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第四章 ドンガ国
第八話 判別不可能だから
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「だから、なんで今頃戻って来たんだ!」
「俺だって好きで戻って来た訳じゃない!」
「なら、なんだ?」
「だから……」
「やはり、まだこの椅子を狙うか!」
「いるか、そんなもん!」
「そんなもんだと! もう、勘弁ならん! 即刻、立ち去れ!」
「だから、それじゃ困るんだって……」
「やはり「だから、違うって言ってるだろ!」……じゃあなんだ?」
「あ~もう……コータぁ~」
「え~俺に振るの?」
「さっきから貴様達はなんだ!」
「お、やるか?」
「アオイ、いいから」
「ふん、命拾いしたな」
「くっ……ガイルよ。そもそも「ああ、いいから」……だから、お前はなんなんだ!」
「えっと、俺は……なんだろ?」
「コータよ」
ガイルさんと国王らしいガイルさんとのお兄さんの不毛な言い争いに辟易して見ていたら、ガイルさんは俺に何とかして欲しいという風に見てくる。そんなガイルさんに不満を言えば、国王の目が俺に向き「何者だ」とジロリと睨んでくる。だから、アオイが挑発してきたと思い腕まくりをすると右腕をグルングルン回し、国王を挑発する。俺はそんなアオイを宥めれば国王はまた、さっきの言い合いを始めそうになったところに口を挟めば、また誰何されたので、なんと言うのが正解なのか分からず思わず首を傾げてしまう。
「まあ、俺のことは横に置いといて」
「何かいい案でもあると言うのか?」
「うん、そんなにお祭りがしたいのならすればいいじゃないかなと思ってさ」
「「ん?」」
ガイルさんと同じ顔をした国王がガイルさんと一緒に俺の言ったことが分からないといった様子で首を傾げている。
「えっとね、正直俺からすれば、国王さんがその椅子に座ろうが、ガイルさんが座ろうが関係ないし」
「玉座をバカにするのか!」
「兄上よ、俺は前からその椅子には興味がないと前前から言っているだろ」
「ふん! 国王になれるのを無視して蹴るなど、俺には分からん」
「だからさ、俺には国を動かすなんて無理なんだって。自分一人の工房すらまともに回せないんだからよ」
「だが……」
「あの、いいかな?」
国王とガイルさんの話がちっとも前に進まないので二人の間に割って入る。
「あのね、さっきも言ったけど同じ顔した二人のどっちがその椅子に座ろうが俺には関係ないの」
「あ? 誰が同じ顔だって?」
「俺と兄上が似ているのは兄弟なんだから当たり前だ!」
「いやいやいや、似ているどころか俺には間違い探しのレベルでちっとも分からないよ」
「ソイツは聞き捨てならないな」
「ああ、俺も心外だ」
「いや、そうは言ってもだよ」
「ああ、俺にも見分けが付かない」
「あ、私も!」
『僕は臭いでなんとかかな』
「「え?」」
俺がガイルさんと国王の判別が付かないと言えば、二人して反論してくるが俺だけでなくアオイやカリナにタロまでが判別不可能と言えば二人して「マジ?」といった顔になる。
「とりあえず、それはどうでもいいからさ。話を聞いてもらえるかな?」
「「……」」
「もしも~し、ね。聞いてる?」
二人は自分達以外から「判別不可能」と言われて互いにイヤそうな顔になるが、そんなことはどうでもいいから先ずは俺の話を聞いて欲しいとお願いする。
「で?」
「もう少し前向きに聞こうって思わないの?」
「聞いてやるだけでも有り難いと思え! いいから、さっさとお前の考えとやらを聞かせろ!」
「いつも、あんな調子なの?」
「ああ。小さい頃から『次の王はお前だ!』と教育されてきたからな。多少、イラつくかもしれんが勘弁してくれ」
「あれが多少なら、俺はお釈迦様だよ」
「おしゃかさま?」
「まあいいよ。じゃ、話すね」
「ああ、聞かせろ」
俺は国王の態度にイラッとしながらも自分が考えていることを話せば「無理だ!」と言い出す。
「何が無理なの?」
「神聖な儀式だぞ! なのにそんな……出来る訳がない!」
「兄上、そもそもソレが間違いだと何故、気付かない!」
「何が間違いだ! 先祖代々受け継いで来た神聖な儀式だぞ。なのにそれを間違いだとお前は言うのか!」
「ああ、言わせてもらう。大体、鍛冶士としての腕と統治能力は別物だろうが!」
「だが、ここはドワーフの国だ。鍛冶士としての腕を問われてもしょうがないだろ」
「だからって……おい、コータ!」
「はいはい、だからねガイルさんが言っている様にそもそもの発端はその儀式にあるんでしょ。だから、国中が祭りを望んでいるのなら、国民全員を巻き込んでのお祭りにしちゃえばいいんじゃないの」
「だが、それでは万が一、血筋に関係ない者が……勝った場合には」
「だからさ、儀式に勝ったから『はい、あなたが王様です』ってのを止めればいいだけでしょ。単純に優勝した人をマイスターなり巨匠なり称号を与えればいいんじゃないの」
「いや、それでは王家としての……」
「だから、そういうのが面倒でガイルさんは出て行ったんでしょ。ね、ガイルさん」
「ああ、そうだな。俺も鍛冶士としての腕には自信はあるが、統治能力はないからな」
「それは俺には勝てると言っているのか? ふん、面白い。なら、やってやろうじゃないか! 小僧、準備はお前に全て任せる。好きな様にやれ!」
「えぇ~」
「俺だって好きで戻って来た訳じゃない!」
「なら、なんだ?」
「だから……」
「やはり、まだこの椅子を狙うか!」
「いるか、そんなもん!」
「そんなもんだと! もう、勘弁ならん! 即刻、立ち去れ!」
「だから、それじゃ困るんだって……」
「やはり「だから、違うって言ってるだろ!」……じゃあなんだ?」
「あ~もう……コータぁ~」
「え~俺に振るの?」
「さっきから貴様達はなんだ!」
「お、やるか?」
「アオイ、いいから」
「ふん、命拾いしたな」
「くっ……ガイルよ。そもそも「ああ、いいから」……だから、お前はなんなんだ!」
「えっと、俺は……なんだろ?」
「コータよ」
ガイルさんと国王らしいガイルさんとのお兄さんの不毛な言い争いに辟易して見ていたら、ガイルさんは俺に何とかして欲しいという風に見てくる。そんなガイルさんに不満を言えば、国王の目が俺に向き「何者だ」とジロリと睨んでくる。だから、アオイが挑発してきたと思い腕まくりをすると右腕をグルングルン回し、国王を挑発する。俺はそんなアオイを宥めれば国王はまた、さっきの言い合いを始めそうになったところに口を挟めば、また誰何されたので、なんと言うのが正解なのか分からず思わず首を傾げてしまう。
「まあ、俺のことは横に置いといて」
「何かいい案でもあると言うのか?」
「うん、そんなにお祭りがしたいのならすればいいじゃないかなと思ってさ」
「「ん?」」
ガイルさんと同じ顔をした国王がガイルさんと一緒に俺の言ったことが分からないといった様子で首を傾げている。
「えっとね、正直俺からすれば、国王さんがその椅子に座ろうが、ガイルさんが座ろうが関係ないし」
「玉座をバカにするのか!」
「兄上よ、俺は前からその椅子には興味がないと前前から言っているだろ」
「ふん! 国王になれるのを無視して蹴るなど、俺には分からん」
「だからさ、俺には国を動かすなんて無理なんだって。自分一人の工房すらまともに回せないんだからよ」
「だが……」
「あの、いいかな?」
国王とガイルさんの話がちっとも前に進まないので二人の間に割って入る。
「あのね、さっきも言ったけど同じ顔した二人のどっちがその椅子に座ろうが俺には関係ないの」
「あ? 誰が同じ顔だって?」
「俺と兄上が似ているのは兄弟なんだから当たり前だ!」
「いやいやいや、似ているどころか俺には間違い探しのレベルでちっとも分からないよ」
「ソイツは聞き捨てならないな」
「ああ、俺も心外だ」
「いや、そうは言ってもだよ」
「ああ、俺にも見分けが付かない」
「あ、私も!」
『僕は臭いでなんとかかな』
「「え?」」
俺がガイルさんと国王の判別が付かないと言えば、二人して反論してくるが俺だけでなくアオイやカリナにタロまでが判別不可能と言えば二人して「マジ?」といった顔になる。
「とりあえず、それはどうでもいいからさ。話を聞いてもらえるかな?」
「「……」」
「もしも~し、ね。聞いてる?」
二人は自分達以外から「判別不可能」と言われて互いにイヤそうな顔になるが、そんなことはどうでもいいから先ずは俺の話を聞いて欲しいとお願いする。
「で?」
「もう少し前向きに聞こうって思わないの?」
「聞いてやるだけでも有り難いと思え! いいから、さっさとお前の考えとやらを聞かせろ!」
「いつも、あんな調子なの?」
「ああ。小さい頃から『次の王はお前だ!』と教育されてきたからな。多少、イラつくかもしれんが勘弁してくれ」
「あれが多少なら、俺はお釈迦様だよ」
「おしゃかさま?」
「まあいいよ。じゃ、話すね」
「ああ、聞かせろ」
俺は国王の態度にイラッとしながらも自分が考えていることを話せば「無理だ!」と言い出す。
「何が無理なの?」
「神聖な儀式だぞ! なのにそんな……出来る訳がない!」
「兄上、そもそもソレが間違いだと何故、気付かない!」
「何が間違いだ! 先祖代々受け継いで来た神聖な儀式だぞ。なのにそれを間違いだとお前は言うのか!」
「ああ、言わせてもらう。大体、鍛冶士としての腕と統治能力は別物だろうが!」
「だが、ここはドワーフの国だ。鍛冶士としての腕を問われてもしょうがないだろ」
「だからって……おい、コータ!」
「はいはい、だからねガイルさんが言っている様にそもそもの発端はその儀式にあるんでしょ。だから、国中が祭りを望んでいるのなら、国民全員を巻き込んでのお祭りにしちゃえばいいんじゃないの」
「だが、それでは万が一、血筋に関係ない者が……勝った場合には」
「だからさ、儀式に勝ったから『はい、あなたが王様です』ってのを止めればいいだけでしょ。単純に優勝した人をマイスターなり巨匠なり称号を与えればいいんじゃないの」
「いや、それでは王家としての……」
「だから、そういうのが面倒でガイルさんは出て行ったんでしょ。ね、ガイルさん」
「ああ、そうだな。俺も鍛冶士としての腕には自信はあるが、統治能力はないからな」
「それは俺には勝てると言っているのか? ふん、面白い。なら、やってやろうじゃないか! 小僧、準備はお前に全て任せる。好きな様にやれ!」
「えぇ~」
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