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第38話 登録を済ませてから
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「では、希望の光で登録しますね」
「「「はい! お願いします」」」
「はい。お任せ下さい。ですが……ちょっと困りましたね」
「え? 何かありました?」
ギルドの受付カウンターでリズにパーティ名が決まったことを告げて登録手続きを行っていたが、そのリズが困ったと言う。
「いえ、パーティの登録は問題ないのですが、そのパーティ自体のランクをどうしたものかと」
「そうか。ワシが、Sランクでワタルが……ん? そう言えばワタルのランクはどうなったんだ?」
「あ! そうだよ。リズさん、確認はどうなったんですか?」
「そうでしたね。ワタル様の討伐は確認出来ました。それと生きたままの討伐だったので賞金も出ます。後で、確認してください。そういう訳でワタル様のランクはCランクとなります」
「そうか。それでSランクのワシとCランクのワタル、それとFランクの三名か。そうだな、パーティとしてはバラバラだな。だが、ここはCランク相当ということでいいんじゃないか」
「そうですね。Aランクを望まれたら反論するつもりでしたが、Cランクであれば問題ないと思います。では、『希望の光』のパーティランクはCランクとさせていただきます」
「ああ、それでいい」
パーティ名の登録とパーティランクも決定したことで、早速パーティでの依頼をと思っていたが、明良達の装備を準備していなかったことを思い出す。
「ふむ、ならば今日は装備を用意するか」
「じゃあ、先ずはそれぞれの武具だね」
「俺も恒みたいに意思がある武器がいいな~」
「そうか? 意外と五月蠅いぞ」
「むっ! 旦那様は妾のことをそう思っているのか……」
「な~に、しょんぼりしているのよ!」
「そうよ。小夜が大人しいと小夜じゃないでしょ」
「そうは言うがの……」
小夜がチラリと恒を見るが、恒は明良と何がいいかと話している。
「ほれ、着いたぞ」
「「「ここ?」」」
「ああ、そうだ。ワタルはもう知っているな」
「うん。ここは「店の前でうるさい! 用があるならさっさと入れ!」……ごめんなさい」
扉を開けるなり、武器屋の前で話していた恒達を怒鳴りつけたのは店主のキールだった。
「すまんな、キール」
「ドリーか、そこのワタルに聞いてはいたが本当にアンタが面倒を見てるんだな」
「まあ、成り行きでな」
「まあいい。話は中で聞こうか。それで、その三人がワタルが前に言っていた三人でいいんだな?」
「そう、よろしくね」
「「「……よろしくお願いします」」」
「ああ、とりあえずは中に入りな」
「「「はい」」」
キールの店に入ると明良達は店内に置かれている武具に目を奪われる。
「「「凄い!」」」
「あ~お前達三人のことははワタルから予め聞いている。防具を作るから最初に採寸させてくれ。ん? どうした?」
「採寸って……おじさんが?」
「それは、ちょっと……」
「ああ、そうか。それもそうだな。お~い、頼む!」
「は~い」
キールが店の奥に声を掛けると、一人の女性が出て来た。
「どうしました?」
「ああ、悪いがそこの嬢ちゃん達の採寸を頼む」
「分かりました。では、こちらへどうぞ」
「「よろしくお願いします」」
「はい。こちらこそ」
「じゃ、お前。こっちに来い」
「あ、はい」
キールが明良の色んな所を採寸してメモに書き込んでいく。
「よし。採寸はこれでいい。材料の革はまだ余裕があるからいいとして、次は武具か。お前、使うのはなんだ?」
「え~と、ショートソードかな」
「そうか。なら、これを軽く振ってみろ」
キールに渡されたショートソードを明良は軽く素振りをする。
「ふむ。そうか、確かにドリーと似た太刀筋だな。よし、分かった。他に注文はあるか?」
「特にはないけど、壊れないのが一番かな」
「それはムリだな」
「え?」
「そんなのはムリだから、予備に二,三本持っとけ」
「え? でも……」
「初心者に毛が生えた程度の腕前なんだ。すぐにムリして壊すんだから予備を持っていた方がいい。腕が上がったと俺が認めたら、その時にまた作ってやろうじゃないか」
「毛が生えた……」
キールからの言葉に自信満々だった明良の顔がどんどん曇り出す。
「明良……」
「放っておけ、いつかは気付くことだ」
「「「はい! お願いします」」」
「はい。お任せ下さい。ですが……ちょっと困りましたね」
「え? 何かありました?」
ギルドの受付カウンターでリズにパーティ名が決まったことを告げて登録手続きを行っていたが、そのリズが困ったと言う。
「いえ、パーティの登録は問題ないのですが、そのパーティ自体のランクをどうしたものかと」
「そうか。ワシが、Sランクでワタルが……ん? そう言えばワタルのランクはどうなったんだ?」
「あ! そうだよ。リズさん、確認はどうなったんですか?」
「そうでしたね。ワタル様の討伐は確認出来ました。それと生きたままの討伐だったので賞金も出ます。後で、確認してください。そういう訳でワタル様のランクはCランクとなります」
「そうか。それでSランクのワシとCランクのワタル、それとFランクの三名か。そうだな、パーティとしてはバラバラだな。だが、ここはCランク相当ということでいいんじゃないか」
「そうですね。Aランクを望まれたら反論するつもりでしたが、Cランクであれば問題ないと思います。では、『希望の光』のパーティランクはCランクとさせていただきます」
「ああ、それでいい」
パーティ名の登録とパーティランクも決定したことで、早速パーティでの依頼をと思っていたが、明良達の装備を準備していなかったことを思い出す。
「ふむ、ならば今日は装備を用意するか」
「じゃあ、先ずはそれぞれの武具だね」
「俺も恒みたいに意思がある武器がいいな~」
「そうか? 意外と五月蠅いぞ」
「むっ! 旦那様は妾のことをそう思っているのか……」
「な~に、しょんぼりしているのよ!」
「そうよ。小夜が大人しいと小夜じゃないでしょ」
「そうは言うがの……」
小夜がチラリと恒を見るが、恒は明良と何がいいかと話している。
「ほれ、着いたぞ」
「「「ここ?」」」
「ああ、そうだ。ワタルはもう知っているな」
「うん。ここは「店の前でうるさい! 用があるならさっさと入れ!」……ごめんなさい」
扉を開けるなり、武器屋の前で話していた恒達を怒鳴りつけたのは店主のキールだった。
「すまんな、キール」
「ドリーか、そこのワタルに聞いてはいたが本当にアンタが面倒を見てるんだな」
「まあ、成り行きでな」
「まあいい。話は中で聞こうか。それで、その三人がワタルが前に言っていた三人でいいんだな?」
「そう、よろしくね」
「「「……よろしくお願いします」」」
「ああ、とりあえずは中に入りな」
「「「はい」」」
キールの店に入ると明良達は店内に置かれている武具に目を奪われる。
「「「凄い!」」」
「あ~お前達三人のことははワタルから予め聞いている。防具を作るから最初に採寸させてくれ。ん? どうした?」
「採寸って……おじさんが?」
「それは、ちょっと……」
「ああ、そうか。それもそうだな。お~い、頼む!」
「は~い」
キールが店の奥に声を掛けると、一人の女性が出て来た。
「どうしました?」
「ああ、悪いがそこの嬢ちゃん達の採寸を頼む」
「分かりました。では、こちらへどうぞ」
「「よろしくお願いします」」
「はい。こちらこそ」
「じゃ、お前。こっちに来い」
「あ、はい」
キールが明良の色んな所を採寸してメモに書き込んでいく。
「よし。採寸はこれでいい。材料の革はまだ余裕があるからいいとして、次は武具か。お前、使うのはなんだ?」
「え~と、ショートソードかな」
「そうか。なら、これを軽く振ってみろ」
キールに渡されたショートソードを明良は軽く素振りをする。
「ふむ。そうか、確かにドリーと似た太刀筋だな。よし、分かった。他に注文はあるか?」
「特にはないけど、壊れないのが一番かな」
「それはムリだな」
「え?」
「そんなのはムリだから、予備に二,三本持っとけ」
「え? でも……」
「初心者に毛が生えた程度の腕前なんだ。すぐにムリして壊すんだから予備を持っていた方がいい。腕が上がったと俺が認めたら、その時にまた作ってやろうじゃないか」
「毛が生えた……」
キールからの言葉に自信満々だった明良の顔がどんどん曇り出す。
「明良……」
「放っておけ、いつかは気付くことだ」
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