26 / 41
第二章 ようこそ、獣王国へ
第十五話 信じていいんだよね
しおりを挟む
想太が改めて話をしようとすると、ニャルから待ったが掛かる。
「何?」
「話の前にそれをどうにかしてもらえないでしょうか。どうもさっきから目が合っている気がしてなりません」
「あ~じゃあ、ちょっと跳ばすね。『転送』! はい、ライオの寝所に跳ばしたから、後は適当に寝かしといて」
ライオの人形を想太が跳ばしたと聞いて、ニャル達は驚愕するが何故かニャル達の間で『気にしたらダメだ』という思いが強くなる。
ライオが消えたのを確認してから、想太がこれでいいかなとニャル達に確認するとニャル達はブンブンと首を縦に振る。
「あと、ついでにと言ってはなんですが、それもいいですか?」
「それ? ああ、コレね。よいしょっと」
『ソレ』と言われた床に寝転ぶライオを担ぐと『居間』へと放り込む。
「じゃあ、これでいいかな」
「すみません。いくら、拘束されていると言いましても、あのライオ様を前にすると、どうしても萎縮してしまって……」
色んなものが片付けられた執務室でニャルが座りましょうかと想太達にソファを勧めるので、二人がソファに座るとその対面にパルとミコが座り、その間の一人掛けのソファにニャルが座る。
「改めて、話をと思いましたが、その前に少し休憩してもいいでしょうか。なんだか色んなことがあり過ぎてしまって」
「いいですよ。じゃあ、俺達も休憩しますね。じゃあ朝香」
「うん、そうだね。想太」
想太と朝香は互いに頷くと特撮ヒーロースーツから普段着へと衣装チェンジを行う。
「なんと……」
「まだ、少年ではないか!」
「それもヒト族の……」
ニャル達は特撮ヒーロースーツから普段着に着替えた想太達を見て、それぞれに感想を漏らす。
「どうしたのかな?」
「さあ、多分。私達が幼すぎるからじゃないかな」
「幼いか……コレばっかりは変えられないからしょうがないか」
想太達をジッと見ていたことに気付いたニャルが再起動し、失礼しましたと想太達に謝るとベルを鳴らしてメイドを呼ぶと、お茶を人数分頼む。
「お茶が来るまで、あなた方のことをお伺いしてもよろしいですか」
「全部は話せないと思うけど、それでもいいかな?」
「ええ、構いません」
「それじゃあ話すね。えっと、まず俺の名前は想太、こっちが朝香ね」
「朝香です」
「ニャルです。こちらがパル、そして向こうがミコです」
「よろしく」
「よろしくね」
軽く自己紹介をした後に想太が、どうやってライオを助けることになったのかを話す。
「それで、ライオを助けた後に、本題のことを頼もうと思ったら、ライオにハッキリと断られたからさ。なら今の王様に話しを聞いて貰おうと思って来たんだ」
「そういうことですか」
「え? ニャル様は今ので納得出来たのですか?」
「それ以上は言うなパル。私も納得出来ない箇所はある。だが、それを言ったところで、我々が満足出来る、納得出来る答えが返ってくるとは思えない」
「それは確かにそうですが……」
「そうだろう。誰が、地下牢のライオの元へ直接転移して、あの鎖を引き千切って助けることが出来ると言うんだ。まあ、実際に助けた本人が目の前で説明はしてくれたが今でも私には納得というか、理解することは出来ない」
「え~実際にライオ本人を見たんだから、そこは信じようよ」
「想太、人は想像を超えてきた現実を理解するには時間が掛かるんだよ。今は、これでいいじゃない。ね? 私が隣にいるんだしさ」
「朝香……」
朝香に慰められた想太は、なんとか自分を納得させることが出来たようで顔を上げると、ニャル達の顔が目に入る。
「ソウタ殿、今はまだ色んなことがありすぎて信じられることは出来ないが、私はソウタ殿を信じたいと思います。いえ、信じます。あのライオ様ではなく私を信じてくれたあなたを私は信じたいのです」
「ニャル様、本気ですか! ミコ、お前からも何か言ってやれ!」
「パル。ごめん、私もニャル様と同じ。それにさ、ソウタ殿の話も聞いてみたいし」
「それは俺もそうだが……」
「なら、いいじゃない! ね?」
『コンコンコン』
「失礼します」
ノックと共に執務室のドアが開かれメイドがティーセットを載せたワゴンを押しながら執務室へと入ってくる。
「では、何かありましたら」
皆の前のテーブルの上にハーブティーが入れられたカップが置かれるとメイドがお辞儀をして執務室から退室する。
「ソウタ殿、アサカ殿、お口に合うかどうかは分かりませんが、どうぞ」
「「いただきます」」
想太達はティーカップに手を伸ばし、一口啜る。
「あ、おいしい。私好きかも」
「うん、おいしいね」
「お気に召したようで」
「さて、喉も潤ったことだし、ソウタ殿。話してもらえる?」
「ミコ! そう、慌てるな」
「いいよ。ニャル。じゃあ、話すね。俺のお願いって言うのがね……」
想太の話を黙って聞いていたニャル達が「はぁ」と揃って嘆息する。
「確かにそういう話でしたら、ライオも断るでしょうね」
「でも、少しも逡巡することなく即決で『無理!』って言ったんだけどね」
「あ~ライオ様らしいですね。ですが、ソウタ殿が気にしているように、これがどうにかすべき問題だというのは私も認識しています」
「でしょ? なら、解決方法を考えて欲しいんだけど」
「それは分かりますが、問題は一つじゃないですよね」
「でも、場所さえ用意してもらえるなら、あとは俺の方でなんとか出来るんだけどね」
想太の言葉にニャルが反応する。
「それは本当ですか? 土地さえ用意出来ればどうにかなるんですか?」
「うん、出来るよ。まあ、そこは信じてもらうしかないけどね」
ニャルは満足そうに頷く想太を見て、ここは想太を信じるしかないかと覚悟を決める。
「何?」
「話の前にそれをどうにかしてもらえないでしょうか。どうもさっきから目が合っている気がしてなりません」
「あ~じゃあ、ちょっと跳ばすね。『転送』! はい、ライオの寝所に跳ばしたから、後は適当に寝かしといて」
ライオの人形を想太が跳ばしたと聞いて、ニャル達は驚愕するが何故かニャル達の間で『気にしたらダメだ』という思いが強くなる。
ライオが消えたのを確認してから、想太がこれでいいかなとニャル達に確認するとニャル達はブンブンと首を縦に振る。
「あと、ついでにと言ってはなんですが、それもいいですか?」
「それ? ああ、コレね。よいしょっと」
『ソレ』と言われた床に寝転ぶライオを担ぐと『居間』へと放り込む。
「じゃあ、これでいいかな」
「すみません。いくら、拘束されていると言いましても、あのライオ様を前にすると、どうしても萎縮してしまって……」
色んなものが片付けられた執務室でニャルが座りましょうかと想太達にソファを勧めるので、二人がソファに座るとその対面にパルとミコが座り、その間の一人掛けのソファにニャルが座る。
「改めて、話をと思いましたが、その前に少し休憩してもいいでしょうか。なんだか色んなことがあり過ぎてしまって」
「いいですよ。じゃあ、俺達も休憩しますね。じゃあ朝香」
「うん、そうだね。想太」
想太と朝香は互いに頷くと特撮ヒーロースーツから普段着へと衣装チェンジを行う。
「なんと……」
「まだ、少年ではないか!」
「それもヒト族の……」
ニャル達は特撮ヒーロースーツから普段着に着替えた想太達を見て、それぞれに感想を漏らす。
「どうしたのかな?」
「さあ、多分。私達が幼すぎるからじゃないかな」
「幼いか……コレばっかりは変えられないからしょうがないか」
想太達をジッと見ていたことに気付いたニャルが再起動し、失礼しましたと想太達に謝るとベルを鳴らしてメイドを呼ぶと、お茶を人数分頼む。
「お茶が来るまで、あなた方のことをお伺いしてもよろしいですか」
「全部は話せないと思うけど、それでもいいかな?」
「ええ、構いません」
「それじゃあ話すね。えっと、まず俺の名前は想太、こっちが朝香ね」
「朝香です」
「ニャルです。こちらがパル、そして向こうがミコです」
「よろしく」
「よろしくね」
軽く自己紹介をした後に想太が、どうやってライオを助けることになったのかを話す。
「それで、ライオを助けた後に、本題のことを頼もうと思ったら、ライオにハッキリと断られたからさ。なら今の王様に話しを聞いて貰おうと思って来たんだ」
「そういうことですか」
「え? ニャル様は今ので納得出来たのですか?」
「それ以上は言うなパル。私も納得出来ない箇所はある。だが、それを言ったところで、我々が満足出来る、納得出来る答えが返ってくるとは思えない」
「それは確かにそうですが……」
「そうだろう。誰が、地下牢のライオの元へ直接転移して、あの鎖を引き千切って助けることが出来ると言うんだ。まあ、実際に助けた本人が目の前で説明はしてくれたが今でも私には納得というか、理解することは出来ない」
「え~実際にライオ本人を見たんだから、そこは信じようよ」
「想太、人は想像を超えてきた現実を理解するには時間が掛かるんだよ。今は、これでいいじゃない。ね? 私が隣にいるんだしさ」
「朝香……」
朝香に慰められた想太は、なんとか自分を納得させることが出来たようで顔を上げると、ニャル達の顔が目に入る。
「ソウタ殿、今はまだ色んなことがありすぎて信じられることは出来ないが、私はソウタ殿を信じたいと思います。いえ、信じます。あのライオ様ではなく私を信じてくれたあなたを私は信じたいのです」
「ニャル様、本気ですか! ミコ、お前からも何か言ってやれ!」
「パル。ごめん、私もニャル様と同じ。それにさ、ソウタ殿の話も聞いてみたいし」
「それは俺もそうだが……」
「なら、いいじゃない! ね?」
『コンコンコン』
「失礼します」
ノックと共に執務室のドアが開かれメイドがティーセットを載せたワゴンを押しながら執務室へと入ってくる。
「では、何かありましたら」
皆の前のテーブルの上にハーブティーが入れられたカップが置かれるとメイドがお辞儀をして執務室から退室する。
「ソウタ殿、アサカ殿、お口に合うかどうかは分かりませんが、どうぞ」
「「いただきます」」
想太達はティーカップに手を伸ばし、一口啜る。
「あ、おいしい。私好きかも」
「うん、おいしいね」
「お気に召したようで」
「さて、喉も潤ったことだし、ソウタ殿。話してもらえる?」
「ミコ! そう、慌てるな」
「いいよ。ニャル。じゃあ、話すね。俺のお願いって言うのがね……」
想太の話を黙って聞いていたニャル達が「はぁ」と揃って嘆息する。
「確かにそういう話でしたら、ライオも断るでしょうね」
「でも、少しも逡巡することなく即決で『無理!』って言ったんだけどね」
「あ~ライオ様らしいですね。ですが、ソウタ殿が気にしているように、これがどうにかすべき問題だというのは私も認識しています」
「でしょ? なら、解決方法を考えて欲しいんだけど」
「それは分かりますが、問題は一つじゃないですよね」
「でも、場所さえ用意してもらえるなら、あとは俺の方でなんとか出来るんだけどね」
想太の言葉にニャルが反応する。
「それは本当ですか? 土地さえ用意出来ればどうにかなるんですか?」
「うん、出来るよ。まあ、そこは信じてもらうしかないけどね」
ニャルは満足そうに頷く想太を見て、ここは想太を信じるしかないかと覚悟を決める。
0
お気に入りに追加
95
あなたにおすすめの小説
あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話
此寺 美津己
ファンタジー
祖国が田舎だってわかってた。
電車もねえ、駅もねえ、騎士さま馬でぐーるぐる。
信号ねえ、あるわけねえ、おらの国には電気がねえ。
そうだ。西へ行こう。
西域の大国、別名冒険者の国ランゴバルドへ、ぼくらはやってきた。迷宮内で知り合った仲間は強者ぞろい。
ここで、ぼくらは名をあげる!
ランゴバルドを皮切りに世界中を冒険してまわるんだ。
と、思ってた時期がぼくにもありました…
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー
ジミー凌我
ファンタジー
日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。
仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。
そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。
そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。
忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。
生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。
ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。
この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。
冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。
なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる