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◆約束を守りました
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ガンツさんと模型を挟んでああだこうだと言っている内にセバス様との約束の時間が迫ってくる。
「そろそろじゃないか?」
「そうだね。チョット待って、セバス様に電話するから」
セバス様に電話すると、直接部屋に来てもいいと言うことなので、少し準備をしてから伺うと約束してから電話を切る。
「準備すると言うが、この模型以外になにかあるのか?」
「まあ、手土産だよね。ガンツさん、悪いけどゴーシュさんの店に先に行くから」
「まあいいが、なにか約束でもしたか?」
「う~約束と言えば約束かな」
「それなら、さっさとすませてしまおう」
「じゃ、ゴーシュさんに連絡するね」
ゴーシュさんに連絡して、今はどっちの店にいるかを確認して、シュークリームの在庫も確認する。
「こっちにいるみたいだから、ちょっと行ってくるね」
ガンツさんとマサオを残して、ドワーフタウンのゴーシュさんのお店の転移ゲートの部屋に転移ゲートを繋いで潜る。
転移ゲートの部屋のドアを開けると、そこにゴーシュさんがいたので挨拶をする。
「こんにちは。ゴーシュさん」
「おう、ケイン君。シュークリームなんだが、まだ数が揃ってないんだ。悪いが、もうしばらく待ってくれ」
「いいですよ。なら、出来た分だけ貰ってもいいですか?」
「ああ、そこにある分はいいぞ。それと、牛乳を補充したいんだが、あるかい?」
「はい、いいですよ。じゃ、下のタンクに入れときますね」
「すまん。恩に着る」
「大げさですよ。それより、シュークリームの売れ行きは……聞くまでもないですね。いっそ、工場で作るのがいいかもしれませんね」
シュークリムを個数制限しているとは言え、日中はほぼフル稼働している感じから工場での生産をゴーシュさんに提案してみる。
「工場? それは、俺が作らないでもいいってことか?」
「そうですね。ゴーシュさんは監修という立場で、出来上がってくるシュークリームの製造に責任を持つ形で、出来上がりの確認をして貰うことになります。なので、ゴーシュさんは空き時間に新製品を開発したり、特注品を作ったりとかですね」
「ふむ。確かにそれなら、多少は楽になるな」
「いいんですか? なにか職人として、工場で大量生産するのに抵抗があるかと思ったけど」
「なに言ってるんだ? そもそもシュークリームはケイン君からのお願いで作ったのが最初で、後は試しにと店で売っただけだしな」
「そうなんですね。じゃ、それは俺の方で進めときます。それまでは申し訳ないですけど、ここで頑張って下さい」
「ははは。元はケイン君から始まったんじゃないか。それにシュークリームだけじゃなく他の菓子も売れてるんだぞ」
「はい! 美味しいですもんね」
ゴーシュさんとの会話を切り上げ、下の生乳タンクに補充すると奥さんに挨拶がてにいくつかの焼き菓子を購入してから転移ゲートの部屋に入ると、ガンツさん達が待つ工房へと戻る。
「ただいま。じゃ、行こうか」
「おう」
王都のデューク様のお屋敷の執務室へと転移ゲートを繋ぐとガンツさん達と一緒に潜る。
「お久しぶりです。セバス様」
「はい。お久しぶりです。まずはこちらへ」
「あ、その前になにかお皿かなにか用意してもらえますか? 出来ればジュディさんに」
「ジュディですか? 彼女がなにかしましたか?」
「あ、そうではなくですね。この前、ゴーシュさんのお店にお使いに出されたと思うんですけど、その時に約束をしまして」
「ああ、確かに聞いております。分かりました。では」
セバス様はそう言うと、近くに控えていたメイドの一人にジュディを呼び出して貰う。
数分もしない内にジュディさんが部屋のドアを開けて現れる。
「失礼します。お呼びと伺いましたが……あら、ケイン君。お久しぶりですね」
「ジュディ。呼んだの私です」
「あ、セバス様。すみません」
「はぁ~まあいいです。では、そのお皿をテーブルに置いて下さい」
「あ、はい」
「ケイン様、これでいいですか?」
「はい。ありがとうございます」
ジュディさんの用意したお皿の上にインベントリから出したシュークリームを盛り付けていく。
「はい、ジュディさん。これで約束は守りましたよね?」
「え? ケイン君がシュークリームを……あの、どういうことですか?」
「ジュディ。これは口外しないで欲しいのですが、あのお店にはケイン様が関わっています」
「ああ、そういうことなんですね。分かりました。決して口外することはありません」
「え? あの、張本人が言うのもアレなんですけど、あっさりと受け入れるんですね」
「ああ、だって『まさかのケイン』なんですから。では、セバス様。これは冷蔵庫に保管でいいんですね」
「ああ、お嬢様や奥様達に見つかっても勝手に手出しされないように守るんですよ」
「え? 私がですか?」
「不安ですか。それもそうですね。では、奥様達には勝手に食べた個数に掛けること十日分のデザートや甘味類を食することを禁止すると、私の名前で伝えてください」
「ああ、それならいけそうです。ありがとうございます」
ジュディさんが部屋から出るのを見送る。
「ケイン様。最近、あのお店の行列が凄かったのですが、最近は落ち着いていると聞いております。なにやら、シュークリームの個数を制限して売っているとかで。それにも関わっていたりしますか?」
セバス様が正直にと言う感じで俺を見る。
「はい。店主であるゴーシュさんや奥さんの疲れた姿を見て、なにも馬鹿正直に作って売るのではなく、一日の販売個数を決めて売れば、お店も落ち着くと提案しました」
「なるほど……」
「あと、お店も少し小さかったので、大きめのお店をドワーフタウンに用意して少し多めに作れるようにしました」
「なるほど、ドワーフタウンに出店させましたか」
「ええ。カイドー村からの移住もそろそろ始まるので、生乳とかの仕入れも楽になりますし」
「そうですね」
「なあ、そろそろ俺も喋って構わないか?」
「「あ!」」
「そろそろじゃないか?」
「そうだね。チョット待って、セバス様に電話するから」
セバス様に電話すると、直接部屋に来てもいいと言うことなので、少し準備をしてから伺うと約束してから電話を切る。
「準備すると言うが、この模型以外になにかあるのか?」
「まあ、手土産だよね。ガンツさん、悪いけどゴーシュさんの店に先に行くから」
「まあいいが、なにか約束でもしたか?」
「う~約束と言えば約束かな」
「それなら、さっさとすませてしまおう」
「じゃ、ゴーシュさんに連絡するね」
ゴーシュさんに連絡して、今はどっちの店にいるかを確認して、シュークリームの在庫も確認する。
「こっちにいるみたいだから、ちょっと行ってくるね」
ガンツさんとマサオを残して、ドワーフタウンのゴーシュさんのお店の転移ゲートの部屋に転移ゲートを繋いで潜る。
転移ゲートの部屋のドアを開けると、そこにゴーシュさんがいたので挨拶をする。
「こんにちは。ゴーシュさん」
「おう、ケイン君。シュークリームなんだが、まだ数が揃ってないんだ。悪いが、もうしばらく待ってくれ」
「いいですよ。なら、出来た分だけ貰ってもいいですか?」
「ああ、そこにある分はいいぞ。それと、牛乳を補充したいんだが、あるかい?」
「はい、いいですよ。じゃ、下のタンクに入れときますね」
「すまん。恩に着る」
「大げさですよ。それより、シュークリームの売れ行きは……聞くまでもないですね。いっそ、工場で作るのがいいかもしれませんね」
シュークリムを個数制限しているとは言え、日中はほぼフル稼働している感じから工場での生産をゴーシュさんに提案してみる。
「工場? それは、俺が作らないでもいいってことか?」
「そうですね。ゴーシュさんは監修という立場で、出来上がってくるシュークリームの製造に責任を持つ形で、出来上がりの確認をして貰うことになります。なので、ゴーシュさんは空き時間に新製品を開発したり、特注品を作ったりとかですね」
「ふむ。確かにそれなら、多少は楽になるな」
「いいんですか? なにか職人として、工場で大量生産するのに抵抗があるかと思ったけど」
「なに言ってるんだ? そもそもシュークリームはケイン君からのお願いで作ったのが最初で、後は試しにと店で売っただけだしな」
「そうなんですね。じゃ、それは俺の方で進めときます。それまでは申し訳ないですけど、ここで頑張って下さい」
「ははは。元はケイン君から始まったんじゃないか。それにシュークリームだけじゃなく他の菓子も売れてるんだぞ」
「はい! 美味しいですもんね」
ゴーシュさんとの会話を切り上げ、下の生乳タンクに補充すると奥さんに挨拶がてにいくつかの焼き菓子を購入してから転移ゲートの部屋に入ると、ガンツさん達が待つ工房へと戻る。
「ただいま。じゃ、行こうか」
「おう」
王都のデューク様のお屋敷の執務室へと転移ゲートを繋ぐとガンツさん達と一緒に潜る。
「お久しぶりです。セバス様」
「はい。お久しぶりです。まずはこちらへ」
「あ、その前になにかお皿かなにか用意してもらえますか? 出来ればジュディさんに」
「ジュディですか? 彼女がなにかしましたか?」
「あ、そうではなくですね。この前、ゴーシュさんのお店にお使いに出されたと思うんですけど、その時に約束をしまして」
「ああ、確かに聞いております。分かりました。では」
セバス様はそう言うと、近くに控えていたメイドの一人にジュディを呼び出して貰う。
数分もしない内にジュディさんが部屋のドアを開けて現れる。
「失礼します。お呼びと伺いましたが……あら、ケイン君。お久しぶりですね」
「ジュディ。呼んだの私です」
「あ、セバス様。すみません」
「はぁ~まあいいです。では、そのお皿をテーブルに置いて下さい」
「あ、はい」
「ケイン様、これでいいですか?」
「はい。ありがとうございます」
ジュディさんの用意したお皿の上にインベントリから出したシュークリームを盛り付けていく。
「はい、ジュディさん。これで約束は守りましたよね?」
「え? ケイン君がシュークリームを……あの、どういうことですか?」
「ジュディ。これは口外しないで欲しいのですが、あのお店にはケイン様が関わっています」
「ああ、そういうことなんですね。分かりました。決して口外することはありません」
「え? あの、張本人が言うのもアレなんですけど、あっさりと受け入れるんですね」
「ああ、だって『まさかのケイン』なんですから。では、セバス様。これは冷蔵庫に保管でいいんですね」
「ああ、お嬢様や奥様達に見つかっても勝手に手出しされないように守るんですよ」
「え? 私がですか?」
「不安ですか。それもそうですね。では、奥様達には勝手に食べた個数に掛けること十日分のデザートや甘味類を食することを禁止すると、私の名前で伝えてください」
「ああ、それならいけそうです。ありがとうございます」
ジュディさんが部屋から出るのを見送る。
「ケイン様。最近、あのお店の行列が凄かったのですが、最近は落ち着いていると聞いております。なにやら、シュークリームの個数を制限して売っているとかで。それにも関わっていたりしますか?」
セバス様が正直にと言う感じで俺を見る。
「はい。店主であるゴーシュさんや奥さんの疲れた姿を見て、なにも馬鹿正直に作って売るのではなく、一日の販売個数を決めて売れば、お店も落ち着くと提案しました」
「なるほど……」
「あと、お店も少し小さかったので、大きめのお店をドワーフタウンに用意して少し多めに作れるようにしました」
「なるほど、ドワーフタウンに出店させましたか」
「ええ。カイドー村からの移住もそろそろ始まるので、生乳とかの仕入れも楽になりますし」
「そうですね」
「なあ、そろそろ俺も喋って構わないか?」
「「あ!」」
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