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◆放置一択でした

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「で、漁の方法が問題と言うたが?」
「それがね、サイカ村の漁だと村内で消費する分には構わないけど、外に出すには十分な量は賄えないっぽい。」
「それだと、ワシらに魚が回ってこないと言うことかの。」
「そうなるね。」
「それはワシらもこの人らも困るの。」
「だよね。ねえティーダさん漁のやり方を変えるのに抵抗はある?」
「俺たちの食い扶持が増えるってんなら、歓迎だが。それは確実なのか?」
「まず、それはやってみないことには分からない。でも成功すれば大きい。」
「なら、やってみるしかないのか。…分かった。その案に乗る!どうすればいい?」
「おい、ティーダ。そんな簡単に決めていいのか?他の奴らに説明もしないで。」
「他の奴らには俺から説明するから。アルフも今のままじゃダメなのは分かっているんだろ?俺さ、さっき橋の近くまで行って来たんだよ。」
「ああ、いつの間にか出来ていたあれな。それがどうした?」
「高い建物や知らない乗り物がそこら中にあった。」
「へ?お前、幻覚でも見せられたのか?大丈夫か。」
「信じられないよな。お前もちょっと見て来た方がいいぞ。」
「あ、それならそのボートを置いていくのでご自由に。ただもうすぐ暗くなるから注意はしてね。じゃ、俺達は今日は帰るから。明日またね。十時くらいかな?じゃ。」
「お、おい待てよ。船を置いて行くって、お前らはどうやって帰るってんだ?」
「えっこうやってだけど?」
目の前でゲートを開き潜っていく。
「じゃ、明日ね。」

ケイン達が潜って行きゲートが閉じるとほぼ同時に意識が覚醒する。
「はっ何だったんだあれは?」
「あんた、あの子は人だよね?騙されてないよね?大丈夫なんだろうね?」
「なあティーダ、本当に何もないよな、本当に信じていいんだよな?」
「今はこの村が変わるのなら、何でもいいさ。ほら、お前ら暗くなる前に行くぞ。」
「行くぞってまさか、あれに乗るのか?」
「大丈夫だ、ちゃんと習っているから。ほら、早く乗れ。ほらベッキーお前もだよ。」
「え?いやぁ!」
「ああ、うるさい!乗らなきゃ分からないだろうが!アルフも手伝え。」
「あ、ああ。」

何とかベッキーをボートに乗せて河口に舳先を向けると河口を挟んだ反対側には岸壁がアルフの視界に入ってきた。
「なあ、ティーダ。あれってなかったよな?」
「ああ、あれもあいつらの仕事らしい。あの向こうに見える橋もな。」
「へ~って、あの橋もあの岸壁もそんなに早く出来るもんじゃないだろうが!騙されてんだよ。あいつらに。」
「でも、ちょっと前までなかったのはお前も知っているだろ。特にそこの岸壁なんて今朝はなかったはずだ。なら、騙されるも何もこれが事実だ。」
「…そうだが。」
「それに向こう側を見てみろ。高い建物や知らない乗り物が走っている。あれを見てもまだ幻だと言うのか?」
「ぐっ」
「綺麗ね~私達も住めないかしら?」
「「…今、何て言った!」」
「へ?住めたらいいなって…何、どうしたの?」
「そうだよな、あいつらなら『うん』と言ってくれそうだな。」
「ティーダ、それは楽観すぎる。慎重に行ったほうがいいって。」
橋の下まで来たんボートがUターンして、河口へと下っていく。

何か忘れている様な気がするが気にせず「ただいま~」と家に帰るが何となく雰囲気が暗い。
「気のせいかな?」と思い手洗いうがいを済ませソファに座ると項垂れている兄ズ。
晩酌中の父さんに理由を聞いても何も言わないらしい。
「何だか気味が悪いな。」
このままじゃ暗いままだし、ちょっと聞いてみるか。
「兄さん達、どうしたの?」
「「お前のせいだ!」」と一斉に責められる。
「な、何のことかわからないけど、謝ればいいの?」
「「違う!そうじゃない!そうじゃないんだけど、お前のせいなんだ~」」
急に俺のせいだと言われても全く意味が分からない。
「ケイン、お前今日何をしたのか覚えていないのか?」
「今日?魚が食べたいって頑張ったくらい?」
「違う!忘れたのか?お屋敷に連れて行っただろうが。」
「あ、そうか。何か忘れているような、魚の小骨の様に引っ掛かっていたのはソレだ!やっとスッキリしたよ。ありがとうね。で、ソレがどうかしたの?」
「…やっぱり、忘れていたか。まあそれはいいや。よくはないけど、今はいい。俺達はな、父さんの店でお前が連れて帰って来ると思って待っていたんだぞ。ったく、それなのに忘れていたんだな。」
「…ごめん。」
「いや、いいんだ。問題はそこじゃない。そこじゃないんだよ、何だよあれは!」
「えっと訳が分からないんだけど、クリス兄さん代わって説明してもらってもいい?」
「ああ、サム兄さん。後は任せて。」
「ああ、すまん頼む。」
「じゃ、『待っていた』ところまではいいよね?」
「うん、それはごめん。で、続けて。」
「ああ、それで待っていたところにお屋敷から馬車に乗せられて彼女達が戻って来たんだ。」
「それならいいじゃない。どこか連れて行かれたのかと思ったよ。けど、それなら落ち込んではいられないか。」
「そう、ちゃんと帰って来たんだ。でもね、違ったんだよ。」
「『違った』って何が違ったの?」
「僕らの彼女のスージー、ロージーだけでなくモブな彼女達までとろ~んとした目付きで言うんだ。『お姉様』って。」
「(あちゃ~こりゃ間違いなくシャルさんだろうな。)でも元気なんじゃないの?」
「それがね、僕達が何を話し掛けても何も反応しないんだよ。これはどうすればいいのか分からず、二人して落ち込んでいたって訳さ。」
「は~なるほどね、ウォーターパークの開放は明日までだもんね。」
「そうなんだよ、水着を作ってもらうだけのはずが、なんでこうなったんだろうね。」
「でも、俺は後のことは知らないと先に言ったよね?」
「あ!そ、そう、そうだったね。でもさ落ち込んでいる兄を助けたいとは思わない?」
「もう分かったよ。とりあえず当事者に聞いてみるから、待ってて。」
「ああ、助かる。」

シャルさんに電話を掛け事情を聞く。
「…ってことなんだけど、何かしたよね?」
『おいおい、いきなりの喧嘩腰だな。そんなに人を疑うもんじゃないぞ。』
「したんでしょ?」
『…ああ、もうしたさ、あれをしたって言うんならしたんだろうな。だが採寸しただけなんだから、不可抗力ってやつだろ?オレ達には何も責任はないはずだ!そ、そうだ。』
「本当にそれだけ?」
『あ、ああ本当さ、ちょっとイキすぎたかもしれんが…』
「ようは触りすぎて、色々なことをしちゃって、ついでに目覚めさせちゃったと。まとめるとそう言うわけね。」
『…ぐっ。そう言われればそうだったかもな。』
「まあ大体の事情はわかりました。これからはほどほどにお願いしますよ。次は…」
『…な、何だよ。切るなよ。『次』は何なんだよ~』
「もうお分かりでしょ。じゃ。」
『…あ、ま』
「さてと、どう説明するべきか。困ったね。」

「ほら、何してんの!テーブル片付けて。あらケインどうしたの?ケインまでなの。」
「あ、母さん。ちょっと聞いて欲しいんだけど。いい?」
「もう夕食の時間だから、早めにね。ほら言ってみなさい。」
「実は…かくかくしかじか…と言う訳なんだけど。」
「ぷっそんなこと、そんなのすぐに冷めるわよ。放っときなさい。そこのも放っとけばいいわ。さ、食べましょう。」
「「放置かよ!」」
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