100 / 132
第六章 いざ、王都へ
第10話 もう、お代わりですか
しおりを挟む
領主代行に遅くなったことと野盗討伐の報告を済ませた後は、近くの宿場まで移動しなんとか初日を終えることが出来た。
翌朝、ゴルドを迎えに行き護衛のメンバーはソルト、ゴルド、レイ、シルヴァ、ブランカ、ノアだった。ソルトとゴルド以外、ガラッと護衛メンバーが入れ替わったことに気付いた領主代行は不思議そうにしていたがソルト達のすることを一々気にしてもしょうがないと気にすることを止めた。
「なあ、ソルト。ヒマなんだけど~」
「おう、それは奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
「お前達、ヒマならその辺を走って来いよ」
「「……あ!」」
早朝、宿場町を出た一行は昨日と同じように景色も変わらない峠道をゆっくり進んでいたが、御者席に座るソルトとゴルドの後ろから、シルヴァがヒマだと声を掛けてきたが、ゴルドに注意される。だが、その時にシルヴァとソルトは同時に何かを感じ取る。
「ゴルドさん、お客さんだよ」
「もうか? そんなに宿場町から離れていないぞ」
「そんなこと俺に言われても知らないよ。でも、人数が少ないから単なる偵察かもよ」
「そうだな。それも考えられるか。よし、ソルト。引き続き警戒してくれ」
「は~い」
ゴルドに野盗が来たことを告げると、ゴルドは引き続き警戒するようにソルトに言うがシルヴァはその話を聞いてから、どこかソワソワしている。
「なあ、ソルト「ダメ!」……まだ何も言ってないだろ」
「どうせ、偵察者を相手にしたいってことなんだろ」
「分かっているじゃないか。なら「だから、ダメなの」……なんでだよ!」
「まだ、こっちが何かされた訳じゃないからだよ」
「え~何かされてからじゃ遅いじゃん!」
「へ~シルヴァはアイツらに何かされるんだ。ふ~ん、そうなんだ」
「な、なんだよ。俺がアイツらに傷を負わせられるとでも言うのか!」
「俺にはシルヴァがそう言っているように聞こえたけど?」
「な、何を!」
「いいから、シルヴァお座り!」
「な、なんだよ。ブランカまで」
「もう、うるさいのよ。いいからノアも見てるでしょ」
「あ……」
シルヴァはブランカからノアが見ているんだから、黙って座ってなさいと言われ凹んでしまう。
「もう、シルヴァ。そんなに落ち込まないでもいいから。直ぐに出番は来るからさ」
「すぐってどれくらいだよ!」
「さあ? 俺に言われても分からないよ」
「なんだよ、それ!」
「でも、偵察しているくらいだから、宿場町から離れてからだと思うよ」
「だから、それは何時なんだよ!」
「もうシルヴァ、ハウス!」
「ぐっ……」
ヒマを持て余していたところにソルト達の馬車を監視している連中がいる。なら、それを始末しても問題ないと思ったシルヴァだが、まだ手を出すなとソルトに止められる。なら、それは何時になるんだとソルトに問い質せばソルトもそれは分からないと言う。そんなソルトに食ってかかるシルヴァが鬱陶しくなったのかブランカから大人しくするように言われてしまいシュンとなる。
「まったく少しも落ち着いていないんだな」
「何、他人事みたいに。ゴルドさんは俺達の仲間なんだから一緒でしょ」
「……ああ、そういやそうだった。だから、こうしているんだしな。ハァ~どこでどう間違ったんだか……帰りたい」
「ゴルドさん、もうホームシックなの?」
「違うわ! もういい。お前達とまともに対応していたらすり減っちまうわ」
「そうだよね。俺も同じだよ」
「……」
「え? 何? どうしたの? なんでそんな目で俺を見るの? 怖いよゴルドさん」
「……ハァ~一番のやらかしが自覚無しだもんな。ハァ~」
「ゴルドさん?」
シルヴァとの一騒動の後にゴルドはなんでこんなことにと呟くが、その切っ掛けとなった張本人はゴルドの横で自分には関係ないとばかりに他人事だ。そんな自由なソルトを見てゴルドは溜め息しか出てこなかった。
しばらく馬車を走らせ、陽が真上に来た頃に昼食の為の休憩場所を探してから食事休憩を取る。
「まだ、こっちを見ているのか?」
「うん、継続中だね。一人外れたから、報告にでも戻ったのかな」
「なら、この先で襲われる可能性があるってことか」
「多分ね。よかったね、シルヴァ」
「ふん! ま、来たら来たで俺一人で十分だ。ソルト、手を出すんじゃないぞ」
「え、いいの?」
「ああ、全部俺に任せろ。ギッタギッタの「はいはい、いいから食べましょうね」……ブランカ」
食事を終え、しばらく馬車を走らせると峠道が狭くなり、見通しも悪くなる。
「もう少ししたら来るかな。ここは定番通りに壊れた馬車とかで道を塞いで……あちゃ~まんまだよ」
「そうだな。じゃあ、停めるぞ。ソルト、後ろにも連絡よろしく!」
「もう、ゴルドさんも念話出来るんだから、してもいいじゃない!」
「俺は御者だからな。ほら、早くしないと止まっちまうぞ」
「もう、分かったよ」
ソルトは領主代行の側付きのオジサンに念話で、この先で急襲されるから馬車を停めることを告げる。
「じゃあ、シルヴァ任せるけどホントにいいの?」
「ああ、任せておけって」
シルヴァはそう言うと馬車からゆっくりと降りる。
「お~い、こっちはいつでもいいぞ!」
『『『……』』』
ソルトはこちらを監視している連中に妙な緊張感が走ったのを感じ取った。
翌朝、ゴルドを迎えに行き護衛のメンバーはソルト、ゴルド、レイ、シルヴァ、ブランカ、ノアだった。ソルトとゴルド以外、ガラッと護衛メンバーが入れ替わったことに気付いた領主代行は不思議そうにしていたがソルト達のすることを一々気にしてもしょうがないと気にすることを止めた。
「なあ、ソルト。ヒマなんだけど~」
「おう、それは奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
「お前達、ヒマならその辺を走って来いよ」
「「……あ!」」
早朝、宿場町を出た一行は昨日と同じように景色も変わらない峠道をゆっくり進んでいたが、御者席に座るソルトとゴルドの後ろから、シルヴァがヒマだと声を掛けてきたが、ゴルドに注意される。だが、その時にシルヴァとソルトは同時に何かを感じ取る。
「ゴルドさん、お客さんだよ」
「もうか? そんなに宿場町から離れていないぞ」
「そんなこと俺に言われても知らないよ。でも、人数が少ないから単なる偵察かもよ」
「そうだな。それも考えられるか。よし、ソルト。引き続き警戒してくれ」
「は~い」
ゴルドに野盗が来たことを告げると、ゴルドは引き続き警戒するようにソルトに言うがシルヴァはその話を聞いてから、どこかソワソワしている。
「なあ、ソルト「ダメ!」……まだ何も言ってないだろ」
「どうせ、偵察者を相手にしたいってことなんだろ」
「分かっているじゃないか。なら「だから、ダメなの」……なんでだよ!」
「まだ、こっちが何かされた訳じゃないからだよ」
「え~何かされてからじゃ遅いじゃん!」
「へ~シルヴァはアイツらに何かされるんだ。ふ~ん、そうなんだ」
「な、なんだよ。俺がアイツらに傷を負わせられるとでも言うのか!」
「俺にはシルヴァがそう言っているように聞こえたけど?」
「な、何を!」
「いいから、シルヴァお座り!」
「な、なんだよ。ブランカまで」
「もう、うるさいのよ。いいからノアも見てるでしょ」
「あ……」
シルヴァはブランカからノアが見ているんだから、黙って座ってなさいと言われ凹んでしまう。
「もう、シルヴァ。そんなに落ち込まないでもいいから。直ぐに出番は来るからさ」
「すぐってどれくらいだよ!」
「さあ? 俺に言われても分からないよ」
「なんだよ、それ!」
「でも、偵察しているくらいだから、宿場町から離れてからだと思うよ」
「だから、それは何時なんだよ!」
「もうシルヴァ、ハウス!」
「ぐっ……」
ヒマを持て余していたところにソルト達の馬車を監視している連中がいる。なら、それを始末しても問題ないと思ったシルヴァだが、まだ手を出すなとソルトに止められる。なら、それは何時になるんだとソルトに問い質せばソルトもそれは分からないと言う。そんなソルトに食ってかかるシルヴァが鬱陶しくなったのかブランカから大人しくするように言われてしまいシュンとなる。
「まったく少しも落ち着いていないんだな」
「何、他人事みたいに。ゴルドさんは俺達の仲間なんだから一緒でしょ」
「……ああ、そういやそうだった。だから、こうしているんだしな。ハァ~どこでどう間違ったんだか……帰りたい」
「ゴルドさん、もうホームシックなの?」
「違うわ! もういい。お前達とまともに対応していたらすり減っちまうわ」
「そうだよね。俺も同じだよ」
「……」
「え? 何? どうしたの? なんでそんな目で俺を見るの? 怖いよゴルドさん」
「……ハァ~一番のやらかしが自覚無しだもんな。ハァ~」
「ゴルドさん?」
シルヴァとの一騒動の後にゴルドはなんでこんなことにと呟くが、その切っ掛けとなった張本人はゴルドの横で自分には関係ないとばかりに他人事だ。そんな自由なソルトを見てゴルドは溜め息しか出てこなかった。
しばらく馬車を走らせ、陽が真上に来た頃に昼食の為の休憩場所を探してから食事休憩を取る。
「まだ、こっちを見ているのか?」
「うん、継続中だね。一人外れたから、報告にでも戻ったのかな」
「なら、この先で襲われる可能性があるってことか」
「多分ね。よかったね、シルヴァ」
「ふん! ま、来たら来たで俺一人で十分だ。ソルト、手を出すんじゃないぞ」
「え、いいの?」
「ああ、全部俺に任せろ。ギッタギッタの「はいはい、いいから食べましょうね」……ブランカ」
食事を終え、しばらく馬車を走らせると峠道が狭くなり、見通しも悪くなる。
「もう少ししたら来るかな。ここは定番通りに壊れた馬車とかで道を塞いで……あちゃ~まんまだよ」
「そうだな。じゃあ、停めるぞ。ソルト、後ろにも連絡よろしく!」
「もう、ゴルドさんも念話出来るんだから、してもいいじゃない!」
「俺は御者だからな。ほら、早くしないと止まっちまうぞ」
「もう、分かったよ」
ソルトは領主代行の側付きのオジサンに念話で、この先で急襲されるから馬車を停めることを告げる。
「じゃあ、シルヴァ任せるけどホントにいいの?」
「ああ、任せておけって」
シルヴァはそう言うと馬車からゆっくりと降りる。
「お~い、こっちはいつでもいいぞ!」
『『『……』』』
ソルトはこちらを監視している連中に妙な緊張感が走ったのを感じ取った。
20
お気に入りに追加
1,985
あなたにおすすめの小説
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
精霊に好かれた私は世界最強らしいのだが
天色茜
ファンタジー
普通の女子高校生、朝野明莉沙(あさのありさ)は、ある日突然異世界召喚され、勇者として戦ってくれといわれる。
だが、同じく異世界召喚された他の二人との差別的な扱いに怒りを覚える。その上冤罪にされ、魔物に襲われた際にも誰も手を差し伸べてくれず、崖から転落してしまう。
その後、自分の異常な体質に気づき...!?
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました
星名 七緒
ファンタジー
身寄りのない少女が、異世界に飛ばされてしまいます。異世界でいろいろな人と出会い、料理を通して交流していくお話です。異世界で幸せを探して、がんばって生きていきます。
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる