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◆話しました?
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「マサオ、忘れていると思うから言っとくけど、話すの禁止ね」
『あ……ワフ』
「うん、それでお願い」
しばらく歩いて、マーティンさんの食堂に着く。
「うわぁ、お昼を過ぎているってのに意外と人が多いな。入れるかな?」
「なんだ、坊主。ここは初めてか?」
あまりの人の多さに食堂に入るのを躊躇っていると、常連らしいおじさんに話しかけられる。
「ううん、二、三回目。でも、人が多くて……」
「ははは、まあな。こんなにむさいオッサンばかりじゃ、無理もないか。よし、俺と一緒に入ろうか。そっちのワンコも一緒でいいな」
『ワフ!』
しばらく待ち、テーブルが空いたのでおじさんに手を引かれて食堂へと入る。
「マーティン、遅くなったが来たぞ。ランチ頼むな。坊主はどうする?」
「俺は……」
俺も何か頼もうとしていると、背後から声を掛けられる。
「なんだい、エリックよ。今日は子連れか? って、ケインじゃねえか。どうして、こんな奴と一緒にいるんだ?」
「おいおい、こんな奴とは失礼だな。ってか、お前ら知り合いだったか。そっちの方が珍しい組み合わせじゃねえか」
「ああ、ケインはガンツと組んで色々作っているんだよ。知らねえか?」
「ガンツと? 知らないな」
「じゃあ、『まさかのケイン』は?」
「ああ、それなら聞いたことがあるな」
「ふふふ、それがコイツだ!」
『ジャジャ~ン』と効果音が聞こえてきそうな感じで、得意気にエリックさんに俺を紹介するマーティンさん。
すると、マーティンさんが俺をジロジロと観察するように見て、「本当か?」と聞いてきたので、黙って頷く。
「そうか。お前があの『まさかのケイン』だったとはな」
「え~と、俺何かしました?」
「いや、お前が……違うな。お前がしたと言えなくもないか」
「「『え?』」」
そう言われ、マーティンさんと顔を見合わせる。
「ケイン、お前。エリックに何かしたのか」
「そんなぁ、さっき食堂の前で会ったばかりだよ」
「そうだよな、エリック。理由を聞いてもいいか?」
「ああ、分かった。だが、その前にメシをいいか。坊主もワンコも腹減ってるだろ」
「『うん』」
「ん? そっちのワンコは肉だよな。カツでもいいのか?」
『頼む』
「え?」
「あ、バカ。それで頼みます。俺はランチをお願いします」
『ワフ!』
「まあ、いいか。じゃ、待ってろ。すぐに用意するからな」
マーティンさんが厨房に戻り、エリックさんとの間に沈黙が生まれる。
エリックさんを見ると、まだ俺を観察するかのように俺を凝視している。
何かしたかな~アレかな~コレかな~と、色々考えている内にマーティンさんがランチを二つ、マサオ向けのカツを運んで来た。
「熱いからなら、気を付けろよ」
「ああ」
「はい、いただきます!」
『うまそう!』
「「え?」」
「うまそう……ですね」
『ワフ!』
「「……」」
二人の視線が俺から外れて、マサオへと向く。
マーティンさんが何も言わないまま厨房へと戻り、エリックさんも黙って食事を始める。
そして、俺はマサオを軽く小突いてランチを食べる。
やがて、食事を終えた頃には、俺達の他は数組が残っているだけだった。
そして、その残りの数組も支払いを済ませ食堂の外へと出ると、マーティンさんが食堂の外に『準備中』の札を掛け、俺達のテーブルへとやって来て、空いている椅子に腰掛ける。
「俺達の他には誰もいないんだな?」
「ああ、俺達だけだ。手伝いの連中も休憩で外に出ているしな」
「分かった。じゃあ、話すな。そ「待った!」……なんだよ、マーティン」
「話を止めて悪いとは思うが、一つだけハッキリさせてくれ」
「何をだ?」
エリックさんが話し始めたと思ったら、マーティンさんが遮り、『待った』を掛ける。
「一つだけ、一つだけ教えて欲しい。ケイン!」
「は、はい。何?」
「そいつ、喋ってるよな?」
「「『え?』」」
「やっぱり!」
「どういうことだ、マーティン」
「エリック、さっきから気になっていたんだよ。ケインの他に聞こえてくる返事がな」
マーティンさんがそう言って、マサオを見る。そして、マサオがス~ッと目をそらす。
あ~しっかりばれてるよ、しょうがないね。
一旦、深呼吸するとマーティンさん、エリックさんの顔を見てから「ここだけの話にしてください」とお願いして二人が頷くのを確認する。
「マサオ、自己紹介して」
『え? いいの? 初めまして、俺の名前はマサオ。訳あってケインと一緒に暮らしています!』
「「……」」
『あれ? 何この反応? ケイン、どこか悪いところがあったかな?』
「いや、俺としてはいい挨拶だったと思うけど……」
「「ケイン!」」
「え?」
「「喋ったぞ!」」
「はい。そうですけど?」
「そうですけどって……」
マサオが喋ると指摘したのはマーティンさんなのに、いざ喋ると慌てるってどういうことよ?
「これが噂に聞く『まさかのケイン』か」
エリックさんが見当違いな方向で驚いている気がするが、何か言うとややこしくなりそうなのでこのままにしておこう。
『なあ、話は終わったのか?』
『あ……ワフ』
「うん、それでお願い」
しばらく歩いて、マーティンさんの食堂に着く。
「うわぁ、お昼を過ぎているってのに意外と人が多いな。入れるかな?」
「なんだ、坊主。ここは初めてか?」
あまりの人の多さに食堂に入るのを躊躇っていると、常連らしいおじさんに話しかけられる。
「ううん、二、三回目。でも、人が多くて……」
「ははは、まあな。こんなにむさいオッサンばかりじゃ、無理もないか。よし、俺と一緒に入ろうか。そっちのワンコも一緒でいいな」
『ワフ!』
しばらく待ち、テーブルが空いたのでおじさんに手を引かれて食堂へと入る。
「マーティン、遅くなったが来たぞ。ランチ頼むな。坊主はどうする?」
「俺は……」
俺も何か頼もうとしていると、背後から声を掛けられる。
「なんだい、エリックよ。今日は子連れか? って、ケインじゃねえか。どうして、こんな奴と一緒にいるんだ?」
「おいおい、こんな奴とは失礼だな。ってか、お前ら知り合いだったか。そっちの方が珍しい組み合わせじゃねえか」
「ああ、ケインはガンツと組んで色々作っているんだよ。知らねえか?」
「ガンツと? 知らないな」
「じゃあ、『まさかのケイン』は?」
「ああ、それなら聞いたことがあるな」
「ふふふ、それがコイツだ!」
『ジャジャ~ン』と効果音が聞こえてきそうな感じで、得意気にエリックさんに俺を紹介するマーティンさん。
すると、マーティンさんが俺をジロジロと観察するように見て、「本当か?」と聞いてきたので、黙って頷く。
「そうか。お前があの『まさかのケイン』だったとはな」
「え~と、俺何かしました?」
「いや、お前が……違うな。お前がしたと言えなくもないか」
「「『え?』」」
そう言われ、マーティンさんと顔を見合わせる。
「ケイン、お前。エリックに何かしたのか」
「そんなぁ、さっき食堂の前で会ったばかりだよ」
「そうだよな、エリック。理由を聞いてもいいか?」
「ああ、分かった。だが、その前にメシをいいか。坊主もワンコも腹減ってるだろ」
「『うん』」
「ん? そっちのワンコは肉だよな。カツでもいいのか?」
『頼む』
「え?」
「あ、バカ。それで頼みます。俺はランチをお願いします」
『ワフ!』
「まあ、いいか。じゃ、待ってろ。すぐに用意するからな」
マーティンさんが厨房に戻り、エリックさんとの間に沈黙が生まれる。
エリックさんを見ると、まだ俺を観察するかのように俺を凝視している。
何かしたかな~アレかな~コレかな~と、色々考えている内にマーティンさんがランチを二つ、マサオ向けのカツを運んで来た。
「熱いからなら、気を付けろよ」
「ああ」
「はい、いただきます!」
『うまそう!』
「「え?」」
「うまそう……ですね」
『ワフ!』
「「……」」
二人の視線が俺から外れて、マサオへと向く。
マーティンさんが何も言わないまま厨房へと戻り、エリックさんも黙って食事を始める。
そして、俺はマサオを軽く小突いてランチを食べる。
やがて、食事を終えた頃には、俺達の他は数組が残っているだけだった。
そして、その残りの数組も支払いを済ませ食堂の外へと出ると、マーティンさんが食堂の外に『準備中』の札を掛け、俺達のテーブルへとやって来て、空いている椅子に腰掛ける。
「俺達の他には誰もいないんだな?」
「ああ、俺達だけだ。手伝いの連中も休憩で外に出ているしな」
「分かった。じゃあ、話すな。そ「待った!」……なんだよ、マーティン」
「話を止めて悪いとは思うが、一つだけハッキリさせてくれ」
「何をだ?」
エリックさんが話し始めたと思ったら、マーティンさんが遮り、『待った』を掛ける。
「一つだけ、一つだけ教えて欲しい。ケイン!」
「は、はい。何?」
「そいつ、喋ってるよな?」
「「『え?』」」
「やっぱり!」
「どういうことだ、マーティン」
「エリック、さっきから気になっていたんだよ。ケインの他に聞こえてくる返事がな」
マーティンさんがそう言って、マサオを見る。そして、マサオがス~ッと目をそらす。
あ~しっかりばれてるよ、しょうがないね。
一旦、深呼吸するとマーティンさん、エリックさんの顔を見てから「ここだけの話にしてください」とお願いして二人が頷くのを確認する。
「マサオ、自己紹介して」
『え? いいの? 初めまして、俺の名前はマサオ。訳あってケインと一緒に暮らしています!』
「「……」」
『あれ? 何この反応? ケイン、どこか悪いところがあったかな?』
「いや、俺としてはいい挨拶だったと思うけど……」
「「ケイン!」」
「え?」
「「喋ったぞ!」」
「はい。そうですけど?」
「そうですけどって……」
マサオが喋ると指摘したのはマーティンさんなのに、いざ喋ると慌てるってどういうことよ?
「これが噂に聞く『まさかのケイン』か」
エリックさんが見当違いな方向で驚いている気がするが、何か言うとややこしくなりそうなのでこのままにしておこう。
『なあ、話は終わったのか?』
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