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第四章 見えない敵意
第15話 それはお礼とは言わない
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「大変だ~!」
騒ぐ皆を見てレイがソルトに尋ねる。
「ねえ、皆騒いでいるけどさ。まだ産まれてないんだよね?」
「ああ、今はな。ルーが言うには産まれそうだって話だから、まだどうなるか分からないらしいけどね」
「そうなんだ。じゃあ慌てることはないんだね。なら、ご飯にしようよ」
「はぁ?」
「だって、まだ産まれてないんだし、することはないわよね。なら、自分達の世話をしないとね」
「それもそうか」
レイの話を聞いて、回りで騒いでいた皆も落ち着きを取り戻す。
「言われてみれば、その通りだな」
「確かに。ただレイに諭されるのがしゃくに障るけどな」
そこからは皆で食事の準備をして、食事を済ませた後は軽く雑談をしてから、各自の家に入っていくが、ソルトが用意した自分一人だけの家に入ろうとしたところで、ガネーシャが後ろにいることに気付く。なので、振り返りガネーシャに話しかける。
「えっと、ガネーシャは向こうでしょ? っていうか自分の家に帰らなくていいの?」
「まだ、ソルトにお礼をしていない……から」
「別にお礼はいらないぞ。だから、自分の家に帰ってもいいぞ」
「でも、レイにお礼を言ったら、『お礼はソルトに』って言われたぞ」
ソルトは天を仰ぎ、『レイのヤツ』と一言漏らしガネーシャの目を見てから諭すように話す。
「レイのヤツ……レイはそう言ったかもしれないが、俺は別にお礼を期待して治療を手解きした訳じゃないからな。だから、しつこいようだけどお礼はいらないから」
「なんでだ! なら、俺はどうすればいいんだよ!」
「まあ、ヒト族への恨みも消えたみたいだし、それでお相子ってことでいいんじゃないかな」
「それじゃダメだ。俺の気が済まない」
「え~面倒くさい。俺がいらないって言ってるんだから、それでいいじゃない」
「だから、それじゃ俺の気が済まないんだって」
話が堂々巡りになりそうになったところで、いつの間にかブランカが話しに割って入る。
「なら、ガネーシャもお世話になればいいんじゃないの?」
「まて、それはどういう意味だ? それじゃ俺へのお礼にはならないだろ? いや、別にお礼は必要ないんだけどさ」
「ふふふ、違うの。もう、や~ね、ソルト君は」
「ブランカの言っている意味が分からないんだけど?」
『俺の世話になることがお礼になる』とブランカが言った言葉が理解出来ないソルトは頭を抱えてしまう。
「だから、衣食住はソルト君のお世話になるけど、ガネーシャはソルト君の世話をするのよ」
「ちょっと、ブランカ。何を言っているのかな?」
「何って、お世話の話でしょ。ソルト君だって忙しいし身なんだし、そういうのは必要だよね」
「だから、なんでそういう話になるのさ」
「ガネーシャはお礼をしたい。ソルト君はお礼がいらない。なら、ご奉仕するのがいいんじゃないかと思ったんだけど、ダメだった?」
「ダメです。ダメに決まってます。第一、俺にはそんな必要なんてありませんから」
「あら? そうだったの? なんか残念ね」
「とにかく、そういう訳なので、お礼はいりません。不要です!」
「そんな……」
「まあまあ、ソルト君。話は聞かせてもらったよ」
「なんだよ、話を大きくした張本人が何を言い出すんだか」
「ふふふ、私になら、こうしようじゃないか」
「だから、お前は何をしたいんだよレイ。頼むからこれ以上ややこしくしないでくれ」
「まあ、話を聞きたまえ。ソルト君。君はガネーシャに無理してお礼してもらうほどではない。ガネーシャもお礼したいが、何をしていいのか分からない。でしょ?」
「「ああ、そうだ」」
「じゃあさ、ガネーシャには魔族領を案内してもらえばいいじゃない。ね? 我ながらナイスな考えだと思うんだけど?」
「「あ、なるほど!」」
「って、ことでガネーシャは魔族領に行くときに会いに来るからさ。じゃあね」
そう言って言えに入ろうとするソルトをガネーシャが引き留める。
「どうやって俺と連絡を取るつもりだ?」
「どうやってって、魔族領で探すつもりだけど?」
「魔族領を自分達で自由に歩き回るつもりなら、別に案内はいらないんじゃないのか?」
「あ、それもそうだね」
「だから、俺はここに残るから!」
「え~」
すると今度はサクラが話しに割って入る。
「そうか、ガネーシャも仲間に入るか。そうなると……ちょっと、耳貸せ」
「な、なんだ?」
「いいから」
そう言ってサクラがガネーシャの耳を引っ張り何やら囁く。
「……で、これが……こうなって、ガネーシャも……なるって訳さ」
「そんなので上手くいくのか?」
「それが上手くいくのさ。大丈夫だから。安心して試してみな」
「分かった。やってみる!」
サクラに何かを耳打ちされたガネーシャが少し鼻息も荒く、ソルトの前に立つと「俺の名前を言え!」と凄んでくる。
「えっと、もしかして『出来のいい弟』でもいるの?」
「ん? 俺に弟はいない。あ~もう、いいから、俺の名前を言え!」
「もう、分かったよ。ガネーシャ。これでいいの?」
ソルトがガネーシャの名前を呼んだ瞬間にソルトとガネーシャが光に包まれる。
「あ、デジャヴ……」
騒ぐ皆を見てレイがソルトに尋ねる。
「ねえ、皆騒いでいるけどさ。まだ産まれてないんだよね?」
「ああ、今はな。ルーが言うには産まれそうだって話だから、まだどうなるか分からないらしいけどね」
「そうなんだ。じゃあ慌てることはないんだね。なら、ご飯にしようよ」
「はぁ?」
「だって、まだ産まれてないんだし、することはないわよね。なら、自分達の世話をしないとね」
「それもそうか」
レイの話を聞いて、回りで騒いでいた皆も落ち着きを取り戻す。
「言われてみれば、その通りだな」
「確かに。ただレイに諭されるのがしゃくに障るけどな」
そこからは皆で食事の準備をして、食事を済ませた後は軽く雑談をしてから、各自の家に入っていくが、ソルトが用意した自分一人だけの家に入ろうとしたところで、ガネーシャが後ろにいることに気付く。なので、振り返りガネーシャに話しかける。
「えっと、ガネーシャは向こうでしょ? っていうか自分の家に帰らなくていいの?」
「まだ、ソルトにお礼をしていない……から」
「別にお礼はいらないぞ。だから、自分の家に帰ってもいいぞ」
「でも、レイにお礼を言ったら、『お礼はソルトに』って言われたぞ」
ソルトは天を仰ぎ、『レイのヤツ』と一言漏らしガネーシャの目を見てから諭すように話す。
「レイのヤツ……レイはそう言ったかもしれないが、俺は別にお礼を期待して治療を手解きした訳じゃないからな。だから、しつこいようだけどお礼はいらないから」
「なんでだ! なら、俺はどうすればいいんだよ!」
「まあ、ヒト族への恨みも消えたみたいだし、それでお相子ってことでいいんじゃないかな」
「それじゃダメだ。俺の気が済まない」
「え~面倒くさい。俺がいらないって言ってるんだから、それでいいじゃない」
「だから、それじゃ俺の気が済まないんだって」
話が堂々巡りになりそうになったところで、いつの間にかブランカが話しに割って入る。
「なら、ガネーシャもお世話になればいいんじゃないの?」
「まて、それはどういう意味だ? それじゃ俺へのお礼にはならないだろ? いや、別にお礼は必要ないんだけどさ」
「ふふふ、違うの。もう、や~ね、ソルト君は」
「ブランカの言っている意味が分からないんだけど?」
『俺の世話になることがお礼になる』とブランカが言った言葉が理解出来ないソルトは頭を抱えてしまう。
「だから、衣食住はソルト君のお世話になるけど、ガネーシャはソルト君の世話をするのよ」
「ちょっと、ブランカ。何を言っているのかな?」
「何って、お世話の話でしょ。ソルト君だって忙しいし身なんだし、そういうのは必要だよね」
「だから、なんでそういう話になるのさ」
「ガネーシャはお礼をしたい。ソルト君はお礼がいらない。なら、ご奉仕するのがいいんじゃないかと思ったんだけど、ダメだった?」
「ダメです。ダメに決まってます。第一、俺にはそんな必要なんてありませんから」
「あら? そうだったの? なんか残念ね」
「とにかく、そういう訳なので、お礼はいりません。不要です!」
「そんな……」
「まあまあ、ソルト君。話は聞かせてもらったよ」
「なんだよ、話を大きくした張本人が何を言い出すんだか」
「ふふふ、私になら、こうしようじゃないか」
「だから、お前は何をしたいんだよレイ。頼むからこれ以上ややこしくしないでくれ」
「まあ、話を聞きたまえ。ソルト君。君はガネーシャに無理してお礼してもらうほどではない。ガネーシャもお礼したいが、何をしていいのか分からない。でしょ?」
「「ああ、そうだ」」
「じゃあさ、ガネーシャには魔族領を案内してもらえばいいじゃない。ね? 我ながらナイスな考えだと思うんだけど?」
「「あ、なるほど!」」
「って、ことでガネーシャは魔族領に行くときに会いに来るからさ。じゃあね」
そう言って言えに入ろうとするソルトをガネーシャが引き留める。
「どうやって俺と連絡を取るつもりだ?」
「どうやってって、魔族領で探すつもりだけど?」
「魔族領を自分達で自由に歩き回るつもりなら、別に案内はいらないんじゃないのか?」
「あ、それもそうだね」
「だから、俺はここに残るから!」
「え~」
すると今度はサクラが話しに割って入る。
「そうか、ガネーシャも仲間に入るか。そうなると……ちょっと、耳貸せ」
「な、なんだ?」
「いいから」
そう言ってサクラがガネーシャの耳を引っ張り何やら囁く。
「……で、これが……こうなって、ガネーシャも……なるって訳さ」
「そんなので上手くいくのか?」
「それが上手くいくのさ。大丈夫だから。安心して試してみな」
「分かった。やってみる!」
サクラに何かを耳打ちされたガネーシャが少し鼻息も荒く、ソルトの前に立つと「俺の名前を言え!」と凄んでくる。
「えっと、もしかして『出来のいい弟』でもいるの?」
「ん? 俺に弟はいない。あ~もう、いいから、俺の名前を言え!」
「もう、分かったよ。ガネーシャ。これでいいの?」
ソルトがガネーシャの名前を呼んだ瞬間にソルトとガネーシャが光に包まれる。
「あ、デジャヴ……」
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