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第三章 旅の始まり
第三十九話 王都を出るまであと少し
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馬車の乗り心地を改良するのもテンプレだなと思いながら、車の改良すべき点をカリナと相談する。
「先ずは直進性を高めないとだね」
「ちょくしんせい? なんで? 車輪を真っ直ぐにしてればいいんじゃないの?」
「それはね……」
俺はカリナに分かってもらえるように模型を門から玄関まで続く石畳の上で走らせるが、石畳がゴツゴツとしている為に上手く転がらない。
俺はしょうがないかと土魔法で緩く傾斜を付けた五メートルほどの直線を用意すると、その上に模型を乗せてから手を離せば、模型の車は一メートルほど走ったところで、右側に寄ってコースから外れる。
「ね?」
「いや、ねって言われても分からない」
「そりゃそうだね。じゃあ、次は直進性を高める為に前輪の角度を少しだけ内側にしたから、違いを見てね」
「いいけど……」
「じゃあ、行くよ」
俺が模型の車から手を離せば、模型の車はコースから外れることなくコースを走りきる。
「え?」
カリナは模型の車を手に取ると信じられないものを見たという風に驚いているが、二台の模型の車を同時に走らせ、その違いを理解しようとしている。
「何度やっても結果は変わらずか……コータが言っていることが少しだけ理解出来た様な気がする。だが、これは必要なのか?」
「えぇ! そこ?」
「ああ、この車なら操舵輪があるから、真っ直ぐに走らせることは出来るじゃないか」
「チッチッチ! カリナ君、君は分かってないな」
「カリナ君って。まあ、いいけど。で、俺が何を分かってないって?」
「だって、そんなの疲れるでしょ」
「は?」
「いや、だからね。ずっとハンドルを持って真っ直ぐ走らせるのは疲れるでしょって言ったの」
「長時間も走らないだろ」
「そりゃ、今のままならね。でも、そこを改良するんだし。魔力タンクのアオイも俺もいるんだから長時間走らせることは出来るよね。で、その間ずっとハンドルを握って真っ直ぐ走らせるってなると、スッゴく疲れると思うけどね」
「あ……」
カリナは俺の話から直進性の大事さを分かってもらえたようだ。
これで車は真っ直ぐ走らせることが出来たし、ある程度の乗り心地も確保出来たと思う。となれば、後は心臓部の確認だ。
「で、肝心の駆動部分は……っと、コレかな?」
「そう。これがそうだ」
カリナは腰に手を当て薄い胸を張り、フフンと偉そうに答える。
「これってベルトで伝えているんだね」
「そうだ。これなら、確実に力が伝わるだろ」
「うん、ダメだね」
「そうだろ、そうだろ……え? ナニがダメなんだ」
「だって、これだと少し力が加わるとベルトも滑るよね」
「だが、他に伝達方法があるとも思えないが」
「そんなもん「ギアだな」……ちょっと、アオイ。俺のセリフ!」
「俺にも言わせろ。折角コータから知識を貰っても披露する機会がないんだからな」
「貰う? ねえ、それって俺も貰えないのかな?」
「出来るぞ」
「なら「待て!」……もう何?」
駆動部分を見ると革のベルトで駆動部分と後輪の車軸を繋いでいるだけだった。これだと少しの負荷でベルトが空回りしてしまい、力が逃げてしまうと説明すれば、アオイが横からギアにすればいいと口を出す。
するとカリナはアオイが俺から知識を貰ったと聞いて、自分にも貰えないかとアオイに言えば、アオイは首を横に振る。
「知識をカリナに与えることは出来るが「なら、やってよ!」……だから、聞け!」
「はい……」
「ふぅ~いいか。他人の知識というか、記憶を無理矢理頭に詰め込むんだぞ。俺は自分で加減出来るから、調整しながらなんとか出来たが、お前には無理だ」
「そんなのやってみないと分からないだろ!」
「だから、やってみて痛いからイヤだと途中で止めることは無理だぞ」
「え? 止めてくれないのか?」
「止めろと言うなら止めてもいいがな……」
「何? 言ってよ」
「廃人になるかもしれんぞ」
「廃人? どういうこと?」
「だから、さっきから言っているだろ。他人の知識を頭に詰め込むんだ。何も障害が無い方がおかしいだろ」
「じゃあ、途中で止めることなく痛みに耐えるしかないって言うの?」
「だから、さっきからそう言っているだろ。必要な知識なら、そんなに焦らなくても教えるから、な」
「イヤ!」
「イヤって、お前な」
「だって、コータの知識なら絶対に面白いに決まっているし!」
「だからな「いいから、やって!」……どうするよ、コータ」
「……そうだね、後々面倒にならないように遺言、いや誓約書を書いて貰った方がいいかもね。エミリーもいることだし。どうするカリナ」
「……分かった。書く! こうなったら遺言も一緒に用意しようじゃない! 待ってなさい!」
カリナは俺達にそう言うと屋敷の中へと戻っていく。
「ありゃ、本気だな」
「まあね。俺の持っている知識がカリナの技術開発魂に火が着いたんだろう」
「そうだな。そんなところだろうな」
「先ずは直進性を高めないとだね」
「ちょくしんせい? なんで? 車輪を真っ直ぐにしてればいいんじゃないの?」
「それはね……」
俺はカリナに分かってもらえるように模型を門から玄関まで続く石畳の上で走らせるが、石畳がゴツゴツとしている為に上手く転がらない。
俺はしょうがないかと土魔法で緩く傾斜を付けた五メートルほどの直線を用意すると、その上に模型を乗せてから手を離せば、模型の車は一メートルほど走ったところで、右側に寄ってコースから外れる。
「ね?」
「いや、ねって言われても分からない」
「そりゃそうだね。じゃあ、次は直進性を高める為に前輪の角度を少しだけ内側にしたから、違いを見てね」
「いいけど……」
「じゃあ、行くよ」
俺が模型の車から手を離せば、模型の車はコースから外れることなくコースを走りきる。
「え?」
カリナは模型の車を手に取ると信じられないものを見たという風に驚いているが、二台の模型の車を同時に走らせ、その違いを理解しようとしている。
「何度やっても結果は変わらずか……コータが言っていることが少しだけ理解出来た様な気がする。だが、これは必要なのか?」
「えぇ! そこ?」
「ああ、この車なら操舵輪があるから、真っ直ぐに走らせることは出来るじゃないか」
「チッチッチ! カリナ君、君は分かってないな」
「カリナ君って。まあ、いいけど。で、俺が何を分かってないって?」
「だって、そんなの疲れるでしょ」
「は?」
「いや、だからね。ずっとハンドルを持って真っ直ぐ走らせるのは疲れるでしょって言ったの」
「長時間も走らないだろ」
「そりゃ、今のままならね。でも、そこを改良するんだし。魔力タンクのアオイも俺もいるんだから長時間走らせることは出来るよね。で、その間ずっとハンドルを握って真っ直ぐ走らせるってなると、スッゴく疲れると思うけどね」
「あ……」
カリナは俺の話から直進性の大事さを分かってもらえたようだ。
これで車は真っ直ぐ走らせることが出来たし、ある程度の乗り心地も確保出来たと思う。となれば、後は心臓部の確認だ。
「で、肝心の駆動部分は……っと、コレかな?」
「そう。これがそうだ」
カリナは腰に手を当て薄い胸を張り、フフンと偉そうに答える。
「これってベルトで伝えているんだね」
「そうだ。これなら、確実に力が伝わるだろ」
「うん、ダメだね」
「そうだろ、そうだろ……え? ナニがダメなんだ」
「だって、これだと少し力が加わるとベルトも滑るよね」
「だが、他に伝達方法があるとも思えないが」
「そんなもん「ギアだな」……ちょっと、アオイ。俺のセリフ!」
「俺にも言わせろ。折角コータから知識を貰っても披露する機会がないんだからな」
「貰う? ねえ、それって俺も貰えないのかな?」
「出来るぞ」
「なら「待て!」……もう何?」
駆動部分を見ると革のベルトで駆動部分と後輪の車軸を繋いでいるだけだった。これだと少しの負荷でベルトが空回りしてしまい、力が逃げてしまうと説明すれば、アオイが横からギアにすればいいと口を出す。
するとカリナはアオイが俺から知識を貰ったと聞いて、自分にも貰えないかとアオイに言えば、アオイは首を横に振る。
「知識をカリナに与えることは出来るが「なら、やってよ!」……だから、聞け!」
「はい……」
「ふぅ~いいか。他人の知識というか、記憶を無理矢理頭に詰め込むんだぞ。俺は自分で加減出来るから、調整しながらなんとか出来たが、お前には無理だ」
「そんなのやってみないと分からないだろ!」
「だから、やってみて痛いからイヤだと途中で止めることは無理だぞ」
「え? 止めてくれないのか?」
「止めろと言うなら止めてもいいがな……」
「何? 言ってよ」
「廃人になるかもしれんぞ」
「廃人? どういうこと?」
「だから、さっきから言っているだろ。他人の知識を頭に詰め込むんだ。何も障害が無い方がおかしいだろ」
「じゃあ、途中で止めることなく痛みに耐えるしかないって言うの?」
「だから、さっきからそう言っているだろ。必要な知識なら、そんなに焦らなくても教えるから、な」
「イヤ!」
「イヤって、お前な」
「だって、コータの知識なら絶対に面白いに決まっているし!」
「だからな「いいから、やって!」……どうするよ、コータ」
「……そうだね、後々面倒にならないように遺言、いや誓約書を書いて貰った方がいいかもね。エミリーもいることだし。どうするカリナ」
「……分かった。書く! こうなったら遺言も一緒に用意しようじゃない! 待ってなさい!」
カリナは俺達にそう言うと屋敷の中へと戻っていく。
「ありゃ、本気だな」
「まあね。俺の持っている知識がカリナの技術開発魂に火が着いたんだろう」
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