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第1章 ここが異世界
第38話 価値観は世界でそれぞれなんです
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「そりゃ、焦りますよ!」
「え?」
「だって、私はもう……二十五歳なんです!」
「ん?」
女性……セシルが何かを焦っている様な感じだったので、その焦っている理由が何かと尋ねれば、いきなり年齢を言い出したのでどういうことなのかと思っていたら「分かりませんか?」とグッと近寄ってこられたので慌てて離れる。
「ちょ、ちょっと落ち着こうか。とりあえずセシルさんの歳は分かったけど、二十五歳で何をそんなに焦るの?」
「……そうでした。客様の世界観とは異なるのでしたね」
「そうなのかな? でも、セシルさんの焦る理由がよく分からないんだけどね」
「セシルです」
「え?」
「だから、セシルです」
「あ、いや……でもセシルさんの方が年上だし」
俺がセシルさんと「さん」を付けて呼ぶとセシルさんは俺の顔を真っ直ぐに見て「セシルです」と強調して言う。あ~これは「さん」は不要だということだなと思い、セシルさんが年上だから「さん」は付けますよと言えば「年上……」と呟いたと思ったら、直ぐに「関係ありませんから!」と少し強めに言われた。やはり歳の話はデリケートなんだろうか。
そしてセシルさんは少し興奮気味に話し出す。
「関係ありません! 客様が使用人である私に敬称をつける必要はありません。だから、どうか呼び捨てでお願いします」
「どうしても?」
「はい。もし、客様が私に対し呼び捨てではなく先程のように「さん」付けで呼ばれると……」
「ると……」
「私が要求して呼ばせていると思われてしまいます」
「え、ウソ」
「ウソは言いません。ですので、どうか呼び捨てでセシルとお呼び下さい」
「はぁ、分かったよセシル。これでいい?」
「はい!」
「なら、俺も客様じゃなくヒロでお願い」
「はい、ヒロ様」
「あぁ~様は付けるんだ」
「これはご容赦ください。いくらなんでも客様相手ですから」
「慣れるしかないんだ」
「はい、そういうことです」
「で?」
「はい?」
お互いの呼び方が決まったところで肝心なことがハッキリしていないことを思いだし、セシルに促すが不思議そうに聞き返す。
「いや、だからセシルが二十五歳なのは分かったけど、それが焦る理由をまだ聞いてないなと思ってね」
「あ~やっぱり分かってもらえなかったんですね」
「うん、さっぱり。多分そうかなと思えることはあるけど、それがそうなのか言っていいものかどうかが分からない」
「因みにどういうことを想像しているのかお聞きしても?」
「あ~うん、怒らないで聞いて欲しいんだけど……」
「ふふふ、大丈夫ですから、お聞かせください」
「じゃあ……」
俺はセシルが二十五歳で焦っている理由になんとなく想像が着き、「言うけど怒らないでね」と了承を得てから日本での結婚観について話した。
「……と、まあそういう訳で俺がいた世界では二十五歳は遅くはない。どちらかというと早い方だね」
「ですが、ここは日本ではありません」
「まあね、確かに日本でも十五歳で夫婦になる時代はあったけど、今は三十歳前後が一般的かな」
「それは分かりました。ですが、先程も申しましたがここは客様がいた日本ではありません。ですが、私が焦っていた理由は当たっています」
「そうなんだ。でも、そんなに焦ることなの?」
「焦ります!」
「えぇ! ちょ、ちょっと待って!」
俺の言葉にセシルは興奮してしまったのか、いきなりその場で立ち上がってしまったので色んな物が見えてしまっているので慌てて目を隠して顔を逸らせば「こっちを見て下さい」と無茶な要求をしてくる。
「む、無理言わないでよ!」
「そんなに見る価値もないんですか……」
「い、いや、違うから! どっちかと言うとその逆だから!」
「なら「だから、無理だって!」……どうしたら、見て頂けるんですか!」
「ちょ、ちょっと落ち着こうか。ね」
「分かりました……はぁ」
俺はセシルが湯舟に浸かったのを確認してからセシルと向き合う。
「さっきから話が進まないんだけど、ちゃんと説明してくれるかな」
「分かりました……私も焦る気持ちが表に出すぎたようです。申し訳ありません。ですが、長湯し過ぎたようなので先ずは体を洗ってからにしましょうか」
「あ、やっぱり洗うんだ」
「当たり前です。ふふふ、まだお恥ずかしいですか?」
「……はい」
「え?」
「だって、私はもう……二十五歳なんです!」
「ん?」
女性……セシルが何かを焦っている様な感じだったので、その焦っている理由が何かと尋ねれば、いきなり年齢を言い出したのでどういうことなのかと思っていたら「分かりませんか?」とグッと近寄ってこられたので慌てて離れる。
「ちょ、ちょっと落ち着こうか。とりあえずセシルさんの歳は分かったけど、二十五歳で何をそんなに焦るの?」
「……そうでした。客様の世界観とは異なるのでしたね」
「そうなのかな? でも、セシルさんの焦る理由がよく分からないんだけどね」
「セシルです」
「え?」
「だから、セシルです」
「あ、いや……でもセシルさんの方が年上だし」
俺がセシルさんと「さん」を付けて呼ぶとセシルさんは俺の顔を真っ直ぐに見て「セシルです」と強調して言う。あ~これは「さん」は不要だということだなと思い、セシルさんが年上だから「さん」は付けますよと言えば「年上……」と呟いたと思ったら、直ぐに「関係ありませんから!」と少し強めに言われた。やはり歳の話はデリケートなんだろうか。
そしてセシルさんは少し興奮気味に話し出す。
「関係ありません! 客様が使用人である私に敬称をつける必要はありません。だから、どうか呼び捨てでお願いします」
「どうしても?」
「はい。もし、客様が私に対し呼び捨てではなく先程のように「さん」付けで呼ばれると……」
「ると……」
「私が要求して呼ばせていると思われてしまいます」
「え、ウソ」
「ウソは言いません。ですので、どうか呼び捨てでセシルとお呼び下さい」
「はぁ、分かったよセシル。これでいい?」
「はい!」
「なら、俺も客様じゃなくヒロでお願い」
「はい、ヒロ様」
「あぁ~様は付けるんだ」
「これはご容赦ください。いくらなんでも客様相手ですから」
「慣れるしかないんだ」
「はい、そういうことです」
「で?」
「はい?」
お互いの呼び方が決まったところで肝心なことがハッキリしていないことを思いだし、セシルに促すが不思議そうに聞き返す。
「いや、だからセシルが二十五歳なのは分かったけど、それが焦る理由をまだ聞いてないなと思ってね」
「あ~やっぱり分かってもらえなかったんですね」
「うん、さっぱり。多分そうかなと思えることはあるけど、それがそうなのか言っていいものかどうかが分からない」
「因みにどういうことを想像しているのかお聞きしても?」
「あ~うん、怒らないで聞いて欲しいんだけど……」
「ふふふ、大丈夫ですから、お聞かせください」
「じゃあ……」
俺はセシルが二十五歳で焦っている理由になんとなく想像が着き、「言うけど怒らないでね」と了承を得てから日本での結婚観について話した。
「……と、まあそういう訳で俺がいた世界では二十五歳は遅くはない。どちらかというと早い方だね」
「ですが、ここは日本ではありません」
「まあね、確かに日本でも十五歳で夫婦になる時代はあったけど、今は三十歳前後が一般的かな」
「それは分かりました。ですが、先程も申しましたがここは客様がいた日本ではありません。ですが、私が焦っていた理由は当たっています」
「そうなんだ。でも、そんなに焦ることなの?」
「焦ります!」
「えぇ! ちょ、ちょっと待って!」
俺の言葉にセシルは興奮してしまったのか、いきなりその場で立ち上がってしまったので色んな物が見えてしまっているので慌てて目を隠して顔を逸らせば「こっちを見て下さい」と無茶な要求をしてくる。
「む、無理言わないでよ!」
「そんなに見る価値もないんですか……」
「い、いや、違うから! どっちかと言うとその逆だから!」
「なら「だから、無理だって!」……どうしたら、見て頂けるんですか!」
「ちょ、ちょっと落ち着こうか。ね」
「分かりました……はぁ」
俺はセシルが湯舟に浸かったのを確認してからセシルと向き合う。
「さっきから話が進まないんだけど、ちゃんと説明してくれるかな」
「分かりました……私も焦る気持ちが表に出すぎたようです。申し訳ありません。ですが、長湯し過ぎたようなので先ずは体を洗ってからにしましょうか」
「あ、やっぱり洗うんだ」
「当たり前です。ふふふ、まだお恥ずかしいですか?」
「……はい」
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