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第四章 ドンガ国
第十二話 誰がやねん!
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「で、理由は話してくれるんだよね?」
「いきなりだな。少しは慰めてくれてもいいんだぞ」
「誰を? なんで? 俺が?」
「ぐ……」
「マズいことになった」と部屋に入るなり言ったガイルさんに理由を聞くが、ガイルさんは慰めて欲しそうだけど、なんで俺がそこまでしないといけないのかと言えば言葉を詰まらせる。
「どうせ大した理由じゃないんでしょ」
「なぜ、言い切れる!」
『肯定します』
「あ~やっぱり……どうせ、お兄さんに負けても恨むなみたいなことを言ったんでしょ」
「……言ってない」
「ホントに?」
「いや、近いことは言ったかも……」
「ふ~ん、例えば?」
「例えばか……」
ガイルさんに対し大した理由なんかないだろうと言えばガイルさんが焦った様子を見せるが、俺の視界の隅にはいつものメッセージが流れるから、やっぱりなと思いガイルさんからの売り言葉に買い言葉なんだろうと水を向ければ思い当たることがあるのか話し出す。
「例えば……俺が勝っても政務に携わる気持ちはないと言えば、『既に勝ったつもりか!』と言うからよ。『当然だ! 負けた時のことを考えてどうする!』と言い返せば『そうだろう』と言われハッとなってな……」
「ハァ~だから、肝心なところはそこじゃなくて、互いに契約を結ぶことでしょ。しっかりしてよ」
「だがなぁ~どうしてだか、あの顔を見てしまうとなぁ~」
ガイルさんがトラブった内容を話してくれたが、原因を聞いてバカらしくなった。
何が「あの顔を見たら」だよ。同じ顔しているのにおかしいだろと思わず「いや、鏡写しじゃん!」と言ってしまうが、ガイルさんはガイルさんで「どこがだ?」と全然理解していない。
「だってほぼ、全部同じでしょ。ねえ、早く名札を着けなよ」
「はぁ? お前、目は確かかよ」
「俺もコータに同じだ」
「え……」
俺もアオイもガイルさんとお兄さんどころかドワーフの人達全員の見分けが付かないと言えば、ガイルさんが気落ちする。
「と、言う訳でガイルさんはもう一度、お兄さんと話し合ってちゃんと契約して下さいね」
「俺一人でか?」
「当たり前でしょ」
「コータぁ~」
「え、イヤだ」
「どうしてもか?」
「うん、頑張ってね」
「オニ!」
「ねえ、頼んだ人達は?」
「……」
「もしもし?」
「手配済みだ。直に来るだろう」
「ありがとう」
「ああ、だから「行かないよ」……えぇ……」
ガイルさんにちゃんとお兄さんと約束して来るように言えば、また同じ事をしてしまうと不安になっているのか俺に付き添いを希望するが,俺はそれを一蹴する。
ガイルさんからは不満を言われたが俺が頼んだ人の手配を確認すると既に手配済みだと言われて安心する。
「じゃ、ガイルさんは引き続き頑張ってね」
「なあ」
「イヤです」
「俺が行こうか?」
「「ダメ!」」
「なんでだよ。タイマン張ったら友達だろ?」
「「違うからな!」」
ガイルさんはアオイにだけは頼ることが出来ないと「ヨシ!」と気合いを入れ直して「行って来る!」と部屋を出れば、入れ違いに二人の人物が入ってくるが俺からはガイルさんが出て行ってガイルさんが二人入って来たとしか思えない。
今、部屋にいるガイルさんは何人でしょうって算数問題にもならないけど、間違い箇所がなさ過ぎて間違い探しにもならない。
俺は二人の名前を聞くとそれぞれの名札を用意し胸に付けてもらう。
「じゃあ、もう一度自己紹介をお願いします。では、あなたから」
「私は……イベント担当のサジイと言います」
「僕は国土管理院担当のリチと言います。よろしくお願いします」
二人は胸に着けた名札に首を傾げながらも俺達と挨拶を交わしたところで俺は二人に頼みたいことをお願いする。
「では、私は王位継承の儀をイベントとして国中に向けて大々的に宣伝し、参加募集を募り開催場所の選定に実際のイベント期間の計画立案ですか」
「うん、お願いね。で、あなたの方が」
「国の端から端までイベント内容の告知と参加募集のお知らせと共に地方からの移動手段の提供と」
「そう、出来るかな?」
「ん~正直難しいですが、やれないことはないですね」
「私も同じです」
二人から確約をもらえたことで俺の仕事の大半は終わった。後は、二人とイベントの競技内容を相談し決めるだけだ。
「じゃ、お願いします。詳しい報告はガイルさんか誰か代表者を選出して、その方にして下さい」
「え? コータ殿がするのでは?」
「違ったんですか?」
「いやいやいや、俺は開催までの道筋を着けるだけでしょ」
「またまたぁ、王弟のガイル様とあんなに親しいのですから、お願いしますよ」
「ええ、僕からもお願いします」
「えぇ!」
「コータ、ぶっ飛ばすか?」
「「はい?」」
「アオイ、ちょっと落ち着こうか」
「そうか……じゃあ、殴っていいってなったら言ってくれ」
「「「……」」」
アオイの殴ろうか発言の後は少し重い雰囲気の中、どうにか一度目の会合は終わらせることが出来た。
え? 一度目ってことは次も俺が仕切るのか?
ま、次からは無視するなり、他の人に任せればいいかと気楽に考えてはみたが、肝心のガイルさんがお兄さんを説得しないことには何も始まらない。
「頼むよ、ガイルさん」とか思っていると「助けてよコウタエもん!」とガイルさんが半泣きで入って来た。
「殴っていいか?」
「ちょっと、待とうか。ね、アオイ。で、ガイルさんはどうなの? って、聞くまでもないか……ちょっとは考えて行動しようよ」
「そんなこと言うなよ~助けてくれよぉ~」
「ハァ……で、今度は何?」
「聞きたい?」
「じゃ、いいです」
「あ、ウソ。ウソだから、お願いだから聞いてくれ。な、頼むよぉ~」
「……」
ガイルさんをジト目で見ながら、どうしたらいいのかと気が重くなる。
「いきなりだな。少しは慰めてくれてもいいんだぞ」
「誰を? なんで? 俺が?」
「ぐ……」
「マズいことになった」と部屋に入るなり言ったガイルさんに理由を聞くが、ガイルさんは慰めて欲しそうだけど、なんで俺がそこまでしないといけないのかと言えば言葉を詰まらせる。
「どうせ大した理由じゃないんでしょ」
「なぜ、言い切れる!」
『肯定します』
「あ~やっぱり……どうせ、お兄さんに負けても恨むなみたいなことを言ったんでしょ」
「……言ってない」
「ホントに?」
「いや、近いことは言ったかも……」
「ふ~ん、例えば?」
「例えばか……」
ガイルさんに対し大した理由なんかないだろうと言えばガイルさんが焦った様子を見せるが、俺の視界の隅にはいつものメッセージが流れるから、やっぱりなと思いガイルさんからの売り言葉に買い言葉なんだろうと水を向ければ思い当たることがあるのか話し出す。
「例えば……俺が勝っても政務に携わる気持ちはないと言えば、『既に勝ったつもりか!』と言うからよ。『当然だ! 負けた時のことを考えてどうする!』と言い返せば『そうだろう』と言われハッとなってな……」
「ハァ~だから、肝心なところはそこじゃなくて、互いに契約を結ぶことでしょ。しっかりしてよ」
「だがなぁ~どうしてだか、あの顔を見てしまうとなぁ~」
ガイルさんがトラブった内容を話してくれたが、原因を聞いてバカらしくなった。
何が「あの顔を見たら」だよ。同じ顔しているのにおかしいだろと思わず「いや、鏡写しじゃん!」と言ってしまうが、ガイルさんはガイルさんで「どこがだ?」と全然理解していない。
「だってほぼ、全部同じでしょ。ねえ、早く名札を着けなよ」
「はぁ? お前、目は確かかよ」
「俺もコータに同じだ」
「え……」
俺もアオイもガイルさんとお兄さんどころかドワーフの人達全員の見分けが付かないと言えば、ガイルさんが気落ちする。
「と、言う訳でガイルさんはもう一度、お兄さんと話し合ってちゃんと契約して下さいね」
「俺一人でか?」
「当たり前でしょ」
「コータぁ~」
「え、イヤだ」
「どうしてもか?」
「うん、頑張ってね」
「オニ!」
「ねえ、頼んだ人達は?」
「……」
「もしもし?」
「手配済みだ。直に来るだろう」
「ありがとう」
「ああ、だから「行かないよ」……えぇ……」
ガイルさんにちゃんとお兄さんと約束して来るように言えば、また同じ事をしてしまうと不安になっているのか俺に付き添いを希望するが,俺はそれを一蹴する。
ガイルさんからは不満を言われたが俺が頼んだ人の手配を確認すると既に手配済みだと言われて安心する。
「じゃ、ガイルさんは引き続き頑張ってね」
「なあ」
「イヤです」
「俺が行こうか?」
「「ダメ!」」
「なんでだよ。タイマン張ったら友達だろ?」
「「違うからな!」」
ガイルさんはアオイにだけは頼ることが出来ないと「ヨシ!」と気合いを入れ直して「行って来る!」と部屋を出れば、入れ違いに二人の人物が入ってくるが俺からはガイルさんが出て行ってガイルさんが二人入って来たとしか思えない。
今、部屋にいるガイルさんは何人でしょうって算数問題にもならないけど、間違い箇所がなさ過ぎて間違い探しにもならない。
俺は二人の名前を聞くとそれぞれの名札を用意し胸に付けてもらう。
「じゃあ、もう一度自己紹介をお願いします。では、あなたから」
「私は……イベント担当のサジイと言います」
「僕は国土管理院担当のリチと言います。よろしくお願いします」
二人は胸に着けた名札に首を傾げながらも俺達と挨拶を交わしたところで俺は二人に頼みたいことをお願いする。
「では、私は王位継承の儀をイベントとして国中に向けて大々的に宣伝し、参加募集を募り開催場所の選定に実際のイベント期間の計画立案ですか」
「うん、お願いね。で、あなたの方が」
「国の端から端までイベント内容の告知と参加募集のお知らせと共に地方からの移動手段の提供と」
「そう、出来るかな?」
「ん~正直難しいですが、やれないことはないですね」
「私も同じです」
二人から確約をもらえたことで俺の仕事の大半は終わった。後は、二人とイベントの競技内容を相談し決めるだけだ。
「じゃ、お願いします。詳しい報告はガイルさんか誰か代表者を選出して、その方にして下さい」
「え? コータ殿がするのでは?」
「違ったんですか?」
「いやいやいや、俺は開催までの道筋を着けるだけでしょ」
「またまたぁ、王弟のガイル様とあんなに親しいのですから、お願いしますよ」
「ええ、僕からもお願いします」
「えぇ!」
「コータ、ぶっ飛ばすか?」
「「はい?」」
「アオイ、ちょっと落ち着こうか」
「そうか……じゃあ、殴っていいってなったら言ってくれ」
「「「……」」」
アオイの殴ろうか発言の後は少し重い雰囲気の中、どうにか一度目の会合は終わらせることが出来た。
え? 一度目ってことは次も俺が仕切るのか?
ま、次からは無視するなり、他の人に任せればいいかと気楽に考えてはみたが、肝心のガイルさんがお兄さんを説得しないことには何も始まらない。
「頼むよ、ガイルさん」とか思っていると「助けてよコウタエもん!」とガイルさんが半泣きで入って来た。
「殴っていいか?」
「ちょっと、待とうか。ね、アオイ。で、ガイルさんはどうなの? って、聞くまでもないか……ちょっとは考えて行動しようよ」
「そんなこと言うなよ~助けてくれよぉ~」
「ハァ……で、今度は何?」
「聞きたい?」
「じゃ、いいです」
「あ、ウソ。ウソだから、お願いだから聞いてくれ。な、頼むよぉ~」
「……」
ガイルさんをジト目で見ながら、どうしたらいいのかと気が重くなる。
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