上 下
114 / 468
連載

◆やっと飛びました

しおりを挟む
「それで止まるのは分かったが、どうすれば元に戻るんだ?」
「まあ、止まるって言っても一瞬ですけどね。」
「話そうとか教えようとした場合にそうなるんだな。」
「そうです。だから、今日これから起こることは、なるべく秘密でお願いしますね。」
「「「分かった。」」」
「じゃ、もういいですね。ガンツさん行きましょうか。」
「おう、やっとか待ちくたびれたわ。」
「それもこれもモニカさんが残念なことを見くびっていた俺のせいだなんて、納得出来ない。」
「まあ、対処は済んだんだろ。とりあえずはそれええじゃろ。じゃ、頼むわ。」
「あ~はい、どうぞ通って下さい。」
ゲートを格納庫に繋ぎ、デューク様達を通す。

「ケイン、何もないが?」
「ああ、ガンツさん見せ場ですよ。」
右手を高々と掲げてガンツさんが叫ぶ「来いホーク号!(解除)」
目の前にホーク号が『ドン!』と顕現する。

「ケ、ケイン、こ、これは?」
「これは飛行機と言います。ガンツさん所有で名を『ホーク号』」
「どうじゃ?領主よ。秘密にこだわるのも分かるじゃろ。」
『コクコク』と深く頷く。

「さあ、乗って下さい。」
「…」
無言で乗り込む一行。
「中は普通だな。」
「そうですね。広さを別にすれば車とあまり変わらないですね。」
「あ、モニカさん。ちょっといいですか?」
「何?また何かするのか。」
「やだな~そんなことするわけないじゃないですか。」
「ふん、信用なんかするものか。」
「それは困りましたね、モニカさんが協力してくれないとなると里には辿り着けないんですが。」
「ふん、困ればいい。」
「分かりました。では、モニカさんは不要と言うことで。」
「え?ちょっと待て。不要ってどういうこと?」
「どういうことも何も協力してもらえないのであれば、こちらとしても不要なのでお引き取り願うと言うことですが?」
「何でそういう話になる!まだ車のライセンスも取ってないし、サムの所で働くのも決めたんだぞ。」
「それはしょうがないですね。サム兄さんには俺から謝っておきますので、どうぞお気遣いなく。」
「待て!降ろそうとするな!分かったから、協力するから、いや、協力させて下さい。お願いします。」
「もう、最初っからそうすればいいのに。はい、じゃいいですか。里の方向を教えてもらえますか?」
「確か王都の西門から出た方向だった様な気がする。」
「はい、じゃこれが王都ね。ここが西門。で、里はどっち方向?」
「ほう、これは凄いな。こことは違う海側だから、こっちの方向だな。」
「他に目印になるようなのは?」
「海側の山のどこかだな。」
「また、曖昧な。まあ残念な人に期待するのもな~」
「ケイン、それはこの辺の地図の様に見えるが?」
「そうですよ。」
「いや、『それが何か?』みたいな顔をしているが、それはとんでもない物だぞ。分かっているのか?」
「ああ、地図の重要性ってことですか?」
「そうだ。そこまで知っていながら…」
「だから、大っぴらにはしてないでしょ?」
「いや、まあそうだが…」
「旦那様、ケイン様に対してはありのままを受け入れた方が気が楽ですよ。」
「そうは言うがな。最初のもキツかったが、これもなかなかキツイぞ。」
「『なすがまま』です。」
「難しいな。」
「何も難しくはありません。楽しめばいいんです。」
「そうか、そう言う考えか。」
「そうです。どうですか?気が楽になりましたか?」
「ああ、少しはマシになったかな。ありがとう。」
「いえいえ、ではケイン様。お願いします。」
「了解、じゃガンツさん行こうか。」
「おう、じゃ開けてくれ。」
「了解、ハッチオープン。」
スイッチを操作すると天井のハッチが左右に開かれていき、シグナルが青に変わる。
「ファン始動。」
「了解、ファン始動。」
ファンが唸り回転計の針が回る。
「よし、点火イグニッション!」
「了解、点火イグニッション。」
エンジンが唸り出す。

「おい、ケイン凄い音だが大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ~まだ、座ってて下さいね。じゃガンツさん。」
「おう、上昇!」
反重力の魔法陣に魔力を流し込みゆっくりと格納庫から姿を表す。

「ガンツさん、今回は1000mで一旦止めてから、そこから一万mまでゆっくり上昇していこう。」
「ん?いつもの500mじゃダメか?」
「今日は海じゃなくて王都寄りのコースだから、安全策で高く飛ぼうよ。」
「それだと下が見えんのじゃがのぉ。」
「飛んでいる時にはほとんど前しか見てないから関係ないじゃん。」
「それもそうじゃ。なら、1000mじゃな。」
「うん、お願いね。」
「ケイン、とんでもなく上に上がっている様だが?」
「そこのモニターに、この飛行機の下に着けているカメラの画像が流れているでしょ?」
操縦席と客席の間の仕切り上部に付けたモニターに映る格納庫がどんどん小さくなっている。
「もう、あんなに小さくなって。」
「そろそろかな。」
「うむ高度計では1000mちょいじゃな。じゃ、止まるぞ。」
「いいよ。方向は王都の方向にぐるっと回して。」
「おお、左旋回。」
「はい、そこ。ちょっと右にずらして。」
「この辺か。」
「はい、いいよ。仰角上げて、徐々に加速ね。徐々にだからね。」
「任せておけ、今日はアンジェも乗っているしな。」
「今から加速するので、席をたたない様にね。じゃ行こうか。」
「おう。」とガンツさんがスロットルを徐々に押し上げる。
客席から「おっ」「ぐっ」「はっ」と短く聞こえる。
加速がキツイんだろうか?

「よし一万mに到達。何じゃ景色どころか雲しか見えん。」
「雲の上…雲の上だと!」
「何じゃ領主よ。急に大声なんぞ出して。」
「雲の上って言ったか?」
「そうじゃ、ほれ窓の外を見てみろ。一面雲じゃ。」
「ほ、本当だ。」
デューク様のはしゃぎっぷりに周りが少し引き気味だ。
「なあ、あそこに降りることは出来るか?」
「出来ないことはないですけど、そのまま地表まで真っ逆さまですよ。それでもいいですか?」
「ん?ケイン、何を言っているんだ?」
「いやいやデューク様こそ何言ってるんですか?」
「いいか、ケイン。よく見てみろ。あんなに分厚く白い雲が浮かんでいるんだぞ。底が抜ける筈はないだろう。バカだな~」
少しイラッとしたのを抑えながら、セバス様を見ると申し訳なさそうな顔をしている。
それと比較的に自分達も乗ろうとしているのか、モニカさんとダンさんまでがウズウズとしている。
「ハァ~今は説明が面倒ですから、乗ることは出来ないとだけ言っておきます。どうしても乗りたいと言うのであれば、それなりの対策と訓練をしてからになりますから。」
「出来るのか?」
「だから、それは出来ませんので諦めてださい。それでも納得出来ないのであれば、先ほど言った対策と訓練と遺書を用意してから挑戦させてあげますから。」
「待て!さりげなく『遺書』が追加されているが?」
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

月が導く異世界道中

あずみ 圭
ファンタジー
 月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。  真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。  彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。  これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。  漫遊編始めました。  外伝的何かとして「月が導く異世界道中extra」も投稿しています。

天災少年はやらかしたくありません!

もるもる(๑˙ϖ˙๑ )
ファンタジー
旧題:チート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?! 【アルファポリス様にて発売中!!】 「天災少年はやらかしたくありません!」のタイトルで2022年10月19日出荷されました! ※書籍化に伴い一部を掲載停止させて頂きます あれ?何でこうなった? 僕の目の前の標的どころか防御結界が消滅。またその先の校舎の上部が消滅。 さらにさらに遠く離れた山の山頂がゴッソリと抉れてしまっている。 あっけにとられる受験者。気絶する女の子。呆然とする教員。 ま……まわりの視線があまりにも痛すぎる…… 1人に1つの魂(加護)を3つも持ってしまった少年が、個性の強い魂に振り回されて知らず知らずの内に大災害を発生させて、更なるチートで解決していく物語です! 書籍化記念書き下ろし 天災少年はやらかしたくありません!スピンオフ Stories https://www.alphapolis.co.jp/novel/589572036/842685585 第2部『旅行中でもチート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/589572036/979266310 第3部『ダンジョンでもチート(現代知識)×チート(魔法)×チート(武術)はチート∞(天災級)?!』 https://www.alphapolis.co.jp/novel/589572036/211266610

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

料理屋「○」~異世界に飛ばされたけど美味しい物を食べる事に妥協できませんでした~

斬原和菓子
ファンタジー
ここは異世界の中都市にある料理屋。日々の疲れを癒すべく店に来るお客様は様々な問題に悩まされている 酒と食事に癒される人々をさらに幸せにするべく奮闘するマスターの異世界食事情冒険譚

異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

小鳥遊 ソラ(著者名:小鳥遊渉)
ファンタジー
 元々、トラブルに遭いやすい体質だった男の異世界転生記。  トラブルに巻き込まれたり、自分から飛び込んだり、たまに自分で作ったり、魔物と魔法や剣のある異世界での転生物語。余り期待せずに読んで頂ければありがたいです。    戦闘は少な目です。アルフレッドが強すぎて一方的な戦いが多くなっています。  身内には優しく頼れる存在ですが、家族の幸せの為なら、魔物と悪人限定で無慈悲で引くくらい冷酷になれます。  転生した村は辺境過ぎて、お店もありません。(隣町にはあります)魔法の練習をしたり、魔狼に襲われ討伐したり、日照り解消のために用水路を整備したり、井戸の改良をしたり、猪被害から村に柵を作ったり、盗賊・熊・ゴブリンに襲われたり、水車に風車に手押しポンプ、色々と前世の記憶で作ったりして、段々と発展させて行きます。一部の人達からは神の使いと思われ始めています。………etc そんな日々、アルフレッドの忙しい日常をお楽しみいただければ!  知識チート、魔法チート、剣術チート、アルは無自覚ですが、強制的に出世?させられ、婚約申込者も増えていきます。6歳である事や身分の違いなどもある為、なかなか正式に婚約者が決まりません。女難あり。(メダリオン王国は一夫一妻制)  戦闘は短めを心掛けていますが、時にシリアスパートがあります。ご都合主義です。  基本は、登場人物達のズレた思考により、このお話は成り立っております。コメディーの域にはまったく届いていませんが、偶に、クスッと笑ってもらえる作品になればと考えております。コメディー要素多めを目指しております。女神と神獣も出てきます。 ※舞台のイメージは中世ヨーロッパを少し過去に遡った感じにしています。魔法がある為に、産業、医療などは発展が遅れている感じだと思っていただければ。  中世ヨーロッパの史実に出来るだけ近い状態にしたいと考えていますが、婚姻、出産、平均寿命などは現代と余りにも違い過ぎて適用は困難と判断しました。ご理解くださいますようお願いします。    俺はアラサーのシステムエンジニアだったはずだが、取引先のシステムがウイルスに感染、復旧作業した後に睡魔に襲われ、自前のシュラフで仮眠したところまで覚えているが、どうも過労死して、辺境騎士の3男のアルフレッド6歳児に転生? 前世では早くに両親を亡くし、最愛の妹を残して過労死した社畜ブラックどっぷりの幸薄な人生だった男が、今度こそ家族と幸せに暮らしたいと願い、日々、努力する日常。 ※最後になりますが、作者のスキル不足により、不快な思いをなされる方がおられましたら、申し訳なく思っております。何卒、お許しくださいますようお願い申し上げます。   この作品は、空想の産物であり、現実世界とは一切無関係です。

スキルポイントが無限で全振りしても余るため、他に使ってみます

銀狐
ファンタジー
病気で17歳という若さで亡くなってしまった橘 勇輝。 死んだ際に3つの能力を手に入れ、別の世界に行けることになった。 そこで手に入れた能力でスキルポイントを無限にできる。 そのため、いろいろなスキルをカンストさせてみようと思いました。 ※10万文字が超えそうなので、長編にしました。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。