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◆装備は充実させました

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ガンツさんの車がもう少しで完成という所で父さんから連絡が入る。
「ガンツさん、父さんがもう手が空いたって。ガンツさんの方はどう?」
「ワシの方ももう少しじゃ。ケインは旦那を迎えに行ってやれ。ワシもすぐに追いつくから。」
「分かったよ。じゃ、先に行くね。」
「ああ。」

一度、父さんの店に出ると既に父さんが待っていた。
「おお!びっくりするじゃない。どうしたの?」
「いや、待ちきれなくてな。じゃ行こうか。」
「休ませてもくれないの?」
「ん?休む必要なんてないだろ。ほら、繋いでくれよ。」
「もう、分かったよ。はい、潜ってね。」
「分かったから、押すなよ。お~ここは…どこだ?」
「分かんないよね。ここはドワーフタウンの教習所だよ。今日は、こっちの大型車用のコースを使うから。」
「お、おう分かった。」

父さんと大型車の教習所に入り、父さんに車を出してもらう。
「出し方は教えては、もらったが緊張するなあ。」
「いいから、出さないと乗れないじゃん。」
「わ、分かったよ。じゃ出すぞ。『解除』」
『ドスン』という音と共に父さんの白い車が出現する。
「うわぁ…で、でかいな。本当にこれを俺が運転するのか。」
「無理?」
「いや、無理とは言わないが、少し練習させて欲しい。」
「いいよ、ここを使って。」
「ありがとうな、ケイン。じゃ、乗ってみるか。『ガチャ』…あれ?なあ、ケイン開かないんだが。」
「あ、それは『解錠』で開くから。」
「そうなのか?じゃ、『解錠』」と父さんが呟くと『ガチャリ』とロックが解除される音がした。
「おお、開いたみたいだな。すごいな。ちなみに閉める時は?」
「それは『施錠』だね。」
「ふんふん、そうか。まあ今はいいか。じゃ、乗ってみるか。『ガチャ』…ケイン、開いてない…」
「あ~言い忘れていたけど、鍵を開けたままの状態でしばらく放置していると鍵が掛かるから、注意してね。」
「そういうことか、ならもう一回『解錠』と。」
『ガチャリ』と音がして開いたと同時に父さんがドアを開け乗り込む。
「おう、教習所の車とは、結構違うな。」
「まあ、大きさもだけど視界も高いしね。ほら、忘れない内にミラー類の調整も忘れないでよ。」
「分かってるって。まずシート位置を調整して…次にルームミラーだよな。それからフェンダーミラーを…ってこれはドアの所にあるな。じゃ、これを…って窓ガラスはどうやって下げるんだ?ハンドルがないぞ。」
「窓ガラスは、運転席のドアの取手部分にスイッチ類があるでしょ。それで上げ下げ出来るから。」
「スイッチね~これかな?」と父さんが一つのスイッチを『ぐっ』と押すと左後ろの窓ガラスが下りていく。
「違った。じゃ、これか!」と押すが、今度は右後ろの窓ガラスが下りていく。
「ケイン、どれが正解だ?」
「父さん、落ち着いて。窓ガラスの上下スイッチは場所の通りだから。」
「場所の通り?…あ、そうか、そういうことか。じゃ、これだ!」
『ぐっ』と押し込むと運転席の窓ガラスが下りていく。
「これでミラーの調整が出来るな。」
「待って!父さん。ミラーの調整は違うよ。」
「え?教習所ではこう教わったけどな。」
「ほら、窓ガラスのスイッチの上につまみがあるでしょ?」
「つまみ?ああ、あるな。これが?」
「そのつまみを右に『カチッ』と音がするまで捻って。」
「捻る?こう…か。」『カチッ』と音がして、これ以上は捻ることが出来ない。
「捻ったぞ。」
「じゃあさ、ミラーをずらしたい方向にそのつまみを倒して。」
「ずらしたい方向?」
「例えば上向きにしたいなら、前に倒して。下向きにしたいなら、手前に引いて。右に向けたいなら、右に倒して、左なら左に倒す。どう?」
「待て待て、え~とまずは少し上だから前に倒す。」
すると『ジ~』と小さく機械音が鳴りミラーが上向きに動く。
「なるほどな、左側のミラーを調整する場合は、つまみを左に捻ってから動かせばいいんだな。」
「そう、その通り。大丈夫そうだね。」
「ああ、だけど少し運転以外の装備品を試させてもらうな。」
「うん、いいよ。好きなだけいじって。」
「悪いな。すぐに終わらせるから。」
「いいよ、俺の方は気にしないでいいから。」

メモ紙に双子に必要な物を書いていたらガンツさんがやって来た。
「ケイン、出来たぞ。」
ガンツさんが窓ガラスを下げて、こっちに手を振る。

俺の側で車を止めると、運転席の下部分が『パカッ』と開くと運転席がゆっくりと降りてくる。
「う~ん、乗り降りしている間は見せ物だな。」
「ふふん、どうだ!ケイン、これがワシの車だ。」
「『車だ!』って、ついさっきまで一緒に作ってたじゃん。」
「そ、そうじゃったな。」
「で、ここまで運転して来てどうだったの?どこか不備なところとか、不満とかなかった?」
「そうじゃな。視界は問題なかったな。見晴らしはいいし、足元もよく見える。まあ、不満は後ろが見えにくいってことだけだな。」
「そうか、ここまでは平坦だしね。それなら今度はドラゴニュータウンの方で走り回ってみる?」
「いや、それはいい。だが、四駆の走りを体験するには山道だろ。今度、アズマ村に行くのに使ってみるか。」
「それはいいね。でもまだ、向こうからの連絡もないけど、いっていいのかな?」
「そんなの気にする必要もあるまい。」
「そうかな、まあいいか。じゃ、今度予定を見直して行こうか。」
「ああ、そうしてくれ。ついでにあいつらの作った四駆も試さんとな。」
「それなら、父さんかダンさんに頼まないとね。」
「そうなるか。まあ、それしかないよな。」
「あまり気が進まないみたいね。」
「セバスのじいさんに頼むのがな~」
「ふふふ、いいライバルだよね。」
「側から見ればそうなるんだよな~」

そこへ父さんが入ってくる。
「なあ、ケイン。動かそうとしたんだけど、シフトレバーが分からなくてな。」
「ああ、それ説明するのを忘れていたね。ごめんね。シフトレバーはハンドルの左側についているんだ。」
車の助手席に乗り、父さんには運転席に乗ってもらう。ガンツさんは後部座席に座る。
「ほら、このレバーがそうだよ。基本動作はフロアシフトと同じだから、すぐに慣れると思うんだけど。どうかな?」
「まあ、慣れるしかないか。じゃ、出すぞ。おお、ガンツさんもいたんだ。」
「旦那、安全運転で頼むぞ。」
「ああ、大丈夫だ。よし行くぞ。」
コラムシフトを操作し一速に入れ、ゆっくりと動き出す。

「おお、動いた!動いたぞケイン!」
「落ち着いて父さん、ほら前を見て。」
父さんを教習所のコースへと案内し入ってもらう。

「じゃ。もう飽きたかもしれないけど教習コースのおさらいでお願いね。」
「むぅここでぶつける訳にもいかんな。よし、行くぞ。」

車の速度まで教習時代に戻りゆっくりと安全運転でコースを回る。
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