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◆やっと視察の準備が出来ました

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ドワーフタウンに着くと転送タワーの転送ゲートや部屋のドアに転送タワーの入り口といろんな所で登録してもらいながら、外に出る。
「ここが、ドワーフタウンか。」
「そう、それであそこに橋が見えるでしょ。」
「「「「「ああ。」」」」」
「その下の河とその橋から伸びる道路を境にこっち側がドワーフタウンで、その道路の向こう側が『ドラゴニュータウン』になるから。」
「待て、その『ドラゴニュータウン』ってのは、もしかしてワシ達が移住する街の名か。」
「そう、あった方が便利でしょ?」
「しかしなぁ…」
「別に仮称ってことでいいんじゃない?後で自分達で付けるなりすればいいんだし。」
「分かった。」
「じゃ、次はしばらくの仮住まいになるところね。それはここです。」
「ここは?」
「独身寮です。」
「私まで独身寮なんですか?」
「別にここじゃなくてもいいけど、その場合は自己負担でお願いね。」
「ぐっ足元を見られた…」
「いや、別に俺が来て欲しいって言った訳じゃないし。ドランさん達にはお願いしたけどね。それにナーガさんは身の回りの世話って自分で出来るの?」
「あ~馬鹿にしましたね!これでも山の中では一人で生きてきたんですのよ。そう、一人で…ずっと、一人で…」
「あ~はいはい、ここでは外で狩ってと言うのは難しいし、もし狩るなら海で魚を捕まえるくらいだから、ご飯の用意は難しいと思うよ。それでも一人で頑張る?」
「お願いします!」
「まったく理解するまでが大変だね。じゃ、この建物の中に入るから着いて来て。」
「「「「「はい。」」」」」

独身寮に入りアーロンさんを探す。
食堂に入りアーロンさんを呼ぶと出て来てくれたので、それぞれの紹介としばらくの間は、この独身寮でお世話になることを話す。
「ちなみにダリルさんはモニカさんの父親です。」
「モニカが世話になっております。」
「これはどうも、ご丁寧に。」
「ところでモニカはこちらに迷惑をおかけしてないでしょうか?」
「まあ、今のところは大丈夫かな。」
「そうですか、安心しました。」
「ダリルさん、『今のところは』って言ったでしょ?ってことは何度か危ないことがあったのかもよ。」
「ケイン君、せっかく濁したのに注意しなくても…」
「アーロンさん、それトドメだよ。」
「え?あ!」
「アーロンさん、すみませんでした~」
ダリルさんが土下座しそうだったのを止めさせて、まずはそれぞれの部屋へと案内してもらい落ち着いたら、また食堂へ来てもらうことにした。

もちろん案内は俺じゃなく、キールが行ったわけだが軽く睨まれてしまった。
ナーガさんを見た時に少しドキッとしたようだが、その仮面の下は凶暴な竜だからな。

食堂で待っている間にアーロンさんに調理器具についてのリクエストとか聞いてみたり、魔道ミキサーを渡していなかったなと思い、手持ちのを三台ほど渡しておいた。
後は食材として何種類かの野菜や魚も出して渡した。

十分経っても降りて来ないので、ダリルさんに電話で聞いてみるとナーガさんが居眠りしているようで起きて来ないらしい。
「いいよ、もう放っといて。とりあえず降りて来て下さい。」
電話を切ってすぐにダリルさん達が降りて来たけど、駄竜だけがいない。

「じゃ、今後の予定を説明しますね。いいですか?」
「「「「はい。」」」」
「まずは移動手段がありません。俺はライセンスを持っていないから車もバイクも運転することが出来ません。それは皆さんも同じです。なのでママチャリに乗っての移動が基本となります。」
「前にモニカから聞いたが、ここでは魔導列車で好きな場所に行けると聞いたが?」
「はい、ドワーフタウン内であれば、この周遊券で乗り放題になりますので、今渡しておきますね。」
「だから、これで移動出来るのなら、そのママチャリとやらは必要ないのではないか?」
「話をよく聞いて下さいね。『ドワーフタウン内であれば』と言いました。あなた達は道路を挟んだ向こう側のドラゴニュータウンに行くので、魔導列車は通っていません。さらに区画整理などもまったくの手付かずなので、今は単なる平原でしかありません。」
「ならば、何を視察すると言うのだ?」
「そうですね、まずは大きな区画整理でしょうか?どの範囲を住宅地として、どこを耕作地とするのか、どこを商業地とするのかとかですね。その為にはまずは広さとか、耕作が可能か調査するとか色々あると思いますが。」
「まあ、言われてみればそうだが、ワシらは農作業はほとんど素人だ。そんなワシらにそういった調査が出来るとも思えんが。」
「その辺は、近隣の村から指導員として来てもらうことを考えていますのでご心配なく。まずは今日中にママチャリに慣れて下さいね。外のママチャリは自由に使って構いませんので。では、外に行きましょうか。あ、それとドズさんとマーサさんにはカメラとタブレットを渡しておきますので、すみませんがブレスレットを少しお借りしても。」
「「はい。」」
二人からブレスレットを預かりカメラとタブレットを収納可能にする。
「これでよし。収納する時には対象の物を触って『収納』と唱えて下さい。出す時には手の平の上に載せることを意識しながら『解除』です。では、やって見て下さい。」
「「収納!あっ…消えた。」」
「はい、じゃ今度は出して見ましょう。」
「「解除!…出てきた」」
「じゃ予習は十分ですね。カメラの撮り方は構えてシャッターを押せば、画像として保存されて、そのタブレットで閲覧することが出来ます。後で画像の名前も変えることが出来るので資料保存用に使って下さい。じゃ。次はママチャリに乗るので収納しといて下さいね。」
「「はい。収納。」」

独身寮の外に出て、それぞれでママチャリを選びサドルなどの位置調整をやってもらう。
「じゃあ、まずはアーロンさんの息子のキール君に模範演技をしてもらいますので、よく見といて下さい。では、お願いします。」
「(チッ後で覚えてろよ。)じゃ、行きますね。」
ママチャリ教室をキールに任せてる間に俺はダメっぽい人を探してみることにした。

「何だかみんな普通に乗れているんですけど…」
「ケイン、楽しいな。これはいいぞ。」
「よかったですね里長。」
「ふふふ、俺でも風になれそうな気がする。」
「スピードの出し過ぎは危険ですよ。ダリルさん。」
「今度、レイラを後ろに乗せて走ってみたいな。」
「二人乗りは危険ですよ。ドズさん。」
「ねえ、これってどこで売ってるの?いくらなのかな?」
「今なら、そこのショッピングセンターで売ってますよ。」
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