世界の人間界に追放されて冒険者になる。剣と魔法の力をつけて人間を玩具のように扱う神々に戦いを挑むが果たして彼は神々に勝てるのだろうか
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。