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◆もう我慢の限界でした
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リーサさんと買い物をした後は、真っ直ぐに家に帰る。
途中もリーサさんと手を繋ぎっぱなしだったから、家に帰るまでに色んな人が俺達を好機の目で見ていた気がする。
「あら! 珍しい!」
「久しぶりに見たわ!」
「相変わらずなのね……」
と、ご近所さん達の色んな意見が聞こえてきた。
『意外に人気だな。ケイン、この見世物なら金が取れそうだぞ』
「マサオ、何普通に話しているの? 誰かにバレたら追い出すからね」
『ワ、ワフ……』
「もう、遅い気がしないでもないけど、家に着くまでは我慢してね」
『ワフゥ~』
今更ながらな気もするがマサオが普通の犬のフリを我慢している間に家に着けることを願い、急ぎたい気持ちもあるが、手を繋いでいるリーサさんは、久しぶりの手つなぎデートが嬉しいらしく心なしかゆっくり歩いているようだ。
「ごめんね、マサオ」
『クゥ~ン』
マサオの我慢が限界に達する前になんとか家に着くことが出来、リーサさんと台所に直行する。マサオはずっと我慢していたのが、よほど苦痛だったのか、癒してもらおうとソファに座っている母さんの隣に座ろうとすると、母さんに露骨に嫌がられてしまう。
「もう、マサオ。この子達が寝たばかりなのに……起こしたら、承知しないからね」
『クゥ~ン』
話さないマサオに母さんが訝しむ。
「あれ? マサオよね。まさか、中身だけ入れ替わった?」
「ああ、母さん。マサオはね……」
街中で話すことを禁止していたことを話し、今もまだ犬のフリをし続けているらしいと母さんに話すと鼻で笑われる。
「犬なのに、犬のフリするのに疲れるって、何? って感じよね」
『おふくろさん……』
「あ、やっと喋ったわね。やっぱり、マサオは喋ってないとマサオじゃないわよね」
「それはいいんだけどさ。妹達が『犬が喋って当然』ってことになったらどうしようとか思わない?」
「その時はその時でしょ。今からそんな先の話をしてどうするの。それにもし何かあったとしてもケインがどうにかしてくれるでしょ。期待しているわよ。お兄ちゃん」
「お兄ちゃん……か」
「そうよ、お兄ちゃん」
母さんに「お兄ちゃん」と言われるが、母さんよりも妹達に言われたいと思ったのは俺の正直な感想だ。早く喋ってくれないかな。
「そうだ。そんなことよりもさ、父さんはどうしたの? あれから、何も言ってこないんだけど」
「ん~なんか悩んでいるのは確かなんだけどね。ごめんだけど、私にも分からないわ」
「そうなんだ。じゃあ、いいや。もう父さんは当てにしない」
「あら、怖いこと言うわね」
父さん愛な母さんの目がキラリと光る。別に父さんを見限るわけじゃないから、そこは安心して欲しい。そして、母さんに俺も我慢の限界だと言うことを暗に伝える。
「父さんには父さんの言い分も都合もあるかも知れないけど、俺にも俺の都合があるからね。今日、父さんに決めてもらう」
「分かったわ。母さんは何も言わない」
「ありがとう。じゃあ、夕食の後に話すから」
「ふふふ、そう。夕食が楽しみね」
途中もリーサさんと手を繋ぎっぱなしだったから、家に帰るまでに色んな人が俺達を好機の目で見ていた気がする。
「あら! 珍しい!」
「久しぶりに見たわ!」
「相変わらずなのね……」
と、ご近所さん達の色んな意見が聞こえてきた。
『意外に人気だな。ケイン、この見世物なら金が取れそうだぞ』
「マサオ、何普通に話しているの? 誰かにバレたら追い出すからね」
『ワ、ワフ……』
「もう、遅い気がしないでもないけど、家に着くまでは我慢してね」
『ワフゥ~』
今更ながらな気もするがマサオが普通の犬のフリを我慢している間に家に着けることを願い、急ぎたい気持ちもあるが、手を繋いでいるリーサさんは、久しぶりの手つなぎデートが嬉しいらしく心なしかゆっくり歩いているようだ。
「ごめんね、マサオ」
『クゥ~ン』
マサオの我慢が限界に達する前になんとか家に着くことが出来、リーサさんと台所に直行する。マサオはずっと我慢していたのが、よほど苦痛だったのか、癒してもらおうとソファに座っている母さんの隣に座ろうとすると、母さんに露骨に嫌がられてしまう。
「もう、マサオ。この子達が寝たばかりなのに……起こしたら、承知しないからね」
『クゥ~ン』
話さないマサオに母さんが訝しむ。
「あれ? マサオよね。まさか、中身だけ入れ替わった?」
「ああ、母さん。マサオはね……」
街中で話すことを禁止していたことを話し、今もまだ犬のフリをし続けているらしいと母さんに話すと鼻で笑われる。
「犬なのに、犬のフリするのに疲れるって、何? って感じよね」
『おふくろさん……』
「あ、やっと喋ったわね。やっぱり、マサオは喋ってないとマサオじゃないわよね」
「それはいいんだけどさ。妹達が『犬が喋って当然』ってことになったらどうしようとか思わない?」
「その時はその時でしょ。今からそんな先の話をしてどうするの。それにもし何かあったとしてもケインがどうにかしてくれるでしょ。期待しているわよ。お兄ちゃん」
「お兄ちゃん……か」
「そうよ、お兄ちゃん」
母さんに「お兄ちゃん」と言われるが、母さんよりも妹達に言われたいと思ったのは俺の正直な感想だ。早く喋ってくれないかな。
「そうだ。そんなことよりもさ、父さんはどうしたの? あれから、何も言ってこないんだけど」
「ん~なんか悩んでいるのは確かなんだけどね。ごめんだけど、私にも分からないわ」
「そうなんだ。じゃあ、いいや。もう父さんは当てにしない」
「あら、怖いこと言うわね」
父さん愛な母さんの目がキラリと光る。別に父さんを見限るわけじゃないから、そこは安心して欲しい。そして、母さんに俺も我慢の限界だと言うことを暗に伝える。
「父さんには父さんの言い分も都合もあるかも知れないけど、俺にも俺の都合があるからね。今日、父さんに決めてもらう」
「分かったわ。母さんは何も言わない」
「ありがとう。じゃあ、夕食の後に話すから」
「ふふふ、そう。夕食が楽しみね」
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