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第三章 遺跡の役目
第8話 認めたくはない
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「出来たわよ。はい、誰から試す?」
ソルトの部屋に入ってきたエリスが、魔石を組み込んだブレスレットをテーブルの上に並べる。
『私から、いいですか?』
「やっぱり、リリスなのね。分かったわ、なら私の部屋に行きましょう。カスミも一緒にね」
『『はい』』
テーブルの上にある二つのブレスレットを手に取り、エリスは部屋を出る。
ソルトは残ったブレスレットを手に取り、眺める。
「試す?」
『いいの?』
『試したい!』
「なら、こっちに来て。左の前足を出して」
『『うん』』
ショコラとコスモのそれぞれの左前足にブレスレットを着ける。
「どう、きつかったりとか痛かったりとかはない?」
『うん、大丈夫』
『ああ、痛くない』
「じゃあ、『人化』を試してみて」
『分かった。『人化』』
ショコラが『人化』を唱えると、一瞬だけショコラの体が光る。そして、その光が収まるとそこには全裸の……頭にケモ耳、お尻から尻尾を生やした、ぽっちゃり気味のイヌ系の獣人が四つん這いになっていた。
「よかった。顔がこっちで……」
「あれ? 成功したの?」
ショコラが立ち上がると、自分の手足をじっくりと眺める。立ち上がったショコラの身長は百八十を超え、ソルトよりも頭一つ高かった。
「ねえ、兄さん。僕は『人化』に成功したのかな?」
「う~ん、九割ってところかな」
「え~なんで? ちゃんと立てるよ」
ショコラがそう言って、ソルトに歩み寄ろうとすると、まだ歩くのがおぼつかないようで足下がもつれ、ソルトに倒れ掛かるが、ソルトはそれを避けてしまう。
「痛い……」
そう言って、ショコラがソルトを睨み付けるが、ソルトは全裸の男は遠慮すると言い、ショコラに毛布を投げる。
そんなショコラの様子を腹を抱えて笑っているコスモにソルトが試すかと聞くともちろんと言うので、コスモにも『人化』を試して貰う。
『俺はショコラみたいな失敗はしないから。『人化』』
するとコスモの体が一瞬光り、それが収まると筋骨隆々の猫型の獣人が全裸で四つん這いになっていた。
「どうだ。成功しただろ?」
そう言って、コスモが四つん這いの状態から立ち上がると、そのままソファに座っていたソルトの方に倒れ込んでくる。
ソルトは、それを避けコスモに毛布を投げつけると、二人ともまともに歩けるようになるまで部屋から出ないように言い付け部屋を出る。
そして、ドアに『全裸の男がいるので、ドアを無断で開けないように! 部屋から出さないように!』と貼り紙をしてから、階段を下りる。
「あ、レイ。ちょうどいい。今から、ショコラ達の服とか買ってくるから、それまで部屋の外に出ないように見張ってて。いいね、お願いしたからね」
「ショコラ達の服? ソルトのじゃダメなの?」
「言いたくないが、二人とも俺より頭一つデカい! それにショコラはポッチャリさんで、コスモはマッチョだ。とてもじゃないが、俺の持つ服じゃ入らないんだよ」
「そうなんだ。まあ、いいけど。それでもショコラは『人化』出来たんだね」
「ああ、出来たよ。コスモもね。ただし九割ってところで、ケモ耳付きだ。だから、俺の部屋には全裸の男が二人いる訳だ。分かる? 興味があるのは分かるけど開けないようにね」
「うん。分かった」
少し不安を感じながら、ソルトはキャサリンの店へと向かう。
「ショコラ達が出来たってことは、リリスもカスミも出来たってことだよね。ふふふ、どんな感じなんだろ。楽しみ!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ソルトは屋敷を出るとキャサリンの店へと向かう。気乗りはしないが下着を含め下から上までを纏めて購入となると未だにキャサリンの店以外にない。
「なにも起こりませんように!」
そう祈りながら、ソルトは店のドアをそっと開ける。
「あら~いらっしゃい! 随分、お久しぶりじゃないの。で、今日はなに?」
「え~と、まずは下着も含めて、上下全てを揃えたいんだ。それも二人分」
「いいわよ。それで、大きさは?」
「背は俺より高くて……キャサリンさんと同じくらいかな?」
「そう。なら横は?」
「一人はどちらかといえば、ポッチャリ。もう一人はマッチョ。で、二人とも獣人だから、尻尾がある」
「ふ~ん、なるほどね~本当は直接会って採寸したいところだけどね。まあ、それはそれとして、少し待っててね。あ! そうだ、その二人の感じを教えてくれない?」
「ポッチャリさんは、ロン毛で全体的にほわ~っとして、緩い感じ。マッチョの方は短髪で短気な感じかな」
「オッケー分かったわ。なら、こういう感じね……」
そう言いながら、キャサリンはどこか楽しそうに店の奥へと向かう。
数十分後、キャサリンが手にいっぱいの下着と上下セットの服を持ってソルトの元へと戻ってきた。
「この辺りなら、十分入ると思うんだけどどうかな?」
ソルトは一枚のブリーフを手に取り、広げながらショコラ達の裸を想像する。
「うわぁ~嫌だけど確認しない訳にはいかないし……」
辟易しながら、ソルトはショコラ達の体格を思い出しながらも積まれた服を確認する。一通り見て、問題なさそうなことを確認すると全部を購入することをキャサリンに告げ、会計を済ませる。
「ありがとうね~今度は、その二人にも会わせてね~」
「はぁ……」
屋敷に戻ったソルトは、そのまま部屋に向かう。
「戻ったよ~」
「兄さん、どう? もう結構歩けるようになったよ」
「俺もだ」
「それより、服を用意したから着てくれ」
「「服?」」
「ああ、そうだ。これを着てもらわないと、この部屋から出ることは許可できない」
「「え~」」
「文句言わない! ほら!」
「分かった」
「分かったよ。ったく……」
服を選ぶ二人を見ていたソルトだが、服を着ようと苦戦していた二人に驚く。なんでズボンの裾に腕を通すんだ? と。
「ああ、そうか。服なんて着たことないよな。分かるわけないか。ほら、二人とも」
服をなんとか着ようとしていた二人を止めて、二人の前にパンツを差し出す。
「まずはこれから履こうか」
「「?」」
「いいから、まずは局部を隠すんだよ」
「なんで?」
「俺は隠すほど、卑屈なモノじゃないぞ」
「くっ……確かに立派なのは認めよう。認めたくはないけどな。でも、人の世界で生きるなら。部屋の外に出たいのなら、履くんだよ」
嫌がる二人にパンツを渡すが、一向に履こうとはしない。
「なんで履かないんだ?」
「「どうやって?」」
「そこからか……しょうがないな」
そう言って、パンツを手に持ち、小さい子に履かせるようにショコラの前にしゃがみパンツを広げ、右足から入れるようにと言ったところで、目の前にブラブラされるモノに気が付いた。
「なんで、俺が……」
「どうしたの?」
「いいから、早く足を通すんだ!」
「分かったよ。これでいいの?」
「ああ、後は残った穴に左足を通してくれ」
「うん。はい、通したよ」
ショコラはそう言うが、パンツは膝のところで止まっており、モノはブラブラさせたままだ。
ソルトは、これって俺が上げなきゃいけないのかと思うが、乗り掛かったなんとやらで目を瞑り一気に上までパンツを上げる。
「うわぁ。なんかお股が変な感じ」
「これでよし。コスモも見てただろ。一人で履けるよな?」
ソルトの問いかけにコスモは首を横に振り、ソルトへパンツを差し出す。
「俺も履かせて……」
「はぁ?」
「だって、ショコラだけ兄ちゃんに履かせてもらうのはずるいだろ」
「なにがだよ。ったく……」
そう言いながらもコスモを説得するのを諦めたソルトは、コスモの前にしゃがむとショコラの時と同じ様にパンツを履かせる。
「なんで、こんな距離で同じブツを見せつけられないといけないんだ。どんな罰ゲームだよ」
気が遠くなりそうになったソルトが、ズボンやシャツなど説明しながら着せていくと靴がないことに気付く。
「部屋の外に出てもいいけど、まだ靴がない。これから用意するから、屋敷の外には出ないようにな」
「うん」
「おう」
「じゃ、出るか」
ショコラ達を連れ、部屋の外に出ると待ちきれなかったのかレイがドアの前に立っていた。
「ショコラなの?」
「違う!」
レイにショコラと間違われたコスモが即答する。
「お姉さん。僕はこっちだよ」
「え? うそ……なんで、こんなにポッチャリなの?」
「なんでって、ほぼレイのせいだろ」
「え? あれ? そうだっけ?」
「ひどい! お姉さんが皆には内緒って、あれもこれも食べさせてくれたのに!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。ショコラ!」
「レイ、後で聞かせてもらうから。とりあえず、ショコラ達の相手しといてくれ」
「え? なに? どこ行くの?」
ソルトの部屋に入ってきたエリスが、魔石を組み込んだブレスレットをテーブルの上に並べる。
『私から、いいですか?』
「やっぱり、リリスなのね。分かったわ、なら私の部屋に行きましょう。カスミも一緒にね」
『『はい』』
テーブルの上にある二つのブレスレットを手に取り、エリスは部屋を出る。
ソルトは残ったブレスレットを手に取り、眺める。
「試す?」
『いいの?』
『試したい!』
「なら、こっちに来て。左の前足を出して」
『『うん』』
ショコラとコスモのそれぞれの左前足にブレスレットを着ける。
「どう、きつかったりとか痛かったりとかはない?」
『うん、大丈夫』
『ああ、痛くない』
「じゃあ、『人化』を試してみて」
『分かった。『人化』』
ショコラが『人化』を唱えると、一瞬だけショコラの体が光る。そして、その光が収まるとそこには全裸の……頭にケモ耳、お尻から尻尾を生やした、ぽっちゃり気味のイヌ系の獣人が四つん這いになっていた。
「よかった。顔がこっちで……」
「あれ? 成功したの?」
ショコラが立ち上がると、自分の手足をじっくりと眺める。立ち上がったショコラの身長は百八十を超え、ソルトよりも頭一つ高かった。
「ねえ、兄さん。僕は『人化』に成功したのかな?」
「う~ん、九割ってところかな」
「え~なんで? ちゃんと立てるよ」
ショコラがそう言って、ソルトに歩み寄ろうとすると、まだ歩くのがおぼつかないようで足下がもつれ、ソルトに倒れ掛かるが、ソルトはそれを避けてしまう。
「痛い……」
そう言って、ショコラがソルトを睨み付けるが、ソルトは全裸の男は遠慮すると言い、ショコラに毛布を投げる。
そんなショコラの様子を腹を抱えて笑っているコスモにソルトが試すかと聞くともちろんと言うので、コスモにも『人化』を試して貰う。
『俺はショコラみたいな失敗はしないから。『人化』』
するとコスモの体が一瞬光り、それが収まると筋骨隆々の猫型の獣人が全裸で四つん這いになっていた。
「どうだ。成功しただろ?」
そう言って、コスモが四つん這いの状態から立ち上がると、そのままソファに座っていたソルトの方に倒れ込んでくる。
ソルトは、それを避けコスモに毛布を投げつけると、二人ともまともに歩けるようになるまで部屋から出ないように言い付け部屋を出る。
そして、ドアに『全裸の男がいるので、ドアを無断で開けないように! 部屋から出さないように!』と貼り紙をしてから、階段を下りる。
「あ、レイ。ちょうどいい。今から、ショコラ達の服とか買ってくるから、それまで部屋の外に出ないように見張ってて。いいね、お願いしたからね」
「ショコラ達の服? ソルトのじゃダメなの?」
「言いたくないが、二人とも俺より頭一つデカい! それにショコラはポッチャリさんで、コスモはマッチョだ。とてもじゃないが、俺の持つ服じゃ入らないんだよ」
「そうなんだ。まあ、いいけど。それでもショコラは『人化』出来たんだね」
「ああ、出来たよ。コスモもね。ただし九割ってところで、ケモ耳付きだ。だから、俺の部屋には全裸の男が二人いる訳だ。分かる? 興味があるのは分かるけど開けないようにね」
「うん。分かった」
少し不安を感じながら、ソルトはキャサリンの店へと向かう。
「ショコラ達が出来たってことは、リリスもカスミも出来たってことだよね。ふふふ、どんな感じなんだろ。楽しみ!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ソルトは屋敷を出るとキャサリンの店へと向かう。気乗りはしないが下着を含め下から上までを纏めて購入となると未だにキャサリンの店以外にない。
「なにも起こりませんように!」
そう祈りながら、ソルトは店のドアをそっと開ける。
「あら~いらっしゃい! 随分、お久しぶりじゃないの。で、今日はなに?」
「え~と、まずは下着も含めて、上下全てを揃えたいんだ。それも二人分」
「いいわよ。それで、大きさは?」
「背は俺より高くて……キャサリンさんと同じくらいかな?」
「そう。なら横は?」
「一人はどちらかといえば、ポッチャリ。もう一人はマッチョ。で、二人とも獣人だから、尻尾がある」
「ふ~ん、なるほどね~本当は直接会って採寸したいところだけどね。まあ、それはそれとして、少し待っててね。あ! そうだ、その二人の感じを教えてくれない?」
「ポッチャリさんは、ロン毛で全体的にほわ~っとして、緩い感じ。マッチョの方は短髪で短気な感じかな」
「オッケー分かったわ。なら、こういう感じね……」
そう言いながら、キャサリンはどこか楽しそうに店の奥へと向かう。
数十分後、キャサリンが手にいっぱいの下着と上下セットの服を持ってソルトの元へと戻ってきた。
「この辺りなら、十分入ると思うんだけどどうかな?」
ソルトは一枚のブリーフを手に取り、広げながらショコラ達の裸を想像する。
「うわぁ~嫌だけど確認しない訳にはいかないし……」
辟易しながら、ソルトはショコラ達の体格を思い出しながらも積まれた服を確認する。一通り見て、問題なさそうなことを確認すると全部を購入することをキャサリンに告げ、会計を済ませる。
「ありがとうね~今度は、その二人にも会わせてね~」
「はぁ……」
屋敷に戻ったソルトは、そのまま部屋に向かう。
「戻ったよ~」
「兄さん、どう? もう結構歩けるようになったよ」
「俺もだ」
「それより、服を用意したから着てくれ」
「「服?」」
「ああ、そうだ。これを着てもらわないと、この部屋から出ることは許可できない」
「「え~」」
「文句言わない! ほら!」
「分かった」
「分かったよ。ったく……」
服を選ぶ二人を見ていたソルトだが、服を着ようと苦戦していた二人に驚く。なんでズボンの裾に腕を通すんだ? と。
「ああ、そうか。服なんて着たことないよな。分かるわけないか。ほら、二人とも」
服をなんとか着ようとしていた二人を止めて、二人の前にパンツを差し出す。
「まずはこれから履こうか」
「「?」」
「いいから、まずは局部を隠すんだよ」
「なんで?」
「俺は隠すほど、卑屈なモノじゃないぞ」
「くっ……確かに立派なのは認めよう。認めたくはないけどな。でも、人の世界で生きるなら。部屋の外に出たいのなら、履くんだよ」
嫌がる二人にパンツを渡すが、一向に履こうとはしない。
「なんで履かないんだ?」
「「どうやって?」」
「そこからか……しょうがないな」
そう言って、パンツを手に持ち、小さい子に履かせるようにショコラの前にしゃがみパンツを広げ、右足から入れるようにと言ったところで、目の前にブラブラされるモノに気が付いた。
「なんで、俺が……」
「どうしたの?」
「いいから、早く足を通すんだ!」
「分かったよ。これでいいの?」
「ああ、後は残った穴に左足を通してくれ」
「うん。はい、通したよ」
ショコラはそう言うが、パンツは膝のところで止まっており、モノはブラブラさせたままだ。
ソルトは、これって俺が上げなきゃいけないのかと思うが、乗り掛かったなんとやらで目を瞑り一気に上までパンツを上げる。
「うわぁ。なんかお股が変な感じ」
「これでよし。コスモも見てただろ。一人で履けるよな?」
ソルトの問いかけにコスモは首を横に振り、ソルトへパンツを差し出す。
「俺も履かせて……」
「はぁ?」
「だって、ショコラだけ兄ちゃんに履かせてもらうのはずるいだろ」
「なにがだよ。ったく……」
そう言いながらもコスモを説得するのを諦めたソルトは、コスモの前にしゃがむとショコラの時と同じ様にパンツを履かせる。
「なんで、こんな距離で同じブツを見せつけられないといけないんだ。どんな罰ゲームだよ」
気が遠くなりそうになったソルトが、ズボンやシャツなど説明しながら着せていくと靴がないことに気付く。
「部屋の外に出てもいいけど、まだ靴がない。これから用意するから、屋敷の外には出ないようにな」
「うん」
「おう」
「じゃ、出るか」
ショコラ達を連れ、部屋の外に出ると待ちきれなかったのかレイがドアの前に立っていた。
「ショコラなの?」
「違う!」
レイにショコラと間違われたコスモが即答する。
「お姉さん。僕はこっちだよ」
「え? うそ……なんで、こんなにポッチャリなの?」
「なんでって、ほぼレイのせいだろ」
「え? あれ? そうだっけ?」
「ひどい! お姉さんが皆には内緒って、あれもこれも食べさせてくれたのに!」
「ちょ、ちょっと待ってよ。ショコラ!」
「レイ、後で聞かせてもらうから。とりあえず、ショコラ達の相手しといてくれ」
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