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第七章 王都にて
第12話 勇者って
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「あのね……」
ソルトは教会がエンディの街の近くでしでかしたことを話す。
「信じられない。それは本当なのか?」
「別に信じなくてもいいけど、さっきのアレを見た後で聞いても信じられないのなら、この街も文字通り教会に食い物にされるんだろうね」
「ぐ……」
ソルトが話した内容が信じられないと一度は、その内容を拒否した衛兵だが、ソルトが言うようにさっきまでの様子を思い出し頭を抱えてしまう。
「そうだった……だが、一度に色んなことがあり過ぎて頭の整理が付かない」
「まあ、それも分かるけどさ」
「だが、ソルト。君の言う通りだとしてもだ」
「まだ、信じられないの?」
「いや、そうではない。そうではないのだが、まだ街の皆に私達がいくら信じてくれと言ってもそう簡単には信じてもらえないだろう」
「でしょうね。でもさ、その治癒魔法が付与された指輪を使っていれば、その内に教会の方がイヤになって離れるかもね」
「イヤになる?」
「だって、稼ぎ頭の治癒魔法がダメになるんだから、街にいてもしょうがないでしょ」
「そんなことで信仰する人を放り出すようなマネをするのか」
「信仰って……いもしない神様だよ」
「ん? ソルトは何を言っているんだ? 我々が信仰する神がいないなんて、そんなことはないだろ」
「あれ? もしかして……」
「ああ、そうだ」
ソルトが暗に教会を批判すれば、衛兵の雰囲気が変わるのを感じたので、もしかしてと問い掛けてみれば、信者だと答える。
「ちょっと、ごめんね」
「ん?」
ソルトが衛兵に断りを入れ、鑑定してみると『洗脳(小)』とあった。
「あ~やっぱり……じゃあ『浄化』」
「ん? 何をした?」
「忘れないうちにさっきの指輪を着けることをオススメするよ」
「指輪を……どういう意味だ?」
「あのね……」
ソルトは衛兵が軽い洗脳状態だったことを話し、他の人も信者であるならば、洗脳されていると思った方がいいと忠告し、さっき売った指輪を着けて洗脳を解除するように勧める。
「なら、さっき言った神がいないというのは、やはりそういうことなのか」
「そう、いないどころか邪神の類だよ」
「邪神だと」
「そう、邪神だね」
「そんなことを知らずに私達は……」
「まあ、洗脳されていればそうだよね。でもさ、これからはあんたが助けてやればいいだけだし」
「そうだな、分かった。色々と世話になった。ありがとう」
「いいよ。俺も教会の力を削ぐのが目的だしね」
「それで、勇者ソルトよ」
「え? なんて?」
「どうした。勇者ソルトよ」
「いやいやいや、どうして俺を勇者って言うの?」
「何を言っているんだ? あんな白竜に乗って化け物を退治し街を救ったんだソルトは勇者だろう?」
「いや、違うから!」
「そうか。では、勇者ソルトよ」
「そうかって……全然、分かってくれてない……」
『ふふふ、いいじゃないですか。勇者様』
「ルーまでいじってくるし」
ソルトはこれ以上、ここにいちゃいけない気がして、衛兵に断り席を立とうとすれば、その腕をガシッと掴まれる。
「え?」
「いや、何を帰ろうとしているんだ」
「え? もしかして捕まえる気?」
「はぁ? 何を言っているんだ。逆だよ、逆」
「逆?」
「そうだ。この街を救ってもらった勇者をそのまま何もせずに帰したとあっては申し訳なさ過ぎる」
「いや、ちょっと待ってよ。さっき、街の信者達はまだ落ち着いていないって話したばかりじゃない」
「あ……」
「分かった? じゃ、そういうことで……え?」
「もし、また何かあったら……我々はどうすればいい?」
「……」
ソルトは喉元まで「それは頑張るしかないでしょ」と言いかけたが、それはそれであんまりかなと思い、冒険者ギルド経由で連絡するように話す。
「分かった。ムリを言って申し訳ない」
「いいよ。こっちの都合とはいえ、教会を潰すことになったんだし」
「だが……」
「いいから、もう帰るね」
「ああ、すまなかった。そして本当にありがとう」
「もう、いいから。じゃあね」
「あ……」
ソルトはそれだけ言うと、また捕まらないうちにと詰所から慌てて飛び出す。
「さて、ブランカは……」
『山で待つと言ってました』
「そか。じゃ、『転移』」
ソルトは物陰で山の上に転移するとブランカに「遅くなってゴメン」と謝る。
「いいさ、勇者は大変だな」
「そうなんだよ……って、あれ?」
「どうした、勇者ソルトよ。くくく……」
「やっぱり、いじってるよね」
「さあ、どうかな?」
「いいや、『転移』」
「え? ソルト?」
ソルトをいじってくるブランカを山の上に残して自分の部屋へと転移したソルトにルーが『いいんですか?』と聞いてくる。
「いいも何もルーだよね?」
『さて、なんのことでしょうか。勇者様……ぷっ』
「それ!」
『もう、いいじゃないですか。このまま勇者でも』
「イヤだよ。だって、俺だよ」
『ソルトさんだから、いいんですよ』
「それもどうかと思うけど……」
「ちょっと、酷いじゃない!」
「あ……」
ドスドスと床を踏み抜く勢いのまま、ブランカが部屋へと入ってくる。
「勇者のくせに!」
「え? 勇者ってどういうこと?」
「勇者が来たのか?」
ブランカの後ろからレイ達が野次馬根性でブランカの肩越しにソルトを見ている。
「あ~」
ソルトは教会がエンディの街の近くでしでかしたことを話す。
「信じられない。それは本当なのか?」
「別に信じなくてもいいけど、さっきのアレを見た後で聞いても信じられないのなら、この街も文字通り教会に食い物にされるんだろうね」
「ぐ……」
ソルトが話した内容が信じられないと一度は、その内容を拒否した衛兵だが、ソルトが言うようにさっきまでの様子を思い出し頭を抱えてしまう。
「そうだった……だが、一度に色んなことがあり過ぎて頭の整理が付かない」
「まあ、それも分かるけどさ」
「だが、ソルト。君の言う通りだとしてもだ」
「まだ、信じられないの?」
「いや、そうではない。そうではないのだが、まだ街の皆に私達がいくら信じてくれと言ってもそう簡単には信じてもらえないだろう」
「でしょうね。でもさ、その治癒魔法が付与された指輪を使っていれば、その内に教会の方がイヤになって離れるかもね」
「イヤになる?」
「だって、稼ぎ頭の治癒魔法がダメになるんだから、街にいてもしょうがないでしょ」
「そんなことで信仰する人を放り出すようなマネをするのか」
「信仰って……いもしない神様だよ」
「ん? ソルトは何を言っているんだ? 我々が信仰する神がいないなんて、そんなことはないだろ」
「あれ? もしかして……」
「ああ、そうだ」
ソルトが暗に教会を批判すれば、衛兵の雰囲気が変わるのを感じたので、もしかしてと問い掛けてみれば、信者だと答える。
「ちょっと、ごめんね」
「ん?」
ソルトが衛兵に断りを入れ、鑑定してみると『洗脳(小)』とあった。
「あ~やっぱり……じゃあ『浄化』」
「ん? 何をした?」
「忘れないうちにさっきの指輪を着けることをオススメするよ」
「指輪を……どういう意味だ?」
「あのね……」
ソルトは衛兵が軽い洗脳状態だったことを話し、他の人も信者であるならば、洗脳されていると思った方がいいと忠告し、さっき売った指輪を着けて洗脳を解除するように勧める。
「なら、さっき言った神がいないというのは、やはりそういうことなのか」
「そう、いないどころか邪神の類だよ」
「邪神だと」
「そう、邪神だね」
「そんなことを知らずに私達は……」
「まあ、洗脳されていればそうだよね。でもさ、これからはあんたが助けてやればいいだけだし」
「そうだな、分かった。色々と世話になった。ありがとう」
「いいよ。俺も教会の力を削ぐのが目的だしね」
「それで、勇者ソルトよ」
「え? なんて?」
「どうした。勇者ソルトよ」
「いやいやいや、どうして俺を勇者って言うの?」
「何を言っているんだ? あんな白竜に乗って化け物を退治し街を救ったんだソルトは勇者だろう?」
「いや、違うから!」
「そうか。では、勇者ソルトよ」
「そうかって……全然、分かってくれてない……」
『ふふふ、いいじゃないですか。勇者様』
「ルーまでいじってくるし」
ソルトはこれ以上、ここにいちゃいけない気がして、衛兵に断り席を立とうとすれば、その腕をガシッと掴まれる。
「え?」
「いや、何を帰ろうとしているんだ」
「え? もしかして捕まえる気?」
「はぁ? 何を言っているんだ。逆だよ、逆」
「逆?」
「そうだ。この街を救ってもらった勇者をそのまま何もせずに帰したとあっては申し訳なさ過ぎる」
「いや、ちょっと待ってよ。さっき、街の信者達はまだ落ち着いていないって話したばかりじゃない」
「あ……」
「分かった? じゃ、そういうことで……え?」
「もし、また何かあったら……我々はどうすればいい?」
「……」
ソルトは喉元まで「それは頑張るしかないでしょ」と言いかけたが、それはそれであんまりかなと思い、冒険者ギルド経由で連絡するように話す。
「分かった。ムリを言って申し訳ない」
「いいよ。こっちの都合とはいえ、教会を潰すことになったんだし」
「だが……」
「いいから、もう帰るね」
「ああ、すまなかった。そして本当にありがとう」
「もう、いいから。じゃあね」
「あ……」
ソルトはそれだけ言うと、また捕まらないうちにと詰所から慌てて飛び出す。
「さて、ブランカは……」
『山で待つと言ってました』
「そか。じゃ、『転移』」
ソルトは物陰で山の上に転移するとブランカに「遅くなってゴメン」と謝る。
「いいさ、勇者は大変だな」
「そうなんだよ……って、あれ?」
「どうした、勇者ソルトよ。くくく……」
「やっぱり、いじってるよね」
「さあ、どうかな?」
「いいや、『転移』」
「え? ソルト?」
ソルトをいじってくるブランカを山の上に残して自分の部屋へと転移したソルトにルーが『いいんですか?』と聞いてくる。
「いいも何もルーだよね?」
『さて、なんのことでしょうか。勇者様……ぷっ』
「それ!」
『もう、いいじゃないですか。このまま勇者でも』
「イヤだよ。だって、俺だよ」
『ソルトさんだから、いいんですよ』
「それもどうかと思うけど……」
「ちょっと、酷いじゃない!」
「あ……」
ドスドスと床を踏み抜く勢いのまま、ブランカが部屋へと入ってくる。
「勇者のくせに!」
「え? 勇者ってどういうこと?」
「勇者が来たのか?」
ブランカの後ろからレイ達が野次馬根性でブランカの肩越しにソルトを見ている。
「あ~」
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