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◆説明しました
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気を取り直して、この『海中展望台』についてガンツさん、リーサさん達に説明する。
「まず、この透明なのはおなじみのスライム樹脂です」
「まあ、それは分かった。だが、なぜそれで平気なのかということだ」
「そこはね、厚めのスライム樹脂を重ねて貼り合わせて透明な壁に仕立てた後に、この施設の回りに薄く障壁を張っているんだ。だから、多少の水圧には耐えられるんだよ」
「なるほどのぉ~しかし、水中でこれなら、船の底にも着けたら面白そうだな」
ガンツさんがポロリと零した言葉に前世での海中遊覧船が頭に浮かぶ。
「ガンツさん! それ、いい! 絶対、作ろうね」
「お、おお。それはいいが、お前は呼ばれているんじゃなかったのか?」
「呼ばれている?」
ガンツさんにそう言われ、はてと考えているとセバス様に来るように言われていたことを思い出す。
「ああ、どうしよう」
「どうしようじゃなく、急いだ方がいいんじゃないのか?」
「あ、そうだよね。じゃ、行くね。リーサさん、またね」
そう言って、転移ゲートをデューク様のお屋敷に繋いで潜っていると「待て!」と言われ、転移ゲートから出ようとしたところを抑えられる。
「セバス、その穴の向こうの様子を見て来るんだ」
「分かりました。旦那様」
転移ゲートを繋いだままの状態にさせられ、セバス様が『海中展望台』へと足を踏み入れる。
「これはまた……」
「セバス? どうしたセバス?」
返事をしないセバス様に慌てたデューク様も転移ゲートを潜ったので、俺も『海中展望台』へと戻り転移ゲートを閉じる。
先にここへ来たセバス様はまだ呆然と目の前を泳いでいる魚たちを凝視している。
そして、デューク様も同じだ。
「ケイン、お前はお屋敷に行ったはずだろ? それがなんで二人を連れてくることになったんだ?」
「ガンツさん、それがさ……」
ガンツさんに事の成り行きを話す。
「ははは。そりゃ領主殿からすれば、いつもと感じの違う、少し暗いこんな場所からお前が出てくればまた何かしでかしたのかと気にはなるだろうな」
「そうかもしれないけどさ。その俺が何かしでかすのは前提なんだね」
「まあ、実際そうだろ」
ガンツさんが『何を言ってるんだ』とばかりに、嘆息する。
ジッとしたまま動かないデューク様達に声を掛け、こっちに戻って来てもらう。
「デューク様! セバス様!」
「「ハッ!」」
「ケイン!」
「ケイン様!」
「「これはなんだ(ですか)?」
「え~」
デューク様達にこの『海中展望台』の説明を済ませ、転移ゲートでお屋敷へと戻る。
執務室のソファに座り、今日呼ばれた理由を改めて尋ねる。
「ああ、もういいわ」
「いいんですか?」
「ああ、王太子に港の光はなんだと聞かれてな。お前に聞こうと思って呼んだんだが、ああもとんでもないものを見せられちゃあな」
「そうですね。あの光景は素晴らしいものでした。うんうん」
セバス様が海中の光景を思い出したのか、上を仰ぎながら恍惚としている。
「セバス、仕事にならないから、戻って来い」
「は、すみません。私としたことが」
セバス様をなんとかこっちに引き戻したデューク様がはぁと短くため息を吐くと俺に言う。
「で、ケインはアレを公開するのか?」
「した方がいいですか?」
「……」
「デューク様?」
「分かっている。アレを公開すれば大騒ぎになるだろうな」
「じゃあ、止めときますか?」
「いや、でも……」
「どうします?」
「……」
デューク様は悩んでいるが、いい答えが浮かばないようだ。
一般公開すれば、王都の住民どころか珍し物見たさに周囲の街や村から王都に見物人が殺到するだろう。しかし、限定公開とすれば話を知った庶民達から反感を買うのは免れないだろうことを悩んでいるのだろう。
「旦那様、少しよろしいでしょうか」
「セバス、何かいい考えがあるのか」
「はい。こういう難しいことは上に投げればいいのかと」
「上……つまり、王太子に全てを任せるということか」
「はい。そして公開範囲を限定するのか一般公開するのかを決めてもらうのですよ」
「なるほどな。王太子が決めたとなれば、誰も文句は言えないか。しかし、限定公開となると既に存在を知ってしまったドワーフタウンの住民をどうするかだな」
「それなら、大丈夫ですよ」
「ケイン、それはどうしてだ?」
「簡単です。同じ物をドワーフタウンに作るからですよ」
「「……」」
俺の発言にデューク様達が無言になる。
「どうしました?」
「いや、いい。そうだよな。お前はそういう奴なんだよな」
「はい。そうでした。私もうっかり忘れていました」
「まあいい。それで、ケインよ。王太子に決めてもらう前に王太子にアレを見せる必要がある。いつ頃なら出来る?」
「なら、それは施設見学のラストにしましょう」
「ほう、施設見学の目玉にすると言うのだな」
「そうです」
「うん、分かった。なら、その方向で進めよう。セバス、頼むな」
「はい。賜りました」
「では、お話は終わりでしょうか?」
「ああ、すまなかったな。でも、今度からは一声掛けてからにして欲しいと思うがな」
「旦那様、そうは言われても事前に説明されても分かるとは思えません」
「だよなぁ~」
悶々とするデューク様を後に『海中展望台』へと転移ゲートで戻る。
「まず、この透明なのはおなじみのスライム樹脂です」
「まあ、それは分かった。だが、なぜそれで平気なのかということだ」
「そこはね、厚めのスライム樹脂を重ねて貼り合わせて透明な壁に仕立てた後に、この施設の回りに薄く障壁を張っているんだ。だから、多少の水圧には耐えられるんだよ」
「なるほどのぉ~しかし、水中でこれなら、船の底にも着けたら面白そうだな」
ガンツさんがポロリと零した言葉に前世での海中遊覧船が頭に浮かぶ。
「ガンツさん! それ、いい! 絶対、作ろうね」
「お、おお。それはいいが、お前は呼ばれているんじゃなかったのか?」
「呼ばれている?」
ガンツさんにそう言われ、はてと考えているとセバス様に来るように言われていたことを思い出す。
「ああ、どうしよう」
「どうしようじゃなく、急いだ方がいいんじゃないのか?」
「あ、そうだよね。じゃ、行くね。リーサさん、またね」
そう言って、転移ゲートをデューク様のお屋敷に繋いで潜っていると「待て!」と言われ、転移ゲートから出ようとしたところを抑えられる。
「セバス、その穴の向こうの様子を見て来るんだ」
「分かりました。旦那様」
転移ゲートを繋いだままの状態にさせられ、セバス様が『海中展望台』へと足を踏み入れる。
「これはまた……」
「セバス? どうしたセバス?」
返事をしないセバス様に慌てたデューク様も転移ゲートを潜ったので、俺も『海中展望台』へと戻り転移ゲートを閉じる。
先にここへ来たセバス様はまだ呆然と目の前を泳いでいる魚たちを凝視している。
そして、デューク様も同じだ。
「ケイン、お前はお屋敷に行ったはずだろ? それがなんで二人を連れてくることになったんだ?」
「ガンツさん、それがさ……」
ガンツさんに事の成り行きを話す。
「ははは。そりゃ領主殿からすれば、いつもと感じの違う、少し暗いこんな場所からお前が出てくればまた何かしでかしたのかと気にはなるだろうな」
「そうかもしれないけどさ。その俺が何かしでかすのは前提なんだね」
「まあ、実際そうだろ」
ガンツさんが『何を言ってるんだ』とばかりに、嘆息する。
ジッとしたまま動かないデューク様達に声を掛け、こっちに戻って来てもらう。
「デューク様! セバス様!」
「「ハッ!」」
「ケイン!」
「ケイン様!」
「「これはなんだ(ですか)?」
「え~」
デューク様達にこの『海中展望台』の説明を済ませ、転移ゲートでお屋敷へと戻る。
執務室のソファに座り、今日呼ばれた理由を改めて尋ねる。
「ああ、もういいわ」
「いいんですか?」
「ああ、王太子に港の光はなんだと聞かれてな。お前に聞こうと思って呼んだんだが、ああもとんでもないものを見せられちゃあな」
「そうですね。あの光景は素晴らしいものでした。うんうん」
セバス様が海中の光景を思い出したのか、上を仰ぎながら恍惚としている。
「セバス、仕事にならないから、戻って来い」
「は、すみません。私としたことが」
セバス様をなんとかこっちに引き戻したデューク様がはぁと短くため息を吐くと俺に言う。
「で、ケインはアレを公開するのか?」
「した方がいいですか?」
「……」
「デューク様?」
「分かっている。アレを公開すれば大騒ぎになるだろうな」
「じゃあ、止めときますか?」
「いや、でも……」
「どうします?」
「……」
デューク様は悩んでいるが、いい答えが浮かばないようだ。
一般公開すれば、王都の住民どころか珍し物見たさに周囲の街や村から王都に見物人が殺到するだろう。しかし、限定公開とすれば話を知った庶民達から反感を買うのは免れないだろうことを悩んでいるのだろう。
「旦那様、少しよろしいでしょうか」
「セバス、何かいい考えがあるのか」
「はい。こういう難しいことは上に投げればいいのかと」
「上……つまり、王太子に全てを任せるということか」
「はい。そして公開範囲を限定するのか一般公開するのかを決めてもらうのですよ」
「なるほどな。王太子が決めたとなれば、誰も文句は言えないか。しかし、限定公開となると既に存在を知ってしまったドワーフタウンの住民をどうするかだな」
「それなら、大丈夫ですよ」
「ケイン、それはどうしてだ?」
「簡単です。同じ物をドワーフタウンに作るからですよ」
「「……」」
俺の発言にデューク様達が無言になる。
「どうしました?」
「いや、いい。そうだよな。お前はそういう奴なんだよな」
「はい。そうでした。私もうっかり忘れていました」
「まあいい。それで、ケインよ。王太子に決めてもらう前に王太子にアレを見せる必要がある。いつ頃なら出来る?」
「なら、それは施設見学のラストにしましょう」
「ほう、施設見学の目玉にすると言うのだな」
「そうです」
「うん、分かった。なら、その方向で進めよう。セバス、頼むな」
「はい。賜りました」
「では、お話は終わりでしょうか?」
「ああ、すまなかったな。でも、今度からは一声掛けてからにして欲しいと思うがな」
「旦那様、そうは言われても事前に説明されても分かるとは思えません」
「だよなぁ~」
悶々とするデューク様を後に『海中展望台』へと転移ゲートで戻る。
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