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序章
第5話 これからの話をしましょう
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「お? 水魔法と土魔法に火魔法のレベルが上がっている。使ったから? 魔物を倒したから?」
「へ~いいわね。ねえ、魔物を倒したのは水魔法でしょ?」
「そうだな。あ! そういうことか。この世界ではスキルは使ってレベルが上がるんだ」
「そういうことみたいね。ところで、ソルトさ。もしかしてだけど、あなたもラノベ読者なの?」
「……」
レイの質問にソルトが黙り込む。レイがいうようにソルトはラノベ読者だ。ましてや書籍からウェブ連載まで読み耽るラノベ読者だ。
だが、今レイからの質問に答えないでいるのは、三十五歳という年齢でラノベ読者であることを晒すのに少し抵抗を感じているからだ。
「どうしたの? まあ、さっきの魔法を使っているところとかだけ取り上げても十分ラノベ読者ってことが分かったから」
「そうなのか?」
「そうよ。ゲームかラノベでもなければ、あんなすぐに『獄炎』とか出してこないと思うのよ。どう?」
「ま、参りました……確かに俺はラノベ愛好家だ。さっきのもゴブリンだということは分かっていた」
「そう。まあ、それが分かっただけでも、これからの話をいちいち説明しないで済むだけでいいから助かるわ。で、どうするの?」
「どうするって?」
「だから、これからどうするのかってことよ。このまま、この森を開拓して暮らすのか。近くの村を訪ねるとか、先に飛んでいったアイツらを探すとかさ」
「レイはどうしたいんだ?」
レイの質問にソルトが質問で返すとレイは自分の考えをソルトに話す。
「私は先に来たはずのアイツらを探したい。やっぱり友達だし、同じ世界の仲間だもの」
「そうか、まあ俺には関係ないな」
「なんで? 同じ日本人じゃない! 助けようと思わないの?」
「助けたところで、どうするんだ? 皆でおててつないで仲良く暮らすのか? 俺はレイ達三人とはなんの繋がりもないのに? 俺一人だけ仲間外れのまま、過ごすのか? そんなのごめんだね」
ソルトはこの三人に巻き込まれただけのおっさんだと思っている。たまたま、そばにいたせいで巻き込まれたと。
「そうね、確かにソルトは私達三人とは、日本人という以外になんの繋がりもないわね」
「だろ? それに探すと言ってもどこをどうやって探すつもりだ? ただでさえ右も左も分からないこの世界で。今、自分達がどこにいるのかさえ、はっきりしないのにさ」
「魔の森でしょ?」
「まあ、そこだけははっきりしているな」
そう、ソルトの脳内で会話してくれる便利な存在がソルトの疑問に応える形で教えてくれた。
「でも、それを教えてくれた人……人って言っていいのか分からないけど、ソルトの頭の中にはググってくれる人がいるんだから、手伝ってくれてもいいじゃないの。探した後は私が勝手にするからさ。ねえ、お願い!」
「お願いって……俺にはなんの見返りもないのにか?」
「見返りって……ソルトはこんな時に見返りを求めるの?」
「ああ、そうだ。見返りもなく働くなんてゴメンだ。元の世界じゃ上から無理矢理頼まれて便利に使われてきたからな。そんなのは絶対に嫌だ」
「そう、なら……私を好きにすればいいじゃない!」
「へ? 今なんと?」
「だから、私を好きにすればいいって言ってんの! もちろん、成功報酬の後払いだけどね。どう? まだ十六歳の未使用の新品よ」
『ゴクリ』とソルトが生唾を飲み込む音がレイにも聞こえる。
正直、報酬としては高過ぎるとも言えないが、今のレイの状態で差し出せる確実な報酬といえば自分自身しかなかった。
『あいつらさえ、見つければ報酬を変えることも出来るかもしれない』
そんな楽天的に考え、ソルトが答えを話してくれるのを待つ。
ソルトは肩掛け鞄の中からメモとペンを取り出すとなにかをサラサラとペンを走らせると「こんなもんか」と呟くとペンをしまい、メモを破って切り離すした紙片をレイに渡す。
「はい、これ」
「これは?」
「アイツらがいると思われる場所だね」
「へ~こんなにすぐに分かるんだ。便利だね」
「じゃ、頑張ってね」
「え? 一緒に行くんじゃないの? 報酬は? 私はいらないの?」
「うん、いらない。じゃ、そういうことで」
そのまま、森の中に消えようとするソルトの服を掴んで引き止める。
「待ってよ! 私一人残してどこに行くつもりなの?」
「だから、レイはアイツらのところに行くんでしょ? 頑張ってね! じゃ」
「だから『じゃ』じゃないでしょって言ってんの! なんで私を置いていくのかって言ってんの! どういうことよ!」
「え~」
「『え~』じゃないわよ! ちゃんと説明してよ!」
「じゃ言うけど、怒るなよ」
「それは聞いてみないと分からないわね」
「じゃ、言わない。バイバイ」
「だから、ちょっと待ちなさいって。いいわよ、なるべく怒らないようにするから、言ってみなさいよ」
「ハァ~分かったよ。面倒だから。ただ、それだけ。じゃ」
「はぁ? 面倒? たったそれだけの理由で置いていかれるの?」
「置いていくんじゃなくて、別行動でしょ? 俺はソロでやっていく。レイはアイツらと合流する。ね? じゃ、そゆことで」
「待ってよ! 報酬は? 私はいらないの?」
「うん、いらない。それ、さっきも言ったよね?」
「なんでよ! ほら、こんなにピッチピチなのよ?」
ソルトがレイの体を一瞥して答える。
「別にレイじゃなくても、ここならキレイな人もいっぱいいるだろうしさ。例えばエルフのお姉さんとか。ふふふ」
「なにだらしない顔しているの!」
ソルトがまだ会ってもいないエルフの女性を思い浮かべにやけているとレイにキレられる。
「だから、そうじゃなくて、ここがどんな場所か理解してるの?」
「魔の森でしょ? もう忘れたの?」
「忘れるかぁ! だから、そんなところになんで女性一人を置いていこうとするのって話じゃない!」
「え? だから、別行動するんでしょ?」
「だから、そこはかよわい女性を守って、この魔の森から抜けるのが男の役目じゃないの?」
「そうなの? 初めて聞いたけど?」
ソルトにそう言われレイはどうやったら、ソルトに守ってもらいながら森を抜けることが出来るのかと考える。
「もういい? 暗くなってきたし寝るところを確保したいから行きたいんだけど?」
ソルトにそう言われて初めて気づく。すでに陽が翳り初めていることに。
「へ~いいわね。ねえ、魔物を倒したのは水魔法でしょ?」
「そうだな。あ! そういうことか。この世界ではスキルは使ってレベルが上がるんだ」
「そういうことみたいね。ところで、ソルトさ。もしかしてだけど、あなたもラノベ読者なの?」
「……」
レイの質問にソルトが黙り込む。レイがいうようにソルトはラノベ読者だ。ましてや書籍からウェブ連載まで読み耽るラノベ読者だ。
だが、今レイからの質問に答えないでいるのは、三十五歳という年齢でラノベ読者であることを晒すのに少し抵抗を感じているからだ。
「どうしたの? まあ、さっきの魔法を使っているところとかだけ取り上げても十分ラノベ読者ってことが分かったから」
「そうなのか?」
「そうよ。ゲームかラノベでもなければ、あんなすぐに『獄炎』とか出してこないと思うのよ。どう?」
「ま、参りました……確かに俺はラノベ愛好家だ。さっきのもゴブリンだということは分かっていた」
「そう。まあ、それが分かっただけでも、これからの話をいちいち説明しないで済むだけでいいから助かるわ。で、どうするの?」
「どうするって?」
「だから、これからどうするのかってことよ。このまま、この森を開拓して暮らすのか。近くの村を訪ねるとか、先に飛んでいったアイツらを探すとかさ」
「レイはどうしたいんだ?」
レイの質問にソルトが質問で返すとレイは自分の考えをソルトに話す。
「私は先に来たはずのアイツらを探したい。やっぱり友達だし、同じ世界の仲間だもの」
「そうか、まあ俺には関係ないな」
「なんで? 同じ日本人じゃない! 助けようと思わないの?」
「助けたところで、どうするんだ? 皆でおててつないで仲良く暮らすのか? 俺はレイ達三人とはなんの繋がりもないのに? 俺一人だけ仲間外れのまま、過ごすのか? そんなのごめんだね」
ソルトはこの三人に巻き込まれただけのおっさんだと思っている。たまたま、そばにいたせいで巻き込まれたと。
「そうね、確かにソルトは私達三人とは、日本人という以外になんの繋がりもないわね」
「だろ? それに探すと言ってもどこをどうやって探すつもりだ? ただでさえ右も左も分からないこの世界で。今、自分達がどこにいるのかさえ、はっきりしないのにさ」
「魔の森でしょ?」
「まあ、そこだけははっきりしているな」
そう、ソルトの脳内で会話してくれる便利な存在がソルトの疑問に応える形で教えてくれた。
「でも、それを教えてくれた人……人って言っていいのか分からないけど、ソルトの頭の中にはググってくれる人がいるんだから、手伝ってくれてもいいじゃないの。探した後は私が勝手にするからさ。ねえ、お願い!」
「お願いって……俺にはなんの見返りもないのにか?」
「見返りって……ソルトはこんな時に見返りを求めるの?」
「ああ、そうだ。見返りもなく働くなんてゴメンだ。元の世界じゃ上から無理矢理頼まれて便利に使われてきたからな。そんなのは絶対に嫌だ」
「そう、なら……私を好きにすればいいじゃない!」
「へ? 今なんと?」
「だから、私を好きにすればいいって言ってんの! もちろん、成功報酬の後払いだけどね。どう? まだ十六歳の未使用の新品よ」
『ゴクリ』とソルトが生唾を飲み込む音がレイにも聞こえる。
正直、報酬としては高過ぎるとも言えないが、今のレイの状態で差し出せる確実な報酬といえば自分自身しかなかった。
『あいつらさえ、見つければ報酬を変えることも出来るかもしれない』
そんな楽天的に考え、ソルトが答えを話してくれるのを待つ。
ソルトは肩掛け鞄の中からメモとペンを取り出すとなにかをサラサラとペンを走らせると「こんなもんか」と呟くとペンをしまい、メモを破って切り離すした紙片をレイに渡す。
「はい、これ」
「これは?」
「アイツらがいると思われる場所だね」
「へ~こんなにすぐに分かるんだ。便利だね」
「じゃ、頑張ってね」
「え? 一緒に行くんじゃないの? 報酬は? 私はいらないの?」
「うん、いらない。じゃ、そういうことで」
そのまま、森の中に消えようとするソルトの服を掴んで引き止める。
「待ってよ! 私一人残してどこに行くつもりなの?」
「だから、レイはアイツらのところに行くんでしょ? 頑張ってね! じゃ」
「だから『じゃ』じゃないでしょって言ってんの! なんで私を置いていくのかって言ってんの! どういうことよ!」
「え~」
「『え~』じゃないわよ! ちゃんと説明してよ!」
「じゃ言うけど、怒るなよ」
「それは聞いてみないと分からないわね」
「じゃ、言わない。バイバイ」
「だから、ちょっと待ちなさいって。いいわよ、なるべく怒らないようにするから、言ってみなさいよ」
「ハァ~分かったよ。面倒だから。ただ、それだけ。じゃ」
「はぁ? 面倒? たったそれだけの理由で置いていかれるの?」
「置いていくんじゃなくて、別行動でしょ? 俺はソロでやっていく。レイはアイツらと合流する。ね? じゃ、そゆことで」
「待ってよ! 報酬は? 私はいらないの?」
「うん、いらない。それ、さっきも言ったよね?」
「なんでよ! ほら、こんなにピッチピチなのよ?」
ソルトがレイの体を一瞥して答える。
「別にレイじゃなくても、ここならキレイな人もいっぱいいるだろうしさ。例えばエルフのお姉さんとか。ふふふ」
「なにだらしない顔しているの!」
ソルトがまだ会ってもいないエルフの女性を思い浮かべにやけているとレイにキレられる。
「だから、そうじゃなくて、ここがどんな場所か理解してるの?」
「魔の森でしょ? もう忘れたの?」
「忘れるかぁ! だから、そんなところになんで女性一人を置いていこうとするのって話じゃない!」
「え? だから、別行動するんでしょ?」
「だから、そこはかよわい女性を守って、この魔の森から抜けるのが男の役目じゃないの?」
「そうなの? 初めて聞いたけど?」
ソルトにそう言われレイはどうやったら、ソルトに守ってもらいながら森を抜けることが出来るのかと考える。
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