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第八章 やるべきこと
第12話 諦めきれないのは不幸だから
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「ルー、お前!」
「ソルトさん、お叱りは後で」
「いや、でも……」
「ソルトさん、私は正直に言うべきだと思っています」
「なんでだよ! そんなことを言ったら希望がもてないじゃないか!」
「違います! 逆ですから!」
「え?」
日本に戻る術がないことをルーがいきなり言いだしたことで、ソルトは語気を荒くしてルーに詰め寄るがルーは負けじとソルトに反論する。
「いいですか、ソルトさん」
「なんだよ」
「探せばいつかは見つかるかも知れないと思いずっと探していたけど、結局はそんなモノはなかったと言われるのと、見つかればラッキーと思って探すのとどっちが気分的に楽ですか」
「どっちって……そりゃ……」
「ええ。前者ならばいつかは帰れると希望を胸に抱き、その術を探すモチベーションが下がらない限りはいいのですが……」
「術がないと分かった時の落胆が大きい……って訳か」
「はい。ですが、後者ならば異世界に骨を埋める覚悟さえ持てれば気持ちも楽になれるかと思っています」
「なるほどね……でも、本当にダメなの?」
「はい……申し訳ありません」
「いや、ルーが謝ることじゃないから」
「……それでも責任の一端はあるかと思っています。本当に申し訳ありませんでした」
「……分かったよ。謝罪を受け取るよ」
「ありがとうございます!」
ルーがソルトとレイに頭を下げて謝罪するとソルトが悪いのはルーじゃないからと一度は謝罪を拒否するが、ルーはそれでも責任の一端は自分にもあると言い張り頭を下げる。
「ルー、頭を上げてよ」
「レイさん……」
「あのね、確かに最初は誰なんだって、私達を召喚した連中を恨んだりもしたよ」
「すみません!」
「いや、だから喚んだのはルーじゃないでしょ。今、竜也と泰雅はここにはいないけどさ。アイツらだって異世界を楽しんでいるハズだし。それにね、もしあんなことがなかったら、私はソルトに……ううん、俊夫兄ちゃんにも会えなかったと思うから。だからね、私はどちらかと言うと感謝してるんだ。ありがとうね、ルー」
「え?」
頭を下げているルーに寄り添ったレイはルーをゆっくりと起こし、謝られるどころか感謝しかないと言えばルーは拍子抜けしてしまう。
「本当に怒ってないんですか?」
「怒ってないわよ。ソルトだって、そうでしょ。あ! ルーはソルトの中にいたんだから聞くまでもないわね。ね、ソルト」
「ああ、俺はな」
「何? まだ気にしているの?」
「レイ、そうは言うが「止めて!」……レイ!」
ソルトにはもう心配する家族という存在がいないから、俺は平気だと言うがレイは違うだろうと言いかけるがレイがそれを止めて自分の気持ちを吐露する。
「そりゃ、私の家族や友達も心配しているだろうけどさ。今まで側にいた存在が急にいなくなるのはよくある話でしょ。それこそ交通事故だったり、通り魔に巻き込まれたりとかさ」
「レイ、言いたいことは分かるけど……そういうのは確かに考えられる最悪のパターンだけど、それでも親は納得出来る材料が側にあるから、得心するだろうさ。でも、俺達のパターンは違うだろ」
「え? 何が? 存在が消えることは一緒でしょ?」
「違う!」
普通に生きていても何らかの事故や事件に巻き込まれれば死んでしまうのは同じだと言えば、ソルトは語気を荒げてそれを否定する。
「……ソルト、怖いよ」
「あ、ゴメン……でも、聞いて欲しい」
「……」
「例え事故に巻き込まれたり、事件に巻き込まれたり、急病で亡くなったとしても両親の元には遺体が残る」
「あ……」
「その遺体とお別れする時間があれば、もう死んだんだと自分の気持ちを納得させることが出来る。でも、俺達は異世界にいる限りはお前達の親はどこかで必ず生きていると諦められずにずっと探し続けるだろう。なあ、それでも残された家族が幸せに暮らせると言えるか?」
「……そんなこと言ったってしょうがないじゃない! じゃあ、どうしろって言うのさ! そんなのどうしようも出来ないじゃない! なら、諦めるしかないじゃないの! うわぁぁぁん……」
「レイ……」
「レイさん……」
ソルトの話を聞き、レイはやっとソルトが自分達を日本へ無事に送り届けることに執心していたかを知るが、知ったところでどんな手段があるんだと泣きながらソルトの胸に飛び込み嗚咽すればソルトもルーも言葉が出なくなる。
「ねえ、ちょっと聞いてもいいかな?」
「ブランカ……」
「いやね。普通に疑問なんだけど喚ばれたのに還ることが出来ないってのは、そもそもどういうことなの?」
「それは俺に聞かれても……」
「お答えします」
「ルー」
ソルト達三人の話しを黙って聞いていたブランカは至極真っ当な質問をしてくるが、ソルトに説明出来るハズもない。
そしてそれはソルト自身も「誰が喚んだのか」を知りたかった。
いや、召喚したのは王国の連中だと分かってはいるが、それを手助け、もしくは介在した存在が居るはずだと考えていた。
現にルーという不可思議な存在が転移時にソルトの頭の中に入り込み、ソルトの身体も若返っていたりと不可思議なことばかりが起きていた。
それらを『魔法だから』と一言で済ませるには、到底納得出来ない。
「確かに召喚魔法を実行したのは王国です。そしてソルトさんが考えている通りで、その魔法を後押しするというか手伝った存在がいます」
「あ~やっぱり」
「それって……つまり……」
「はい、そうです。上位の存在である……神と言われる存在です」
「ソルトさん、お叱りは後で」
「いや、でも……」
「ソルトさん、私は正直に言うべきだと思っています」
「なんでだよ! そんなことを言ったら希望がもてないじゃないか!」
「違います! 逆ですから!」
「え?」
日本に戻る術がないことをルーがいきなり言いだしたことで、ソルトは語気を荒くしてルーに詰め寄るがルーは負けじとソルトに反論する。
「いいですか、ソルトさん」
「なんだよ」
「探せばいつかは見つかるかも知れないと思いずっと探していたけど、結局はそんなモノはなかったと言われるのと、見つかればラッキーと思って探すのとどっちが気分的に楽ですか」
「どっちって……そりゃ……」
「ええ。前者ならばいつかは帰れると希望を胸に抱き、その術を探すモチベーションが下がらない限りはいいのですが……」
「術がないと分かった時の落胆が大きい……って訳か」
「はい。ですが、後者ならば異世界に骨を埋める覚悟さえ持てれば気持ちも楽になれるかと思っています」
「なるほどね……でも、本当にダメなの?」
「はい……申し訳ありません」
「いや、ルーが謝ることじゃないから」
「……それでも責任の一端はあるかと思っています。本当に申し訳ありませんでした」
「……分かったよ。謝罪を受け取るよ」
「ありがとうございます!」
ルーがソルトとレイに頭を下げて謝罪するとソルトが悪いのはルーじゃないからと一度は謝罪を拒否するが、ルーはそれでも責任の一端は自分にもあると言い張り頭を下げる。
「ルー、頭を上げてよ」
「レイさん……」
「あのね、確かに最初は誰なんだって、私達を召喚した連中を恨んだりもしたよ」
「すみません!」
「いや、だから喚んだのはルーじゃないでしょ。今、竜也と泰雅はここにはいないけどさ。アイツらだって異世界を楽しんでいるハズだし。それにね、もしあんなことがなかったら、私はソルトに……ううん、俊夫兄ちゃんにも会えなかったと思うから。だからね、私はどちらかと言うと感謝してるんだ。ありがとうね、ルー」
「え?」
頭を下げているルーに寄り添ったレイはルーをゆっくりと起こし、謝られるどころか感謝しかないと言えばルーは拍子抜けしてしまう。
「本当に怒ってないんですか?」
「怒ってないわよ。ソルトだって、そうでしょ。あ! ルーはソルトの中にいたんだから聞くまでもないわね。ね、ソルト」
「ああ、俺はな」
「何? まだ気にしているの?」
「レイ、そうは言うが「止めて!」……レイ!」
ソルトにはもう心配する家族という存在がいないから、俺は平気だと言うがレイは違うだろうと言いかけるがレイがそれを止めて自分の気持ちを吐露する。
「そりゃ、私の家族や友達も心配しているだろうけどさ。今まで側にいた存在が急にいなくなるのはよくある話でしょ。それこそ交通事故だったり、通り魔に巻き込まれたりとかさ」
「レイ、言いたいことは分かるけど……そういうのは確かに考えられる最悪のパターンだけど、それでも親は納得出来る材料が側にあるから、得心するだろうさ。でも、俺達のパターンは違うだろ」
「え? 何が? 存在が消えることは一緒でしょ?」
「違う!」
普通に生きていても何らかの事故や事件に巻き込まれれば死んでしまうのは同じだと言えば、ソルトは語気を荒げてそれを否定する。
「……ソルト、怖いよ」
「あ、ゴメン……でも、聞いて欲しい」
「……」
「例え事故に巻き込まれたり、事件に巻き込まれたり、急病で亡くなったとしても両親の元には遺体が残る」
「あ……」
「その遺体とお別れする時間があれば、もう死んだんだと自分の気持ちを納得させることが出来る。でも、俺達は異世界にいる限りはお前達の親はどこかで必ず生きていると諦められずにずっと探し続けるだろう。なあ、それでも残された家族が幸せに暮らせると言えるか?」
「……そんなこと言ったってしょうがないじゃない! じゃあ、どうしろって言うのさ! そんなのどうしようも出来ないじゃない! なら、諦めるしかないじゃないの! うわぁぁぁん……」
「レイ……」
「レイさん……」
ソルトの話を聞き、レイはやっとソルトが自分達を日本へ無事に送り届けることに執心していたかを知るが、知ったところでどんな手段があるんだと泣きながらソルトの胸に飛び込み嗚咽すればソルトもルーも言葉が出なくなる。
「ねえ、ちょっと聞いてもいいかな?」
「ブランカ……」
「いやね。普通に疑問なんだけど喚ばれたのに還ることが出来ないってのは、そもそもどういうことなの?」
「それは俺に聞かれても……」
「お答えします」
「ルー」
ソルト達三人の話しを黙って聞いていたブランカは至極真っ当な質問をしてくるが、ソルトに説明出来るハズもない。
そしてそれはソルト自身も「誰が喚んだのか」を知りたかった。
いや、召喚したのは王国の連中だと分かってはいるが、それを手助け、もしくは介在した存在が居るはずだと考えていた。
現にルーという不可思議な存在が転移時にソルトの頭の中に入り込み、ソルトの身体も若返っていたりと不可思議なことばかりが起きていた。
それらを『魔法だから』と一言で済ませるには、到底納得出来ない。
「確かに召喚魔法を実行したのは王国です。そしてソルトさんが考えている通りで、その魔法を後押しするというか手伝った存在がいます」
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「それって……つまり……」
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