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◆興味ありませんでした

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保育所でマサオと一緒にもみくちゃにされながらも、子供達の注目をなんとかマサオだけに集中させることで、逃げ切りリーサさんとのんびりとお茶を飲みながら帰宅予定の時間まで過ごした。

「そろそろ、帰宅予定だからマサオも解放してやってくれ」
「もう、そんな時間か~思ったより早かったね」
「その分、マサオはお疲れみたいだぞ。ほら、見てみろ」
そう言われマサオをみると腹ばいになり疲れ切っていた。
マサオの側に行き、声をかける。
「マサオ、お疲れ」
『(後で覚えてろよ。俺一人に押し付けやがって)』
「さっき、喋ろうとしただろ。その罰だな」
『(な、なんのことかな~)』
「まあいい、そろそろ家に戻るから、お前も帰れ」
『(なんでだよ。そこは俺も家に連れて行く流れだろうが!)』
「いや、だってノミとかいるだろ。流石にいやだよ。家にはまだ赤ん坊がいるんだからな」
『(ノミなんかいないって!)』
「じゃあ、風呂に入ってもらうがいいか?」
『(分かった。そのくらいなら……)』
「何だ、風呂が怖いのか」
『(怖いわけじゃない。ただ……)』
「ただ?」
『(誰か洗ってくれるんだよな? 俺一人じゃ洗えないぞ)』
「あ~そうか、そう来たか。俺か~俺がやるしかないのか~」
「ケイン、どうした? こっちの準備は終わったぞ」
「ケインお兄ちゃん、マサオは大丈夫?」
「リーサさん、早かったね。デイヴありがとうね。マサオは大丈夫だから。ほら、マサオ行くから立って。」
マサオがのそりと立ち上がり、俺の側に来る。
「メアリーもいるね。よし、家に繋ぐよ」
ゲートを家に繋ぎ一緒に潜る。

「「『ただいま~』」」
「「お邪魔しま~す」」
「おう、お帰り……って、ケイン! その犬はなんだ! 赤ん坊がいるんだから、家の中はダメだぞ。外に置いて来なさい!」
「父さん、今から風呂に入れるから。ちゃんと綺麗にするからさ。お願い!」
「本当にちゃんとお世話するんだな」
「うん、だから、ね? いいでしょ」
「まあ、お前が世話すると言うのなら、いいだろう。なら、さっさと風呂に入れてやれ」
「分かった。ありがとう父さん」
『おっさん、ありがとうな』
「ああ、いいから。ん? 今『おっさん』って言ったか?」
「え? なんで俺がそんなこと言うのさ」
「そうか、それもそうだな……おかしいな。確かに聞こえたんだが」
父さんが、ふとデイヴを見るが首を横に振り「この子じゃない」と呟く。
そんな父さんの様子を見ながら風呂に向かう。
歩きながらマサオの頭を軽く叩き「喋るな」と注意すると『スマン』と言われる。

風呂に着くと着替えを取って来るから、ここで待つようにマサオに言う。
「いいか、絶対に動くなよ」
『ああ、分かった』
マサオに言い聞かせ、風呂から出て自室に向かう。

『ここで待てと言われても暇だな~洗ってくれるのはいいが、野郎だもんな~出来れば女性がいいんだけどな~』
そんなことをマサオがボ~ッとしながら考えていると、不意に浴室の扉が『ガラッ』と開かれた瞬間『ぎゃ~』と叫び声が放たれた。
するとマサオも驚き思わず声が出る。
『うぉ~~~~~』
そんな叫び声が聞こえたものだから、リビングから父さんを先頭に皆んなが風呂に入ってくる。
「なんだ、どうした!」
父さんが風呂に入ると、そこにはタオルを全身に巻いたヘレンさんと頭を抱えて蹲るマサオがいた。
「これはどういう状況なんです?」
父さんがヘレンさんに手を貸しながら、そう問いかける。
「ワシが風呂から出るとそいつがいたから驚いて声が出てしもうたんじゃ」
「あれ? 叫び声は二人分だった気がするけど」
「クリスもか、俺もそう思った」
「そう言えばヘレンさんが入っていることをケインに言うのを忘れていたな。で、そのケインはどこに言ったんだ?」
『着替えを取りに行っている』
「そうか、ありがとう……ん? 今誰が言った?」
「俺じゃないよ」
「僕でもない」
「ワシは言うとらん」
「と、なると……まさかな」
皆んなの目がマサオに向けれらる。

「いや、でも『まさかのケイン』だし、あり得るのか」
そこに着替えを持って、ケインが風呂に入ってくる。
「みんなしてどうしたの?」
「ああ、いやな。さっきヘレンさんが叫ぶもんだから」
「ヘレンさん? え~なんでヘレンさんがいるのさ」
「いや、ヘレンさんが風呂に入っているのをお前に言うのを忘れていてな」
「そうなの。じゃ、ヘレンさんは早く着替えて出てくれる」
「ケイン、お前はお年寄りに対する労りというもの「はい、いいから。早く着替えてね」をな」
みんなを風呂から追い出しマサオを連れて風呂から出ると風呂の扉を閉める。

着替えを持ってリビングへと戻りヘレンさんが風呂から出るのを待つ。
「なあ、ケイン。さっき不思議なことがあってな」
「なに不思議なことって?」
「実はな、風呂場でケインがいなかったから、どこにいるんだって聞いたんだよ。そしたらさ、誰とも分からない声で『着替えを取りに行った』と聞こえたんだ」
「へ、へえ不思議なこともあるもんだね」
「ああ、父さんもそんなことは初めてでな。さっきも『おっさん』って聞こえたし」
「本当に不思議だね~」
「そうなんだよな~でも、『まさかのケイン』だし。そういうこともあるのかな~とか思ったりしてな」
『暗に疑ってますよ』と言う目で俺を見て来る父さんと『スマン』と言いたげに伏し目がちにこちらを見ているマサオ。
そして全てを理解してしまった俺。

「分かった。わかりました。正直に話すからヘレンさんが出て来るまで待って。出来れば一度に済ませたいから」
「なら、母さんもいた方がいいな。サム頼む」
「分かった。呼んでくる」

そこへ頭をタオルで拭きながらヘレンさんが風呂から戻って来た。
「まったくケインはもう少し年寄りに「ヘレンさん、大事な話があるからそこに座って」……なんじゃ、ついにワシのところに婿入りする話か!」
「ヘレン、言っていい冗談と言わない方が寿命を全うできる冗談があると教えたはずですが……」
リーサさんがヘレンさんの首に手を当てながら言う。
「リーサさんもそこに座って」
そこにサム兄さんに呼ばれた母さんも合流する。
「ケイン、改まった話って何? あらリーサさんを横に座らせて、まさか! 同棲のお許しが欲しいってことなの。もう、そんなのお許しなんて必要ないわよ。いつでも遠慮することなく持っていっていいのよリーサさん」
「お義母様、それは本当ですか? ありがとうございます。一生大事にしますんで」
「ちょっと、母さん。リーサさんもそういうことは俺からちゃんと話すから。今は違うことなの」
「まあ、ケイン。ケインは自分の口から言いたいのね。いいわよ、ほら、さあ言って!」
「母さん……」
「お義母様……」
『なあ、もう喋ってもいいんだろ?』
「「「「「「「「え~」」」」」」」」
「マサオ、早いよ。まずはちゃんと説明してからと思ったのにさ」
『でもよ、流れ的に俺が喋れることを告白する流れだろ。俺ってばナイスタイミングってやつじゃん』
「そこはほら段階的に誰も驚かないようにしないとさ。今、この家には明日も息しているか分からない高齢のおばあさんもいるんだし」
「ケイン、お前の考えはよ~く分かった。じゃが、その犬に関してはもう手遅れじゃろうて」
「ヘレンさん、逝かなかったんだ」
「ケイン、それはどういう意味かの?」
「いや、意外と心臓強いんだねって思って」
「そうかいそうかい、とりあえずは褒め言葉と受け取っておこうかね。それで、そいつはどう説明するんだい」
「それは……」
説明する前に皆んなの様子を見てみると、一応は意識はあるみたいだけど大丈夫かな。
「マサオ、自分で説明して」
『俺がするのかよ』
「いいから、全部ちゃんと話して」
『分かった。じゃあ話すな』
皆んなを見ると何が話されるのかと興味津々という感じでマサオを見つめる。
『……』
「どうしたの? 話しなよ」
『照れる……』
「は~今更」
「なあ、ちょっといいか」
「何、父さん」
「さっき『おっさん』って言ったのは、その……マサオでいいんだな?」
「どうなの?」
『そうだ。俺が言った』
「分かった。すまんかったな。それが分かれば俺はいい」
「そう言われれば、そうだね。単に喋れる犬だもんね」
「まあ、俺も喋れる犬がいればいいなと思ってたしな」
「あれ? 父さん達はそれでいいの? もう少し何か質問みたいなことがあるかと思ってたのに」
「いや、いつも通りの『まさかのケイン』だし」
「そうだよな」
「だよね」
「リ、リーサさんは何なマサオに聞きたいことはないの?」
「私か。う~ん……すまんが明日でもいいか。いや一週間後でお願いする」
「そんなに思いつかないものなの? 他の人も一緒?」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
『まさかの興味なし……』
「まあ、そんなに気にするなって。仲良くなれれば、皆んな興味を持ってくれるからさ、ね」
『はぁ~』
「もういいなら、風呂に行くね。ほら、マサオ行くよ」
『ああ、ハァ~』
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