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第六章 いざ、王都へ
第3話 食べました
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「えっと、これはどういうことなのかな?」
「領主代行殿はそこの席にお座りください」
「ああ、どうも。って、違うから。私が聞きたいのはそうじゃなくて、なんでこんなテーブルが用意されているのかってことなんだけど?」
「まあまあまあ、今はそんなこといいじゃないですか。それよりもほら、早く食べないと冷めちゃいますよ」
「……分かった。今は不問にするしかないと言うことか。まあ、そういうことなら冷めない内に食べるとするか」
アランは話に乗ってくれないソルトに納得出来ない部分もあるが、今はそんなことよりもまだ湯気を立て美味しそうな匂いが鼻腔を擽る目の前の料理に釘付けになる。そして、ハァ~と短く嘆息すると用意されたカラトリーを手に取り食事を始める。領主代行であるアランが食事を始めたのを皮切りにソルト達も食事を始める。
ソルト達が食事をしていると、ふと周りの連中がソルト達を凝視していることに気が付く。
「ねえ、ソルト。なんかおっさん達の視線がキツイんだけど。どうにかならない?」
「昼飯食う間くらい我慢しろよ」
「え~出来ないよ。ねえシーナからもなんとか言ってよ。エリスもそう思うでしょ?」
「「全然!」」
「え~なんで? なんで私だけなの?」
「いいから、我慢出来ないのならさっさと食ってしまえばいいだろ。これからもこういうことが何度もあるかもしれないのに一々対応していられないだろ」
「え~こんな美少女の食事シーンをタダで見せるのって、考えられない!」
「ほ~なら、金をもらえばあのオッサン達の前でメシ食うところを見せるのか?」
「……そんなことを言っている訳じゃないんだけど」
「なら、黙って食え!」
「……ハイ」
食事を終え、流しやテーブルを片付けようとした所で見学していたオッサン達に「どうかそのままでお願いします」と言われたので、竈の火種だけはちゃんと始末するようにお願いして休憩所から出発する。
ソルト達が休憩所から出発すると、オッサン達が話し出す。
「アレってアレだろ? 確か『殲滅の愚者』って言われていた」
「そうそう、ソレだよ。俺も思った!」
「ああ、そうだな。エルフのお姉さんに少女の組み合わせだ。間違いない!」
ソルト達が知らないところでソルト達の名は広まっているようだ。
「ほら、ここからは野盗もいるし警戒を怠るんじゃないぞ」
「「「はい!」」」
峠道に入り、ゴルドがソルト達に警戒を厳にするように注意する。
「ねえ、そんなに出て来るの?」
「そうだな。俺もそれほど街の外に出るわけじゃないから詳しくはないが、出るときには出るな」
「そりゃそうでしょ。じゃなくて、どのくらいの頻度でどういう団体さんなのかを聞きたいの!」
「あ~それは分からないな」
「え~ダメダメじゃん!」
「だから、出て来たのにちゃんと対応すればいいだろ。もし野盗なら賞金が掛かっているかもしれないし、アジトには溜め込んだ財宝とかあるかもな」
「それ、ホント?」
「さあな。だが、野盗が出て来たら『一粒で二度、三度美味しい』って奴だな」
「だって、ソルト! あ~早く出てこないかな野盗さん」
「「「……」」」
レイはゴルドとの会話で野盗が出て来るのを今か今かと待ち構えている。だが、ここからの峠道は襲われることを注意するのは野盗だけではない。やはり、魔獣が森の奥、木々の間から街道を見張っているのはソルトの監視レーダーには丸わかりだ。なら、なぜ襲ってこないのかと言えば、ソルトがいるからとしか言えないだろう。
魔獣とは言え、逆らってはいけない存在と言うのは本能に訴えてくるらしくソルト達の馬車がただただ何もなく自分達の前を通り過ぎるのを祈るだけだった。
じゃあ、野盗の方はと言えば、防衛本能が働くことはなくソルト達の馬車を襲いやすい位置に差し掛かるまでグッと我慢しながら、慎重に慎重に監視を続けるだけだった。
この後に始まる狩りのことなど知るよしもない。
「領主代行殿はそこの席にお座りください」
「ああ、どうも。って、違うから。私が聞きたいのはそうじゃなくて、なんでこんなテーブルが用意されているのかってことなんだけど?」
「まあまあまあ、今はそんなこといいじゃないですか。それよりもほら、早く食べないと冷めちゃいますよ」
「……分かった。今は不問にするしかないと言うことか。まあ、そういうことなら冷めない内に食べるとするか」
アランは話に乗ってくれないソルトに納得出来ない部分もあるが、今はそんなことよりもまだ湯気を立て美味しそうな匂いが鼻腔を擽る目の前の料理に釘付けになる。そして、ハァ~と短く嘆息すると用意されたカラトリーを手に取り食事を始める。領主代行であるアランが食事を始めたのを皮切りにソルト達も食事を始める。
ソルト達が食事をしていると、ふと周りの連中がソルト達を凝視していることに気が付く。
「ねえ、ソルト。なんかおっさん達の視線がキツイんだけど。どうにかならない?」
「昼飯食う間くらい我慢しろよ」
「え~出来ないよ。ねえシーナからもなんとか言ってよ。エリスもそう思うでしょ?」
「「全然!」」
「え~なんで? なんで私だけなの?」
「いいから、我慢出来ないのならさっさと食ってしまえばいいだろ。これからもこういうことが何度もあるかもしれないのに一々対応していられないだろ」
「え~こんな美少女の食事シーンをタダで見せるのって、考えられない!」
「ほ~なら、金をもらえばあのオッサン達の前でメシ食うところを見せるのか?」
「……そんなことを言っている訳じゃないんだけど」
「なら、黙って食え!」
「……ハイ」
食事を終え、流しやテーブルを片付けようとした所で見学していたオッサン達に「どうかそのままでお願いします」と言われたので、竈の火種だけはちゃんと始末するようにお願いして休憩所から出発する。
ソルト達が休憩所から出発すると、オッサン達が話し出す。
「アレってアレだろ? 確か『殲滅の愚者』って言われていた」
「そうそう、ソレだよ。俺も思った!」
「ああ、そうだな。エルフのお姉さんに少女の組み合わせだ。間違いない!」
ソルト達が知らないところでソルト達の名は広まっているようだ。
「ほら、ここからは野盗もいるし警戒を怠るんじゃないぞ」
「「「はい!」」」
峠道に入り、ゴルドがソルト達に警戒を厳にするように注意する。
「ねえ、そんなに出て来るの?」
「そうだな。俺もそれほど街の外に出るわけじゃないから詳しくはないが、出るときには出るな」
「そりゃそうでしょ。じゃなくて、どのくらいの頻度でどういう団体さんなのかを聞きたいの!」
「あ~それは分からないな」
「え~ダメダメじゃん!」
「だから、出て来たのにちゃんと対応すればいいだろ。もし野盗なら賞金が掛かっているかもしれないし、アジトには溜め込んだ財宝とかあるかもな」
「それ、ホント?」
「さあな。だが、野盗が出て来たら『一粒で二度、三度美味しい』って奴だな」
「だって、ソルト! あ~早く出てこないかな野盗さん」
「「「……」」」
レイはゴルドとの会話で野盗が出て来るのを今か今かと待ち構えている。だが、ここからの峠道は襲われることを注意するのは野盗だけではない。やはり、魔獣が森の奥、木々の間から街道を見張っているのはソルトの監視レーダーには丸わかりだ。なら、なぜ襲ってこないのかと言えば、ソルトがいるからとしか言えないだろう。
魔獣とは言え、逆らってはいけない存在と言うのは本能に訴えてくるらしくソルト達の馬車がただただ何もなく自分達の前を通り過ぎるのを祈るだけだった。
じゃあ、野盗の方はと言えば、防衛本能が働くことはなくソルト達の馬車を襲いやすい位置に差し掛かるまでグッと我慢しながら、慎重に慎重に監視を続けるだけだった。
この後に始まる狩りのことなど知るよしもない。
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