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◆欲しいのは一緒でした

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ガンボさんが、俺に呆れながらも一応は聞いてくれるようだ。
「ほれ、話してみろ」
「うん。じゃあ言うね。研究者を探しているんだけど、誰か紹介してもらえないかな?」
「また無理な注文じゃな。こっちが教師を探していると言うのに、そんなワシが研究者を紹介出来るとでも思っているのか?」
ガンボさんの言うことも尤もだ。やっぱり、エルフの里にも声をかけてみるか。そうなると、アノ人もいるんだよな。どうしよう。
とりあえず、ガンボさんの言うことに応える。

「そういや、そうだった。でもさ、教師になるのがイヤな研究者もいるんじゃないの?」
「う~ん、そう言われると思いつくのが何人かはいるか……な」
「じゃあさ、ダメ元で紹介してくれない?」
「まあ、待て! その前にお前が探しているのはどんなことを研究している連中なんじゃ? それが分からんことには紹介も出来んぞ」
「それもそうだね。まずは製紙というか、作る紙の種類を増やしたいんだ。だから、紙の性質に詳しい人が欲しい。後は、鉱石とかの配合を変えて合金を作れる人、それとは別に興味を持ってくれて真面目に研究してくれる人かな」
「紙は分かるな。だが、そういう研究者はすでに囲われている場合が多いぞ。それと鉱石とか金属類の研究もそうじゃな。まあ、この辺はワシらドワーフの範疇じゃから、一応声を掛けてはみるが期待はしないでくれ」
「うん、分かったよ。お願いね」

ガンボさんへのお願いは終わったので、帰ろうと思ったが、気になったことを聞いてみる。
「ガンボさん、入学式って誰を呼ぶか決まったの?」
「ん? なんじゃ、その入学式ってのは?」
「え? しないの?」
「いやいや、そもそもなんなのかが分からないんじゃが?」
「あれ? 王都の学校でもしないのかな?」
「ケイン、もし王都の学校でしているとしても、それをワシらが知っていると思うか?」
学校行事として、当たり前に行われるもんだと思っていたけど、こっちの世界ではないのかな? もう少し王都の学校について調べておけばよかったかな。

「ガンツさん。そうか、そうだよね。王都の学校に行けるのは、お貴族様か、それ相応の大商人だもんね」
「そういうことだ。まあ、ケインがなぜそれを知っているのかは聞かないでおこう。それで、その入学式ってのはなにをするんだ?」
「簡単に言えば、お披露目?」
「なにをお披露目するんじゃ?」
「校長先生は誰で、担任教師が誰で、一緒に学校に通うのは、こういう子達ですよって感じ
?」
「疑問形なんじゃな」
「ガンツさん。だって、俺もよく知らないし。要は親に生徒と一緒に学校に来てもらって、今日から一緒に勉強するお友達と教師を紹介する場と思ってくれたらいいから。それに学校へ入るのも子供にとっての一つの節目でしょ? なら、親も呼ばないと」
「まあ、親としても子供を学校に入学させても、なにをするかは分からないのは不安じゃろうから、ケインの提案に乗るのも悪くはないな」
「じゃあ、ガンボさんは入学式はやるってことでいいんだね?」
「ああ、分からないなりにやってみよう!」

入学式をすることに半ば乗り気になってくれたのなら、今度は校長先生や来賓の挨拶だよね。
「じゃあさ、新入生に対して歓迎の言葉というか、激励みたいな挨拶も必要だよね?」
「そう、なのか?」
「校長先生として、ガンボさんはするでしょ。それに町長としてガンツさん」
「ワシもするのか?」
「だって、この街一番のお偉いさんじゃない。当たり前だよ」
「いや、しかしワシが……」
「なるべく短めでお願いね。そして、領主の挨拶もいるよね。これは後でセバス様に確認するとして」
「待て! 領主も呼ぶのか?」
「え? ダメ?」
「いや、ダメというか、そもそも来てくれるのか? 確か王都の学校に長女が入学するんだろ? それに着いて行ったのだから、そっちに出席するんじゃないのか?」
「なら、セバス様に確認してから、入学式を午前中にするか午後からにするか決めればいいよね」
「まあ、それならいいか」
「なあ、ケイン。それで入学式は、その新入生とやらと、その親御さんを呼んで、子供の節目に参加してもらう。これでいいんじゃな?」
「そう、ガンツさん。それで合っているよ」
「それで、教科書も、その入学式で配るのか?」
「ああ、それもあったね。それは入学式が終わった後にでも教室で配ればいいんじゃないかな。通学バッグとノートや筆記具と一緒にさ」
「待て! 配るのは教科書だけじゃないのか? その、通学バッグとかは初耳なんじゃが?」
「ガンボさん。とりあえず今年の入学生には俺からの寄贈品ということで贈らせてもらうから。ご心配なく」
「そうか、まあ最初に揃えられん子もいるかも知れんしの。それは任せる」
「うん。それで揃えるのはいいんだけどさ、新入生は何人くらいになる予定なの?」
「とりあえず確認が取れたのは百人じゃな」
「百人か、思ったより少なかったね」
「ああ、まだ不信感を持つ親もいるし、ドワーフタウンまで来るのが難しい子もいる」
「それって、領都の子達?」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、なにか乗り物を用意してあげれば、それは解決するの?」
「まあな、そう思っていいじゃろ」
「じゃあさ、あのマイクロバスを少し大きくしてさ、通学用に作ろうよ」
「おお、それはいいな」
「待て! 作るのはいいが、誰が運転するんじゃ?」
「ああ、そこがダメか」
「思いつきはいいが、今から運転手は用意出来んじゃろ」
「じゃあ、魔導列車で来てもらうしかないね」
「それは考えたが、領都の端の子は駅まで辿り着けんじゃろ」
「それは、マイクロバスで頑張ってもらおうよ」
「そうか、領都内なら領主に頼めばなんとかなりそうじゃな」
「でしょ。その辺も含めてセバス様に確認しとくね。本当はスラムや孤児院の子も通って欲しいんだけどね」
「ケイン、気持ちは分かるが、それは深入りし過ぎじゃ」
「ガンツさん、そうだよね」
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