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1巻
1-3
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「「よし! 競争だ!」」
早速キックボードで走りだそうとする兄ズに、慌てて言う。
「まってにいさんたち! さっきのったからわかるとおもうんだけど、つちのうえじゃ、はやくはしれないんだ。だから、いえのそとにいきたいんだけど、かあさんにたのんでもらえる?」
「「おし! 任せとけ!」」
兄ズがそう言って家の中の母さんに声を掛ける。
「「かあさ……」」
「あんたたち! 今日もお父さんにお弁当届けてくれる?」
「「分かった!」」
兄ズの言葉は途中で母さんの声に遮られたけど、サム兄さんはすぐ答えた。
「よし、父さんの店までキックボードで行くぞ!」
「サム兄さん大丈夫? 怒られない?」
母さんにキックボードのことは何も話してないので、クリス兄さんは心配そうだ。
「なんとかなるだろ。イヤなら残れば……」
「イヤじゃない! 行く!」
サム兄さんの言葉を遮り、クリス兄さんもキックボードに乗る。
兄弟三人で父さんの店を目指し、早速キックボードで走りだした。
「お!?」
「うん!?」
「何あれ!?」
街をキックボードで疾走していると、あちこちから街の人たちの声がした。みんな珍しそうに僕たちを見ている。
ちょっと恥ずかしいけど、そんなことより速く走れるのが気持ちいい!
あっという間に父さんの店が見えてきた。
「着いた! すぐだったな。これすげ~! よし、もっと遠くに行くぞ!」
サム兄さんはここに来た目的を忘れているっぽい。
キックボードで走る楽しさに魅了されてしまったようで、再び走りだそうとするのを、クリス兄さんが慌てて止める。
「サム兄さん、お弁当届けないと!」
「お、そうだった。父さ~ん、お弁当!」
サム兄さんが店の中に声を掛けると、父さんが出てきてお弁当を受け取る。
「おぉ、ありがとな、ん? お前たち妙なものに乗っているな? なんだそりゃ?」
「これね、俺が作ったドラゴン号!」
「は~サム兄さん、父さんが聞きたいのはそうじゃないって」
クリス兄さんはサム兄さんの言葉に呆れている。
「とうさんあのね、これはキックボードっていうんだよ」
サム兄さんに代わって、僕が父さんに説明した。キックボードに乗ったまま軽く地面を蹴り、走る様子を父さんに見せる。
「お~、そういう風にして遊ぶのか。よく自分たちで作ったな~。楽しそうだし便利そうだ!」
父さんがそんな風に感心していたところ、店にドワーフのおじさんが現れた。
「トミーの旦那、ちょっといいか?」
ドワーフのおじさんは、父さんにそう声を掛けた。
「これは、ガンツさん。どうしました?」
このドワーフのおじさん、ガンツさんっていうのか。父さんの知り合いかな?
ドワーフをこんな近くで見るのは初めてだから、ついマジマジと見ちゃった。ラノベのイラストまんまの体型だな。樽に手足が生えてるみたいだ。
「坊主たちが何かに乗って走ってるのを見たんだが、あれは売り物か?」
「いや、あれは子供たちが作ったキックボードだよ。うちの店で扱ってるわけじゃないんだ」
「そうか、だがぜひ欲しい。どうにかならないか?」
「おじさんがのるってこと? なんで?」
僕が尋ねると、ガンツさんがふぅ~とため息を吐く。
「あぁ、こんな手足だと歩くのが億劫でな。買い出しには馬車を使ったりするが、ちょっとした用事で近所を歩くのに、あいつがあれば助かると思ってな」
「これはぼくたちのだから、あげられないよ。それにうったとしても、おじさんのおもさにはたえられないよ? おじさんがつかうなら、どこかでがんじょうにかいりょうしないとだね」
「うーんそうか……よし! なら坊主、契約だ! 旦那、間に入って手続きしてくれ!」
ガンツさんが、唐突に何か言い始めた。
えっ、何? 契約ってなんなの?
「契約? 気が早いな、ガンツさん」
「坊主たちは街中を走ってきたんだ。もう誰かがキックボードに目をつけていてもおかしくない。取られないうちに契約しちまいたい!」
父さんとガンツさんがよく分からないことを話している。
「はー分かったよ。ケインいいか?」
父さんがそう言ってきたけど、僕にはちんぷんかんぷんだ。
「えぇ? いいって、なにが? けいやくってなに?」
首を捻っている僕に、父さんが説明してくれる。
「今からしようとしているのは、キックボードに関する契約だ。ケインが発明したキックボードを、ガンツさんが自分の工房で製造したいってことなんだよ。ケインはまだ五歳だけど、保護者である父さんが許可を出せばガンツさんと契約を結ぶことができる。ケインの発明である以上、アイディアには使用料が発生するから、そのために契約が必要ってわけだ」
ええ……突然すごい話になってるよ。ガンツさん用にキックボードを改良するってだけじゃなかったの?
呆気に取られてたら、ガンツさんに背中を「バン!」と叩かれた。
「よし、納得できたならさっさと契約だ。坊主、ワシはガンツだ! よろしく」
「ぼくはケイン、よろしく」
自己紹介を終えたあと、なんだかよく分からないうちに、父さんのお店の奥の応接室に連れていかれた。
ソファに座り、言われるまま契約書に名前を書いていく。
ちなみにガンツさんがキックボードを製造するって契約だけじゃなく、ガンツさんの工房で作ったキックボードを、父さんの店で販売するっていう契約も一緒に結んでおいた。
僕が書き終えたところで、ガンツさんが父さんに話しかける。
「よし、これで契約は済んだな。よしトミーの旦那、この坊主――いや、ケインを借りるぞ! 帰りはワシが送るから!」
「ああ分かった。よろしくな」
ええ~、どこに行くの~と思っているうちに、ガンツさんに馬車に乗せられて、作業場みたいな場所に着いた。ここがガンツさんの工房らしい。
「ここがワシの仕事場だ。奥には鍛冶場がある」
「はぇ~、こうぼうってはじめてみた。うわ、かじばはあつそう!」
「あんまりうろちょろするなよ」
「うん、わかった」
「よし。じゃ、そいつを見せてもらおうか」
僕が抱えて持ってきたキックボードを渡すと、ガンツさんはしげしげと構造を観察し始める。
「ワシは重いからダメだと言っていたが、このままでも十分乗れそうじゃないか。あ~いや、台座の下になんの支えもないのか。これじゃケインはよくても、確かにワシが乗ったら壊れるな。どうしたもんか」
ガッカリした様子のガンツさん。
なんとかしてあげられるといいけど、どうしよう。
「ちなみに、ガンツさんのたいじゅうはどのくらい?」
「ワシは百キロ前後だ」
わ~、そんなに重いと、かなり補強しないと厳しそう。
「だいざのしたに、ぼうをつけてほきょうしようかとおもったけど、ひゃっきろだと、ぼうがいっぽんだけじゃおれるとおもう。でもてつのぼうを、べつのじょうぶなきんぞくにかえると、ねだんがたかくなりそうだし……」
しばらく色々と補強方法を考えてから、あることを思いつき、ガンツさんに尋ねる。
「ここに、いらないてつのぼうってある?」
「ちょっと待ってろ」
ガンツさんは奥の鍛冶場に行くと、鉄の棒を持って戻ってきた。
「これでいいか?」
「これってこのままじゃ、かんたんにまがるよね?」
「そりゃな。ほら、こんな風に曲がるぞ」
ガンツさんがぐいっと力を入れると、簡単に鉄の棒が折れ曲がった。
え? いくら簡単に曲がるって言っても、素手で曲がるようなものじゃなくない?
「ちょっとガンツさん、いまのどうやってまげたの?」
「ああこれは鍛冶魔法と言ってな。ワシらドワーフは金属の溶接や変形といった作業のうち、簡単なものを鍛冶魔法で行うことができるんだ」
「へえ~すごい。ねぇところでガンツさん、てつパイプってある?」
「鉄パイプ? パイプってつまり、中が空洞になっている鉄の棒ってことか? あるけどそんなもんどうすんだ? まあいい、待ってろ」
ガンツさんがまた奥の鍛冶場に行き、鉄パイプを持ってきた。
「これでいいか?」
「これもかんたんにまがるよね?」
「まぁな」
「あ、まげなくていいから」
ガンツさんが曲げようとするので、慌てて止める。
「てつのぼういっぽんじゃ、かんたんにまがっちゃうから、だいざのほきょうにならない。けど、ぼうのほんすうをふやせば、キックボードがおもくなるよね?」
「ま、そりゃそうだな」
「でもふやすのがてつパイプなら、そこまでおもくならないでしょ?」
「ほぉ、台座の補強に鉄パイプを使うのか? だが、鉄パイプじゃ強度が足りないんじゃないのか?」
「そこはだいじょうぶ。だいざのほきょうくらいなら、きょうどはたりるとおもうよ」
「ほぉ、ちょっと待ってな」
ガンツさんはそう言うと、鉄パイプを持って奥の鍛冶場に行った。ガンガンという槌の音が工房に響く。
「ケイン、こんな感じでどうだ」
ガンツさんはすぐ鍛冶場から戻ってきた。手には台座の下に、鉄パイプを三本溶接したものを持っている。
僕はガンツさんから台座を受け取ると、作業場に置いてあった石のブロック二つを、お互いの間隔が五十センチほど空くよう離して並べた。そして二つのブロックの上に加工した台座を横たえ、その上に足を乗せてゆっくりと体重をかける。
「ね、ほらこんなかんじ。ぼくがのっても、まがらないでしょ?」
「なるほど、こりゃすごいな。よし、あとはワシの方でやってみる。ありがとうな。じゃあケイン、今日はここまでにして、家に送っていこう」
「はい。おねがいします」
ガンツさんに馬車で家まで送ってもらい、居間に入るともう父さんが帰ってきていた。居間には兄ズも一緒にいる。
「ケイン、お疲れ様だったな。あれから店の方にキックボードの問い合わせがたくさん来て、父さんも大変だったんだぞ。だから家の外で乗るのはしばらく禁止な」
「「「え~なんで?」」」
兄ズと一緒に声を上げる。
というか僕がキックボードに乗ってたからって、なんでみんなはキックボードが父さんの店で売ってると思ったの?
不思議に感じたけど、どうやら僕たちが店の前にキックボードで乗りつけたから、父さんの店の新商品だって勘違いしたみたい。
それはともかくとして、キックボード禁止は嫌だな。
「キックボードはたくさんの人が欲しがっているんだ。力ずくでお前たちから取り上げようとする人がいてもおかしくない。だから乗らないようにしてくれ」
父さんに説得され、仕方なく兄ズと一緒に言う。
「「「う~わかったよ。こわいのはいやだし」」」
「これから店で売るから、欲しい人にいき渡るまでの辛抱だ。よろしくな」
「「「はい」」」
にしても軽い気持ちで作ったキックボードが、こんなに反響があるなんて思わなかったな~。
これからもモノ作りを続けたら、みんなが使ったりして? それはそれで、楽しそうかも。
5 キックボードが完成しました
翌朝、ガンツさんが工房から迎えに来た。
今日もガンツさんを手伝うことになってたので、ガンツさんの方から馬車を出してくれたみたい。
コンコンと家のドアがノックされ、ガンツさんの声が聞こえる。
「ケイン、迎えに来たぞ!」
「あらガンツさん。話はトミーから聞いていますよ。ケインをよろしくお願いします」
ガンツさんを出迎えた母さんは、僕とガンツさんにお弁当を渡してくれた。
「ん、なんだ? 兄ちゃんたちはどうした?」
馬車に乗り込もうとしたところで、ガンツさんが言う。
ガンツさんの視線の先を目で追うと、兄ズが庭の隅にいて、面白くなさそうな顔でこっちを見ていた。
「サムたちはキックボードにしばらく乗れなくなったから、拗ねているのよ」
母さんが苦笑いしながらそう言うと、ガンツさんはニヤリと笑い、ふてくされている兄ズに声を掛ける。
「兄ちゃんたち、暇ならワシの工房に来るか? キックボード作りを手伝ってくれ」
「「え~手伝うの?」」
「まあ、そう言うなって。手伝ってくれたら、キックボードの試作品に乗り放題だぞ?」
「「なら、やる!」」
兄ズは乗り放題と聞いて、元気よく返事をした。
「は~ったく、ならこれを持っていきなさい」
母さんが追加で兄ズの分の弁当を渡してくれた。兄ズも行くことになるって予想していたのかな。
こうして僕、ガンツさん、兄ズで馬車に乗り、ガンツさんの工房に着いた。
中に入った途端、ガンツさんが声のトーンを落として僕に話しかけてくる。
「昨日な、ケインのを参考にワシなりにキックボードを作ってみたんだ」
ガンツさんは僕を工房の隅に案内し、試作品のキックボードを見せてくれた。
「ん? もんだいないようにみえるけど? あっ!」
「そうなんだよ。台座は丈夫になったんだが、今度は車輪がな」
試作品のキックボードは、車輪が割れてしまっていた。ガンツさんの体重に耐えられなかったみたい。
「おまけに、車輪がうまく転がらないんだ。ケイン、何かいい手はないか?」
「そうですね。しゃりんのほうは、かいけつできるとおもいます」
「おお、どうやるんだ? すまんが、ちょっと説明してもらっていいか?」
「それはですね……」
その場に二人でしゃがみ、地面に絵を描いてガンツさんに説明する。
今の車輪はタイヤみたいなドーナツ型になっている。その中心にホイールみたいなものをはめれば、補強できると思うんだ。
ホイールっていうのは、タイヤの中心部にはめて、走行性能を高める部品のことね。
なので今の車輪の形を表す円を描いて、円の中心から放射状に等分割した線を引く。
ガンツさんには、この図と同じように車輪を作りかえれば、耐荷重を増やせるはずだと説明した。
「ほうほう、なるほど。ちょっと待ってな」
ガンツさんは僕の説明を理解したみたいで、早速奥の鍛冶場に引っ込んだ。
「なぁケイン、全然分からないんだけど、どういうことだ?」
いつの間にか僕の側にいたサム兄さんが、不思議そうに聞いてくる。兄ズは僕とガンツさんのやり取りを、後ろから見ていたみたい。
「ガンツさんはぼくたちよりおもいから、キックボードにいろいろくふうしないとダメなんだよ」
僕が兄ズにガンツさん用のキックボードの改良点を説明すると、サム兄さんが腕を組んで頷く。
「は~なるほどね~」
「サム兄さん、ホントに分かった?」
「分かってるさクリス。たぶんだけど……」
兄ズがそんな会話をしているうちに、ガンツさんが奥の鍛冶場から出てきた。手には加工したホイールを持っている。
「よし、ケインこれでいいか?」
「いいですね! さすがです」
「このくらいで褒めるな。ワシは職人だぞ!」
そう言いつつもガンツさん、まんざらでもなさそうな顔だった。
そんなわけでガンツさんは早速、キックボードの車輪を新しく作ったホイールつきのものに交換してくれる。
乗ってみたら、僕の重さじゃびくともしなかった。うん、だいぶ頑丈にできたみたい。
「サムにいさん、のってみて!」
「おう、任せろ!」
そう言って勢いよくキックボードに乗るサム兄さん。お、サム兄さんの体重でも大丈夫だった。
よし、なら次はガンツさんだ。
「ガンツさん、おねがいします」
僕が言うと、ガンツさんは慎重に左足をキックボードの台座に乗せる。ひとまず、この段階ではまだ大丈夫そう。
次にガンツさんは右足で地面を蹴り、全体重をかけてキックボードに乗る。
するとキックボードは、問題なく進んでいく。
「うぉ~走れた!」
テンション高く叫ぶガンツさん。
やったー、車輪の問題は解決できたみたい。ん? だけど……
早速キックボードで走りだそうとする兄ズに、慌てて言う。
「まってにいさんたち! さっきのったからわかるとおもうんだけど、つちのうえじゃ、はやくはしれないんだ。だから、いえのそとにいきたいんだけど、かあさんにたのんでもらえる?」
「「おし! 任せとけ!」」
兄ズがそう言って家の中の母さんに声を掛ける。
「「かあさ……」」
「あんたたち! 今日もお父さんにお弁当届けてくれる?」
「「分かった!」」
兄ズの言葉は途中で母さんの声に遮られたけど、サム兄さんはすぐ答えた。
「よし、父さんの店までキックボードで行くぞ!」
「サム兄さん大丈夫? 怒られない?」
母さんにキックボードのことは何も話してないので、クリス兄さんは心配そうだ。
「なんとかなるだろ。イヤなら残れば……」
「イヤじゃない! 行く!」
サム兄さんの言葉を遮り、クリス兄さんもキックボードに乗る。
兄弟三人で父さんの店を目指し、早速キックボードで走りだした。
「お!?」
「うん!?」
「何あれ!?」
街をキックボードで疾走していると、あちこちから街の人たちの声がした。みんな珍しそうに僕たちを見ている。
ちょっと恥ずかしいけど、そんなことより速く走れるのが気持ちいい!
あっという間に父さんの店が見えてきた。
「着いた! すぐだったな。これすげ~! よし、もっと遠くに行くぞ!」
サム兄さんはここに来た目的を忘れているっぽい。
キックボードで走る楽しさに魅了されてしまったようで、再び走りだそうとするのを、クリス兄さんが慌てて止める。
「サム兄さん、お弁当届けないと!」
「お、そうだった。父さ~ん、お弁当!」
サム兄さんが店の中に声を掛けると、父さんが出てきてお弁当を受け取る。
「おぉ、ありがとな、ん? お前たち妙なものに乗っているな? なんだそりゃ?」
「これね、俺が作ったドラゴン号!」
「は~サム兄さん、父さんが聞きたいのはそうじゃないって」
クリス兄さんはサム兄さんの言葉に呆れている。
「とうさんあのね、これはキックボードっていうんだよ」
サム兄さんに代わって、僕が父さんに説明した。キックボードに乗ったまま軽く地面を蹴り、走る様子を父さんに見せる。
「お~、そういう風にして遊ぶのか。よく自分たちで作ったな~。楽しそうだし便利そうだ!」
父さんがそんな風に感心していたところ、店にドワーフのおじさんが現れた。
「トミーの旦那、ちょっといいか?」
ドワーフのおじさんは、父さんにそう声を掛けた。
「これは、ガンツさん。どうしました?」
このドワーフのおじさん、ガンツさんっていうのか。父さんの知り合いかな?
ドワーフをこんな近くで見るのは初めてだから、ついマジマジと見ちゃった。ラノベのイラストまんまの体型だな。樽に手足が生えてるみたいだ。
「坊主たちが何かに乗って走ってるのを見たんだが、あれは売り物か?」
「いや、あれは子供たちが作ったキックボードだよ。うちの店で扱ってるわけじゃないんだ」
「そうか、だがぜひ欲しい。どうにかならないか?」
「おじさんがのるってこと? なんで?」
僕が尋ねると、ガンツさんがふぅ~とため息を吐く。
「あぁ、こんな手足だと歩くのが億劫でな。買い出しには馬車を使ったりするが、ちょっとした用事で近所を歩くのに、あいつがあれば助かると思ってな」
「これはぼくたちのだから、あげられないよ。それにうったとしても、おじさんのおもさにはたえられないよ? おじさんがつかうなら、どこかでがんじょうにかいりょうしないとだね」
「うーんそうか……よし! なら坊主、契約だ! 旦那、間に入って手続きしてくれ!」
ガンツさんが、唐突に何か言い始めた。
えっ、何? 契約ってなんなの?
「契約? 気が早いな、ガンツさん」
「坊主たちは街中を走ってきたんだ。もう誰かがキックボードに目をつけていてもおかしくない。取られないうちに契約しちまいたい!」
父さんとガンツさんがよく分からないことを話している。
「はー分かったよ。ケインいいか?」
父さんがそう言ってきたけど、僕にはちんぷんかんぷんだ。
「えぇ? いいって、なにが? けいやくってなに?」
首を捻っている僕に、父さんが説明してくれる。
「今からしようとしているのは、キックボードに関する契約だ。ケインが発明したキックボードを、ガンツさんが自分の工房で製造したいってことなんだよ。ケインはまだ五歳だけど、保護者である父さんが許可を出せばガンツさんと契約を結ぶことができる。ケインの発明である以上、アイディアには使用料が発生するから、そのために契約が必要ってわけだ」
ええ……突然すごい話になってるよ。ガンツさん用にキックボードを改良するってだけじゃなかったの?
呆気に取られてたら、ガンツさんに背中を「バン!」と叩かれた。
「よし、納得できたならさっさと契約だ。坊主、ワシはガンツだ! よろしく」
「ぼくはケイン、よろしく」
自己紹介を終えたあと、なんだかよく分からないうちに、父さんのお店の奥の応接室に連れていかれた。
ソファに座り、言われるまま契約書に名前を書いていく。
ちなみにガンツさんがキックボードを製造するって契約だけじゃなく、ガンツさんの工房で作ったキックボードを、父さんの店で販売するっていう契約も一緒に結んでおいた。
僕が書き終えたところで、ガンツさんが父さんに話しかける。
「よし、これで契約は済んだな。よしトミーの旦那、この坊主――いや、ケインを借りるぞ! 帰りはワシが送るから!」
「ああ分かった。よろしくな」
ええ~、どこに行くの~と思っているうちに、ガンツさんに馬車に乗せられて、作業場みたいな場所に着いた。ここがガンツさんの工房らしい。
「ここがワシの仕事場だ。奥には鍛冶場がある」
「はぇ~、こうぼうってはじめてみた。うわ、かじばはあつそう!」
「あんまりうろちょろするなよ」
「うん、わかった」
「よし。じゃ、そいつを見せてもらおうか」
僕が抱えて持ってきたキックボードを渡すと、ガンツさんはしげしげと構造を観察し始める。
「ワシは重いからダメだと言っていたが、このままでも十分乗れそうじゃないか。あ~いや、台座の下になんの支えもないのか。これじゃケインはよくても、確かにワシが乗ったら壊れるな。どうしたもんか」
ガッカリした様子のガンツさん。
なんとかしてあげられるといいけど、どうしよう。
「ちなみに、ガンツさんのたいじゅうはどのくらい?」
「ワシは百キロ前後だ」
わ~、そんなに重いと、かなり補強しないと厳しそう。
「だいざのしたに、ぼうをつけてほきょうしようかとおもったけど、ひゃっきろだと、ぼうがいっぽんだけじゃおれるとおもう。でもてつのぼうを、べつのじょうぶなきんぞくにかえると、ねだんがたかくなりそうだし……」
しばらく色々と補強方法を考えてから、あることを思いつき、ガンツさんに尋ねる。
「ここに、いらないてつのぼうってある?」
「ちょっと待ってろ」
ガンツさんは奥の鍛冶場に行くと、鉄の棒を持って戻ってきた。
「これでいいか?」
「これってこのままじゃ、かんたんにまがるよね?」
「そりゃな。ほら、こんな風に曲がるぞ」
ガンツさんがぐいっと力を入れると、簡単に鉄の棒が折れ曲がった。
え? いくら簡単に曲がるって言っても、素手で曲がるようなものじゃなくない?
「ちょっとガンツさん、いまのどうやってまげたの?」
「ああこれは鍛冶魔法と言ってな。ワシらドワーフは金属の溶接や変形といった作業のうち、簡単なものを鍛冶魔法で行うことができるんだ」
「へえ~すごい。ねぇところでガンツさん、てつパイプってある?」
「鉄パイプ? パイプってつまり、中が空洞になっている鉄の棒ってことか? あるけどそんなもんどうすんだ? まあいい、待ってろ」
ガンツさんがまた奥の鍛冶場に行き、鉄パイプを持ってきた。
「これでいいか?」
「これもかんたんにまがるよね?」
「まぁな」
「あ、まげなくていいから」
ガンツさんが曲げようとするので、慌てて止める。
「てつのぼういっぽんじゃ、かんたんにまがっちゃうから、だいざのほきょうにならない。けど、ぼうのほんすうをふやせば、キックボードがおもくなるよね?」
「ま、そりゃそうだな」
「でもふやすのがてつパイプなら、そこまでおもくならないでしょ?」
「ほぉ、台座の補強に鉄パイプを使うのか? だが、鉄パイプじゃ強度が足りないんじゃないのか?」
「そこはだいじょうぶ。だいざのほきょうくらいなら、きょうどはたりるとおもうよ」
「ほぉ、ちょっと待ってな」
ガンツさんはそう言うと、鉄パイプを持って奥の鍛冶場に行った。ガンガンという槌の音が工房に響く。
「ケイン、こんな感じでどうだ」
ガンツさんはすぐ鍛冶場から戻ってきた。手には台座の下に、鉄パイプを三本溶接したものを持っている。
僕はガンツさんから台座を受け取ると、作業場に置いてあった石のブロック二つを、お互いの間隔が五十センチほど空くよう離して並べた。そして二つのブロックの上に加工した台座を横たえ、その上に足を乗せてゆっくりと体重をかける。
「ね、ほらこんなかんじ。ぼくがのっても、まがらないでしょ?」
「なるほど、こりゃすごいな。よし、あとはワシの方でやってみる。ありがとうな。じゃあケイン、今日はここまでにして、家に送っていこう」
「はい。おねがいします」
ガンツさんに馬車で家まで送ってもらい、居間に入るともう父さんが帰ってきていた。居間には兄ズも一緒にいる。
「ケイン、お疲れ様だったな。あれから店の方にキックボードの問い合わせがたくさん来て、父さんも大変だったんだぞ。だから家の外で乗るのはしばらく禁止な」
「「「え~なんで?」」」
兄ズと一緒に声を上げる。
というか僕がキックボードに乗ってたからって、なんでみんなはキックボードが父さんの店で売ってると思ったの?
不思議に感じたけど、どうやら僕たちが店の前にキックボードで乗りつけたから、父さんの店の新商品だって勘違いしたみたい。
それはともかくとして、キックボード禁止は嫌だな。
「キックボードはたくさんの人が欲しがっているんだ。力ずくでお前たちから取り上げようとする人がいてもおかしくない。だから乗らないようにしてくれ」
父さんに説得され、仕方なく兄ズと一緒に言う。
「「「う~わかったよ。こわいのはいやだし」」」
「これから店で売るから、欲しい人にいき渡るまでの辛抱だ。よろしくな」
「「「はい」」」
にしても軽い気持ちで作ったキックボードが、こんなに反響があるなんて思わなかったな~。
これからもモノ作りを続けたら、みんなが使ったりして? それはそれで、楽しそうかも。
5 キックボードが完成しました
翌朝、ガンツさんが工房から迎えに来た。
今日もガンツさんを手伝うことになってたので、ガンツさんの方から馬車を出してくれたみたい。
コンコンと家のドアがノックされ、ガンツさんの声が聞こえる。
「ケイン、迎えに来たぞ!」
「あらガンツさん。話はトミーから聞いていますよ。ケインをよろしくお願いします」
ガンツさんを出迎えた母さんは、僕とガンツさんにお弁当を渡してくれた。
「ん、なんだ? 兄ちゃんたちはどうした?」
馬車に乗り込もうとしたところで、ガンツさんが言う。
ガンツさんの視線の先を目で追うと、兄ズが庭の隅にいて、面白くなさそうな顔でこっちを見ていた。
「サムたちはキックボードにしばらく乗れなくなったから、拗ねているのよ」
母さんが苦笑いしながらそう言うと、ガンツさんはニヤリと笑い、ふてくされている兄ズに声を掛ける。
「兄ちゃんたち、暇ならワシの工房に来るか? キックボード作りを手伝ってくれ」
「「え~手伝うの?」」
「まあ、そう言うなって。手伝ってくれたら、キックボードの試作品に乗り放題だぞ?」
「「なら、やる!」」
兄ズは乗り放題と聞いて、元気よく返事をした。
「は~ったく、ならこれを持っていきなさい」
母さんが追加で兄ズの分の弁当を渡してくれた。兄ズも行くことになるって予想していたのかな。
こうして僕、ガンツさん、兄ズで馬車に乗り、ガンツさんの工房に着いた。
中に入った途端、ガンツさんが声のトーンを落として僕に話しかけてくる。
「昨日な、ケインのを参考にワシなりにキックボードを作ってみたんだ」
ガンツさんは僕を工房の隅に案内し、試作品のキックボードを見せてくれた。
「ん? もんだいないようにみえるけど? あっ!」
「そうなんだよ。台座は丈夫になったんだが、今度は車輪がな」
試作品のキックボードは、車輪が割れてしまっていた。ガンツさんの体重に耐えられなかったみたい。
「おまけに、車輪がうまく転がらないんだ。ケイン、何かいい手はないか?」
「そうですね。しゃりんのほうは、かいけつできるとおもいます」
「おお、どうやるんだ? すまんが、ちょっと説明してもらっていいか?」
「それはですね……」
その場に二人でしゃがみ、地面に絵を描いてガンツさんに説明する。
今の車輪はタイヤみたいなドーナツ型になっている。その中心にホイールみたいなものをはめれば、補強できると思うんだ。
ホイールっていうのは、タイヤの中心部にはめて、走行性能を高める部品のことね。
なので今の車輪の形を表す円を描いて、円の中心から放射状に等分割した線を引く。
ガンツさんには、この図と同じように車輪を作りかえれば、耐荷重を増やせるはずだと説明した。
「ほうほう、なるほど。ちょっと待ってな」
ガンツさんは僕の説明を理解したみたいで、早速奥の鍛冶場に引っ込んだ。
「なぁケイン、全然分からないんだけど、どういうことだ?」
いつの間にか僕の側にいたサム兄さんが、不思議そうに聞いてくる。兄ズは僕とガンツさんのやり取りを、後ろから見ていたみたい。
「ガンツさんはぼくたちよりおもいから、キックボードにいろいろくふうしないとダメなんだよ」
僕が兄ズにガンツさん用のキックボードの改良点を説明すると、サム兄さんが腕を組んで頷く。
「は~なるほどね~」
「サム兄さん、ホントに分かった?」
「分かってるさクリス。たぶんだけど……」
兄ズがそんな会話をしているうちに、ガンツさんが奥の鍛冶場から出てきた。手には加工したホイールを持っている。
「よし、ケインこれでいいか?」
「いいですね! さすがです」
「このくらいで褒めるな。ワシは職人だぞ!」
そう言いつつもガンツさん、まんざらでもなさそうな顔だった。
そんなわけでガンツさんは早速、キックボードの車輪を新しく作ったホイールつきのものに交換してくれる。
乗ってみたら、僕の重さじゃびくともしなかった。うん、だいぶ頑丈にできたみたい。
「サムにいさん、のってみて!」
「おう、任せろ!」
そう言って勢いよくキックボードに乗るサム兄さん。お、サム兄さんの体重でも大丈夫だった。
よし、なら次はガンツさんだ。
「ガンツさん、おねがいします」
僕が言うと、ガンツさんは慎重に左足をキックボードの台座に乗せる。ひとまず、この段階ではまだ大丈夫そう。
次にガンツさんは右足で地面を蹴り、全体重をかけてキックボードに乗る。
するとキックボードは、問題なく進んでいく。
「うぉ~走れた!」
テンション高く叫ぶガンツさん。
やったー、車輪の問題は解決できたみたい。ん? だけど……
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【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
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【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
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生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
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その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
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【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
雪月 夜狐
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壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
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旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
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アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
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これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
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とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
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