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◆強制送還しました

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翌朝、工房に入る前に試射場に行きガンツさんの車を回収し、飛行機を出しておく。
それから、いつもの様に工房の自室へと入るとガンツさん達とリーサさんご家族がいた。
「あれ?リーサさん、今日はお休みでいいと言ったけど?」
「ケイン、それがな…」と昨日ご家族に言われた無茶振りを話し出す。
「くくく、やはりそうなるか。」
「ガンツさん、面白がっていないで協力してよ。」
「だがなケイン、来たいと言ってるんだから、いいじゃねえか。」
「でも、向こうの人が減るでしょ、それはいいの?それに長さんに無断で決めていいことじゃないよね。リーサさんはいいとして、そのご両親やお兄さんまで何を言っているんですか。」
「「「そうは言っても…」」」
「とにかく、もう一度よく考えてください。とりあえずはリーサさん、今日は休みでいいから、観光というか、その辺案内して来たらどう?」
「「「「「「頼みます。」」」」」」
「ベティさんは帰ろうか。」
「いや~何で私だけなの!」
「いや、『何で』もないでしょうが、黙ってこっちに来といて。」
「…それは謝るけど。」
「それは俺にじゃないし、ガンツさんでもリーサさんでもないでしょ。はい。」
ゲートを長のいる部屋へと繋ぐと「へ?」と向こうで驚く声がした。
「おはようございます。ベティさんをお返ししますね、ではまた。」
ベティさんを送り出しゲートを閉じる。
「ケイン、容赦ないな。」
「あの手のタイプは一度隙を見せるとぐいぐい来ると思ったんでね。」

「じゃ、リーサさんは今日はツアコンと言うことで頑張ってね。はい、これ。」
「これは何だ?」
「魔導列車のフリーパスチケット。人数分あると思うから、思う存分引きずり回せばいいと思うよ。それにリーサさんならウォーターパークもフリーだから。」
「ふふふ、そうかそうだな。そうさせてもらう。ふふふ。」
「…リーサ?大丈夫なんだよな?」
「ああ、任せてくれ。ただ離れるとどうなるか分からないからな。十分注意してくれ。」
「あ、そうだ。これも渡しとく。はい。」
「何だこの旗は?『リーサ様ご家族一行様』って書いてあるな。」
「リーサさんはこれを持って先頭を歩いて、皆さんは後ろを離れない様に付いて行って下さい。じゃ頑張ってね。」
「ああ、行ってくる。」

リーサさんご家族を送り出す。
「行ったな、一緒に行かなくてよかったのか?」
「俺が行ってもどうしようもないよ。それに家族水入らずって言うでしょ。」
「いや、それは知らない。」
「あれ?こっちでは言わないのか…」
「まあそれはいい。それでケイン、何か思い付いたとか言ってたの。」
「ああ、ほら昨日さ、里に立ち寄った時に好きな時に行き来出来ればいいねって感じのことを話したのを覚えている?」
「ああ、確かにそんなことを言った覚えがあるの。で、それがどうした。」
「それでね、こんな風に出来ないかなと思い付いたのが、これで…こうなって…こうすれば…ね?」
「ふむ、確かにそうなれば行き来が自由に出来るな。面白い。だが他にバレればえらいことになるぞ。その辺はどうなっている?」
「ふふふ、それこそ今更だよ。今まで俺が作ったヤツには不正行為を行うと自壊する様に仕込んであるから、心配ない。」
「それは破片からでも解析されないと言うことか?」
「ふふふ、破片じゃないよ。粉になるから。文字通り粉微塵って、感じで自壊するから。」
「全く用心深いことじゃの。(よかった分解しないで…)」

「それで作ったのがこれになります。じゃじゃ~ん」とドアを取り出す。
「これがその装置なのか?何でドアなんじゃ?」
「そ、それは…そういう風に決まっているから?」
「そうか、ならいいか。対して変わらんし。だが荷車が通る大きさは欲しいの。」
「それもそうだね、じゃ後で大きいのも用意するね。今はとりあえずこれで行こう。」

テーブルにブレスレットを出しガンツさんに確認してもらう。
「これが認証するブレスレットになるのか。」
「そう、その人の魔力パターンを認識して、他の人には使えなくなるから、無くしたり取られても安心だよね。」
「魔力パターンか、そんなものまで解析してたのか。どれ。」
ガンツさんがブレスレットに魔力を軽く流すと一瞬光って消える。
「これで登録したってことか。」
「うん、そうだね。じゃドワーフの里にこの検知器を付けてもらっていい?」
「おお分かった。繋いでくれ。」
「いいよ。はい、どうぞ。」
「じゃ行って来る。」
「終わったら電話してね。」
「ああ、分かった。」
ゲートを閉じて、アンジェさんと向かい合う。
「アンジェさんにも渡しておくね。はい。」
「ありがとう、これでこのドアを潜れば向こうにいつでも行けるの?」
「そう、いつでも行けるよ。だから、その人選はガンツさん達にお任せしてもいいかな。」
「何で?里の人達全員じゃダメなの?」
「こういうのは出来るだけ知っている人を少なくした方がいいからさ。まあ今更だけどね。」
「ふふふ、意外と用心深いのね。分かったわ、協力します。」
「ありがとう。じゃガンボさんも呼ぶね。」
ガンボさんに電話して、ゲートを繋ぐ。
「ケイン、何の用じゃ。」
「実はね…」とドワーフの里との行き来に付いて話す。
「確かにそれが出来れば有難いし、面倒ごとを呼びそうじゃの。」
「だからね、今アンジェさんにも人選をお願いしていたとこなんだ。」
「そうか、それがこれか。」
ガンボさんがテーブルの上に置いていたブレスレットを手に取る。
「じゃあ試してみますか。」
ドワーフの里に通じるドアをガンボさんに開けてもらうと「アバババ」とガンボさんが痺れ出す。
「ケイン、そういうことは早めに言ってくれないとな!」
「ごめん、でもこれで実証出来たでしょ。そのブレスレットに魔力を軽く流してみて。」
「こうかな。」
ブレスレットが光ったのを確認しガンボさんに大丈夫と伝える。
「じゃあ行くぞ。」
ドアノブを掴みガンボさんが「ここまでは大丈夫。」と呟く。
掴んだドアノブを回し押し開く。

「何じゃガンボが来たのか。」
「ガンツ、お前も噛んでいたのか。」
「ドワーフ関連ならワシかお前じゃろ。ふふふ、ケインに何かやられたか?」
「ああ、実験台にされて、なかなか痺れたわ。」
「それで、人選でも言われたか。」
「…分かるか。」
「ああ、ケインならそのくらいは考えるじゃろ。」
「まあな、ワシも里の人間を信じたいが、全部が全部そうとは言えないしの。この前のサイカ村の件がいい例じゃ。」
「だな、ワシらは運がよかっただけかもな。」
「それは言えるな。」
「だが、馬鹿には出来ん。ワシはこの運もケインとの仲も大事にして行きたいと思うとる。」
「それはワシらが仲違いすることになってもか。」
「そうじゃな、それはその時に考えさせてくれ。」
「ふふふ、それはワシも一緒じゃ。」

『ああもう、ドア開けっぱなしだから、全部聞こえているってのに。ほらアンジェさんまで苦笑いしてるし。』

「ガンツさん、そっちは終わった?」
「ああ、終わったぞ。どうする?」
「じゃあどっちかブレスレットを外してから確かめてよ。」
「「………」」
「どっちでもいいから早くね。」
「ワシはさっき確かめたから、今度はガンツじゃ。」
「な、何で自分が作った仕掛けに自分で引っかからきゃいけないんじゃ!だからガンボがやってくれ。一回も二回も変わらんじゃろ。」
「自分で作った物は自分で試すものじゃろ。他人に任せるんじゃない!」
「もう、どっちでもいいから。」
「「よくない!」」
「じゃあいいや。」
ケインがそう言った瞬間に二人のブレスレットが消える。
「「あ!」」
『ケイコクケイコク、コノモンニキョカナクチカヅクコトハユルサレマセン。ソッコクタチサルカハナレテクダサイ。』
「「………」」
『コノバニトドマルバアイハケイコクヲムシシタモノトミナシマス。5・4・3・2・1・0・ハッシャ!』
「「ケイ~~~~~ン!アバババ」」

「喧嘩しなけりゃよかったのにね~アンジェさん。」
「ええ、本当に…」
「じゃあ放電が治るまでこのまま放置で。お茶にしましょうか。」
「そうね。」
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