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第39話 生えてますから!
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「毛が生えてからって……もう、俺はちゃんと生えているってのに……」
キールの店を出てから明良はず~っとブツブツと言っている。「毛が生えた」ってのはそんな直接的なことじゃないと思うんだが……。明良のつぶやきをず~っと聞かされている由香と久美はちょっとだけ興味があるようで「恒も……なのかな?」「じゃない?」「「キャ~!!!」」などと盛り上がっている。
そんな二人の妙な盛り上がりにドリーもヘンにニヤついているし……。
「あ~もう、明良。キールが言っていたのはそういう身体的なことじゃないから」
「分かっている! 分かってはいるけど……」
「じゃあ、何をすればいいのかはわかっているんじゃないの?」
「……」
恒が明良に対し、さっきから明良がぶつくさ言っているのは的外れだと直接的に言うが、さすがに明良もそれくらいは分かってはいるみたいだけど……。だから、何をすればいいのかってのは何も思い付いていないみたいだ。
「もう……あのさ、毛が生えていないってのは初心者ってことを言っているんだけど、それは分かっているの?」
「え? そうなのか?」
「へ? なんだと思っていたの?」
「いや……その……なんだ……」
「もしかして、何も分かっていなかったってこと?」
「……ごめん!」
明良が恒に対し素直に頭を下げる。
どうやら、キールが言った言葉に対し侮蔑とまではいかないが、明らかに恒より下に見られたことに対し憤慨していただけらしい。
「明良、そりゃしょうがないよ」
「うん、しょうがない。だって、恒だもん!」
「そうだよね」
「だよね」
「お前ら……それちっとも慰めになってないぞ」
「え~だって、そんなの最初っから分かりきっているハナシじゃん」
「そうだよ。あんなチート様相手に何ムキになってんのってハナシじゃん」
「……それもそうか」
「そうそう、明良にはミリーがいるんだから」
「そうそう。まあ、あのミリーが毛が生えていないってくらいで明良を見限るとは思えないけどね」
「だぁ~もう、ちゃんと生えているって! なあ、恒!」
「え?」
「『え?』ってなんだよ。恒は俺のをちゃんと見ているだろ?」
「え……見てないけど?」
「なんでだよ! ちゃんと見ろよ!」
「え~なんで同姓のを見ないとダメなんだよ。気持ち悪い」
「気持ち悪いってなんだよ! なあ、ちゃんと見てくれよ! なんなら、そこの陰ででも……」
「いやいやいや、冗談でもイヤだし」
「なんでだよ!」
「なんでもだよ! そんなに見て欲しいなら、ミリーに頼めばいいじゃないか!」
「なんで、ミリーに頼むんだよ!」
「だって、いつも一緒にお風呂に入っているじゃないか。そうだ! なあ、由香と久美からもミリーにちゃんと確認するようにお願いしてもらえばいいんじゃないか?」」
「それはいいわね」
「そうね、ミリーならお願い聞いてくれそう!」
「……」
恒の提案に由香と久美はノリ気だが、明良は逆に沈んだ表情になり、それを横で聞いていたドリーが憤慨する。
「お前ら、ミリーに何をさせる気だ!」
「え? 生えているかの確認だけど?」
「そうだよ。恒がしないのなら、ミリーしかいないじゃない」
「ぐぬぬ……いや、ダメだ! ミリーにそんな変な物を見せる訳にはいかない。だから、ワシが見る! 風呂に行くまでもない。明良、脱げ!」
「え?」
「『え?』じゃない! ミリーに変な物を見せる訳にはいかないだろ。ほら、早くするんだ! 減るもんじゃないだろ。ほら、早く!」
「ちょっと、待て! ドリー、今ここがどこか分かっているのか?」
「そんなものは関係ない。いいから、ほら!」
「おとうさん?」
「「「へ?」」」
ドリーが明良を組み伏せ、確認しようとしていたところに横から声を掛けられたドリーが見たのは、買い物籠を提げたミリーだった。
「おとうさん、アキラになにをしているの?」
「ミリー……違うんだ。これはその……」
「いいわけはおへやでききます。アキラ、いこう」
「あ、ああ……」
ミリーは明良の手を取るとそのまま、宿へと歩き出す。
そして、その後ろからドリーが慌ててミリー達を追い掛ける。
「ミリー、違うんだ! 話を聞いてくれ!」
「もう、うるさい! アキラ、はやくかえろう」
「ああ、そうだな」
ここで明良もドリーに対しちょっとした意趣返しが出来たと思ったのかドリーに対しニヤッと笑う。
そして、ドリーも明良のその表情に気付き、ミリーに対し更に言い訳をしようとするがミリーはドリーに対し耳を貸す様子もなくずんずんと先を歩いて行く。
「あ~あ、嫌われちゃったね、こりゃ」
「そうみたいね」
「……」
何気なく交わす由香と久美の会話を聞いて、ドリーが二人をキッと睨み付ける。
「え? 私達のせいなの?」
「違うよね。どう見てもドリーの暴走のせいだよね?」
「……」
二人にそう言われると思うところがあったのか、今度は恒の方を見るドリー。
「ごめん。俺にはどうしようも出来ないよ」
キールの店を出てから明良はず~っとブツブツと言っている。「毛が生えた」ってのはそんな直接的なことじゃないと思うんだが……。明良のつぶやきをず~っと聞かされている由香と久美はちょっとだけ興味があるようで「恒も……なのかな?」「じゃない?」「「キャ~!!!」」などと盛り上がっている。
そんな二人の妙な盛り上がりにドリーもヘンにニヤついているし……。
「あ~もう、明良。キールが言っていたのはそういう身体的なことじゃないから」
「分かっている! 分かってはいるけど……」
「じゃあ、何をすればいいのかはわかっているんじゃないの?」
「……」
恒が明良に対し、さっきから明良がぶつくさ言っているのは的外れだと直接的に言うが、さすがに明良もそれくらいは分かってはいるみたいだけど……。だから、何をすればいいのかってのは何も思い付いていないみたいだ。
「もう……あのさ、毛が生えていないってのは初心者ってことを言っているんだけど、それは分かっているの?」
「え? そうなのか?」
「へ? なんだと思っていたの?」
「いや……その……なんだ……」
「もしかして、何も分かっていなかったってこと?」
「……ごめん!」
明良が恒に対し素直に頭を下げる。
どうやら、キールが言った言葉に対し侮蔑とまではいかないが、明らかに恒より下に見られたことに対し憤慨していただけらしい。
「明良、そりゃしょうがないよ」
「うん、しょうがない。だって、恒だもん!」
「そうだよね」
「だよね」
「お前ら……それちっとも慰めになってないぞ」
「え~だって、そんなの最初っから分かりきっているハナシじゃん」
「そうだよ。あんなチート様相手に何ムキになってんのってハナシじゃん」
「……それもそうか」
「そうそう、明良にはミリーがいるんだから」
「そうそう。まあ、あのミリーが毛が生えていないってくらいで明良を見限るとは思えないけどね」
「だぁ~もう、ちゃんと生えているって! なあ、恒!」
「え?」
「『え?』ってなんだよ。恒は俺のをちゃんと見ているだろ?」
「え……見てないけど?」
「なんでだよ! ちゃんと見ろよ!」
「え~なんで同姓のを見ないとダメなんだよ。気持ち悪い」
「気持ち悪いってなんだよ! なあ、ちゃんと見てくれよ! なんなら、そこの陰ででも……」
「いやいやいや、冗談でもイヤだし」
「なんでだよ!」
「なんでもだよ! そんなに見て欲しいなら、ミリーに頼めばいいじゃないか!」
「なんで、ミリーに頼むんだよ!」
「だって、いつも一緒にお風呂に入っているじゃないか。そうだ! なあ、由香と久美からもミリーにちゃんと確認するようにお願いしてもらえばいいんじゃないか?」」
「それはいいわね」
「そうね、ミリーならお願い聞いてくれそう!」
「……」
恒の提案に由香と久美はノリ気だが、明良は逆に沈んだ表情になり、それを横で聞いていたドリーが憤慨する。
「お前ら、ミリーに何をさせる気だ!」
「え? 生えているかの確認だけど?」
「そうだよ。恒がしないのなら、ミリーしかいないじゃない」
「ぐぬぬ……いや、ダメだ! ミリーにそんな変な物を見せる訳にはいかない。だから、ワシが見る! 風呂に行くまでもない。明良、脱げ!」
「え?」
「『え?』じゃない! ミリーに変な物を見せる訳にはいかないだろ。ほら、早くするんだ! 減るもんじゃないだろ。ほら、早く!」
「ちょっと、待て! ドリー、今ここがどこか分かっているのか?」
「そんなものは関係ない。いいから、ほら!」
「おとうさん?」
「「「へ?」」」
ドリーが明良を組み伏せ、確認しようとしていたところに横から声を掛けられたドリーが見たのは、買い物籠を提げたミリーだった。
「おとうさん、アキラになにをしているの?」
「ミリー……違うんだ。これはその……」
「いいわけはおへやでききます。アキラ、いこう」
「あ、ああ……」
ミリーは明良の手を取るとそのまま、宿へと歩き出す。
そして、その後ろからドリーが慌ててミリー達を追い掛ける。
「ミリー、違うんだ! 話を聞いてくれ!」
「もう、うるさい! アキラ、はやくかえろう」
「ああ、そうだな」
ここで明良もドリーに対しちょっとした意趣返しが出来たと思ったのかドリーに対しニヤッと笑う。
そして、ドリーも明良のその表情に気付き、ミリーに対し更に言い訳をしようとするがミリーはドリーに対し耳を貸す様子もなくずんずんと先を歩いて行く。
「あ~あ、嫌われちゃったね、こりゃ」
「そうみたいね」
「……」
何気なく交わす由香と久美の会話を聞いて、ドリーが二人をキッと睨み付ける。
「え? 私達のせいなの?」
「違うよね。どう見てもドリーの暴走のせいだよね?」
「……」
二人にそう言われると思うところがあったのか、今度は恒の方を見るドリー。
「ごめん。俺にはどうしようも出来ないよ」
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