384 / 468
連載
◆不貞寝してました
しおりを挟む
ガンツさんを見送った俺はドワーフタウンへと帰ってきた。
「さてと……ガンツさん達があれだけ忙しくしているってことは」
ミニコースター乗り場で待ちぼうけを食わされ不貞腐れているだろうマサオを想像しながら、ミニコースター乗り場へと転移ゲートを繋いで潜る。
「さて、マサオは……あ~」
予想通りと言うか、ミニコースターの横で不貞寝しているマサオを見付ける。
「マサオ! 起きて、マサオ!」
『ん? なんだケインか。放って置いてくれ……もう、俺は何もする気になれないんだ』
「もう、いいの。そんなこと言って」
『何がだ?』
「少しは悪いと思って来たってのに。そんなこと言うんなら帰ろうかな」
『待て! ケイン。すまなかった。この通りだ。一度でいいから、これを動かしてくれないか!』
「イヤだ」
『な、なんでだ! いいだろ、一度だけ、そこのボタンを押してくれればいいんだ。な、頼む!』
「断る!」
『なんでだよぉ~頼むよ。この通りだ』
マサオがフセの状態で俺に頼み込んでくるのを見て、少し罪悪感を感じてしまう。
「もう、マサオもちゃんと話を聞きなよ」
『ん? どういうことだ?』
「俺は、このミニコースターを動かさないと言った」
『ああ、そうだ。意地悪だよな。ちょっと、ボタンを押すだけなのにさ』
「だから、話を最後まで聞く!」
『もう、分かったからさっさと言えよ』
「これを作ろうと思ってね」
『ん?』
マサオの前にインベントリから取り出したコースターの模型を置く。
『ケイン! これはもしかして……』
「そう、ミニじゃない本格的なコースターを作ろうと思ってね」
『俺の為に……いいのか?』
「別にマサオの為って訳じゃないけど、まあね」
『よし! じゃあ、パパッと作ってくれ』
「もう、そんな簡単に作れる訳ないでしょ。でも、集中するから大人しくしててよ」
『おう、分かった!』
模型を見て間違いがないように漏れがないように集中して魔力を練る。インベントリの中の材料も十分にあることを確認してから、両手を地面に着けると「えい!」と魔力を放出する。
『わふ!』
「なんとか出来たかな。どう、マサオ?」
『なんかすげぇな。あのミニコースターと比べるまでもなく……なんかこう胸が騒ぐというか……滾ってくるな』
マサオが興奮しているのが見ただけでも分かる。尻尾は千切れんばかりにブンブン振られて土埃が舞っているくらいだ。
「じゃあ、乗り場に行こうか」
『おう!』
乗り場に上がるが、レール上にはまだ何も載っていないので、ゴンドラをこの場で作り設置する。
四人乗り×十台のゴンドラが用意されると早速とばかりにマサオが乗り込む。
『ケイン、何をしているんだ。早く、動かしてくれ!』
「もう、少しは感謝してくれてもいいんじゃないの?」
『感謝なら、十分にしているぞ。だが、そんなことより早く動かしてくれ! もう少しで何かが掴めそうなんだから!』
「分かったよ。ちょっと、待ってて」
制御盤の前に立ち、スタートボタンを押すと慌ててマサオの横に乗り込むと『プルルル』と音が鳴った後に『ピッピッピップ~』と運行開始の音が鳴る。
『しまった……その手があったか』
「マサオなら気付くと思ったんだけどね」
『言ってくれよぉ~』
「ほら、もうすぐ頂上だよ」
『うぉ~高ぇ~』
俺達を乗せたゴンドラは地上四十メートルの高さまで上がると、ゆっくりと下降し始める。
『来た来た来たぁ~』
「おう、これは凄い!」
顔に掛かる風圧を感じながら、徐々に速度を増していき、ダブルループを走り抜ける
『おお~なんだこれは! ケイン、ぐるっと回ったぞ!』
「いいから、黙ってないと舌を噛んじゃうよ」
『むっそれはマズい』
ダブルループを抜け、少し上昇した位置から、再び下降すると、今度は三連スクリューへと突入する。
『うおぉ~滾る~』
「もう、うるさい!」
目玉のループとスクリューを走破した後は普段通りの起伏の激しいコースを走り開始位置へと戻る。
開始位置に戻ったところで、俺はゴンドラから下りるがマサオはずっと前を見たままだ。
「マサオ?」
『ケイン、何をしている。そこのボタンを押すんだ!』
「もう、さっき俺がやったことを忘れたの?」
『あ、そうか! 分かった』
ゴンドラから下りたマサオがスタートボタンを押し発車予告の音が鳴り終わる前に急いでゴンドラに乗り込むと、『ピッピッピップ~』と音が鳴り、マサオを乗せたゴンドラが動き出す。
『見てろよ、ケイン! 絶対に掴むからな!』
「だから、何を掴むんだよ」
得意気な顔をしたマサオを乗せたゴンドラがゆっくりと登っていく。
「まあ、いいけどさ」
「さてと……ガンツさん達があれだけ忙しくしているってことは」
ミニコースター乗り場で待ちぼうけを食わされ不貞腐れているだろうマサオを想像しながら、ミニコースター乗り場へと転移ゲートを繋いで潜る。
「さて、マサオは……あ~」
予想通りと言うか、ミニコースターの横で不貞寝しているマサオを見付ける。
「マサオ! 起きて、マサオ!」
『ん? なんだケインか。放って置いてくれ……もう、俺は何もする気になれないんだ』
「もう、いいの。そんなこと言って」
『何がだ?』
「少しは悪いと思って来たってのに。そんなこと言うんなら帰ろうかな」
『待て! ケイン。すまなかった。この通りだ。一度でいいから、これを動かしてくれないか!』
「イヤだ」
『な、なんでだ! いいだろ、一度だけ、そこのボタンを押してくれればいいんだ。な、頼む!』
「断る!」
『なんでだよぉ~頼むよ。この通りだ』
マサオがフセの状態で俺に頼み込んでくるのを見て、少し罪悪感を感じてしまう。
「もう、マサオもちゃんと話を聞きなよ」
『ん? どういうことだ?』
「俺は、このミニコースターを動かさないと言った」
『ああ、そうだ。意地悪だよな。ちょっと、ボタンを押すだけなのにさ』
「だから、話を最後まで聞く!」
『もう、分かったからさっさと言えよ』
「これを作ろうと思ってね」
『ん?』
マサオの前にインベントリから取り出したコースターの模型を置く。
『ケイン! これはもしかして……』
「そう、ミニじゃない本格的なコースターを作ろうと思ってね」
『俺の為に……いいのか?』
「別にマサオの為って訳じゃないけど、まあね」
『よし! じゃあ、パパッと作ってくれ』
「もう、そんな簡単に作れる訳ないでしょ。でも、集中するから大人しくしててよ」
『おう、分かった!』
模型を見て間違いがないように漏れがないように集中して魔力を練る。インベントリの中の材料も十分にあることを確認してから、両手を地面に着けると「えい!」と魔力を放出する。
『わふ!』
「なんとか出来たかな。どう、マサオ?」
『なんかすげぇな。あのミニコースターと比べるまでもなく……なんかこう胸が騒ぐというか……滾ってくるな』
マサオが興奮しているのが見ただけでも分かる。尻尾は千切れんばかりにブンブン振られて土埃が舞っているくらいだ。
「じゃあ、乗り場に行こうか」
『おう!』
乗り場に上がるが、レール上にはまだ何も載っていないので、ゴンドラをこの場で作り設置する。
四人乗り×十台のゴンドラが用意されると早速とばかりにマサオが乗り込む。
『ケイン、何をしているんだ。早く、動かしてくれ!』
「もう、少しは感謝してくれてもいいんじゃないの?」
『感謝なら、十分にしているぞ。だが、そんなことより早く動かしてくれ! もう少しで何かが掴めそうなんだから!』
「分かったよ。ちょっと、待ってて」
制御盤の前に立ち、スタートボタンを押すと慌ててマサオの横に乗り込むと『プルルル』と音が鳴った後に『ピッピッピップ~』と運行開始の音が鳴る。
『しまった……その手があったか』
「マサオなら気付くと思ったんだけどね」
『言ってくれよぉ~』
「ほら、もうすぐ頂上だよ」
『うぉ~高ぇ~』
俺達を乗せたゴンドラは地上四十メートルの高さまで上がると、ゆっくりと下降し始める。
『来た来た来たぁ~』
「おう、これは凄い!」
顔に掛かる風圧を感じながら、徐々に速度を増していき、ダブルループを走り抜ける
『おお~なんだこれは! ケイン、ぐるっと回ったぞ!』
「いいから、黙ってないと舌を噛んじゃうよ」
『むっそれはマズい』
ダブルループを抜け、少し上昇した位置から、再び下降すると、今度は三連スクリューへと突入する。
『うおぉ~滾る~』
「もう、うるさい!」
目玉のループとスクリューを走破した後は普段通りの起伏の激しいコースを走り開始位置へと戻る。
開始位置に戻ったところで、俺はゴンドラから下りるがマサオはずっと前を見たままだ。
「マサオ?」
『ケイン、何をしている。そこのボタンを押すんだ!』
「もう、さっき俺がやったことを忘れたの?」
『あ、そうか! 分かった』
ゴンドラから下りたマサオがスタートボタンを押し発車予告の音が鳴り終わる前に急いでゴンドラに乗り込むと、『ピッピッピップ~』と音が鳴り、マサオを乗せたゴンドラが動き出す。
『見てろよ、ケイン! 絶対に掴むからな!』
「だから、何を掴むんだよ」
得意気な顔をしたマサオを乗せたゴンドラがゆっくりと登っていく。
「まあ、いいけどさ」
0
お気に入りに追加
4,886
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
下級兵士は断罪された追放令嬢を護送する。
やすぴこ
ファンタジー
「ジョセフィーヌ!! 貴様を断罪する!!」
王立学園で行われたプロムナード開催式の場で、公爵令嬢ジョセフィーヌは婚約者から婚約破棄と共に数々の罪を断罪される。
愛していた者からの慈悲無き宣告、親しかった者からの嫌悪、信じていた者からの侮蔑。
弁解の機会も与えられず、その場で悪名高い国外れの修道院送りが決定した。
このお話はそんな事情で王都を追放された悪役令嬢の素性を知らぬまま、修道院まで護送する下級兵士の恋物語である。
この度なろう、アルファ、カクヨムで同時完結しました。
(なろう版だけ諸事情で18話と19話が一本となっておりますが、内容は同じです)
2/7 最終章 外伝『旅する母のラプソディ』を投稿する為、完結解除しました。
2/9 『旅する母のラプソディ』完結しました。アルファポリスオンリーの外伝を近日中にアップします。
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。