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第一話 切っ掛けはJKのパンツでした

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『……い、……なさい、……きなさい、もう、起きろぉ!』
「……まだもう五分」
『もう何なのコイツ、いいから起きろ!』
「はい、はい起きました。今、目が覚めました。ん?」
 頭の中で大きな怒鳴り声がしたと思ったら、目の前には緑色の小人が手に斧やナイフみたいな物を持ってこちらに向かって来ている。
「へ?」
 思わず間抜けな声が出る。
『何してんの!さっさと避ける!』
 頭の中で響く声を元に振り下ろされる斧を避ける。
 体を捻ることで斧は避けることが出来た。
『回避スキル(MAX)を取得しました』

「ちょっと、待て。今何が起きているんだ。誰か説明しろよ!」
『とりあえずは目の前のトラブルに対処しようか』
「また頭の中で……」
『今は僕のことはいいよ。ほら、来るよ』
 また緑の小人が斧を振り下ろしてくるのを手元にあった棒で避ける。
『防御スキル(MAX)を得ました』
「へ?何なんだこの頭の中で聞こえるアナウンスみたいな声は!」
『今はいいから、そいつをやっちゃって』
「やるって何もないぞ」
『腰にぶら下げているナイフは飾りなの?』
「腰?ああ、これか。で、どうやるんだ?」
『とりあえず構えて!』
「構える?こうか?」
『単剣術スキル(MAX)を得ました』
「お!何か覚えた」
『ほら、来るよ!』
「よし、来い!」
 斧を振り下ろす小人を交わし、構えた短剣を小人の胸に突き立てる。
「うわ、何かいやな感じだな」
『殺傷耐性スキル(MAX)を得ました』
「また声が聞こえた。何だこれは?」
『は~やっと、倒せた。もうちゃんとしてよね』
「待て、さっきから頭の中で話すお前は誰だ?」
『え~忘れちゃったの?信じられな~い』

 ちょっと待て、何だ、何なんだこれは。
 ドッキリじゃないよな、一般人の俺にドッキリ仕掛ける理由はない。
 確か俺は会社で理不尽な上司の対応に追われ、やっとの思いで終わらせて帰社し電車に乗って最寄駅で降りてから、コンビニで晩飯と酒を買って交差点で信号待ちをしていた。ここまでは覚えている。確かその時に歩行者信号が点滅しているのに渡ってきたJKが転んで、その時にスカートが捲れてパンツが見えてラッキーと思ったところまでは覚えている。それからは確か……」
『ピンポンピンポ~ン、大当たり!そこまでの記憶は間違いないよ』
「それはどうも。ってお前は誰なんだ?」
『もうついさっきまで異世界の生活についてレクチャーしてたでしょ。もう!』
「……確か、JKが召喚されるまでに何とかしてくれとか何とか」
『そう、それ!もう思い出すのが遅い!』
「確か、JKにトラックが突っ込んでいったんだよな、それなのに何で俺?」
『だよね、そこ気になるところだよね!じゃあまた説明してあげる。僕ってなんて優しい!』
「いいから早く」
『もう、せっかちだね。いい?、君はあの時彼女に突っ込んで来た居眠り運転のトラックと……』
「トラックと衝突、絶命して異世界に転生したのか!俺が?よし!異世界転生定番のトラック来たぁ!!!」
『あの、言っとくけど君はトラックには轢かれていないよ。大体あのトラックの運転手は現時点では罪に問われていないからね』
「何で?だって俺はトラックに轢かれて……ない?あれ?俺はあの時、トラックがこっちに向かって来たから避けようとして……転んだ?」
『大正解!そう、君も彼女も誰も轢かれることなく、トラックの運転手も罪に問われることはなかった。ただ君だけが転んで頭を打って死んだみたいね』
「うぉぉぉぉぉ、何だそりゃ?何でそんなことになったんだ?」

『何でと言われたら僕のせいかな?キャハ』
「もちろん、説明はしてもらえるんだろうな?」
『もう分かったよ、説明するから。いい?あの彼女は今から十年後、あっこっちの時間軸で十年ね。聖アスティア教国に召喚されるんだ。でもね、彼女は今の世界である特効薬を開発することに成功するんだよ。それもあってね、トラックが彼女と接触する前に君の方へハンドルを切らせたんだ。えへ』
「……ほう、となると俺はお前の思い付きで殺された。そういう訳なんだな」
『もう、『殺された』って言うけど、勝手に転んで死んだのは君だよ。まあ多少の因果関係は認めたから、こうやって転生させたんでしょ。それに今の君の体は見た?少し盛ったけどいい感じに出来たと思うんだけどな』
「『盛った』?何を言っているんだ。とりあえず確認出来るものないか」
『しょうがないな~ほいっ』
 鏡のような物が目の前に現れるが、そこには見るからに十代、高校入りたてくらいの若者が映っていた。

「まさかな」
 右手を動かすと鏡の中の少年も右手が動く。それならばと左手、右足、左足と動かすが鏡の中の少年も同じ箇所が動く。
「俺は確かアラフォーメタボの中年親父だったはず。なのに鏡には痩身の細身マッチョな170cmくらいの少年だ。しかも意外とイケメン(当社比)」
『どう、気に入った?サービスは見えるところだけじゃないよ。確かめてごらん。ふふっ』
「見えないところ?まさか……」
 ベルトを緩めパンツの中のブツを確かめると「何じゃこりゃ~」と叫んでしまった。
『ふふふ、そっちも気に入ってもらえたみたいだね。いや~元になる物が少々お粗末だったから、そこは苦労したんだからね。もう何度も何度もこねくり回して、やっとその形になったんだから。本当に感謝してよね』
 確かに前の体ではお世辞にも立派と言えるモノじゃなく、恥ずかしがりな火星人だったさ、それでも立派に使えたんだから、『お粗末』言うなよぉ~。
 でも、それに比べたら、今のコレはおいそれと使って良いモノじゃないよな。
『もう、気にせず使えばいいじゃない。こっちは人口が少ないからね、そう言うのは大歓迎さ』
 しかしこれを何度もこねくり回したのかと考えると少々赤面してしまう。
『何を今更、照れてんの。いい歳したおじさんが。ってそうか、今は少年だったね。あ、そうだ『ステータス』って頭の中で唱えてみて。今の状態が確認出来るからさ。転生前に君に言われたことは叶えたつもりだよ。さあ、唱えてごらん』

『ステータス』と頭の中で念じてみる。
 すると、頭の中に情報が入り込んできた。
 ~~~~~
 名前:不明
 年齢:十五歳
 性別:男
 種族:人族(仮)
 HP:一五〇
 MP:♾
 スキル
 魔法創造
 スキル創造
 ナビゲーター
 スキル取得率上昇
 スキル成長率上昇
 回避:MAX
 防御:MAX
 単剣術:MAX
 殺傷耐性:MAX
 称号
 転生者
 ~~~~~
「十五歳か、見た目と同じ歳になったんだな。それでこれって他人から見ることは出来るのか?」
『そうだね、『鑑定スキル』持ちなら見られるかもね。『隠蔽スキル』を取得して隠すのがいいね』
「『隠蔽スキル』ね、じゃ『隠蔽スキル』創造!っと」
『隠蔽スキル(MAX)を取得しました』
「取得出来たみたいだな、じゃステータスを見てみるか。どれどれ、おおちゃんと増えているな。で隠したい項目を『隠したい』と念じればいいんだよな。よし、これでいいだろ」

 ~~~~~
 名前:不明
 年齢:十五歳
 性別:男
 種族:人族『(仮)』
 HP:一五〇
 MP:一〇『♾』
 スキル
『魔法創造』
『スキル創造』
『ナビゲーター』
『スキル取得率上昇』
『スキル成長率上昇』
 回避:3『MAX』
 防御:1『MAX』
 単剣術:3『MAX』
 殺傷耐性:1『MAX』
『隠蔽:MAX』
 称号
『転生者』
 ~~~~~

「おう、これでうまく隠せたのかな?ちょっと聞きたいんだけど、俺と同じ年頃の一般的なHPMPの値はどのくらいなんだ?」
『そうだね、HPは大体年齢×10くらいだから、今のでいい感じだね。MPは個人差があるから、こんなもんかな。それとスキルの最大値は10だから』
「なるほどね。それで、今頭の中で喋っているのは前に会った『神』であっているのか?」
『もう疑り深いなあ、まあこの世界ではそのくらいでないと死ぬからいいか。そうだよ、僕は神であっているよ。名前はその内に分かるだろうから、今は言わない』
「まあ、いいさ。それでその『聖アスティア教国』ってのはどこなんだ?」
『場所が分からないといけないよね。『世界地図ワールドマップスキル』を取得しなよ』
「『世界地図ワールドマップスキル』創造!」
世界地図ワールドマップスキル(MAX)を取得しました』
「出来たと、『世界地図ワールドマップ』発動!おう、何だ地図が頭の中に広がっている。これじゃちょっと見ずらいな。視界のちょっと前に展開して、ついでに3D表示に変更と。おお、大分見やすくなったな。やっぱり地図は上から見ないと」
『出来たみたいだね。なら『聖アスティア教国』って念じてみなよ』
 言われた通りに念じると地図の上に赤いピンが立つ。
「あそこかって、今はどこなんだよ?」と言った瞬間に青いピンが立つ。
「結構、離れているな。しかも現在地は森の中か……ん?『魔の森』?なあ見間違いってことはないよな?」
『そんなことはないよ。ここは『魔の森』と呼ばれる森の中心部になるかな?てへっ』
「何じゃそりゃ~~~~~!」
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