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◆いろんなお兄さんができました

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夕食の後にリーサさんに相談があるからとソファに座ってもらう。
「俺達がいてもいいのか? なんなら、席を外すぞ?」
「父さん、別に聞かれて困ることじゃないから、いいよ」
「そうか」
そう言って、父さんはソファに座り直す。席を外すと言いながらも俺がなにをするつもりなのかが心配らしい。少しは信用して欲しいものだけど、さっき組合相手のケンカなら買っちゃいますと宣言したばかりだし、信用してもらうのは難しいか。
リーサさんもソファに座り、ついでというか、この話の主役であるデイヴとメアリーにも座ってもらう。

「で、ケイン。メアリーとデイヴもいることから、私達家族に関することだと思うんだが、あっているかな」
リーサさんの問いに頷く。
「そうか、入学式とやらがあるとメアリーに聞いたばかりだが、話はそのことだろう?」
また、頷く。
「ふむ。そうか、ケインの考えていることは分かった。私が様子を見てこようじゃないか」
「リーサさん、お願いしてもいいの?」
「ケイン、これは私達家族の問題だ。まあ、ケインも広義では既に家族だが、あの人の相手は難しいだろう。だから、まずは私が話をしてくるから」
「ありがとう、リーサさん」
「「???」」
俺とリーサさんの会話についていけずにポカーンとするメアリーとデイヴの二人。
「ねえ、ケイン。私達にはなにを言っているのかさっぱりなんだけど?」
「あ~ごめんね。メアリーはガンボさんといたから、知っていると思うんだけど、入学式に親と一緒に式に出るってのを話したじゃない。だから、デイヴもカーティスさんだけじゃなくリディアさんも一緒の方がいいんじゃないかなと思ったんだけど、どうかな?」
「私には分からないわよ。デイヴ、あんたはどう思うの?」
「僕? 僕はお父さんもお母さんも一緒がいい!」
「そうか、デイヴは一緒がいいんだね」
「うん、そう。ダメ?」
「いや、ダメじゃない。ダメじゃないから、リーサさんにお願いしようか」
「うん、分かった。リーサお姉さん、お願いします」
「分かった。デイヴの為にも頑張るからな」
「リーサさん、俺からもお願いがあるんだけど、いいかな?」
「なんだ? 改まって」
「実はさ、クレイグさんみたいに研究してくれる人を探しているんだ。もし、ドワーフタウンに来てくれるなら、クレイグさん同様の生活レベルは保証するからさ」
「そうか、分かった。なら、クレイグも連れて行くか」
「そうだね、その方がいいかもね」
「なら、ケインの話はこれで終わりでいいのかな?」
「うん、俺の話はここまで。聞いてくれてありがとうね」
「いや、私達家族の問題でもあるからな」
リーサさんにお礼を言うと、リーサさんの家の前にゲートを繋いで見送る。
リビングに戻ると父さんが難しい顔をしている。
「父さん、どうしたの? 難しい顔をしているけど」
「ああ、お前のことだ。どうしても組合に対してケンカを売るんだな?」
「父さん、俺からは売らないよ」
「なあ、いいか。お前にその気が無くても、あの紙を売るのなら、それは組合に対しケンカを売るのも同義だ。お前は自分からケンカを売らないと言っているが、お前のやっていることは正面からケンカを売る行為だ。それが分からないお前でもあるまい」
「やっぱり、父さんにはお見通しなんだね」
「まあな。で、お前の本心はなんだ?」
「別に本心という訳じゃないんだけどね」
「もったいぶらずに言えよ」
「じゃあ、言うけど反対しても無駄だからね」
「とりあえずはお前の話を聞いてからだ。さあ、話せ!」
「実はね、塩と砂糖も作れるようになったんだ。それだけ」
「お、お前は……紙だけじゃなく、塩と砂糖にもケンカを売るのか!」
「その内、胡椒とかもね」
「ハァ~なんでそうなる!」
「だって、海が近くにあるんだから、うまい塩が欲しいじゃない。それに砂糖も今以上の品質のが欲しいからね。これが揃うと、今度は胡椒が欲しくなるよね。なぜなら、美味しい食事には塩、砂糖、胡椒の調味量は基本でしょ。って、ことで順次展開していきたいと考えているんだ」
「まあ、いい。一気にはしないんだな。それだけは約束してくれるか?」
「うん、分かったよ」

「父さん、話は終わったの?」
「ああ、終わったと言うか、これ以上は頭が追いつかん」
「ケイン、ほどほどにね」
「うん、できるだけ頑張るよ。クリス兄さん」
「じゃあ、今度は僕からのお願いなんだけど、いい?」
「まずは聞いてからでいいかな?」
「それもそうだよね。じゃあ、まずは話すね。実はさ、さっきの帳票なんだけど、まとめて印刷することは出来ない? ほら、今はさ複合機でもある程度は数をこなせるけどさ、出来ればまとめてドンと欲しいんだけど、どうかな?」
「それなら、出来るよ。クリス兄さんのタブレットで原本を作って、表紙を作って、まとめる頁数を決めてくれれば、後は製本するだけだから」
「そうなんだね。で、後はなにを決めればいいのかな?」
「まずは、帳票の紙の大きさだよね。伝票サイズとか色々あるでしょ。まずはそれを決めてから、帳票に印刷する内容を決めてくれれば、後は印刷してまとめるから」
「分かったよ。準備するね」
「あ、ちょっと待って!」
「あれ、ケインが僕に話があるの?」
「そう、クリス兄さんは教師をする気はない?」
「教師? 僕が?」
「そう、算数でもいいけど、クリス兄さんが忙しいのは知っているから、週一か二か三で一時間でソロバンを教えてもらえればなと思ってさ」
「僕が? ソロバンを?」
「ダメ? ちゃんと報酬も約束するよ」
「いや、ダメじゃないけど……少し考えさせてもらえるかな?」
「うん、いいよ。十分に考えて」
「分かった。ありがとうね。とりあえず前向きに考えてみるから」
「うん、分かった」
それじゃあとソファから立ち上がろうとしたら、サム兄さんに止められる。
「なあ、俺にもなにか教えられることはないのか?」
「サム兄さんが? 人に教える? 本気?」
「お前、俺とクリスじゃ全然態度が違わないか?」
「そう? 気のせいじゃない」
「そうか、まあいいから、俺でも教えられることはないのかな?」
サム兄さんに、そう言われ思いつくのは体育教師だ。ひょっとしたら、本当に体育教師としてやっていけるかもしれないな。うん、面白そうだから頼んでみようかな。
「分かった。サム兄さんにも考えとくよ」
「そうか、頼むな」
サム兄さんからの無茶振りと言うか、俺にもなにかやらせろ的な発言から、サム兄さんの体育教師が決まる。そして授業としての体育を組み込むのなら、体操服も用意しないと。
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