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連載
◆不貞寝してました
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ガンツさんを見送った俺はドワーフタウンへと帰ってきた。
「さてと……ガンツさん達があれだけ忙しくしているってことは」
ミニコースター乗り場で待ちぼうけを食わされ不貞腐れているだろうマサオを想像しながら、ミニコースター乗り場へと転移ゲートを繋いで潜る。
「さて、マサオは……あ~」
予想通りと言うか、ミニコースターの横で不貞寝しているマサオを見付ける。
「マサオ! 起きて、マサオ!」
『ん? なんだケインか。放って置いてくれ……もう、俺は何もする気になれないんだ』
「もう、いいの。そんなこと言って」
『何がだ?』
「少しは悪いと思って来たってのに。そんなこと言うんなら帰ろうかな」
『待て! ケイン。すまなかった。この通りだ。一度でいいから、これを動かしてくれないか!』
「イヤだ」
『な、なんでだ! いいだろ、一度だけ、そこのボタンを押してくれればいいんだ。な、頼む!』
「断る!」
『なんでだよぉ~頼むよ。この通りだ』
マサオがフセの状態で俺に頼み込んでくるのを見て、少し罪悪感を感じてしまう。
「もう、マサオもちゃんと話を聞きなよ」
『ん? どういうことだ?』
「俺は、このミニコースターを動かさないと言った」
『ああ、そうだ。意地悪だよな。ちょっと、ボタンを押すだけなのにさ』
「だから、話を最後まで聞く!」
『もう、分かったからさっさと言えよ』
「これを作ろうと思ってね」
『ん?』
マサオの前にインベントリから取り出したコースターの模型を置く。
『ケイン! これはもしかして……』
「そう、ミニじゃない本格的なコースターを作ろうと思ってね」
『俺の為に……いいのか?』
「別にマサオの為って訳じゃないけど、まあね」
『よし! じゃあ、パパッと作ってくれ』
「もう、そんな簡単に作れる訳ないでしょ。でも、集中するから大人しくしててよ」
『おう、分かった!』
模型を見て間違いがないように漏れがないように集中して魔力を練る。インベントリの中の材料も十分にあることを確認してから、両手を地面に着けると「えい!」と魔力を放出する。
『わふ!』
「なんとか出来たかな。どう、マサオ?」
『なんかすげぇな。あのミニコースターと比べるまでもなく……なんかこう胸が騒ぐというか……滾ってくるな』
マサオが興奮しているのが見ただけでも分かる。尻尾は千切れんばかりにブンブン振られて土埃が舞っているくらいだ。
「じゃあ、乗り場に行こうか」
『おう!』
乗り場に上がるが、レール上にはまだ何も載っていないので、ゴンドラをこの場で作り設置する。
四人乗り×十台のゴンドラが用意されると早速とばかりにマサオが乗り込む。
『ケイン、何をしているんだ。早く、動かしてくれ!』
「もう、少しは感謝してくれてもいいんじゃないの?」
『感謝なら、十分にしているぞ。だが、そんなことより早く動かしてくれ! もう少しで何かが掴めそうなんだから!』
「分かったよ。ちょっと、待ってて」
制御盤の前に立ち、スタートボタンを押すと慌ててマサオの横に乗り込むと『プルルル』と音が鳴った後に『ピッピッピップ~』と運行開始の音が鳴る。
『しまった……その手があったか』
「マサオなら気付くと思ったんだけどね」
『言ってくれよぉ~』
「ほら、もうすぐ頂上だよ」
『うぉ~高ぇ~』
俺達を乗せたゴンドラは地上四十メートルの高さまで上がると、ゆっくりと下降し始める。
『来た来た来たぁ~』
「おう、これは凄い!」
顔に掛かる風圧を感じながら、徐々に速度を増していき、ダブルループを走り抜ける
『おお~なんだこれは! ケイン、ぐるっと回ったぞ!』
「いいから、黙ってないと舌を噛んじゃうよ」
『むっそれはマズい』
ダブルループを抜け、少し上昇した位置から、再び下降すると、今度は三連スクリューへと突入する。
『うおぉ~滾る~』
「もう、うるさい!」
目玉のループとスクリューを走破した後は普段通りの起伏の激しいコースを走り開始位置へと戻る。
開始位置に戻ったところで、俺はゴンドラから下りるがマサオはずっと前を見たままだ。
「マサオ?」
『ケイン、何をしている。そこのボタンを押すんだ!』
「もう、さっき俺がやったことを忘れたの?」
『あ、そうか! 分かった』
ゴンドラから下りたマサオがスタートボタンを押し発車予告の音が鳴り終わる前に急いでゴンドラに乗り込むと、『ピッピッピップ~』と音が鳴り、マサオを乗せたゴンドラが動き出す。
『見てろよ、ケイン! 絶対に掴むからな!』
「だから、何を掴むんだよ」
得意気な顔をしたマサオを乗せたゴンドラがゆっくりと登っていく。
「まあ、いいけどさ」
「さてと……ガンツさん達があれだけ忙しくしているってことは」
ミニコースター乗り場で待ちぼうけを食わされ不貞腐れているだろうマサオを想像しながら、ミニコースター乗り場へと転移ゲートを繋いで潜る。
「さて、マサオは……あ~」
予想通りと言うか、ミニコースターの横で不貞寝しているマサオを見付ける。
「マサオ! 起きて、マサオ!」
『ん? なんだケインか。放って置いてくれ……もう、俺は何もする気になれないんだ』
「もう、いいの。そんなこと言って」
『何がだ?』
「少しは悪いと思って来たってのに。そんなこと言うんなら帰ろうかな」
『待て! ケイン。すまなかった。この通りだ。一度でいいから、これを動かしてくれないか!』
「イヤだ」
『な、なんでだ! いいだろ、一度だけ、そこのボタンを押してくれればいいんだ。な、頼む!』
「断る!」
『なんでだよぉ~頼むよ。この通りだ』
マサオがフセの状態で俺に頼み込んでくるのを見て、少し罪悪感を感じてしまう。
「もう、マサオもちゃんと話を聞きなよ」
『ん? どういうことだ?』
「俺は、このミニコースターを動かさないと言った」
『ああ、そうだ。意地悪だよな。ちょっと、ボタンを押すだけなのにさ』
「だから、話を最後まで聞く!」
『もう、分かったからさっさと言えよ』
「これを作ろうと思ってね」
『ん?』
マサオの前にインベントリから取り出したコースターの模型を置く。
『ケイン! これはもしかして……』
「そう、ミニじゃない本格的なコースターを作ろうと思ってね」
『俺の為に……いいのか?』
「別にマサオの為って訳じゃないけど、まあね」
『よし! じゃあ、パパッと作ってくれ』
「もう、そんな簡単に作れる訳ないでしょ。でも、集中するから大人しくしててよ」
『おう、分かった!』
模型を見て間違いがないように漏れがないように集中して魔力を練る。インベントリの中の材料も十分にあることを確認してから、両手を地面に着けると「えい!」と魔力を放出する。
『わふ!』
「なんとか出来たかな。どう、マサオ?」
『なんかすげぇな。あのミニコースターと比べるまでもなく……なんかこう胸が騒ぐというか……滾ってくるな』
マサオが興奮しているのが見ただけでも分かる。尻尾は千切れんばかりにブンブン振られて土埃が舞っているくらいだ。
「じゃあ、乗り場に行こうか」
『おう!』
乗り場に上がるが、レール上にはまだ何も載っていないので、ゴンドラをこの場で作り設置する。
四人乗り×十台のゴンドラが用意されると早速とばかりにマサオが乗り込む。
『ケイン、何をしているんだ。早く、動かしてくれ!』
「もう、少しは感謝してくれてもいいんじゃないの?」
『感謝なら、十分にしているぞ。だが、そんなことより早く動かしてくれ! もう少しで何かが掴めそうなんだから!』
「分かったよ。ちょっと、待ってて」
制御盤の前に立ち、スタートボタンを押すと慌ててマサオの横に乗り込むと『プルルル』と音が鳴った後に『ピッピッピップ~』と運行開始の音が鳴る。
『しまった……その手があったか』
「マサオなら気付くと思ったんだけどね」
『言ってくれよぉ~』
「ほら、もうすぐ頂上だよ」
『うぉ~高ぇ~』
俺達を乗せたゴンドラは地上四十メートルの高さまで上がると、ゆっくりと下降し始める。
『来た来た来たぁ~』
「おう、これは凄い!」
顔に掛かる風圧を感じながら、徐々に速度を増していき、ダブルループを走り抜ける
『おお~なんだこれは! ケイン、ぐるっと回ったぞ!』
「いいから、黙ってないと舌を噛んじゃうよ」
『むっそれはマズい』
ダブルループを抜け、少し上昇した位置から、再び下降すると、今度は三連スクリューへと突入する。
『うおぉ~滾る~』
「もう、うるさい!」
目玉のループとスクリューを走破した後は普段通りの起伏の激しいコースを走り開始位置へと戻る。
開始位置に戻ったところで、俺はゴンドラから下りるがマサオはずっと前を見たままだ。
「マサオ?」
『ケイン、何をしている。そこのボタンを押すんだ!』
「もう、さっき俺がやったことを忘れたの?」
『あ、そうか! 分かった』
ゴンドラから下りたマサオがスタートボタンを押し発車予告の音が鳴り終わる前に急いでゴンドラに乗り込むと、『ピッピッピップ~』と音が鳴り、マサオを乗せたゴンドラが動き出す。
『見てろよ、ケイン! 絶対に掴むからな!』
「だから、何を掴むんだよ」
得意気な顔をしたマサオを乗せたゴンドラがゆっくりと登っていく。
「まあ、いいけどさ」
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