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第1章 ここが異世界
第35話 欲望よりも羞恥が勝る
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「では、こちらでお待ち下さい」
「はぁ」
領都に着くなり領主様のお屋敷にまで直行したので、もちろん街の様子など見ることも出来ず、今はこうやって応接室らしき部屋に通され領主とやらに会うために待たされている。
「ハァ~なんとかここまで来たけど、どうなるんだろう」
『ピィ』
俺はセツをテーブルの上に下ろすと指でセツを擽ったりしながらヒマを持て余していたら、「お待たせしました」と家令か執事かは分からないが、小柄で細身の白髪の老人が扉を開けると同時に俺にそう言って頭を下げる。
「では、今から旦那様に会っていただきたいのですが……」
「ん?」
老人は俺の頭からつま先までを見てから嘆息しながら「こちらの不手際で申し訳ありません」と更に頭を下げ側に控えていたメイド服の女性に対し「旅の疲れを癒して差し上げなさい」と声を掛ければ、女性はぺこりと頭を下げ俺にニコリと微笑みかけ「浴室にご案内しますので」と言う。
「はぁ」
老人に浴室に案内するように言われたメイド服の女性は俺よりも少し低いくらいで、顔もそうだが袖から覗く手首から先の指先まで白く細い。それなのにメイド服でもハッキリ分かる主張しすぎる一部分に思わず目が釘付けになる。
俺は風呂に案内してくれるのなら有り難いと女性の後を着いて歩き「ここです」と扉を開けたので俺は女性にお礼を言って、その部屋へと入り後ろ手で扉を閉めようとするが閉まらないので「あれ?」と扉を見れば女性が扉の間に割って入っていた。
「えっと、俺は今からお風呂に入るんですけど……」
「はい」
「あの、ここって脱衣場ではないんですか?」
「脱衣はもう一つ先の部屋でお願いします」
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
「いえ」
そういうことならと俺は扉の取っ手から手を離し、女性が教えてくれた脱衣場らしき部屋の扉を開き中に入れば、女性も当たり前の様に中へと入ってくる。
「あの、ここが脱衣場なんですよね?」
「はい、浴室はこの先にあります」
「あ、それはどうも。じゃなくて、え? ちょっとなんで脱ぐんですか?」
「何故ってお風呂に入るのですよね?」
「はい?」
脱衣場に案内されたので俺は近くにあった脱衣籠らしき物を側に寄せ服を脱ごうとしたところで案内してくれた女性も一緒に脱衣場にいることに驚いていると、その女性はゆっくりとした動作で着ていたメイド服を脱ぎ始め、静かな脱衣場の中にシュルシュルと衣擦れの音だけがやたら大きく聞こえる。
俺は「オォ~ラッキー!」と一瞬思ったが、「いや、ダメだろ」と警鐘が鳴ったので俺は既にはだけている女性に対し直視しないように注意しながら「何やっているんですか!」と強めの口調で言うが、女性は俺が何を気にしているのか分からない様子で「お風呂に入る時は服を脱ぐんですよ」と言い、全て脱ぎ終わると「手伝った方がいいですか?」と聞いてくる。
「いやいやいや、だからそうじゃなくて、なんで一緒に入ろうとしているんですか?」
「ふふふ、おかしなことを言いますね。お風呂は一人では無理でしょ?」
「はい? いやいやいや、何を言ってるんですか。お風呂に異性と一緒に入るなんて恋人か夫婦じゃないとおかしいでしょ!」
「へぇ~そうなんですね。それよりも早く入らないと冷めますよ」
「ぐ……」
「それに言い難いことなんですが、私達メイドからすれば、こんなに大きな浴室には掃除以外で入れることはないんです。そんな私から楽しみを奪うおつもりですか?」
「はぁ~分かりました。でも、俺は自分で出来ますから!」
「はい!」
俺は女性から「大きなお風呂に入る楽しみを奪わないで」と言われてしまったことで、根負けしてしまい一緒にお風呂に入ることを了承してしまうが、俺には構わないで欲しいとだけお願いして浴室へと足を踏み入れれば、「ふわぁ~」と思わず声が漏れ出る。
浴室と言うよりは、豪華なスパだなと左手に持ったタオルで股間を隠しながら目の前に広がる風景に目を奪われていると、女性が隣に立ち「凄いでしょ!」と言ってくるので「ええ、ホントに……」とお風呂にいることも忘れ声のする方に目を向ければ、タオル一枚で体の正面だけを隠した女性が目に入るので慌てて目を逸らす。
「ふふふ、おかしいですね」
「おかしくはありませんから! これが普通の男性の反応です!」
「ふ~ん、まあいいですけど……お風呂の作法はご存知ですか?」
「ご存知です!」
「あら、残念」
「全く、いいように揶揄われているな」と憤慨しつつ、掛け湯をしようと大きな浴槽に近付くが桶が見当たらない。もちろん、銭湯で見かけるケロリンの桶を探している訳ではないのだが、どれだけ探しても見つからない。
「あれ? なんでないの?」
「何をお探しですか?」
「何って……手桶だけど……」
「そんなのはありませんよ」
「え? ないって……じゃあ、掛け湯はしないの?」
「そんなわけありません」
「え?」
「こちらへ」と女性が先を歩き案内してくれるが、女性がタオルで隠しているのは正面だけなので俺の視線の先には白く形がいいものがプルプルと歩く度に揺れている。俺は出来るだけ直視しないようにと目線を出来るだけ下げるが、女性との間隔が開くと女性が立ち止まるためイヤでも目線に入る。
「ここでお願いします」
「あ、あるんだ」
「ありますよ。ふふふ」と女性はタオルを横に掛けシャワーの元へと近寄る。
「はぁ」
領都に着くなり領主様のお屋敷にまで直行したので、もちろん街の様子など見ることも出来ず、今はこうやって応接室らしき部屋に通され領主とやらに会うために待たされている。
「ハァ~なんとかここまで来たけど、どうなるんだろう」
『ピィ』
俺はセツをテーブルの上に下ろすと指でセツを擽ったりしながらヒマを持て余していたら、「お待たせしました」と家令か執事かは分からないが、小柄で細身の白髪の老人が扉を開けると同時に俺にそう言って頭を下げる。
「では、今から旦那様に会っていただきたいのですが……」
「ん?」
老人は俺の頭からつま先までを見てから嘆息しながら「こちらの不手際で申し訳ありません」と更に頭を下げ側に控えていたメイド服の女性に対し「旅の疲れを癒して差し上げなさい」と声を掛ければ、女性はぺこりと頭を下げ俺にニコリと微笑みかけ「浴室にご案内しますので」と言う。
「はぁ」
老人に浴室に案内するように言われたメイド服の女性は俺よりも少し低いくらいで、顔もそうだが袖から覗く手首から先の指先まで白く細い。それなのにメイド服でもハッキリ分かる主張しすぎる一部分に思わず目が釘付けになる。
俺は風呂に案内してくれるのなら有り難いと女性の後を着いて歩き「ここです」と扉を開けたので俺は女性にお礼を言って、その部屋へと入り後ろ手で扉を閉めようとするが閉まらないので「あれ?」と扉を見れば女性が扉の間に割って入っていた。
「えっと、俺は今からお風呂に入るんですけど……」
「はい」
「あの、ここって脱衣場ではないんですか?」
「脱衣はもう一つ先の部屋でお願いします」
「あ、そうなんですね。ありがとうございます」
「いえ」
そういうことならと俺は扉の取っ手から手を離し、女性が教えてくれた脱衣場らしき部屋の扉を開き中に入れば、女性も当たり前の様に中へと入ってくる。
「あの、ここが脱衣場なんですよね?」
「はい、浴室はこの先にあります」
「あ、それはどうも。じゃなくて、え? ちょっとなんで脱ぐんですか?」
「何故ってお風呂に入るのですよね?」
「はい?」
脱衣場に案内されたので俺は近くにあった脱衣籠らしき物を側に寄せ服を脱ごうとしたところで案内してくれた女性も一緒に脱衣場にいることに驚いていると、その女性はゆっくりとした動作で着ていたメイド服を脱ぎ始め、静かな脱衣場の中にシュルシュルと衣擦れの音だけがやたら大きく聞こえる。
俺は「オォ~ラッキー!」と一瞬思ったが、「いや、ダメだろ」と警鐘が鳴ったので俺は既にはだけている女性に対し直視しないように注意しながら「何やっているんですか!」と強めの口調で言うが、女性は俺が何を気にしているのか分からない様子で「お風呂に入る時は服を脱ぐんですよ」と言い、全て脱ぎ終わると「手伝った方がいいですか?」と聞いてくる。
「いやいやいや、だからそうじゃなくて、なんで一緒に入ろうとしているんですか?」
「ふふふ、おかしなことを言いますね。お風呂は一人では無理でしょ?」
「はい? いやいやいや、何を言ってるんですか。お風呂に異性と一緒に入るなんて恋人か夫婦じゃないとおかしいでしょ!」
「へぇ~そうなんですね。それよりも早く入らないと冷めますよ」
「ぐ……」
「それに言い難いことなんですが、私達メイドからすれば、こんなに大きな浴室には掃除以外で入れることはないんです。そんな私から楽しみを奪うおつもりですか?」
「はぁ~分かりました。でも、俺は自分で出来ますから!」
「はい!」
俺は女性から「大きなお風呂に入る楽しみを奪わないで」と言われてしまったことで、根負けしてしまい一緒にお風呂に入ることを了承してしまうが、俺には構わないで欲しいとだけお願いして浴室へと足を踏み入れれば、「ふわぁ~」と思わず声が漏れ出る。
浴室と言うよりは、豪華なスパだなと左手に持ったタオルで股間を隠しながら目の前に広がる風景に目を奪われていると、女性が隣に立ち「凄いでしょ!」と言ってくるので「ええ、ホントに……」とお風呂にいることも忘れ声のする方に目を向ければ、タオル一枚で体の正面だけを隠した女性が目に入るので慌てて目を逸らす。
「ふふふ、おかしいですね」
「おかしくはありませんから! これが普通の男性の反応です!」
「ふ~ん、まあいいですけど……お風呂の作法はご存知ですか?」
「ご存知です!」
「あら、残念」
「全く、いいように揶揄われているな」と憤慨しつつ、掛け湯をしようと大きな浴槽に近付くが桶が見当たらない。もちろん、銭湯で見かけるケロリンの桶を探している訳ではないのだが、どれだけ探しても見つからない。
「あれ? なんでないの?」
「何をお探しですか?」
「何って……手桶だけど……」
「そんなのはありませんよ」
「え? ないって……じゃあ、掛け湯はしないの?」
「そんなわけありません」
「え?」
「こちらへ」と女性が先を歩き案内してくれるが、女性がタオルで隠しているのは正面だけなので俺の視線の先には白く形がいいものがプルプルと歩く度に揺れている。俺は出来るだけ直視しないようにと目線を出来るだけ下げるが、女性との間隔が開くと女性が立ち止まるためイヤでも目線に入る。
「ここでお願いします」
「あ、あるんだ」
「ありますよ。ふふふ」と女性はタオルを横に掛けシャワーの元へと近寄る。
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