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◆まずは模型から作りました

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お風呂から上がっても父さんは四苦八苦していたので、そっと助け舟を出すことにした。
「(父さん、もう面倒だからマッサージしてたとでも言っとけば?)」
「(そうか、その手があったか。ケイン、ありがとうな。)」
「いいか、サム、クリス。よく聞いてくれ。実はな…」

父さんが苦労しながらもマッサージの時に力が入り過ぎたせいだと苦しい言い訳をする。
サム兄さんは納得したようだが、クリス兄さんはまだ、納得してないようだ。
「クリス兄さん、明日は誕生日なんだから早目に寝たほうがいいんじゃないの?」
「それもそうか、納得出来ないけどいいや。じゃ、先に休むね。おやすみなさい。」
「「「おやすみ~」」」
「ケイン、本当にありがとう。」
「父さん、何でケインにお礼?」
「サム、これはいいんだ。気にするな。」
「何?今度はそれが納得出来ないんだけど?」
「サム兄さんは慣らしの方はどうなの?」
「ああ、順調だ。あとちょっと何だけどな。」
「なら、明日のお昼頃にドワーフタウンの外れに作ったレース場まで来なよ。そこまで来れば500kmに届くんじゃないかな。」
「そうか、それで慣らしが終わるってことだな。」
「そう、それでレース場を思いっきり走ってみるのはどう?」
「そいつはいいな。よし、昼過ぎだな。今から楽しみ過ぎて寝れなくなりそうだ。」
「なら、一杯飲むか?」
「「父さん!」」
「何だよ。冗談じゃないか。」
「まだ、母さんが本調子じゃないんだから、それまで晩酌はナシだからね。」
「ケイン、それは厳しくないか?」
「だって、まだ双子にも何があるか分からないんだからね。父親としての責任を疑うよ。」
「そこまで言わなくても…」
「なら、我慢してね。母さん達が寝室から出られる様になったら、俺からプレゼントするからさ。」
「本当だな!よし、サムも聞いたな。」
「あ、ああ。ケインはいいのか?」
「当分の間、晩酌を我慢してくれるんだから、このくらいはね。」
「何だか、俺らってケインにいい様に操られているような気がするんだけど…」
「サム、それは気のせいじゃないと思うぞ。その直感は大事にしとけ。」
「え、それってどういうことなの?」
「まあ、今はケインの言う通りにしとけば、間違いないから大丈夫だから。あまり気にするな。特にサムは考えるのが苦手なんだから、直感を大事にな。」
「う、うん。納得は出来ないけど分かったよ。」
「ああ、それでいい。」

翌朝、サム兄さんは寝不足の様相だ。サム兄さんは昼からのことを考え過ぎて眠れなかったんだろうね。

格納庫に向かうとガンツさんが「今日はワシのを手伝ってもらうからな。」と先手を打たれた。
今日は双子の道具を作ろうと思っていたのにな~

「ほれ、いいから手伝え。」
「は~い。で、デザインは決まったの?」
「そうじゃな。先に外見を決めてしまうか。チャチャッと模型を作ってもらおうかの。」
「チャチャッとって、まあいいけどさ。じゃあ大体の形を作るから、後でガンツさんの指示で調整するね。」
「ああ、頼むな。」

まずは四駆らしく車高を高くする。
そこから、ドワーフ専用車の特徴として運転席を低い位置に用意する。
位置としては、通常の四駆のエンジンルームが運転席になり、前輪より前の位置で高さは車体の床部分とほぼ変わらない場所だ。
車体前方を全面ガラスで覆い出来るだけ視界を確保する為に運転席は宙吊りに近い状態になり、エンジンルームはマイクロバスと同様に運転席後方に配置される。
「ガンツさん、ベースとしてはこんな感じになると思うんだけど。どうかな?」
「うむ、前に話した感じの通りだな。後は上物をどうするかじゃな。」
「あまり高くすると重心も高くなって不安定になるからね。」
「じゃが、ワシらしか乗らないから、それほど高くはならんぞ。」
「え~それだと俺が大きくなったら乗れないじゃん。」
「何じゃ大きくなるつもりだったのか?」
「それって何気に酷くない?」
「ははは、そうじゃな。大きくならんといつまでもリーサを見上げることになるからの。」
「ガンツさん、それ気にしてるのに…」
「なら、早う大きくなれ。ん?ケイン、ここ少しばかり高くしてもらえるかの。」
「いいよ。はい、これくらいならいい?」
「ああ、いいぞ。後はここと…そこと…ここもじゃな。」
「はいはい、言う通りにしますんで。」

お昼前にガンツさんの模型が何とか形になったので、昼食を取る。

「それで、今日は領主の車の試験じゃったか?」
「そう、あの秘密兵器の確認だね。」
「それはワシも楽しみじゃの。どのくらい出せる予定なんじゃ?」
「どうだろうね。爆発力としては倍どころじゃないからね。相当速いと思うよ。」
「それって、あのダンで大丈夫なのか?」
「それなんだよね。ダンさんは安全運転というか慎重というかね~」
「街中ならいいが、高速運転は無理ってことか。」
「そうともいうかな。もう少し度胸みたいなもんがあれば変わると思うんだけどね。」
「度胸か。しかし、あいつは騎士なんだろ?」
「確かね。」
「なら、それ相応の度胸はあるんじゃないのか?」
「そう思いたいけどさ。こればっかりは本人の問題だからね。」
「なるようにしかならんという訳か。」
「そう、いつものことだね。」

昼食を食べ終わり、出かけるまでの間に今日使う道具を作る。
「出かける前というのに何を作っておるんじゃ?」
「これ?これは製麺機パスタマシンだよ。今日はクリス兄さんの誕生日でさ。何か珍しい物を食べたいって言うから作ってるんだ。」
「見ただけじゃ分からんな。なあ、ワシとアンジェも行っていいか?」
「構わないよ。なら、俺も今日も早上がりする予定だったけど、ガンツさんも一緒に保育所に行く?」
「何で保育所に?」
「食器洗浄機と洗濯機をお届けにと、後は…その…」
「何じゃ、リーサと一緒に買い物デートでもする予定じゃったか。」
「そ、そうなんだけど…」
「なら、ワシらは向こうの工房にでも送ってくれればいいぞ。時間になったら、ケインの家に行くから。」
「ごめんね、誘っといてさ。」
「どうせ、後でリーサとデートする予定だったのを思い出したんじゃろ?まあ、前は四人でいつも一緒じゃったからな。しかしケインもそういうことを気遣える様になったんじゃな。よくぞ、ここまで成長した。」
「何で、上から目線なのかな。」
「上からも何もワシは年長者じゃからして。」
「でも、アンジェさんにいつも怒られてるよね。」
「いや…それは…ちょっと違うというか…まあ、いいじゃないか。ほれ、そろそろ向かわんとセバスのジジイが痺れを切らすぞ。」
「あ~ちょっと待って、今組み立てを終わらせるから。」
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