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第四章 ドンガ国
第十四話 まだ登る気はないから!
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ガイルさんのお兄さんで国王からドイルと呼んでくれと言われたので、側近の人達の目を気にすることなく「ドイルさん」と呼び、俺の提案した内容に問題ないかと確認する。
「ああ、問題ない。好きにするがよい」
「じゃあ、まずはこの二人をお借りします」
「ん?」
ドイルさんからの確約を貰い、先にお手伝いをお願いしていたサジイさんとリチさんに俺の横に立ってもらい挨拶してもらう。
「分かった。人員が足りなくなったら、遠慮無く言うがよい」
「はい、ありがとうございます」
「だが……分かっているよな?」
「はい?」
「これだけ大掛かりなことをするんだ。失敗しましたじゃ済まないからな」
「え~それって俺の責任になるの? ってかさ成功とか失敗って何が判断基準になるのさ」
「それは……なんだ?」
「さあ、私達に求められましても……」
ドイルさんが祭りが失敗することは許さないと俺に脅しを掛けて来るが、そもそも成功の基準が何か分からないので、素直にドイルさんに問い返せば聞かれたドイルさんにも明確な答はないらしく側近の一人に確認するが、その人もまた分からないとしか言えなかった。
「取り敢えずは盛り上がればいいんでしょ。そして、その上で兄弟対決で更に盛り上げると……ってことは成否は二人に掛かっているってことだね。ね、ガイルさん」
「俺に振るなよ」
「まあ、そういう訳で盛り下がるような下手な作品を出さなきゃ大丈夫でしょ。だから、頑張ってね。じゃ、サジイさん達はさっき言った宿題をお願いね」
「「……はい」」
「もう、そんなんじゃ気分も盛り下がっちゃうよ。二人がお手本として盛り上がらないとダメでしょ。ほら、もっとアゲていこう!」
「わ、分かりました……い、イェ~イ……こんな感じでしょうか?」
「ちょっと、固いな。ま、それも課題ということで」
「やっと終わったか……もう少しで拳が出る所だったぞ」
「アオイ、ステイ……もう少しで終わるから大人しくしててね」
「俺をタロと同列にするな!」
「なら、大人しく出来るでしょ。タロだって大人しくしてるんだからさ。ね、タロ」
『ワフ!』
「くっ……分かった。だが、五分だ。もって五分だ!」
「はいはい。じゃあ、え~と……二日後に経過を確認しますから、よろしくね」
「「……はい」」
アオイとの約束通りに五分も掛けずにドイルさんの前から退室する。
「で、どうしようか?」
「俺は実家の工房に寄る」
「実家? 実家ってお城じゃないの?」
「まあ、そうだな城もある意味実家だが、工房は別だ。危険な物質も取り扱うからな」
「へぇ~じゃ「貸さないからな」……まだ、何も言ってないけど?」
「どうせカリナに提供しろとでも言うんだろ」
「分かっているなら話は「だから、貸さないと言っている」……ケチ!」
「ケチで結構。工房は謂わば俺の城であり財産だ。そんな所をいくらカリナとは言え、貸すことは出来ん。スマンな」
「いいよ。なら、カリナがちゃんとした所を見付けてくれることに期待するだけだし」
「スマンな」
「いいから。じゃ、どうしよっか?」
「行こう!」
「え? 行こうって、どこに?」
「そんなもん適当にブラブラだ」
「いや、適当にって宿も決めてないのに?」
「そんなもん、適当にどうにでもなる!」
「あ~宿なら宛がなくもない」
「ホント、助かるよ」
「だが、広くはないし快適さもないぞ」
「いいよ。だって寝るだけだし」
「そうだな。コータがそれでよければ俺も何も望まない」
「……そうか、じゃ先にそっちから済ませようか」
「うん」
ガイルさんを先頭に街中を歩いているが、アオイの機嫌がすこぶる悪い。
「なあ、ガイルよ。もう少し早く歩けないか。なあ」
「……」
「ガイルよ、聞こえているんだろ?」
「……」
「無視か。なら、早く走る気にさせてやってもいいんだぞ」
「……分かったよ。ほれ、アソコに馬車が見えるだろ。アソコまで我慢してくれ」
「分かった。最初っから素直に馬車を目指していると言えばいいものを……」
「悪かったよ! コータよ、こいつの口の悪さはどうにかならんのか?」
「ごめん、ムリ!」
「そうか。一応、言ってみただけだ。ハァ~」
そうこうしている内に貸し馬車屋に辿り着き一台を御者付きで借りると馬車の中に乗り込みガイルさんの案内で走り始める。
「ここがそうだ」
「ここ?」
「また、随分と粗末な建物だな」
「だから、期待するなと言っただろ。だが、寝泊まりするだけなら十分だと思うぞ。さ、中を案内しよう」
ガイルさんの案内で建物の前に立つとそこは工房付きの住居の様で、ここがガイルさん言っていた実家の工房なんだろうなと思う。
「さあ、入ってくれ。ドワーフ専用だから、コータ……アオイには少しばかり窮屈な思いをさせると思うが寝るだけなら十分だろ」
「ガイルさん、俺だって少しは成長しているんだからね」
「ははは。そう言うのは俺を見下ろすようになってから言うもんだ」
「むぅ……確かにずっと中腰なのは窮屈だが、基本は座っているか寝ているだけだろうから、雨露が凌げるならこれでいいか」
「納得してくれたのなら、風通しをするから、全部の窓を開けてくれ」
「分かったよ。タロ、行こ」
『ワフ!』
「俺もか?」
「「『当然!』」」
「分かったよ」
俺はガイルさんの工房兼住居を見て回り、確かにもう少し背が高ければ窮屈だったなと思う。
「じゃ、部屋を決めてくれ。因みに俺の部屋は、ここだからな。ここ以外で頼む」
「じゃ「コータはここだ」……え? なんでアオイが決めるの?」
「なんでって一緒に寝るからに決まっているからだ」
「え? いやいやいや、決まってないよね。ってか、いつ決まったの?」
「……とにかく部屋は俺と一緒だ。邪魔なカリナもいないし、いいよな?」
「え? いいよなって……え? いやいやいや、まさかだよね?」
『肯定します』
久々に見た気がする視界の端に現れたメッセージにホッとしたが、問題はそこじゃない。
それに横で聞いていたガイルさんが苦虫を噛み潰したような顔をしている。
そして俺とアオイに「そういうのはここでは禁止だ!」と吠える。
「ああ、問題ない。好きにするがよい」
「じゃあ、まずはこの二人をお借りします」
「ん?」
ドイルさんからの確約を貰い、先にお手伝いをお願いしていたサジイさんとリチさんに俺の横に立ってもらい挨拶してもらう。
「分かった。人員が足りなくなったら、遠慮無く言うがよい」
「はい、ありがとうございます」
「だが……分かっているよな?」
「はい?」
「これだけ大掛かりなことをするんだ。失敗しましたじゃ済まないからな」
「え~それって俺の責任になるの? ってかさ成功とか失敗って何が判断基準になるのさ」
「それは……なんだ?」
「さあ、私達に求められましても……」
ドイルさんが祭りが失敗することは許さないと俺に脅しを掛けて来るが、そもそも成功の基準が何か分からないので、素直にドイルさんに問い返せば聞かれたドイルさんにも明確な答はないらしく側近の一人に確認するが、その人もまた分からないとしか言えなかった。
「取り敢えずは盛り上がればいいんでしょ。そして、その上で兄弟対決で更に盛り上げると……ってことは成否は二人に掛かっているってことだね。ね、ガイルさん」
「俺に振るなよ」
「まあ、そういう訳で盛り下がるような下手な作品を出さなきゃ大丈夫でしょ。だから、頑張ってね。じゃ、サジイさん達はさっき言った宿題をお願いね」
「「……はい」」
「もう、そんなんじゃ気分も盛り下がっちゃうよ。二人がお手本として盛り上がらないとダメでしょ。ほら、もっとアゲていこう!」
「わ、分かりました……い、イェ~イ……こんな感じでしょうか?」
「ちょっと、固いな。ま、それも課題ということで」
「やっと終わったか……もう少しで拳が出る所だったぞ」
「アオイ、ステイ……もう少しで終わるから大人しくしててね」
「俺をタロと同列にするな!」
「なら、大人しく出来るでしょ。タロだって大人しくしてるんだからさ。ね、タロ」
『ワフ!』
「くっ……分かった。だが、五分だ。もって五分だ!」
「はいはい。じゃあ、え~と……二日後に経過を確認しますから、よろしくね」
「「……はい」」
アオイとの約束通りに五分も掛けずにドイルさんの前から退室する。
「で、どうしようか?」
「俺は実家の工房に寄る」
「実家? 実家ってお城じゃないの?」
「まあ、そうだな城もある意味実家だが、工房は別だ。危険な物質も取り扱うからな」
「へぇ~じゃ「貸さないからな」……まだ、何も言ってないけど?」
「どうせカリナに提供しろとでも言うんだろ」
「分かっているなら話は「だから、貸さないと言っている」……ケチ!」
「ケチで結構。工房は謂わば俺の城であり財産だ。そんな所をいくらカリナとは言え、貸すことは出来ん。スマンな」
「いいよ。なら、カリナがちゃんとした所を見付けてくれることに期待するだけだし」
「スマンな」
「いいから。じゃ、どうしよっか?」
「行こう!」
「え? 行こうって、どこに?」
「そんなもん適当にブラブラだ」
「いや、適当にって宿も決めてないのに?」
「そんなもん、適当にどうにでもなる!」
「あ~宿なら宛がなくもない」
「ホント、助かるよ」
「だが、広くはないし快適さもないぞ」
「いいよ。だって寝るだけだし」
「そうだな。コータがそれでよければ俺も何も望まない」
「……そうか、じゃ先にそっちから済ませようか」
「うん」
ガイルさんを先頭に街中を歩いているが、アオイの機嫌がすこぶる悪い。
「なあ、ガイルよ。もう少し早く歩けないか。なあ」
「……」
「ガイルよ、聞こえているんだろ?」
「……」
「無視か。なら、早く走る気にさせてやってもいいんだぞ」
「……分かったよ。ほれ、アソコに馬車が見えるだろ。アソコまで我慢してくれ」
「分かった。最初っから素直に馬車を目指していると言えばいいものを……」
「悪かったよ! コータよ、こいつの口の悪さはどうにかならんのか?」
「ごめん、ムリ!」
「そうか。一応、言ってみただけだ。ハァ~」
そうこうしている内に貸し馬車屋に辿り着き一台を御者付きで借りると馬車の中に乗り込みガイルさんの案内で走り始める。
「ここがそうだ」
「ここ?」
「また、随分と粗末な建物だな」
「だから、期待するなと言っただろ。だが、寝泊まりするだけなら十分だと思うぞ。さ、中を案内しよう」
ガイルさんの案内で建物の前に立つとそこは工房付きの住居の様で、ここがガイルさん言っていた実家の工房なんだろうなと思う。
「さあ、入ってくれ。ドワーフ専用だから、コータ……アオイには少しばかり窮屈な思いをさせると思うが寝るだけなら十分だろ」
「ガイルさん、俺だって少しは成長しているんだからね」
「ははは。そう言うのは俺を見下ろすようになってから言うもんだ」
「むぅ……確かにずっと中腰なのは窮屈だが、基本は座っているか寝ているだけだろうから、雨露が凌げるならこれでいいか」
「納得してくれたのなら、風通しをするから、全部の窓を開けてくれ」
「分かったよ。タロ、行こ」
『ワフ!』
「俺もか?」
「「『当然!』」」
「分かったよ」
俺はガイルさんの工房兼住居を見て回り、確かにもう少し背が高ければ窮屈だったなと思う。
「じゃ、部屋を決めてくれ。因みに俺の部屋は、ここだからな。ここ以外で頼む」
「じゃ「コータはここだ」……え? なんでアオイが決めるの?」
「なんでって一緒に寝るからに決まっているからだ」
「え? いやいやいや、決まってないよね。ってか、いつ決まったの?」
「……とにかく部屋は俺と一緒だ。邪魔なカリナもいないし、いいよな?」
「え? いいよなって……え? いやいやいや、まさかだよね?」
『肯定します』
久々に見た気がする視界の端に現れたメッセージにホッとしたが、問題はそこじゃない。
それに横で聞いていたガイルさんが苦虫を噛み潰したような顔をしている。
そして俺とアオイに「そういうのはここでは禁止だ!」と吠える。
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