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◆結局バレました
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俺の腕を噛み千切ることが出来ずしょぼくれるマサオに向かって一言告げる。
「約束は約束だからな」
『くっ分かったよ』
そんな俺達の会話を聞いていたデューク様が言う。
「それで、呪いの効果の詳細は教えてくれないのか?」
「今、聞きたいですか? まあ、明日の晩に罠に掛かったとしても実際に発動するのは明後日ですよ。待てませんか?」
「旦那様。今、内容を聞いてしまうと罠を仕掛けることに躊躇することもあるかと思いますので、この場では聞かない方がいいかと」
「セバスは聞いているのか?」
「そうですね、旦那様が乗る車に仕掛けられた場合は私にだけ警報が聞こえるとは伺っております」
「ん? ってことはだ。マイクロバスやバイクの連中も同じように、そいつらだけに警報が聞こえるって訳か」
「そうですよ。デューク様も追加します?」
「いや、いい。そのままにしといてくれ」
「……そうですか。残念です」
「何で残念がるんだ?」
「それは体感していただいた方がいいかと思ったので……」
「お前、その顔は嘘だろ。ったくよ、俺で遊んでやがる」
デューク様がしばらく考えに耽った後に口に出す。
「お前の考えは大体分かった。俺達が罠を仕掛け、それに乗っかった不埒な輩を纏めて退治してしまうか、おいそれと手を出してはいい存在じゃないことを知らしめるってことだな」
「そうですね。それで合っています」
「ハァ~ちょっと待てな。今までのを纏めるとドワーフタウンには竜とフェンリルがいて、竜の方も今はおとなしくしているんだな」
「そうですね」
『俺は暴れるつもりはないぞ。特に何もされない限りはな』
「だが、その白くて大きな毛皮を欲しがる馬鹿は現れると思うぞ。気を付けるんだな」
『俺が毛皮にされるって言うのか?』
「まあ、そんなことを考えて手を出す馬鹿もいるってことだ。お前に暴れて欲しくはないからな。ちゃんとケインの側にいろよ」
『げ~人間て変わっているんだな~』
「山に帰りたくなったろ?」
『何言ってんだ。まだナーガにもちゃんと会っていないのに』
デューク様が軽く言い合う俺達を見て嘆息する。
「まあ、その二人に何か有ってもケインが対応するってことでいいんだよな」
「駄竜は納得出来ませんが、マサオに関しては了承です」
「頼むぜ、おい」
その後、王都についてからの荷物と馬車の受け渡しについて、セバス様も交えて確認し後は明日を待つだけとなったところで、お屋敷からお暇することにした。
「じゃ、これで失礼しますね」
「ああ、明日はよろしくな」
「ええ、では」
『なあ、俺も王都に行っていいのか?』
「いいんじゃない」
『そうか、楽しみだな』
「待て、マサオも連れて行く気か?」
「ええ、そのつもりですけど?」
「なあ、どっかに縛り付けてからお前だけ王都に来るというのはダメなのか」
「縛り付けるのはいいですけど、多分それごと引き抜いて追いかけて来ますよ」
「そうか、そうだよな。フェンリルなら、そのくらいはするよな。ふぅ」
「何か心配ですか?」
「まあいい。いいか? 王都では目を離すなよ」
「善処します」
「不安だな~」
部屋から出て、玄関に向かっていると後ろから『タタタッ』と音がしたと思ったら腰に抱きつかれる。
振り返るとマリー様が俺の腰に抱き着き、上目使いで俺を見る。
「マサオとあそびたい! ねえ、いいでしょ~」
「いや、俺達はもう帰るんで」
「マリー様~そこはもっと~ぐっと~目力を込めて~」
「何やらせてんですか! リリスさん」
「だって~私もマサオと遊びたかったのに~」
『俺はいいぞ』
「お前が良くても俺がダメなの」
『いいじゃねえか。どうせ戻ってもじいさん達しかいないんだから』
「そうは言うがな、そのじいさん達が面倒なんだろ。はぁ……ん? どうしたんですか? マリー様、リリスさんまで」
「「しゃべった……」」
「は? あ~」
キッとマサオを見ると『俺が何した』と言う感じで俺を見る。
『何だよケイン。そんな怖い顔して』
「何で普通に話してんだ!」
『何でって……もしかして、やっちまったか?』
「ああ、十分にな」
「ケイン様、もしかしてですが……マサオは……」
「な、何のことですか。マサオは見ての通りの普通の大き目な犬ですよ」
『そうだぜ、今はこうやって犬のふりをしているだけだがな。どっからどう見ても犬だろ?』
「バカ……」
『あれ? まさか、またやっちまった?』
「ふふふ、きいたの。こんどはしっかりきいたの。マサオ、あなたはなせるのね」
「マリー様、気のせいですよ。多分……」
『ああ、大体犬の俺が話せる訳がないっての。なあ、ケイン』
「このバカ!」
ハリセンで『スパ~ン』とマサオの後頭部を叩く。
『痛っ、何で叩くんだよ』
「いいから、お前はもう喋るな!」
『あれ? 俺しゃべってた?』
「ええ、とても流暢に」
「マリーにもきこえた!」
「ふぅ、マリー様、リリスさん。この件は秘密にしてもらうわけにはいかないでしょうか」
「ふふふ、どうします? マリー様」
「え~マリーわかんない」
「そうですか。では、今からマリー様と遊んでいただくというのはどうですか~」
「うん、それでいい!」
「分かりました。マリー様、今からお庭でマサオと一緒に遊びましょうか」
「うん! いこう」
マリー様に手を引かれお庭へと連れて行かれる。
「約束は約束だからな」
『くっ分かったよ』
そんな俺達の会話を聞いていたデューク様が言う。
「それで、呪いの効果の詳細は教えてくれないのか?」
「今、聞きたいですか? まあ、明日の晩に罠に掛かったとしても実際に発動するのは明後日ですよ。待てませんか?」
「旦那様。今、内容を聞いてしまうと罠を仕掛けることに躊躇することもあるかと思いますので、この場では聞かない方がいいかと」
「セバスは聞いているのか?」
「そうですね、旦那様が乗る車に仕掛けられた場合は私にだけ警報が聞こえるとは伺っております」
「ん? ってことはだ。マイクロバスやバイクの連中も同じように、そいつらだけに警報が聞こえるって訳か」
「そうですよ。デューク様も追加します?」
「いや、いい。そのままにしといてくれ」
「……そうですか。残念です」
「何で残念がるんだ?」
「それは体感していただいた方がいいかと思ったので……」
「お前、その顔は嘘だろ。ったくよ、俺で遊んでやがる」
デューク様がしばらく考えに耽った後に口に出す。
「お前の考えは大体分かった。俺達が罠を仕掛け、それに乗っかった不埒な輩を纏めて退治してしまうか、おいそれと手を出してはいい存在じゃないことを知らしめるってことだな」
「そうですね。それで合っています」
「ハァ~ちょっと待てな。今までのを纏めるとドワーフタウンには竜とフェンリルがいて、竜の方も今はおとなしくしているんだな」
「そうですね」
『俺は暴れるつもりはないぞ。特に何もされない限りはな』
「だが、その白くて大きな毛皮を欲しがる馬鹿は現れると思うぞ。気を付けるんだな」
『俺が毛皮にされるって言うのか?』
「まあ、そんなことを考えて手を出す馬鹿もいるってことだ。お前に暴れて欲しくはないからな。ちゃんとケインの側にいろよ」
『げ~人間て変わっているんだな~』
「山に帰りたくなったろ?」
『何言ってんだ。まだナーガにもちゃんと会っていないのに』
デューク様が軽く言い合う俺達を見て嘆息する。
「まあ、その二人に何か有ってもケインが対応するってことでいいんだよな」
「駄竜は納得出来ませんが、マサオに関しては了承です」
「頼むぜ、おい」
その後、王都についてからの荷物と馬車の受け渡しについて、セバス様も交えて確認し後は明日を待つだけとなったところで、お屋敷からお暇することにした。
「じゃ、これで失礼しますね」
「ああ、明日はよろしくな」
「ええ、では」
『なあ、俺も王都に行っていいのか?』
「いいんじゃない」
『そうか、楽しみだな』
「待て、マサオも連れて行く気か?」
「ええ、そのつもりですけど?」
「なあ、どっかに縛り付けてからお前だけ王都に来るというのはダメなのか」
「縛り付けるのはいいですけど、多分それごと引き抜いて追いかけて来ますよ」
「そうか、そうだよな。フェンリルなら、そのくらいはするよな。ふぅ」
「何か心配ですか?」
「まあいい。いいか? 王都では目を離すなよ」
「善処します」
「不安だな~」
部屋から出て、玄関に向かっていると後ろから『タタタッ』と音がしたと思ったら腰に抱きつかれる。
振り返るとマリー様が俺の腰に抱き着き、上目使いで俺を見る。
「マサオとあそびたい! ねえ、いいでしょ~」
「いや、俺達はもう帰るんで」
「マリー様~そこはもっと~ぐっと~目力を込めて~」
「何やらせてんですか! リリスさん」
「だって~私もマサオと遊びたかったのに~」
『俺はいいぞ』
「お前が良くても俺がダメなの」
『いいじゃねえか。どうせ戻ってもじいさん達しかいないんだから』
「そうは言うがな、そのじいさん達が面倒なんだろ。はぁ……ん? どうしたんですか? マリー様、リリスさんまで」
「「しゃべった……」」
「は? あ~」
キッとマサオを見ると『俺が何した』と言う感じで俺を見る。
『何だよケイン。そんな怖い顔して』
「何で普通に話してんだ!」
『何でって……もしかして、やっちまったか?』
「ああ、十分にな」
「ケイン様、もしかしてですが……マサオは……」
「な、何のことですか。マサオは見ての通りの普通の大き目な犬ですよ」
『そうだぜ、今はこうやって犬のふりをしているだけだがな。どっからどう見ても犬だろ?』
「バカ……」
『あれ? まさか、またやっちまった?』
「ふふふ、きいたの。こんどはしっかりきいたの。マサオ、あなたはなせるのね」
「マリー様、気のせいですよ。多分……」
『ああ、大体犬の俺が話せる訳がないっての。なあ、ケイン』
「このバカ!」
ハリセンで『スパ~ン』とマサオの後頭部を叩く。
『痛っ、何で叩くんだよ』
「いいから、お前はもう喋るな!」
『あれ? 俺しゃべってた?』
「ええ、とても流暢に」
「マリーにもきこえた!」
「ふぅ、マリー様、リリスさん。この件は秘密にしてもらうわけにはいかないでしょうか」
「ふふふ、どうします? マリー様」
「え~マリーわかんない」
「そうですか。では、今からマリー様と遊んでいただくというのはどうですか~」
「うん、それでいい!」
「分かりました。マリー様、今からお庭でマサオと一緒に遊びましょうか」
「うん! いこう」
マリー様に手を引かれお庭へと連れて行かれる。
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