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ガンボさんとの話も終わり、リディアさんの隠された才能も聞けたので、十分な収穫はあったと思う。これで学校関連は教科書以外は順調かな。
そう言えば、セバス様にスクールバスの件を聞くのを忘れていた。次にセバス様からの連絡があった時にでも聞いてみるしかないよね。

「ちょっと、手が空いたかな。なら、ドラゴニュータウンの様子でも見に行ってみるか。ガンツさんの耕運機も試したいし」
ゲートを繋いで……と、思ったが、そんなに離れてもいないし久々に魔導キックボードをインベントリから取り出す。
「じゃ、行こうか。マサオ」
『ん? 今日はゲートは使わないのか?』
「ま、近いし。たまにはいいじゃん。マサオの運動にもなるし」
『これでも、ダイエットしてんだぞ』
「その割には成果が目に見えないみたいだけど?」
『ぐっ……そ、その内に見えるようになる! 今は放っといてくれ!』
「ま、いいけど。そのうち、おやつの供給が止まるかもね」
『え? なんで……』

魔導キックボードに乗り、ドラゴニュータウンへと向かう。

ドラゴニュータウンに着くと、その様変わりに感心する。
「よくもまあ、この短期間にこれだけの草を刈れるもんだね」
前は、山の麓、森の入り口まで腰より高いくらいの草が茂っていたのに、今は単なる空き地と化していた。
「で、所々にあるのが雑草の塊か。じゃ、あれを回収しながら道路を作るかな。マサオ、行くよ」
『は? もう行くのかよ。少し休ませろよ』
「お前、ここまでそんな大した距離じゃないだろ?」
『ケインは、そんなのに乗っているから分からないんだよ!』
「そうか、そういうのは痩せてから言うんだな」
『ぐぬぬ』
マサオが俺を怠慢だと言うが、俺はダイエットが必要じゃないからな。

まずは河沿いに上流に向かって、道路を作っていく。
「じゃ、上流に向かって、ド~ン!」
俺の掛け声と共に両側四車線+歩道を両端に設置する。
『おいおい、妙な掛け声を出したと思ったら、この道路はどこまで続いてんだ?』
「気になるなら、行ってくれば?」
『おいおい、シャレがきついぞ。一体、向こうまで何キロあると思ってるんだ?』
「ほら、気になるだろ?」
『そういう意味で言ったんじゃないんだが?』

「よし、次は住宅地だね」
まずは住宅用として、ドワーフタウンとの境目の道路から河沿いに上流に向かって一キロメートル先に今度は河に対して、垂直に道路を作成する。
「じゃ、もう一回ド~ン!」
ドワーフタウンとの境目の道路に平行に森の境界に向かって、両側四車線+両端に歩道を付けた状態で設置する。
『今度は、森の方かよ』
「ほら、走っていいぞ?」
『走らねえよ!』

後は区割りをどうするかだけど、河岸から水田、畑、果樹園でいいかな。
「よし、大体の区割りは出来た。マサオ、行くよ!」
魔導キックボードに乗りながら、ド~ン、ド~ン、ド~ンとそれぞれの区分けと道路を作っていく。もちろん、傍に積まれていた雑草の塊を回収するのも忘れない。

「水田には水路と、溜池が必要になるよな。まあ、それは後でもいいか」
マサオと一緒に走り回り、道路の出来上がりを確認しつつ雑草を回収する。

『はぁ~もうこれで終わりでいいんだよな?』
「ああ、雑草の回収は終わったよ。じゃ、ガンツさんのところに戻ろうか?」
『もう行くのかよ。少しは休ませてくれよ」
「いいから、走る! もし、ダイエットが成功したら、ご褒美があるかもよ?」
『なに! 本当か! ほら、遅いぞ! ケイン!』
気を良くしたマサオが俺を尻目にさっきまでのだらけ具合が嘘の様にすごい速さで走り出す。
「普段から、そうすればいいのに」

「ガンツさ~ん、調子はどう?」
「おう、ケインか。もうすぐ出来上がるぞ。で、ケインの方はどうなんだ?」
「うん、レイアウト編集はなんとか出来たよ」
「ほう、出来たか。ワシの方が早いと思ったんだがな。まあいい、じゃ早速試運転と行こうじゃないか」
「うん、いいね」
「で、マサオの姿が見えないが? どうした? まさか、捨てて来たのか?」
「ガンツさん、洒落にならないよ……マサオなら今は、工房の外でくたばりかけてるよ」
「くたばりかけている? ケイン、やっぱりお前、マサオに……」
「だから、違うから。マサオは単に走り疲れているだけだからね」
「ほう、それはまたどうして、そんなことに?」
「理由は単純なんだよ。さっき、ドラゴニュータウンの整備をしてきたんだけど、その行き帰りに走っただけだからね」
「ほう、もう整備し終わったのか?」
「うん、イーガンさん達が雑草を刈ってくれたからね。なんか特別手当でも考えないとダメだね。後で欲しいものがないか、聞いといてよ」
「特別手当はいいが、なにか欲しいかは自分で聞けばいいだろ?」
「え~手伝ってくれないの?」
「なんじゃ、ワシの手伝いが目当てか?」
「だって、ガンツさんも関係あるでしょ?」
「ワシが? なんで、そうなる?」
「だって、これから作るのはほとんどがお酒の原料になるんだからね。関係あるでしょ?」
「ふむ、そうか。そう来たか」
「ね? さらにこれからは農業用の機械が必要になるから、ガンガンに関わるんだけどね」
「まあ、そうなりゃそうなったで、色々楽しみだがの」
ガンツさんがニヤリと不敵に笑う。

「まあ、その前にせっかく作った畑を面倒見てくれる人がいないんだよね」
「それもそうじゃが、その前に試運転じゃ。ほれ、行くぞ! あ、それよろしくな!」
ガンツさんが「よろしく」と指を差すのは耕運用のアタッチメントだ。
「まあ、いいけどさ」
インベントリにアタッチメントを収納するとガンツさんと一緒に下に向かう。
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