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第八章 やるべきこと
第1話 それじゃ遅い!
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ソルトがシーナと一緒に遺跡探査に出掛けようとしていた所にノアがブランカと一緒に現れソルト達に同行させてくれと言い出した。
「えっと……つまりはどゆこと?」
「あ、だから……その……」
「もう、焦れったいわね。いいわ、私が言うから「ちょ」いいから、ママに任せなさい。ってことでお願いね。ソルト」
「えぇ!」
ノアからは一緒に連れて行って欲しいとは言われたが、その理由までは話してくれないので、ソルトから改めてどういうことなのか、どうして一緒に来たいと言い出したのかを確かめようとノアに言えば、そのノアの態度に痺れを切らしたブランカが代弁するが、単にソルトにお願いと言うだけの雑なものだった。
だが、それだけじゃノアが同行したい理由は分からないままなので相変わらずソルトの頭の周りには疑問符がいくつも浮かんだままだ。
「いや、ブランカ。だから、俺が知りたいのは理由だよ。一緒に行くのは別に構わないんだけど、理由が気になってね」
「えぇ~ソルトさん、どうしてですか」
「ソルト、ホントにいいの?」
「あら、よかったわね。ノア。私が頼んであげたからよ。ふふん!」
シーナはソルトと一緒に二人で行けると思っていたのに当てが外れ、頬をプクゥと膨らませ、ノアは喜色満面にあふれた顔でソルトを見ている。そしてブランカはこれも自分のお陰だとノアに対しドヤ顔を見せる。
「だからね、ノア。一緒に行くのはいいんだけどさ。なんでいきなり一緒に行きたいだなんて言い出したんだ?」
「いきなりじゃないもん!」
「「「え?」」」
「いきなりじゃない! 私だってソルトと一緒にお出掛けしたいもん!」
「もんって……」
「ふふふ、ソルトも罪作りね」
「え?」
ノアから、どうして一緒に行きたいのかやっと理由を聞けたソルトだったが、その理由に納得がいかない様子だ。
そして、ブランカに言われた一言もよく分からない。
「と、とにかく私も一緒に行きたいの! それが理由なの! いいでしょ!」
「いや、いいか悪いかで言えばいいんだけどさ、いいの?」
「いいの! だって、無理にでも一緒にいないとこっちを向いてくれないって言われたもん!」
「無理にでもって……今もこうして一緒にいるのに?」
「「「そういうことじゃ無い!」」」
「おぉ……」
ノアは誰かに今のままじゃソルトが振り向くことはないと余計な助言をされたようでとにかくソルトと一緒にいたいと言うのが一番の理由だったようだ。
ただ、ソルトもノアに言われたからと、そんな直ぐにノアの方を振り向ける程器用ではない。
前世で多少の恋愛経験があるからと言っても、ソルトからの一方通行であり、成就して両思いになったことがあるのは一件くらいだ。
そんな乏しい恋愛経験しかないソルトにとってノアの好意は嬉しくもあるが、正直どう扱っていいか分からないと言うのが本音だ。
「え~と、ごめんなさい」
「え?」
ソルトがノアに向かって頭を下げれば、ノアもそれを見て驚いてしまう。そしてノアの両目から涙が溢れ出す。
「あ~あ、いけないんだ」
「ブランカ……」
「何? 私の娘を邪険に扱うソルトさん?」
「邪険って……俺はそんなつもりじゃ」
「そんなつもりじゃないって、どういうこと? 純情な私の娘を誑かして!」
「そんな……」
「お母さん、止めて!」
「ノア、いいから。お母さんに任せなさい!」
「いいの!」
「よくないわ! 娘がやっとの思いで告白したのにそれを邪険にする男なんて、この世から消え去ればいい!」
「お母さん、止めてって言ってるでしょ!」
「「「へ?」」」
『ゴゴゴ』と音が鳴り響き出しそうな感じでブランカが龍化しようとしているのをノアが強い調子で止める。
「えっと、どう言えばいいのかな。あのさ「いいの! ソルトは悪くないの!」いや、だからね、ちょっと聞いて欲しいんだ」
「「「え?」」」
「あのさ……」
ソルトはまだ目に涙を溜めているノア、怒りが収まりきらないブランカ、ちょっとだけ興味津々なシーナがソルトの顔をジッと見る。
ソルトは皆に注目されながら、一呼吸するとゆっくりと話し始める。
「俺が地球から来たのは話したよね」
「はい。存じています」
「俺がレイを還してあげたいのも知っているでしょ」
「うん、レイからも聞いている」
「でね、教会からも狙われているんだよね」
「あ~それは私も関係しているかもね」
ソルトの言葉にシーナ、ノア、ブランカが答える。
「そういう訳だから、今の俺には恋愛している余裕はないんだ。ノアの気持ちは嬉しく思うけど、俺にはそれに応える余裕がない。ごめんね」
「いいの。ソルトが悪い訳じゃないから。でしょ、お母さん!」
「……そんなのちゃちゃっと片付ければいいじゃない。理由にならないわよ?」
「ブランカさん、その中には遺跡調査も入っているから、ちゃちゃっととはいかないですぅ」
「そんなのシーナ部隊を動かせば済む話でしょ」
「「「シーナ部隊って……」」」
ブランカはソルトの話に対し「フン! そんなもの」といった感じで直ぐに終わらせればいいと訴えるが、シーナがそれに対し遺跡調査もあるから簡単じゃないと言えば、最初の遺跡で眠っているシーナと同じ素体の人造人間を使った数の暴力で済ませればいいと言う。
「ブランカ、いくらなんでもそれは……」
「無理なの?」
「ええ、無理です」
「どうして?」
「どうしてって言われても……なんと言うかちゃんとした自我を持っているのは今の所私以外いないと言うのもありまして」
「え~ナニソレ!」
「ブランカ……」
ブランカの無茶振りに対しシーナも自我を持たない仲間達には無理難題だとブランカに答えるがブランカ自体は納得出来ないようだ。
そんな二人のやり取りに置いて行かれたソルトとノアは二人で気まずい雰囲気のままどうしていいものか手持ち無沙汰でモジモジとしている。
「ソルト~まだいる?……え? ナニコレ?」
「えっと……つまりはどゆこと?」
「あ、だから……その……」
「もう、焦れったいわね。いいわ、私が言うから「ちょ」いいから、ママに任せなさい。ってことでお願いね。ソルト」
「えぇ!」
ノアからは一緒に連れて行って欲しいとは言われたが、その理由までは話してくれないので、ソルトから改めてどういうことなのか、どうして一緒に来たいと言い出したのかを確かめようとノアに言えば、そのノアの態度に痺れを切らしたブランカが代弁するが、単にソルトにお願いと言うだけの雑なものだった。
だが、それだけじゃノアが同行したい理由は分からないままなので相変わらずソルトの頭の周りには疑問符がいくつも浮かんだままだ。
「いや、ブランカ。だから、俺が知りたいのは理由だよ。一緒に行くのは別に構わないんだけど、理由が気になってね」
「えぇ~ソルトさん、どうしてですか」
「ソルト、ホントにいいの?」
「あら、よかったわね。ノア。私が頼んであげたからよ。ふふん!」
シーナはソルトと一緒に二人で行けると思っていたのに当てが外れ、頬をプクゥと膨らませ、ノアは喜色満面にあふれた顔でソルトを見ている。そしてブランカはこれも自分のお陰だとノアに対しドヤ顔を見せる。
「だからね、ノア。一緒に行くのはいいんだけどさ。なんでいきなり一緒に行きたいだなんて言い出したんだ?」
「いきなりじゃないもん!」
「「「え?」」」
「いきなりじゃない! 私だってソルトと一緒にお出掛けしたいもん!」
「もんって……」
「ふふふ、ソルトも罪作りね」
「え?」
ノアから、どうして一緒に行きたいのかやっと理由を聞けたソルトだったが、その理由に納得がいかない様子だ。
そして、ブランカに言われた一言もよく分からない。
「と、とにかく私も一緒に行きたいの! それが理由なの! いいでしょ!」
「いや、いいか悪いかで言えばいいんだけどさ、いいの?」
「いいの! だって、無理にでも一緒にいないとこっちを向いてくれないって言われたもん!」
「無理にでもって……今もこうして一緒にいるのに?」
「「「そういうことじゃ無い!」」」
「おぉ……」
ノアは誰かに今のままじゃソルトが振り向くことはないと余計な助言をされたようでとにかくソルトと一緒にいたいと言うのが一番の理由だったようだ。
ただ、ソルトもノアに言われたからと、そんな直ぐにノアの方を振り向ける程器用ではない。
前世で多少の恋愛経験があるからと言っても、ソルトからの一方通行であり、成就して両思いになったことがあるのは一件くらいだ。
そんな乏しい恋愛経験しかないソルトにとってノアの好意は嬉しくもあるが、正直どう扱っていいか分からないと言うのが本音だ。
「え~と、ごめんなさい」
「え?」
ソルトがノアに向かって頭を下げれば、ノアもそれを見て驚いてしまう。そしてノアの両目から涙が溢れ出す。
「あ~あ、いけないんだ」
「ブランカ……」
「何? 私の娘を邪険に扱うソルトさん?」
「邪険って……俺はそんなつもりじゃ」
「そんなつもりじゃないって、どういうこと? 純情な私の娘を誑かして!」
「そんな……」
「お母さん、止めて!」
「ノア、いいから。お母さんに任せなさい!」
「いいの!」
「よくないわ! 娘がやっとの思いで告白したのにそれを邪険にする男なんて、この世から消え去ればいい!」
「お母さん、止めてって言ってるでしょ!」
「「「へ?」」」
『ゴゴゴ』と音が鳴り響き出しそうな感じでブランカが龍化しようとしているのをノアが強い調子で止める。
「えっと、どう言えばいいのかな。あのさ「いいの! ソルトは悪くないの!」いや、だからね、ちょっと聞いて欲しいんだ」
「「「え?」」」
「あのさ……」
ソルトはまだ目に涙を溜めているノア、怒りが収まりきらないブランカ、ちょっとだけ興味津々なシーナがソルトの顔をジッと見る。
ソルトは皆に注目されながら、一呼吸するとゆっくりと話し始める。
「俺が地球から来たのは話したよね」
「はい。存じています」
「俺がレイを還してあげたいのも知っているでしょ」
「うん、レイからも聞いている」
「でね、教会からも狙われているんだよね」
「あ~それは私も関係しているかもね」
ソルトの言葉にシーナ、ノア、ブランカが答える。
「そういう訳だから、今の俺には恋愛している余裕はないんだ。ノアの気持ちは嬉しく思うけど、俺にはそれに応える余裕がない。ごめんね」
「いいの。ソルトが悪い訳じゃないから。でしょ、お母さん!」
「……そんなのちゃちゃっと片付ければいいじゃない。理由にならないわよ?」
「ブランカさん、その中には遺跡調査も入っているから、ちゃちゃっととはいかないですぅ」
「そんなのシーナ部隊を動かせば済む話でしょ」
「「「シーナ部隊って……」」」
ブランカはソルトの話に対し「フン! そんなもの」といった感じで直ぐに終わらせればいいと訴えるが、シーナがそれに対し遺跡調査もあるから簡単じゃないと言えば、最初の遺跡で眠っているシーナと同じ素体の人造人間を使った数の暴力で済ませればいいと言う。
「ブランカ、いくらなんでもそれは……」
「無理なの?」
「ええ、無理です」
「どうして?」
「どうしてって言われても……なんと言うかちゃんとした自我を持っているのは今の所私以外いないと言うのもありまして」
「え~ナニソレ!」
「ブランカ……」
ブランカの無茶振りに対しシーナも自我を持たない仲間達には無理難題だとブランカに答えるがブランカ自体は納得出来ないようだ。
そんな二人のやり取りに置いて行かれたソルトとノアは二人で気まずい雰囲気のままどうしていいものか手持ち無沙汰でモジモジとしている。
「ソルト~まだいる?……え? ナニコレ?」
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