97 / 468
連載
◆思ったより楽しみでした
しおりを挟む
「そう言えば不思議に思っていたんだが、あんな橋や建物を一瞬で作るかと思えば、今日みたいにちまちまと作る時があるが、何か違いがあるのか?」
「ああ、それは私も不思議に思った。どうして何だ?」
「まあ、説明する機会もなかったけど、あの橋みたいに大きいのはある程度の修正が効くから『えいっ』でいいんだけど、今日一緒に作業したガンツさんは分かると思うんだけどブレードの位置合わせとか微妙なバランスがあるでしょ。ああいうのは一度実践しないと上手くイメージが出来ないんだ。魔法はイメージがほぼ十割だからね。」
「なるほどね…ってならねえからな。」
「でも俺としてはそういうことだよ。」
「だから、今は蒸気機関もほぼ一瞬で出来るって訳か。」
「そう、そういうこと。何だ分かってくれてるじゃん。」
「分かりたくはないが、そうなんだろうなと漠然としたものはあったがな。」
「私がケインレベルに届くことはあるのだろうか?」
「モニカさんは長命種だから、いつかは届くだろうね。」
「それほどなのか。」
「俺の開発方法を学ぶなら、まずは魔法が使えること。」
「ああ、それは何とか使えるから大丈夫だ。」
「次に魔法を理解すること。」
「魔法の理解?それはどういうことだ。」
「例えば、火魔法の威力を上げるとすればどう考える?」
「与える魔力を増やすんじゃないのか?」
「それも一つだけど、火が燃えやすい環境を整えるってのがあるんだ。それが理解するということだね。」
「なるほどね。他には?」
「それらを組み合わせて魔法陣を組み立てることが出来る事。」
「ただ、既存の魔法陣をなぞるだけじゃダメなのか?」
「それだと、開発じゃなくて製作になるじゃない。単に組み立てだけしたいなら、今までのは不要で流れ作業を覚えるだけでいいんだけど。」
「そういうことか。魔道具を開発するのなら、今言った事が必要になるんだな。」
「そう、俺もガンツさんからもらった参考書がいまだに離せないしね。」
「モニカよ。後は大胆な発想力ってのも必要じゃ。ケインの作った物を見れば分かるが今まで見たことがある魔道具の焼き直しとはなってないだろう。今まで見たことがない物を作ろうと思う気持ちがあれば、いつかは出来るかもな。」
「その時って俺はいるのかな?ここにいる中で俺が一番早くお迎えが来そうなんだけど。」
「ケイン、悲しくなるから冗談でもそういうことは言わないで欲しい。私がそのことを考えていないと思うのか?グスッ」
「…ごめん、リーサさん。」
「だが、ケインならその辺も何とかクリアしそうじゃがの。くくく。」
「(まあね、確かに何とか出来ないかとは考えてはいるけどね。)まあ先は長いから気長に考えてはいるけどね。」
雑談を終わらせて、続きは明日と解散する。
家に戻り定位置のソファに座る。
「それでケイン。母さんへのお土産は?」
「何から出す?」
「あら、そんなにあるの?」
「例えば、これ。」と布を出す。
「あら、綺麗な布ね。」
「生まれてくる兄弟のために使ってもらおうと思ってね。」
「あら、母さんは使っちゃダメなの?」
「そ、そんなことはないよ。」
「冗談よ。他にも何かあるんでしょ?見せてちょうだい。」
「焼き菓子がこれと…これと…」
「もう、いいわ十分よ。残りは取っといて。」
「後は洋服とか選ぼうと思ったんだけど、俺もリーサさんもよく分からないから今度にしたよ。」
「あら、それは残念ね。でも色々買ってきてくれて、ありがとうケイン。」
「なあ父さんにはないのか?」
「ああ、父さんにももちろん…ん、あれ?」
「何だもったいつけずに出してくれよ。」
「…ごめん、父さんのお土産にと買ったお酒もドワーフタウンの倉庫に置いて来ちゃった。」
「そんな…」
「まあ、また買ってくるからさ。ごめんね。」
「約束だぞ。」
「分かったから、忘れないから。」
父さんを何とか宥めて夕飯を済ませる。
「さてと明日はジェットエンジンを何とか形にするでしょ。後は何も約束はなかったよな。」
メモを閉じ布団に入る。
翌朝、工房へと向かうとガンツさんがワクワク顔で待っているかと思ったのに、いなかった。
もしかしてと思い、試射場へと向かうと既に作業しているガンツさんがいて、その横にはアンジェさんが申し訳なさそうに座っていた。
「もしかして早くに連れて来られました?」
アンジェさんにそう尋ねるとコクリと頷き話し出す。
「もうね、早く起きたかと思えば、『行くぞ』としか言わないの。まだ朝食も食べていないのによ。何とか宥めて朝食を済ませたのだけど、もう『早くしろ』しか言わないのよ。どう思うリーサさん。」
「ケインじゃなく私に聞くのか?」
「だってケイン君は同類だもの。聞くだけ無駄でしょ。」
「「ご尤も。」」
「じゃ、俺も向こうに行くね。」
「「ごゆっくり。」」
「…はい。」
作業しているガンツさんの側に寄る。
「もうガンツさんのとばっちりだよ。」
「遅い!何をしているんだ。」
「遅いってガンツさんが早過ぎるの。もうお年寄りはこれだから。」
「ケイン、違うぞ。年寄りだから早く起きたんじゃない。楽しみで寝られなかっただけだ。」
「まあいいから、いいから。それにアンジェさんを付き合わせるのは問題でしょ。もっと優しくしてあげなよ。」
「それは…」
「後で謝りなよ。」
「分かった。」
「それで、どこまで進めたの。」
「後は魔法陣を刻めば完成だ。」
「分かった。じゃ、俺が作業している間は寝るなりデザインを考えるなりしてなよ。」
「おう、じゃ素晴らしい機体を考えるとしよう。絶対にケインにすごいと言わせるぞ。」
「別の意味ですごいって言わされそうだね。」
「もしかしてそれが『フラグ』というやつか?」
「ふふ、そうなのかもね。」
「ぐぬぬ、絶対に言わせてやる!」
「ああ、それは私も不思議に思った。どうして何だ?」
「まあ、説明する機会もなかったけど、あの橋みたいに大きいのはある程度の修正が効くから『えいっ』でいいんだけど、今日一緒に作業したガンツさんは分かると思うんだけどブレードの位置合わせとか微妙なバランスがあるでしょ。ああいうのは一度実践しないと上手くイメージが出来ないんだ。魔法はイメージがほぼ十割だからね。」
「なるほどね…ってならねえからな。」
「でも俺としてはそういうことだよ。」
「だから、今は蒸気機関もほぼ一瞬で出来るって訳か。」
「そう、そういうこと。何だ分かってくれてるじゃん。」
「分かりたくはないが、そうなんだろうなと漠然としたものはあったがな。」
「私がケインレベルに届くことはあるのだろうか?」
「モニカさんは長命種だから、いつかは届くだろうね。」
「それほどなのか。」
「俺の開発方法を学ぶなら、まずは魔法が使えること。」
「ああ、それは何とか使えるから大丈夫だ。」
「次に魔法を理解すること。」
「魔法の理解?それはどういうことだ。」
「例えば、火魔法の威力を上げるとすればどう考える?」
「与える魔力を増やすんじゃないのか?」
「それも一つだけど、火が燃えやすい環境を整えるってのがあるんだ。それが理解するということだね。」
「なるほどね。他には?」
「それらを組み合わせて魔法陣を組み立てることが出来る事。」
「ただ、既存の魔法陣をなぞるだけじゃダメなのか?」
「それだと、開発じゃなくて製作になるじゃない。単に組み立てだけしたいなら、今までのは不要で流れ作業を覚えるだけでいいんだけど。」
「そういうことか。魔道具を開発するのなら、今言った事が必要になるんだな。」
「そう、俺もガンツさんからもらった参考書がいまだに離せないしね。」
「モニカよ。後は大胆な発想力ってのも必要じゃ。ケインの作った物を見れば分かるが今まで見たことがある魔道具の焼き直しとはなってないだろう。今まで見たことがない物を作ろうと思う気持ちがあれば、いつかは出来るかもな。」
「その時って俺はいるのかな?ここにいる中で俺が一番早くお迎えが来そうなんだけど。」
「ケイン、悲しくなるから冗談でもそういうことは言わないで欲しい。私がそのことを考えていないと思うのか?グスッ」
「…ごめん、リーサさん。」
「だが、ケインならその辺も何とかクリアしそうじゃがの。くくく。」
「(まあね、確かに何とか出来ないかとは考えてはいるけどね。)まあ先は長いから気長に考えてはいるけどね。」
雑談を終わらせて、続きは明日と解散する。
家に戻り定位置のソファに座る。
「それでケイン。母さんへのお土産は?」
「何から出す?」
「あら、そんなにあるの?」
「例えば、これ。」と布を出す。
「あら、綺麗な布ね。」
「生まれてくる兄弟のために使ってもらおうと思ってね。」
「あら、母さんは使っちゃダメなの?」
「そ、そんなことはないよ。」
「冗談よ。他にも何かあるんでしょ?見せてちょうだい。」
「焼き菓子がこれと…これと…」
「もう、いいわ十分よ。残りは取っといて。」
「後は洋服とか選ぼうと思ったんだけど、俺もリーサさんもよく分からないから今度にしたよ。」
「あら、それは残念ね。でも色々買ってきてくれて、ありがとうケイン。」
「なあ父さんにはないのか?」
「ああ、父さんにももちろん…ん、あれ?」
「何だもったいつけずに出してくれよ。」
「…ごめん、父さんのお土産にと買ったお酒もドワーフタウンの倉庫に置いて来ちゃった。」
「そんな…」
「まあ、また買ってくるからさ。ごめんね。」
「約束だぞ。」
「分かったから、忘れないから。」
父さんを何とか宥めて夕飯を済ませる。
「さてと明日はジェットエンジンを何とか形にするでしょ。後は何も約束はなかったよな。」
メモを閉じ布団に入る。
翌朝、工房へと向かうとガンツさんがワクワク顔で待っているかと思ったのに、いなかった。
もしかしてと思い、試射場へと向かうと既に作業しているガンツさんがいて、その横にはアンジェさんが申し訳なさそうに座っていた。
「もしかして早くに連れて来られました?」
アンジェさんにそう尋ねるとコクリと頷き話し出す。
「もうね、早く起きたかと思えば、『行くぞ』としか言わないの。まだ朝食も食べていないのによ。何とか宥めて朝食を済ませたのだけど、もう『早くしろ』しか言わないのよ。どう思うリーサさん。」
「ケインじゃなく私に聞くのか?」
「だってケイン君は同類だもの。聞くだけ無駄でしょ。」
「「ご尤も。」」
「じゃ、俺も向こうに行くね。」
「「ごゆっくり。」」
「…はい。」
作業しているガンツさんの側に寄る。
「もうガンツさんのとばっちりだよ。」
「遅い!何をしているんだ。」
「遅いってガンツさんが早過ぎるの。もうお年寄りはこれだから。」
「ケイン、違うぞ。年寄りだから早く起きたんじゃない。楽しみで寝られなかっただけだ。」
「まあいいから、いいから。それにアンジェさんを付き合わせるのは問題でしょ。もっと優しくしてあげなよ。」
「それは…」
「後で謝りなよ。」
「分かった。」
「それで、どこまで進めたの。」
「後は魔法陣を刻めば完成だ。」
「分かった。じゃ、俺が作業している間は寝るなりデザインを考えるなりしてなよ。」
「おう、じゃ素晴らしい機体を考えるとしよう。絶対にケインにすごいと言わせるぞ。」
「別の意味ですごいって言わされそうだね。」
「もしかしてそれが『フラグ』というやつか?」
「ふふ、そうなのかもね。」
「ぐぬぬ、絶対に言わせてやる!」
0
お気に入りに追加
4,886
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
下級兵士は断罪された追放令嬢を護送する。
やすぴこ
ファンタジー
「ジョセフィーヌ!! 貴様を断罪する!!」
王立学園で行われたプロムナード開催式の場で、公爵令嬢ジョセフィーヌは婚約者から婚約破棄と共に数々の罪を断罪される。
愛していた者からの慈悲無き宣告、親しかった者からの嫌悪、信じていた者からの侮蔑。
弁解の機会も与えられず、その場で悪名高い国外れの修道院送りが決定した。
このお話はそんな事情で王都を追放された悪役令嬢の素性を知らぬまま、修道院まで護送する下級兵士の恋物語である。
この度なろう、アルファ、カクヨムで同時完結しました。
(なろう版だけ諸事情で18話と19話が一本となっておりますが、内容は同じです)
2/7 最終章 外伝『旅する母のラプソディ』を投稿する為、完結解除しました。
2/9 『旅する母のラプソディ』完結しました。アルファポリスオンリーの外伝を近日中にアップします。
断罪されているのは私の妻なんですが?
すずまる
恋愛
仕事の都合もあり王家のパーティーに遅れて会場入りすると何やら第一王子殿下が群衆の中の1人を指差し叫んでいた。
「貴様の様に地味なくせに身分とプライドだけは高い女は王太子である俺の婚約者に相応しくない!俺にはこのジャスミンの様に可憐で美しい女性こそが似合うのだ!しかも貴様はジャスミンの美貌に嫉妬して彼女を虐めていたと聞いている!貴様との婚約などこの場で破棄してくれるわ!」
ん?第一王子殿下に婚約者なんていたか?
そう思い指さされていた女性を見ると⋯⋯?
*-=-*-=-*-=-*-=-*
本編は1話完結です(꒪ㅂ꒪)
…が、設定ゆるゆる過ぎたと反省したのでちょっと色付けを鋭意執筆中(; ̄∀ ̄)スミマセン
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。