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◆我慢が出来ませんでした

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夕食後にまったりしているとサム兄さんが話しかけてくる。
「なあ、ケイン。最近さ教習所に竜人ドラゴニュートの女性が来ているけど知り合い?」
「サム兄さん、いきなりだね。何で俺に?」
「いやな、列車に乗ってドワーフタウンから来てるって言うからお前がらみかなと思ってな。」
「それで気になって声を掛けたと?」
「そう、あれだけ綺麗だろ。ついなって、おい!俺はまだ…」
「まだ?」
「まだ別れてはいないからな。だが、綺麗なお姉さんが自分の弟と知り合いかもしれないとなれば、少しくらい気にしてもいいだろ。ただでさえ、お前の周りには綺麗な人が揃っていると言うのにさ。」
「確かにその竜人ドラゴニュートのお姉さんは知り合いで、綺麗だとは思うけど、結構年上だよ。そういうのでもいいの?」
「いい!ってかお話出来るだけでも十分。」
「いいんだ。でもそれって浮気ってこと?」
「違うから、浮気じゃないぞ。ちょっとお話がしたいってだけだから。」
「それって浮気した人が言う言い訳じゃない?」
「ただ話をしただけで浮気なら、その辺は浮気者だらけだぞ?」
「だから、それが言い訳なんだって。普通に道を聞いたり世間話をするのは浮気の範疇には入らないけど、仲良くしたいとか目的を持って話をするのは浮気じゃないの?」
「ち、違うからなケイン。クリス何を笑っている?まさか言いつけたりはしないよな?」
「いいから、兄さん落ち着いて。ますます浮気しているようにしか見えないよ。」
「…だから違うから。ちょっとお話をしたいだけなんだ。」

「サム、浮気はダメだ。アレはするもんじゃない。絶対にやってはダメだ。」
「何で?」
「何でって、まあいいか。サム、クリスも聞くといい。ケイン…は適当に。いいか、浮気するとな妙に女性の勘が冴えるから、まず絶対にバレる。痕跡を残さずに隠し通すのは無理だ。だから、そういう綻びが見つかれば、そこからは芋づる式に全部がバレる。」
「何でそんなに詳しいの?もしかして経験者なの。」
「な、何を言うかな~と、父さんは友達から聞いた話をしているだけだぞ。いいか友達の話だからな。」
「なら、その友達の名前を教えてもらえるかしら。」
「だから、ダメだって。そんな友達を裏切るような真似は出来な…って母さん。いつからそこに?まだ食器を洗っているはずじゃ…」
「ああ、それ?ケインがね、『食器洗浄器』を持って来てくれたの。すっごく助かるわ。ありがとうねケイン、感謝しているわ。それなのに父さんは子供に何の話を聞かせているのかしら?」
「い、いや浮気はよくないって話をね。少しだけ…」
「実体験を交えながらかしら?」
「そ、そんな実体験なんて、そんな事をする訳ないじゃないか。い、いやだな~」
「父さんは俺から見て、右上ばかり見てるね。それはよくないよ。」
「ケ、ケインは何を言うのかな~」
「ほら右上を見ている!」
「「「確かに。」」」
「嘘偽りなく全てを聞きましょうか。あなた。」
「ケイン、何で俺を…」
「いいから、全て話すまで寝られないわよ。さあ早く!」
「はい!」

「父さんが可哀想に見えてきた。」
「下手に庇うと怪我するよ。それでサム兄さんは何で教習所に行ってるの?」
「それはさ、たまには乗らないとカンが狂うというか忘れるというかさ、そういうことがないようにたまに乗せてもらっているんだ。」
「そうなんだ。だけど、ライセンスの発行まで、あと少しでしょ。そのもう少しは待てないのかな。」
「待てないんだな~これが。そうだ!なあ、ケイン『俺スペシャル』なバイクを作ってくれない?」
「え~タダで作れっての?」
「いいじゃん。なあ頼むよ~」

「サム!ダメだ。いくら兄とは言え弟にそういう頼み事はよくないぞ。」
「父さん…もう終わったの?」
「まあ後回しにしてもらった。サムいいか、ダメだからな。」
「…分かったよ。」
「じゃ、ケイン。俺のライセンス取得祝いと兄弟の出産祝いにおっきな車をプレゼントしてもらえないか?」
「…父さん、それはズルくない?」
「何がだ?お前らの弟か妹の出産祝いだぞ。親がねだって何が悪い?」
「うわぁ開き直ったよ。なら俺もいいじゃん。」
「いや、お前はライセンス取得の祝いだけだろ。俺はライセンス取得と出産祝いだ。ほら、俺の方が祝い事が多いから上だ。と言うことでお願いな。」
「まあ、父さんには元々送ろうと思っていたから別にいいんだけどね。」
「お!さすがケインだな。話が早い。じゃ、待ってるぞ。」
「ちぇ、なあケイン俺もいいだろ?なあ~」
「今は手が離せないから、無理だね。それに手ぶらで作れってのはね~」
「俺にどんな手土産を持ってこいっての?」
「そうだね、例えば…」
「「例えば?」」
「王都への出店とか?」
「それか~」
「じゃあ、それが決まったら作るってことでいいよね。」
「汚ね~」
「ふふふ、サムはそれでいい。励みになっていいじゃないか。」
「そういう言い方する?」
「まあまあ、とりあえずはご褒美はお預けってことで。」
「結局はお預けかよ~俺は今作って欲しいんだよ~」

翌朝、工房に出向くと少し苛ついたガンツさんが目に入る。
「おはようガン「遅い!遅いぞ、ケイン。」ツさんって、どう言うこと?」
俺の疑問にリーサさんがお腹を抱えながら応えてくれる。
「あっちをケインがガンツを入れないようにしただろ?」
「したね。」
「ガンツはそんなことはないだろうと、高を括って行ったら、電撃をくらったらしい。ぷっ。」
「アンジェさんは大丈夫なの?」
「ああ、アンジェは起こさずに自分一人で行ったんだと。で、誰にも気付かれずに、そのまま放置されて起きた後にここへと来たらしい。ぷっくくく。ダメだ想像しただけで…」
「リーサも喰らえば分かるわ。」
「ふっ私はそんな真似はしないから、一生わかることはないな。」
「チッ」
「ガンツも懲りないよな。」
「放っといてくれ。」
「でもさ、機体を作るだけなら別に、向こうじゃなくてもここで出来たんじゃないの?」
「あ!」
「何だ、ガンツは今気付いたのか?ぷっくくく、ダメだ間抜けすぎる。腹いたい~」
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