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第11話 色んな危険がいっぱい!!!
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執務室のソファの上に乱暴に投げられた恒は、これから起こるであろう色んなことを想像し、まずは自分の身を守ろうと腰のベルトとお尻を押さえる。
『何か手伝う?』
「今は大丈夫! でも、何かされそうになったらお願いね」
『うん、分かった。しっかり記録しておくから。後で一緒に見ようね」
「え?」
『え? 違うの?』
「……もう、いい」
ミモネの態度に期待出来ないことを察した恒はもういいやと全てを投げ出すようにソファにぐったりとした状態で座る。
「何やってんだ? ちゃんと座れ。そう家族には躾けられなかったか?」
「え? いいの?」
「何を想像しているのか知らんが、俺は普通に異性好きだからな」
「あ……そうなんだ」
恒はギルマスの言葉にホッと胸をなで下ろす。
「じゃあ、話してもらおうか。何故、お前らはこの街に来た? まずは、その理由を聞かせてくれ」
「理由? 特に理由はないよ。強いて言うなら、ドリーの紹介かな?」
「そうか。なら、この街に何かしようって訳じゃないんだな」
ギルマスの物言いに何か引っ掛かりを覚えるが、恒は素直に答える。
「うん、特に何もしようって訳じゃないよ。ただ、寝るところとメシが食えればいいと思っていただけだから」
「なるほどな。なら、前に来た連中とは違うと思っていいんだな」
「よく分からないけど、本当に何も害することはしないからね。でも、前に来た連中ってのは俺達みたいな……ってこと?」
恒はギルマスが何を探っていたのかは分かったが、今度は『前に来た連中』と言った言葉に引っかかる。そして、もしかしてと思いギルマスに聞いてみると思った通りの答えが返される。
「ああ、十年ほど前だがな。お前達みたいによその世界から来たっていう連中が、好き勝手に暴れていった。『異世界だから何してもオッケー』とか言いながらな」
「うわぁ、なんかごめん」
恒達の前に来た連中が異世界ヒャッハーしていたと聞いて、顔も知らない連中に『何をしてくれてんだ』と憤慨しつつも、同じ日本人がしたことだからと恒はギルマスに謝ってしまう。
「ふん! 別にお前に謝ってもらう必要はない。もう終わったことだしな。だが……」
「「「恒!!!」」」
ギルマスが恒の謝罪を断り、話を続けようとしたところで、部屋の扉が乱暴に開かれたと思ったら、明良、由香、久美が恒の名を叫びながら部屋の中へと飛び込んで来る。
「大丈夫か? 恒!」
「恒! あれ? 服着たまま?」
「なんだ、無事なんだ」
「だから、何も心配することはないって言っただろ?」
明良、由香、久美、ドリーがそれぞれ好き勝手に言っているが、明良以外は後で問い詰める必要があるなと恒はしっかりと記憶する。
「明良。ノックはしないとダメだよ」
「恒。そんなこと言っている場合じゃないだろ! 何を一人で落ち着いているんだよ!」
「何って、ただここのギルマスとお話していただけでしょ。さっきは俺達の前に来た連中が悪さしていたことを話してもらっていたところだよ」
「「「前?」」」
「そう、十年くらい前だってさ」
「十年前か。なら、ワシが街の外に追い出した連中のことか?」
「ああ、そうだ。あの時はドリーに片付けてもらった」
「へえ。それでそいつらはどうしたの?」
「街に放り出した後、今度はワシを狙って来たからな。遠慮なく叩きのめしてやったさ。それで、その後は街の外の森にそのまま放置してきた」
「ダメだよ! ちゃんとトドメを差さないと」
前に来た連中がどんな悪さをしたのか恒は気になっていたが、たまたまこの街にいたドリーが片付けたと聞いて、ホッとするが由香が放った一言に引いてしまう。
「由香……それはちょっと引くよ」
「だから、考え直した方がいいぞ。ワタル」
「うん、ちょっとそんな気がしてきた」
ドリーが由香を揶揄うように言うと、恒もそれに便乗する。
「え? ちょっと待ってよ恒! 冗談でしょ? 冗談だよね……」
「落ち着いて、由香」
「恒!」
「今はまだ、考えているだけだから。だから、安心して」
「え~考えているって言った! そんなの安心出来ないじゃん!」
「由香、なんか変わったよね? もしかして、由香も『異世界ヒャッハー』なの?」
「久美、違うわよ! でも、ここだと知り合いが極端に少ないから、羽目を外しているのは自分でも理解している。そうね、少しはしゃぎ過ぎていたみたいね。これからは気を付けるわ。だから、追い出すなんてことはやめてよね。恒」
「由香、安心して。もし、そうなっても追い出すなんてことはしないから」
「恒……」
「ただ、ひっそりと由香の前からいなくなるだけだから」
「そんなの聞いて、安心出来る訳ないじゃん! もう、どうするのよ。安眠出来ないじゃない!」
由香の動揺っぷりに今更、冗談だと言い出せなくなってしまった恒だが、本当に考えた方がいいのかなと思ってしまうが、それを口に出すと収拾が付かなくなるので、そっとしておくことにした。そして、そんな恒を気遣ってくれたのか、明良が助け船を出す。
「由香、まずは落ち着こう。俺もギルマスの話に興味がある」
「明良まで……分かったわよ。ドリー、あなたのせいだからね!」
「げっ! なんでそこでワシに振るかな。ワタル、やっぱり「言わないで!」……分かったよ」
もう、ドリーと由香の絡みで定番になりそうな感じになってきたが、ギルマスがうんざりとした顔付きになってきたのを察した恒が後から合流した面々を大人しくソファに座らせるとギルマスに話の続きを促す。
「やっと、話が出来るか。まあ、聞きたいのは一つだ。お前達はあの国に召喚されたんだな?」
『何か手伝う?』
「今は大丈夫! でも、何かされそうになったらお願いね」
『うん、分かった。しっかり記録しておくから。後で一緒に見ようね」
「え?」
『え? 違うの?』
「……もう、いい」
ミモネの態度に期待出来ないことを察した恒はもういいやと全てを投げ出すようにソファにぐったりとした状態で座る。
「何やってんだ? ちゃんと座れ。そう家族には躾けられなかったか?」
「え? いいの?」
「何を想像しているのか知らんが、俺は普通に異性好きだからな」
「あ……そうなんだ」
恒はギルマスの言葉にホッと胸をなで下ろす。
「じゃあ、話してもらおうか。何故、お前らはこの街に来た? まずは、その理由を聞かせてくれ」
「理由? 特に理由はないよ。強いて言うなら、ドリーの紹介かな?」
「そうか。なら、この街に何かしようって訳じゃないんだな」
ギルマスの物言いに何か引っ掛かりを覚えるが、恒は素直に答える。
「うん、特に何もしようって訳じゃないよ。ただ、寝るところとメシが食えればいいと思っていただけだから」
「なるほどな。なら、前に来た連中とは違うと思っていいんだな」
「よく分からないけど、本当に何も害することはしないからね。でも、前に来た連中ってのは俺達みたいな……ってこと?」
恒はギルマスが何を探っていたのかは分かったが、今度は『前に来た連中』と言った言葉に引っかかる。そして、もしかしてと思いギルマスに聞いてみると思った通りの答えが返される。
「ああ、十年ほど前だがな。お前達みたいによその世界から来たっていう連中が、好き勝手に暴れていった。『異世界だから何してもオッケー』とか言いながらな」
「うわぁ、なんかごめん」
恒達の前に来た連中が異世界ヒャッハーしていたと聞いて、顔も知らない連中に『何をしてくれてんだ』と憤慨しつつも、同じ日本人がしたことだからと恒はギルマスに謝ってしまう。
「ふん! 別にお前に謝ってもらう必要はない。もう終わったことだしな。だが……」
「「「恒!!!」」」
ギルマスが恒の謝罪を断り、話を続けようとしたところで、部屋の扉が乱暴に開かれたと思ったら、明良、由香、久美が恒の名を叫びながら部屋の中へと飛び込んで来る。
「大丈夫か? 恒!」
「恒! あれ? 服着たまま?」
「なんだ、無事なんだ」
「だから、何も心配することはないって言っただろ?」
明良、由香、久美、ドリーがそれぞれ好き勝手に言っているが、明良以外は後で問い詰める必要があるなと恒はしっかりと記憶する。
「明良。ノックはしないとダメだよ」
「恒。そんなこと言っている場合じゃないだろ! 何を一人で落ち着いているんだよ!」
「何って、ただここのギルマスとお話していただけでしょ。さっきは俺達の前に来た連中が悪さしていたことを話してもらっていたところだよ」
「「「前?」」」
「そう、十年くらい前だってさ」
「十年前か。なら、ワシが街の外に追い出した連中のことか?」
「ああ、そうだ。あの時はドリーに片付けてもらった」
「へえ。それでそいつらはどうしたの?」
「街に放り出した後、今度はワシを狙って来たからな。遠慮なく叩きのめしてやったさ。それで、その後は街の外の森にそのまま放置してきた」
「ダメだよ! ちゃんとトドメを差さないと」
前に来た連中がどんな悪さをしたのか恒は気になっていたが、たまたまこの街にいたドリーが片付けたと聞いて、ホッとするが由香が放った一言に引いてしまう。
「由香……それはちょっと引くよ」
「だから、考え直した方がいいぞ。ワタル」
「うん、ちょっとそんな気がしてきた」
ドリーが由香を揶揄うように言うと、恒もそれに便乗する。
「え? ちょっと待ってよ恒! 冗談でしょ? 冗談だよね……」
「落ち着いて、由香」
「恒!」
「今はまだ、考えているだけだから。だから、安心して」
「え~考えているって言った! そんなの安心出来ないじゃん!」
「由香、なんか変わったよね? もしかして、由香も『異世界ヒャッハー』なの?」
「久美、違うわよ! でも、ここだと知り合いが極端に少ないから、羽目を外しているのは自分でも理解している。そうね、少しはしゃぎ過ぎていたみたいね。これからは気を付けるわ。だから、追い出すなんてことはやめてよね。恒」
「由香、安心して。もし、そうなっても追い出すなんてことはしないから」
「恒……」
「ただ、ひっそりと由香の前からいなくなるだけだから」
「そんなの聞いて、安心出来る訳ないじゃん! もう、どうするのよ。安眠出来ないじゃない!」
由香の動揺っぷりに今更、冗談だと言い出せなくなってしまった恒だが、本当に考えた方がいいのかなと思ってしまうが、それを口に出すと収拾が付かなくなるので、そっとしておくことにした。そして、そんな恒を気遣ってくれたのか、明良が助け船を出す。
「由香、まずは落ち着こう。俺もギルマスの話に興味がある」
「明良まで……分かったわよ。ドリー、あなたのせいだからね!」
「げっ! なんでそこでワシに振るかな。ワタル、やっぱり「言わないで!」……分かったよ」
もう、ドリーと由香の絡みで定番になりそうな感じになってきたが、ギルマスがうんざりとした顔付きになってきたのを察した恒が後から合流した面々を大人しくソファに座らせるとギルマスに話の続きを促す。
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