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序章
第4話 スキルってどうするんだ?
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レイがずるいと騒ぎだすが、それを俺に言われてもとソルトが嘆息する。
「ねえ、それでさ、話を戻すけどさ、さっきはなんで独り言を話してたの?」
「独り言? ああ、あれか。なんかな頭の中で誰かが喋るのが聞こえるんだよ。そうだな、例えるのなら機械音声みたいな感じかな」
「へえ、なんかラノベしてるね」
「ラノベしてる?」
ソルトはレイが言っていることが出来なかったので、どういう意味なのか聞き直す。
「あのね、私がよく読んでいたラノベのお話の中ではね、主人公の頭の中にね、その主人公をサポートする助手みたいのがいてね。その助手が頭の中で問いかけると色々説明してくれたりするのよ。ソルトのもそんな感じなの?」
「いや、俺の場合は頭の中で『なんとかスキルを取得しました』って言うくらいだな」
「へ~それってなんだかゲームの中のレベルアップの時のアナウンスみたいだね」
「そう言われればそうだな」
ソルトはレイが話してくれたことを自分なりに考えてみる。
向こうから話かけてくることが出来るんなら、こっちから話しかけてみれば応えてくれるんじゃないかとソルトは考えてみる。
「よし、ちょっと試してみるか」
「なにをするつもりなの?」
「レイ、今から独り言を言うかもしれないが、決して気がふれた訳でもないからな。なにもしないで黙って見ていてくれな」
「そう。いいわよ」
ソルトはさっき考えていたことを早速試してみることにした。
「お~い、聞こえますか?」
『……』
「おーい、聞こえてますよね? もしも~し、返事してもらえますか~?」
『……』
「聞こえないふりですか~? もしかして、耳が聞こえないんですか? あ~あ、なんかスキルが欲しくなったな~水魔法が欲しいな~」
『水魔法スキルを取得しました。あっ!』
「はい、確保~」
『それで用事はなんですか?』
「随分、砕けたね」
『さっき自我を得たみたいです』
「へ~自我ね~なら、これからは普通に話すことも出来るのかな?」
『はい、そうです。ただ頭の中で念じるだけでも会話は出来ます』
「(こんな感じ?)」
『はい、そうです』
ソルトが脳内の助手と話していたら、レイがソルトの袖口を摘んでくいくいと引っ張る。
「なに?」
「なにじゃないでしょ。どうなったのよ」
「ああ、捕獲出来た。ついでに自我も持ったみたいで、今話してた」
「そうなの? じゃあ、今はどこにいるのかを聞いてよ」
「それもそうだな。ってことで現在地を教えて。……そういや、名前はなんて言うんだ?」
『現在地は惑星ラティアの大陸にいます。この場所はどの国家にも属していませんが、通称「魔の森」と呼ばれています。それと私の名前はありません。生まれたばかりのようなので』
「へ~」
「ねえ、私にも分かるように話してよ」
「ああ、ここは惑星ラティアの大陸だってさ。それでここは『魔の森』だってさ」
「へ~そう、魔の森ね~……って、思いっきりやばいじゃん! なにを平然としているのよ!」
「なにがだ?」
「なにが? じゃないでしょ! 魔の森ってことは魔物がいっぱいってことでしょ!」
「そうか」
「そうかじゃないでしょ! なんで余裕なのよ!」
「いや、その魔物ってのがよく分からないからな」
「なに言ってんの! 魔物が分からないって『グギャギャ』そう、魔物ってのはちょうどこんな……ギャ~」
レイが木陰から急に現れた緑色の小人を指差し悲鳴を上げると、ソルトの後ろに隠れる。
「これが魔物か~」
「なに、呑気にしているの! なんとかしなさいよ! 男でしょ!」
「そう言われてもな~」
ソルトが落ち着いていられるのは訳がある。
この緑色の小人を見た瞬間に『怖っ』と感じたら『恐怖耐性スキルを取得しました』と脳内スキルが仕事をしたのだ。
緑色の小人は右手に棍棒らしきものを持っている。対して、ソルト達は手ぶらだ。
「さて、こっちは手ぶらだしな~どうするか」
『水魔法のウオーターアローが適切かと思います』
「そうか、ならそれでやってみるか。ウオーターアロー!」
ソルトが叫ぶと右手に水で矢の形に生成されたものが現れた。
『では、それを投げてください』
「ほいっと」
『投擲スキルを取得しました』
「グギャッ」
水で生成された矢は緑色の小人の腹を貫き、緑色の小人はその場に倒れ込む。
「うわ、グロッ!」
「うぇ」
「ちょっと、ソルトがしたことでしょ。なんとかしなさいよ」
「そうは言っても、どうすりゃいいんだ?」
『穴を掘って、焼却して下さい』
「そうか、あとグロいのを平気になるようにならない?」
『精神耐性スキルを取得しました』
「お、気が楽になったよ。ありがとう」
『いえ、仕事ですから』
「じゃあ、穴掘りなら土魔法だな」
『土魔法を取得しました』
ソルトは覚えた土魔法を早速使う。
「『穴掘り』と。これでいいか? もう少し深くするか『穴掘り』」
ソルトは土魔法で掘った穴の中に緑色の小人を投げ入れ、『獄炎』と唱えるがなにも起きない。
「あれ? なんで?」
『まずは火魔法を取得して下さい。では、火魔法スキルを取得しました』
「そういうことね。では改めて『獄炎』……ねえ、なにも出ないよ?」
『イメージされている魔法は現時点でのレベルでは無理です。まずは火魔法のレベルを上げて下さい』
「早く言ってよ~ま、いっか。『火球』」
「ちょっと、それじゃ生焼けになるでしょ? 連発出来ないの?」
「初心者に無茶言うなよ。連発ね~並列とか?」
『並列思考スキルを取得しました』
「出来たね。じゃ、火球x5」
ドッゴ~ンと穴の中で爆発が起き、熱波が上空へと噴き出る。
「ねえ、それでさ、話を戻すけどさ、さっきはなんで独り言を話してたの?」
「独り言? ああ、あれか。なんかな頭の中で誰かが喋るのが聞こえるんだよ。そうだな、例えるのなら機械音声みたいな感じかな」
「へえ、なんかラノベしてるね」
「ラノベしてる?」
ソルトはレイが言っていることが出来なかったので、どういう意味なのか聞き直す。
「あのね、私がよく読んでいたラノベのお話の中ではね、主人公の頭の中にね、その主人公をサポートする助手みたいのがいてね。その助手が頭の中で問いかけると色々説明してくれたりするのよ。ソルトのもそんな感じなの?」
「いや、俺の場合は頭の中で『なんとかスキルを取得しました』って言うくらいだな」
「へ~それってなんだかゲームの中のレベルアップの時のアナウンスみたいだね」
「そう言われればそうだな」
ソルトはレイが話してくれたことを自分なりに考えてみる。
向こうから話かけてくることが出来るんなら、こっちから話しかけてみれば応えてくれるんじゃないかとソルトは考えてみる。
「よし、ちょっと試してみるか」
「なにをするつもりなの?」
「レイ、今から独り言を言うかもしれないが、決して気がふれた訳でもないからな。なにもしないで黙って見ていてくれな」
「そう。いいわよ」
ソルトはさっき考えていたことを早速試してみることにした。
「お~い、聞こえますか?」
『……』
「おーい、聞こえてますよね? もしも~し、返事してもらえますか~?」
『……』
「聞こえないふりですか~? もしかして、耳が聞こえないんですか? あ~あ、なんかスキルが欲しくなったな~水魔法が欲しいな~」
『水魔法スキルを取得しました。あっ!』
「はい、確保~」
『それで用事はなんですか?』
「随分、砕けたね」
『さっき自我を得たみたいです』
「へ~自我ね~なら、これからは普通に話すことも出来るのかな?」
『はい、そうです。ただ頭の中で念じるだけでも会話は出来ます』
「(こんな感じ?)」
『はい、そうです』
ソルトが脳内の助手と話していたら、レイがソルトの袖口を摘んでくいくいと引っ張る。
「なに?」
「なにじゃないでしょ。どうなったのよ」
「ああ、捕獲出来た。ついでに自我も持ったみたいで、今話してた」
「そうなの? じゃあ、今はどこにいるのかを聞いてよ」
「それもそうだな。ってことで現在地を教えて。……そういや、名前はなんて言うんだ?」
『現在地は惑星ラティアの大陸にいます。この場所はどの国家にも属していませんが、通称「魔の森」と呼ばれています。それと私の名前はありません。生まれたばかりのようなので』
「へ~」
「ねえ、私にも分かるように話してよ」
「ああ、ここは惑星ラティアの大陸だってさ。それでここは『魔の森』だってさ」
「へ~そう、魔の森ね~……って、思いっきりやばいじゃん! なにを平然としているのよ!」
「なにがだ?」
「なにが? じゃないでしょ! 魔の森ってことは魔物がいっぱいってことでしょ!」
「そうか」
「そうかじゃないでしょ! なんで余裕なのよ!」
「いや、その魔物ってのがよく分からないからな」
「なに言ってんの! 魔物が分からないって『グギャギャ』そう、魔物ってのはちょうどこんな……ギャ~」
レイが木陰から急に現れた緑色の小人を指差し悲鳴を上げると、ソルトの後ろに隠れる。
「これが魔物か~」
「なに、呑気にしているの! なんとかしなさいよ! 男でしょ!」
「そう言われてもな~」
ソルトが落ち着いていられるのは訳がある。
この緑色の小人を見た瞬間に『怖っ』と感じたら『恐怖耐性スキルを取得しました』と脳内スキルが仕事をしたのだ。
緑色の小人は右手に棍棒らしきものを持っている。対して、ソルト達は手ぶらだ。
「さて、こっちは手ぶらだしな~どうするか」
『水魔法のウオーターアローが適切かと思います』
「そうか、ならそれでやってみるか。ウオーターアロー!」
ソルトが叫ぶと右手に水で矢の形に生成されたものが現れた。
『では、それを投げてください』
「ほいっと」
『投擲スキルを取得しました』
「グギャッ」
水で生成された矢は緑色の小人の腹を貫き、緑色の小人はその場に倒れ込む。
「うわ、グロッ!」
「うぇ」
「ちょっと、ソルトがしたことでしょ。なんとかしなさいよ」
「そうは言っても、どうすりゃいいんだ?」
『穴を掘って、焼却して下さい』
「そうか、あとグロいのを平気になるようにならない?」
『精神耐性スキルを取得しました』
「お、気が楽になったよ。ありがとう」
『いえ、仕事ですから』
「じゃあ、穴掘りなら土魔法だな」
『土魔法を取得しました』
ソルトは覚えた土魔法を早速使う。
「『穴掘り』と。これでいいか? もう少し深くするか『穴掘り』」
ソルトは土魔法で掘った穴の中に緑色の小人を投げ入れ、『獄炎』と唱えるがなにも起きない。
「あれ? なんで?」
『まずは火魔法を取得して下さい。では、火魔法スキルを取得しました』
「そういうことね。では改めて『獄炎』……ねえ、なにも出ないよ?」
『イメージされている魔法は現時点でのレベルでは無理です。まずは火魔法のレベルを上げて下さい』
「早く言ってよ~ま、いっか。『火球』」
「ちょっと、それじゃ生焼けになるでしょ? 連発出来ないの?」
「初心者に無茶言うなよ。連発ね~並列とか?」
『並列思考スキルを取得しました』
「出来たね。じゃ、火球x5」
ドッゴ~ンと穴の中で爆発が起き、熱波が上空へと噴き出る。
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