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第七章 王都にて

第4話 ヤっちゃう?

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 ソルトは転移で王都に戻ってくるとゴルドと話す為に領主代行の部屋へと向かう。

「失礼します」
「おお、来たか。で、ちゃんと言い含めたんだろうな?」
「一応、言っといたけどね。どこまで分かってくれたのかは不安だけどね」
「そうか。まあ、それがアイツのいいところでもあり悪いところでもあるんだがな」
「うん。まあ、そんなことよりほら……話すことがあるんでしょ」
「おお、そうだったな。では、アラン様よろしいですかな」
「……いいけど、お手柔らかにお願いしたいね」
「まあ、それはアラン様の心構え次第だと……」
「分かったよ。でも、出来るだけ優しくして欲しいかな」
「分かりました。では、私ゴルドからお話し致します」
「うん、頼む」
「では……」

 ゴルドは「コホン」と軽く咳払いをすると領主代行であるアランにこれからのことを相談する。

「なるほど、ここに来るまでの道中で捕まえた野盗達を処罰する為に私の決済印が必要だということは分かりましたが、また街に戻るとなると「そこは大丈夫です」……え?」
「はい。ここから先の話は口外無用となりますので、その辺りのことも……」
「ふむ、そこまで言うからには重大なことなんでしょうね。もしかして、時折護衛メンバーが替わっていたことにも関係する話でしょうか」
「ご明察……です」
「ハァ~出来れば、これ以上頭が痛くなることは聞きたくないのですが……」
「とりあず、一度経験して頂ければ分かるかと……はい。じゃ、ソルト頼んでもいいか?」
「いいけど、どこへ?」
「そうだな、取り敢えずギルドかな」
「うん、いつもの所だね。じゃ、ゴルドさん、ギルマスへの連絡よろしく。あと、アランさん、こっちへ」
「え?」
「アラン様、どうぞソルトの側へ」
「いいけど、何が始まるんですか?」
「すぐに終わりますので」
「分かりました」

 ゴルドからお願いされる形でアランはソルトの側に行くとソルトから「どこでもいいので、俺の体を掴んでいて下さいね」と言われるとアランは不安そうにソルトの肩を軽く掴む。

「掴む? こんな感じでいいのかい?」
「ええ、いいですよ。じゃ、ゴルドさんも」
「おお、頼むわ」

 ソルトはゴルド達が自分の体に触れていることを確認すると『転移』と呟くといつものようにギルマスの部屋へと転移する。

「……来たか。アラン様、ご気分は?」
「え? あれ? なんでゴメスが? じゃあ、ここは?」
「はい。エンディの冒険者ギルドです」
「え? じゃあ、さっきのソルト君のは……」
「そういうことなので、口外しないでもらえると助かるのですが」
「まあ、そうだよね。分かったよ。で、私は何をすればいいのかな?」
「ふふふ、アラン様の話が早くて助かります。では、これをお願いしますね」
「うぁ~結構あるんだね」
「お願いします」

 ギルマスがアランに差し出したのはソルト達が捕縛した野盗達の奴隷契約書だ。ソルト達が捕縛した野盗はこれから犯罪奴隷として鉱山や荷役として強制的に労働させられることになる。そして、奴隷商に売った代金は領主代行であるアランと捕縛したソルト達で山分けとなる。

 アランが差し出された全ての書類に目を通しサインを済ませると、深く深呼吸してから「終わったぁ~」と伸びをするとゴルドがお疲れ様でしたとアランを労う。

「で、私はこれからどうすればいいのかな?」
「それは俺と一緒に王都のお屋敷に戻りますよ」
「分かった。じゃあ、お願いするよ。で、ゴルドは?」
「ああ、ゴルドさんなら、王都ですることもないからって、家に帰りましたよ」
「え? じゃあ、私の護衛は……」
「それなら、俺達が任されているんで大丈夫ですよ」
「そうなんだね。じゃあ、よろしく頼むね」
「はい、お任せ下さい。じゃあ、王都に戻りますね。じゃあね、ギルマス!」
「おう、今度はゆっくりしていけよ」
「うん、そうする。じゃあね」
「おう!」

 ソルトは来た時と同じ様に領主代行であるアランを自分に捕まらせると『転移』と唱え、王都のお屋敷へと転移する。

「到着!」
「ハァ~ホントに一瞬なんだね」
「どこか具合が悪くなったりとかは……なさそうですね」
「確かにないけど、もう少し労ってくれてもいいんじゃないのかな」
「すみません。そういう性格なんで」
「ふふふ、正直なんだね。では、また何かあればお願いしてもいいのかな?」
「ええ、構いませんよ。ただ、頻繁に言われると困りますが」
「うん、分かったよ」
「では、失礼します」
「ああ」

 ソルトはアランからの礼を受け取ると、アランの部屋を出て自分の部屋へと戻る。

 部屋に入りドカッとソファに座ると深く嘆息する。

「どれ、まだ監視しているのはどれくらいいるんだろう。ルー」
『はい。今、表示しますね。どれどれ……ん~それほど増えてはいませんが、相変わらず監視はされていますね』
「そうみたいだね。でもこうやってずっと見られているのも感じ悪いよね」
『……殺っちゃいますか?』
「ルー?」
『あ、すみません。つい……』
「まあ、こうも監視されれば殺伐としちゃうよね」
『……はい』
「じゃあ、暗くなったら殺っちゃう?」
『はい! 殺っちゃいましょ!』

 どうしてルーがこうなったのだろうかとソルトは考えたが、考えてもしょうがないことだなと、直ぐに考えるのを放棄した。
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